2024.12.21

M-1直前！衝撃を受けた一生に一度の漫才と『くすぶりの狂騒曲』【シアターフニャオ〜ダンビラムーチョ原田の日常〜 vol.31】

実は映画通の芸人、ダンビラムーチョ・原田フニャオさん。『シアターフニャオ』（月1回更新）は、フニャオさんが日常で起きたエピソードとともに映画を紹介するコラムです。

12月22日は、いよいよ『Mｰ1グランプリ』決勝！ダンビラムーチョは、決勝への1枠をかけ敗者復活戦に出場します。漫才頂上決戦の直前……ということで、今月はフニャオさんが衝撃を受けた漫才のお話です。

漫才の話

12月22日に、一緒にM-1の敗者復活戦で戦う後輩「例えば炎」のツカミがめちゃくちゃ好きだ。見たことない斬新なツカミですごくワクワクする。漫才劇場の寄席出番が一緒のときに、初めて生で見れると袖で期待していると、なぜかそのツカミをやらなかった。タキノ君に漫才終わり聞くと「実は寄席のときは、支配人からすべりすぎるっていう理由で禁止されてるんです、、悔しい話ですわ」と言っていた。
よりそのツカミ、そして例えば炎の事を好きになった瞬間である。

さぁこの時期は「M-1！M-1！」と犬よりもワンワン言う時期なので、せっかくなので衝撃をうけた漫才の話をしよう。

まずは、くらげの『からみまくり漫才』。

くらげの杉は、人よりも痰（たん）の量が多いのは有名な話だ。漫才中、痰がからまないように、渡辺がツッコんでるときに「う”ぅんっ」とバレないように痰切りをする『痰切り隠し』という技で回避するテクニックを持っている。ただその日のLIVEの杉は、いつも以上に痰が多く出てしまってたみたいだ、、

「うっうんっ、、う”んっ」となんとか誤魔化して終盤までいったが、最後のテンポの良いところで痰切り隠しが間に合わず
「悔しいと思うお前、ストイックろろらぉろろろ」
と完全に痰で溺れた。

ただあまりにも突然だったので、そのLIVEで1番の笑いをとっていた。
痰で爆笑をとる漫才、衝撃だ。

他で言うと、鬼越トマホークさんの『就寝漫才』。

これはそいつどいつ刺身から教えてもらった漫才。4年ほど前、無限大のLIVEに出てた鬼越トマホークさんだったが、坂井さんが漫才中疲れからかうつらうつらとなり、もうまぶたを開いていない状態でまるで夢の中にいるように漫才をしていた。

酔拳のような漫才、衝撃だ。刺身のXにのっているのでぜひ見て欲しい。

……そう、もうわかってると思うが、衝撃的な漫才というのは「構成がすごい！」とか「あのツッコミが！」みたいなことではなく、一生に一度のその日しか見れないような漫才だ。かく言う僕らダンビラムーチョも、漫才中大原が気絶しちゃったことがあるので、急なトラブルでどうしようもなく焦るあの感情を経験したことがある。だからこそゲラゲラと笑ってしまう。

最後の衝撃漫才は、江戸川キャデラックさんの『本当のズレ漫才』。

今は解散してしまった江戸川キャデラックさん。漫才の台本というのは、基本的に2人のセリフが交互に書かれ、そのとおりに進んでいく。しかしその日は新ネタライブというのもあり、水牛さんが間違えて一行ズレたセリフをずっと言ってしまっていた。最後の最後まで噛み合わないまま進んでいく漫才。そして最後、セリフが一個足りずに終わってしまった。この儚い漫才の話が、どうしようもなく好きだ。

Funyao`s recommendation

さぁ映画紹介！

今回紹介したいのは『くすぶりの狂想曲』 。

これは、今絶賛、映画館で上映されている我らが東京吉本の先輩タモンズさんが主人公の漫才物語映画だ。まず凄いのが大宮セブンの再現度。一人一人の喋り方や表情、動き方やクセが似過ぎている。大波さんのサコッシュの紐の長さまで完璧だ。

しかも、モノマネではなくちゃんと演技としてやっているところが俳優さん達の凄さを感じる。 お笑いを題材にした映画やドラマはたくさんあるが、1番泥臭くいぶし銀で、でっかい大木のような、まるでタモンズさんの漫才を感じさせる芯の太い映画だ。タモンズさんの人生、タモンズさんの周りの人達のあたたかさでしくしくと泣いてしまう。

「今日の漫才、最高やん」。大波さんが、ルミネの出番終わり言ってくれたこの一言を胸に、M-1も頑張りたいと思います。

くすぶりの狂騒曲

公式HP：https://kusuburi.jp/

文：原田フニャオ（ダンビラムーチョ）
編集：堀越愛、サムネイルデザイン：つるみ32