2025.02.25

テクノロジーの進歩に後れをとって考えた、世代間ギャップの可否。【ヤーレンズ出井隼之介「可否伝」17杯目】

ヤーレンズ・出井隼之介さんが物事の良し悪しを綴る連載『可否伝』。出井さんセレクトの「今月のコーヒー」情報とともに、心が揺れた“良し悪し”を語ります。

2月の可否

吉岡里帆さんは約7年スマホを機種変していないらしい。どうも、ヤーレンズ出井です。

かく言う私は吉岡さんに先んじて昨年末スマホの機種変に挑戦したが、分割の審査に落ちてしまい断念した。いまだに愛本店、もといiPhoneXユーザーである。M-1グランプリ2年連続ファイナリストが聞いて呆れる。

というか最近のスマホの機種変更はオンラインでやるのが一般的で、実店舗自体この先どんどん減っていくらしい。確かにそこに割く人件費とかもスマホ代に跳ね返ってきていると考えると、その方針は理にかなっている。

しかしいくらなんでも全部オンラインでやるなんて、我々お年寄りにはハードルが高い。人と人との繋がりを感じない！ぬくもりのない現代社会！けしからん！

なんて、そこまでは思わないが、まさか自分がこんなにテクノロジーの進歩に遅れをとり始める・・・それも30代でとは思わなかった。

先日も、作業場のWi-Fiの設定がうまく行かずに四苦八苦していたら見かねた作家の松原が設定してくれたし、YouTubeの登録者数10万人で貰える銀の盾の発送手続きもうまく行かず、マネージャーにやってもらった。悲しいのはその所要時間だ。こっちが一時間以上悪戦苦闘したものを、最近の若いもんはものの数分で片付けてしまうのだ。

まあ、流石にもう数時間粘ればWi-Fiも銀の盾もなんとかなったと信じたいし、こんなことでジェネレーションギャップだのなんだのは感じないが、最近いろんなところで「世代間の分断」は進んでいるように感じる。

そう感じたきっかけはラジオだった。先日radikoが聴取者数や検索数を年代ごとにまとめた表を出したのだが、かなり興味深かった。50歳までの各年代と、50代～60代では聞いている番組の傾向がまるっきり違うのだ。各世代でバラバラというより、50以上か以下かで分かれている印象だった。

ちなみに日本の平均年齢は48歳くらいなので、ラジオを聞く聞かない以前にそもそもの人数が全然違うから、恐らく20代の1位の番組よりも50代の4位の番組の方が聴いている人数自体は多いと思う。

ラジオはパーソナリティの思想や考えが直に近い形で出る媒体。僕は個人的にかなり様々な人のラジオを聴くが、そのパーソナリティの方の発言でギョッとしてしまったりする事はある。

本当はその人と僕の考え方に差があるに過ぎないのだが、「やっぱ世代が違うからなぁ」と処理してしまう事がある。しかし、考えのギャップを世代のせいにしてしまうとそこから先が無さすぎる。その度に多少の違いは面白がれる人であろうと反省する。

さて、日本の2024年の出生人数は68.5万人だったらしい。少なっ！

少し前に「ついに100万人を割り込んだ！」とか言ってニュースになっていて、その際、あの頃のふかわりょうさんの足くらい傾いた、とんでもない右肩下がりのグラフ（足の例えの後に肩という表現が出てしまった事をお詫びする）が『今後の出生数予想』として出されたのだが、正にその通りになっているらしい。恐ろしい話だ。

ちなみにお隣り中国では昨年954万人産まれたが、それ以上に亡くなっているので人口は減っているらしい。凄いスケールだ。さらにちなむと、韓国は日本以上に少子化が進んでいる。

大体この手のニュースや記事を見ると「若者の結婚離れ」なんていう見出しが躍る。その手の記事によれば、最近の若いのは結婚もしないし、車も買わないし、家も買わないし、旅行にも行かないらしい。現にこれらのデータを調べたサイトには「若者の婚姻数の低下」だの「コロナに伴う恋愛ロックダウン」とかよく分からない言葉が書いてあった。

そんな感じで煽らないでいいのになぁ。若者はお金が無いだけだけで、お金があれば車も家も買うけどなぁ。

新聞やニュースサイトは主な購買層を上の世代に設定しているから、今の若い奴はこんな奴らだ！けしからん！とか書き立ててターゲット層の溜飲を下げようしてないかと疑いたくなる。人間の感覚の中に「良くぞ言ってくれた！」と感じたときに出る何かしらの快楽物資があってそれを出させようと躍起になっているような。

僕は5年前の自分の事をすごく未熟に感じるし、5年後もそうありたい。今までの経験からすると、先輩や年上の人からの言葉は後々効いてくるので僕が50になったときに沁みる言葉ももらってるんだろうし、50歳にならないことには分からない。

だから上の人と多少ギャップがあっても「これはもしかしたら後々分かるのかも」とストックしておくのがいいと思うし、上の世代の人は何にも煽られずに真摯に若人に向き合うべきだと思う。ただでさえ人数が減っているのに世代間ごときで溝を作っている場合ではないのだ。

ちなみに、日本の出生数を見ていたら何故か1906年と1966年だけ以上に低い。これはこれらの年は丙午（ひのえうま）と言って、この年に生まれた女性は火のように気性が激しく夫を食い殺すという迷信が原因らしい。迷信恐るべし。この平らな地球にはたくさん迷信があるもんだ。次の丙午は2026。

～2月の可否～

可→多少のギャップは面白がれる余裕

否→世代間での軋轢を生む行い