【街裏ぴんく&ルシファー吉岡 編】キン〇マが全員を飲み込み、そして伝説へ……。芸歴を重ねし二人の秘策「奇声をあげてぐちゃぐちゃに」《第8回「AUN ~新呼吸~」第二陣 出演者インタビュー》

2024年9月20日(金)に、『AUN ~新呼吸~』第二陣が開催される。
『新呼吸』とは日本イチ大喜利が強いコンビを決める大会『AUN~コンビ大喜利王決定戦~』予選のことで、優勝者は10月26日(土)開催の本戦大会に出場する。予選第一陣は8月17日(土)に開催され、十九人が優勝した。

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街裏ぴんく。2024年『R-1グランプリ』優勝者である。マイク1本、身ひとつで熟練の架空漫談をやり遂げ、日本一の称号を獲得した。そして、ルシファー吉岡。『R-1グランプリ』では6度決勝に進出。今年はファーストステージを1位で通過し、優勝の目の前まで迫った。つまりこの二人は、今舞台に立っているピン芸人のなかでもっとも「最強」。
二人とも別のユニットでAUN出場経験があるものの、その際はほかのコンビに優勝を譲っている。最強のピン芸人と最強のピン芸人が手を組んだら、そこになにが生まれるのか?乞うご期待。

左:ルシファー吉岡、右:街裏ぴんく

AUNの思い出

———AUNには、過去にお二人とも出場いただいたことがあります。前回出場されたときを振り返って、いかがですか?

街裏ぴんく(以下、ぴんく): 僕は矢野号とタッグを組んでやらせていただきましたね。負けちゃったけど、良い雰囲気でできたと思います。全体的にけっこう盛り上がってて「わー!」となってたんで、ほとんど覚えてません。ただ、一個……

ルシファー吉岡(以下、ルシファー): つらつらつらつらしゃべって、結論は覚えてない!ぴんくさん、しっかりしてください。

ぴんく: シャッ!シャッ!

ルシファー: しっかりした。

ぴんく: あの、矢野号はね、突然人参でつくった笛を吹きだしたんですよ。

ルシファー: いや、これ大喜利の大会だから。そんな場面は普通ないですよ。

街裏ぴんく&矢野号は、2023年6月開催の第6回『AUN ~新呼吸~』に出場

ぴんく: 相当追い詰められてたんだと思います。

ルシファー: 基本、道具はなしですよね?

ぴんく: まぁね。でもそれがうわ~とウケてて……というのは覚えてます。

ルシファー: まさか、人参の笛を吹くとは思わないですもんね。

ぴんく: 人参の笛に名前つけてましたよ。人笛(じんてき)やったかな。それが印象的ですね。……ぶるまちゃんと出たんですよね?

ルシファー: そう、僕はぶるまちゃんと出たんですけど、やっぱり大会自体はすごい盛り上がってましたね。で、楽しかったという感じはあるんですけど、なにも覚えてません。

ぶるファー吉岡として、2022年1月開催の第4回『AUN』に出場

ぴんく: 覚えてないんかい!おい、しっかりせぇよ!

ルシファー: ごめんなさい。

ぴんく: こんな覚えてないことある?

ルシファー: なんだったかなぁ……。1回戦は納言に勝って、次に真空ジェシカに負けたような気がします。

ぴんく: 手練れですからね。

ルシファー: 最後に交互に大喜利するサドンデスまで行きましたね。ひとつのお題に対して交互に回答して、点が入らなかった時点で負ける。そこで、ぶるまちゃんが一切出なくなっちゃって……。

ぴんく「ふはははは(笑)」

ルシファー: テニスで言ったら、ダブルスでぶるまちゃんがしゃがみこんじゃって、僕がずっとやってたんです。

ぴんく: 必死に動き回ったんですね。

ルシファー: やっぱ強いですね、真空ジェシカ。

ぴんく: ぶるまちゃんとルシファーさん、漫才は下ネタ的な感じですけど、大喜利でもその持ち味を出したんですか?

ルシファー: もちろんもちろん。もう、すっごいことばかり。

ぴんく: お客さん、笑うんすか?

ルシファー: 全然垣根なく、笑っていただけましたね。

ぴんく: おもろけりゃ、下ネタにも色眼鏡なく。良いっすね。

AUNのお客さんは、おもろければ笑う

ルシファー: まったく引いてなかった。

ぴんく: まずね、ここでタッグを組めるのがうれしいです。

ルシファー: うれしい。

ぴんく: 戦友なんで。……まぁ、AUNの思い出はもう出ません。

ルシファー: こんなところです。

ぴんく: めちゃくちゃ楽しみです。

芸歴を重ねた強み

———トーナメント表はこちらです。

ぴんく: まず、4組でぶつかるんですよね。フランツは前も戦いましたね。おもろいんすよ、大喜利。

ルシファー: フランツはうちの事務所の後輩。だから、あのー……まぁ、わかってるとは思います。その辺は。

ぴんく: えっと……またあの手を使うんすか?

ルシファー: はい。手を抜かせます。

二人: ははははははは!

後輩に「手を抜かせる」という手

ぴんく: ということは、本番前に「わかってるんだよな?」みたいな会話をする?

ルシファー: わかりやすく圧をかけ、手を抜かせます。

ぴんく: 約20年やってる芸人って、全員こうなんで。

ルシファー: 僕らの強みってそこしかないですからね。

ぴんく: 明らかに芸歴も上だし、年上。シンクロニシティなんか、圧かけやすいんじゃないですか。

ルシファー: かけやすいかけやすい。気、弱そうなんで。

二人: ははははははは!!

気の弱そうな後輩に「圧をかける」

ぴんく: そんなら大丈夫か。

ルシファー: 勝ちます勝ちます。

ぴんく: さすらいラビーが、ちょっとね~。中田がだいぶタッパありますよ。

ルシファー: タッパあると怖いっすもんね。

ぴんく: 宇野は大丈夫ですわ。可愛い感じやから。中田をどうするかやな。後ろ手に縛らせていただいて……

ルシファー: はいはい。

ぴんく: ボイラー室なり、人気(ひとけ)のないところにぶち込む。そして「なんだか急に体調が悪くなったみたいだ」と言う。

ルシファー: 椅子に座らせれば、タッパも目立たなくなります。

ぴんく: あー、ほんまやな!

ルシファー: そこで、僕らはガンガン強くいきましょう。

ぴんく: タコ殴りみたいな?

ルシファー: 言葉のタコ殴りというか。実際に手を上げちゃったら、問題なんで(笑)。

タッパのある後輩は、後ろ手で縛り“言葉で”タコ殴り

ぴんく: そうします。じゃあBブロックはいけそうですね。でも、勝ち上ったらAブロックとも戦わなあかんわけですもんね。村田がおんねんな。

ルシファー: あー、村田君は、元マセキの後輩です。

ぴんく: あ~良かった。怖かったんですよ。村田、ちょっと“とっぽい”感じやから。今は吉本におるけども、大丈夫やな。

ルシファー: 大丈夫です、後輩なんで。

ぴんく: あ、ガクヅケもや!

ルシファー: マセキです。後輩です。

二人: ははははははは!

マセキの後輩は無条件で勝てる

ぴんく: マジで勝つやん。いけそうやな。

ルシファー: だいぶ制しましたね。

ぴんく: カラタチも、そんな強い感じじゃないですよね。

ルシファー: カラタチは、僕、あんまり……

ぴんく: 僕もね、見た目がまったく出てこない。失礼なことを言ってますけど……。カラちゃんとタチちゃんだったことは覚えてます。

ルシファー: 後輩ではある?

———そうですね。

ルシファー: どこの事務所?

———吉本さんです。

ルシファー: そっか……事務所は強いのか。

ぴんく: 誰かの息子ってことはないですか?権力者の息子みたいな?……でもね、僕ら賞レース決勝に何回出てるんだって話だし。

ルシファー: 僕は6回。

ぴんく: 僕は優勝してます。

ルシファー: チャンピオン!

ぴんく: だから、言うことをきかせることは、全然できる。事務所が吉本だろうが大丈夫。私の事務所なんて、すごい有名で大きいんで。

ルシファー: えーっと?

ぴんく: トゥインクルコーポレーションです。

ルシファー: ……小さいやないかい!

二人: ははははははははは!

ルシファー: 俺も言いづらいですよ、トゥインクルさんにそんなこと言ったことないから……。

ぴんく: 一拍あけて、ストレートのツッコみをさせてしまった。気づかいや葛藤を感じさせてしまった。

反省する街裏ぴんく

ルシファー: そんなん思ってないです。

ぴんく: すいません。

ルシファー: かといって、巨大事務所ではないことは知ってますから。

ぴんく: R-1準決勝、ルシファーさんがトップバッターでめっちゃウケて、次に2番手でらいぱち君がめっちゃウケてましたね。

ルシファー: 控室で話しました。面白いっすよね。

ぴんく: 面白い。で、fukaya君はファイナリストだし。

ルシファー: それこそ、R-1の直の後輩ですからね。

ぴんく: それも後輩としてるの?

ルシファー: はい。後輩ですし、僕らが出られなくなったあの3年間で頭角をあらわした人たちを、僕は憎んでいます。

ぴんく: こっちが身動きとられへん間にね。それこそ、後ろ手で縛られてる状態のときに出てきて、良い気になってるわけですからね。

ルシファー: 良い気になってます。許せないっすね。

ぴんく: ここはガチガチに因縁ありますね。あと今井らいぱち君は、MOROHAのアフロさんのマネをしているんですよ。僕はMOROHAさんが大好きなので、普通にやめてほしい。

ルシファー: (笑)。

ぴんく: なんていうか、好きなアーティストをバカにされている気分と言いますか……だから僕は、らいぱち君に因縁があります。追い込まれたら、奇声でもなんでもあげてぐちゃぐちゃにしてやりましょうよ。

ルシファー: そうですね、大会ごと。

ぴんく: みんなを深呼吸させてやります。

追い込まれたら、奇声をあげて大会をぐちゃぐちゃに

栄養価の高い、シワの伸びきった……

———本番に向けて、作戦があれば教えてください。

ルシファー: うーん……ぴんくさんと一緒に大喜利やったことないですよね?

ぴんく: 『まいにち大喜利』でやったけど、二人でやったことはないですね。

ルシファー: あー、あれ面白かった。こいつは良いぞ。勝てる勝てる!

ぴんく: 普通に楽しみやし、良い感じにできそうな気がしますね。

ルシファー: ひとつだけ懸念点を言うと、我々に「やたら人気がない」ってことですよ。

ぴんく: あー、そうか……。

ルシファー: 出場者のなかで、ぶっちぎりに一番人気がないです。ぶち抜けてます。

ぴんく: ぶち抜いてるなぁ、たしかに。

「人気がない」と不安になる二人

ルシファー: みんな人気ありますからね。

ぴんく: ほんまやなぁ。人気あったら笑うの?って話やけど。まぁ、そうやな。

ルシファー: そこはもう、キツイっす。

ぴんく: マジでおもろないとヤバイっすよね。

ルシファー: 見た目は絶対一番面白い。

ぴんく: 絶対そうやと思う、二人並んだときね。R-1ファーストステージでも、2番(ルシファー吉岡)と3番(街裏ぴんく)やったっていうめぐり合わせもあるし。

ルシファー: R-1で僕がぴんくさんに敗れた直後、ぴんくさんに優勝した感想を聞くという地獄のラジオ仕事がありました。

二人: はははははは!

ルシファー: 「どうですか、今の気持ちは?」とか言って。しんど。

ぴんく: 2日しか経ってないから、敗退の悔しさがまったく癒えてない状態でやってましたね。

ルシファー: 悔しさを噛み殺しながらやってました。もちろん、それはそれで楽しかったですけどね。二人気が合うんで、そのときもラジオブースに座って、盛り上がって。休憩に入ったら二人でタバコを吸いに行って。で、ジュースを買ってまたブースに戻って……。Tokyo FMのなかを、ずっとキンタマみたいに移動してましたね。

キンタマのようにラジオ局内を移動していた二人

ぴんく: たしかに、あれはキンタマやったなぁ。

ルシファー: だから、コンビネーション的には全然大丈夫だと思います。

ぴんく: ゲームにしてほしいくらいですね。キンタマがTokyo FMのなかを……いろんなアイテムをとりながら移動する。

ルシファー: キンタマのパックマンみたいなやつですね。

キンタマのパックマン

ぴんく: いろんなパーソナリティ食べたりとかしながらな。

ルシファー: キンタマでパパパパパって挟んだりしながら。

ぴんく: ……そんなふうにできたら良いっすね。キンタマとして、いろんなやつらを食べていけるような。

ルシファー: AUNの登録名も、「キンタマ」に変えたって良い。変えたって良いっすもんね?

ぴんく: そのほうがしっくりくるかもしれない。全員を飲み込んで、角筈の舞台上にでっかいキンタマが2個ある状態にして、最後はキンタマで終わりたい。

最後はキンタマで終わりたい

ルシファー: シワの伸びきったキンタマが……。

ぴんく: 食べてるからね、パンパンになってる。最後は、栄養価の高いキンタマが舞台上にある状態で終われれば良い。

『新呼吸』の日、角筈の舞台上にあるのは……

ルシファー: 伝説回ですね。

ぴんく: 伝説回。これこそ神回ですよ。

———最後に、意気込みをお願いします。

ルシファー: 全員ぶっ潰します。見てろよ!……AUNってこういう感じですよね。今急に思い出しました。

ぴんく: ほんまにね、勝ってね、「あうーん!」って言わしたるからな。

ルシファー: いよっ!

PROFILE

左:ルシファー吉岡
右:
街裏ぴんく

写真・構成:堀越 愛
取材:武山
協力:忠地彩葉