お風呂育ちの回想【シアターフニャオ 〜ダンビラムーチョ原田の日常〜 vol.9】

実は“映画通”の芸人、ダンビラムーチョ・原田フニャオさん。映画の面白さに気付いた中学時代から、たくさんの作品を観てきたそうです。『シアターフニャオ 〜ダンビラムーチョ原田の日常〜』は、フニャオさんの日常&おすすめ映画を紹介するコラム。(月1回更新)
今月のテーマは「お風呂」。子どもの頃からお風呂が好きだというフニャオさんが、お風呂にまつわるエピソードとともに映画を紹介してくれました。

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「フニャオ氏、WLUCKPARKでなにか書いてるんやったっけ?」

ある日、劇場の出番が一緒だったGAG福井さんが声をかけてくれた。

「なんかチーフマネージャーが、原田さんが映画のコラムのことで福井さんのことTweetしてましたって教えてくれてんけど、そんな社員さんの中で有名なん?」

こう聞かれた。

もちろん、そんなことはないと思う。
ただ、あまり関わりのないマネージャーさんが言ってくれてるってことは、もしかすると秘密裏に吉本でシアターフニャオ激推し計画が遂行されてるいるのかもしれない、、。会社が、シアターフニャオをウィークリーランキング1位にするために動いてくれてるのかも、、ぉお、、いやそんなことより、フニャオ氏ってぇ(ひくねと)

お風呂

さぁ、今回のテーマは【お風呂】。

「風呂は命の洗濯ですね〜」

と、映画『ハケンアニメ!』で小野真知子さんがエヴァンゲリオンのミサトさんの名言を真似て銭湯に入っているシーンがある。本当にその通りで、体も心も洗われるお風呂は最高だ。

芸人の中で結構サウナが流行っているが、僕はどっちかというとお風呂が好きだ。

週に2回ほど近所の大黒湯という銭湯に行っているのだが、この銭湯の水風呂が気持ち良すぎる。熱いお風呂にじっくりと入った後に入るバブル水風呂は、生命の泉のように体力が回復する。水の冷たさが体の熱でちょっとずつぬるく感じてきて、水風呂と一体となっていく感覚はまるで水風船と友達になっているようだ。

ハハハっ。

ただ気持ちよくて水風船に入りすぎて、平気で風邪をひく。こうなってくると本末転倒じゃないか?という意見もあるが、そんなの関係ない。水風呂は友達なんだ。

閉まってた大黒湯

子どものときから、お風呂育ちである。

地元の長野県諏訪地方では、ご近所さんだけが入れる温泉がある。月額料金を町に払って安い料金で毎日入れる地域の風呂。僕は「山の手温泉」と呼ばれる地域の風呂に入っていた。5~6人入ったらいっぱいくらいの小さめのお風呂だが、毎日温泉に入れてたなんてとてつもなく贅沢だ。

山の手温泉脱衣所

ただ、子どもの頃はこのお風呂にあまり行きたくなかった。
なぜならブナザワ兄弟とハチ合わすからだ。

ブナザワ兄弟は、俺より5個くらい上の近所に住んでる兄弟で、視力検査の1番上くらいでかいピアスを右耳につけてるブナザワ兄と、眉毛がツルツルのブナザワ弟で構成されている不良兄弟だ。

このブナザワ兄弟はとにかくずっと一緒に行動していて、お風呂でも一緒だ。ブナザワ兄弟にお風呂でハチ合わすと、最悪。

とにかくずっとずっと睨まれる。

体を洗ってるときも、シャンプーをしているときも、湯船に浸かって一息ついてるときも、ずっと睨まれる。特に嫌なのが、なにか言ってくるのではなく「なめんじゃねぇぞ」という不良スピリッツでただただ睨んでくることだ。

本当に勘弁して欲しい。

ただ、このブナザワ兄弟にもかわいい部分がある。

この山の手温泉では、近所の人達が集まるので絶対に挨拶はしなきゃいけない。しないと、「原田さんとこの息子さん無愛想だね〜」と噂をされてしまう。

入るときには、「こんばんは〜」や「こんにちは〜」をお風呂に入ってる全員に伝えなければならない。そして出るときには「ごゆっくりどうぞ〜」と、言われなくてもゆっくりするわ!と思うことを言うのがルールだ。

ブナザワ兄弟は、どうだろうか?

ガラガラとドアを開ける、みんなを睨む、そして小さい声で「ぇす、、、」と言う。
いや恥ずかしがるけど、ちゃんと言おうとしてる!
そして出るときも、「どぞ、、、」と言う。

これを見て、芯から怖い人ではないんだなぁと思った記憶がある。

そこの風呂らへんから見える景色

そんな、お風呂育ちの僕もびっくりしたお風呂エピソードがある。

5年前くらいに、映画『火花』のエキストラで熱海に2泊3日で撮影に行ったことがある。そこで一緒だったすゑひろがりずさんと、泊まってた宿泊施設の屋上にある露天風呂に一緒に入ろうということになった。

そこの露天風呂は、誰も水で温度調節をしてなく50度くらいの高温になっていた。みんなで「水入れよう」「水入れよう」と言っていると、三島さんが「くぅ〜」と余裕で入っていた。

「え!!?熱くないんですか!!?」と言うと、「こんくらいがちょうどええねん」と幸せそうな顔をしていた。5分ほど浸かり湯船から出る三島さんを見ると、体が信じられないくらい真っ赤になっていた。もう、ダルマくらい。

どう考えても「こんくらいがちょうどええ」わけなかった。その後、みんなでトランプの大富豪をして、めちゃくちゃ酔っ払った三島さんが適当にカードを出し「かくめ〜い〜」と言い、ふらついて部屋の襖にぶつかって、襖を外したのも良い思い出だ。

(映画には、みんな1秒くらいしか映ってなかった)

Funyao`s recommendation

今月の映画は、『東京家族』。

山田洋次作品。現代の家族像をモチーフにした、ヒューマンドラマだ。

瀬戸内海の田舎から東京に住んでいる子ども達に会いにお父さんお母さんがやってくるのだが、この温度がすごくリアルで、映画に入り込みすごく泣いた。

日比谷の映画館にこの映画を見に行ったのだが、父親を林家正蔵が温泉に誘うシーンがとても平和で、映画館に見に来ていたおじいちゃんおばあちゃんがすごくウケていた。

この家族の一員になれたような心地よさもあり、この映画は、家族とあんまり会えてない人や、家族とうまく付き合えてない人に、是非とも見て頂きたい


『東京家族』
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文:原田フニャオ(ダンビラムーチョ)
編集:堀越 愛、サムネイルデザイン:つるみ32

PROFILE

原田フニャオ(ダンビラムーチョ)

・出身地:長野県諏訪市
・趣味:映画、代々木八幡猫探し、酔っ払う
・特技:けん玉

★Twitter:@danviraHARADA
★Instagram:yoshihiro0519

★公式プロフィール:https://profile.yoshimoto.co.jp/talent/detail?id=4459
★公式YouTube:ダンビラムーチョ