2025.05.01
【メトロンズ第8回公演『遠藤さんの叔父さんが死んだけど旅行は行きたい』取材会レポート】しずる・池田脚本の魅力は「すきまに転がる面白さ」。繊細な心情を描く話題作が公開中!
4月30日(水)より、7人組演劇ユニット「メトロンズ」の第8回公演『遠藤さんの叔父さんが死んだけど旅行は行きたい』上演がスタートしている。

メトロンズは、しずる(池田一真・純)、ライス(関町知弘・田所仁)、サルゴリラ(児玉智洋・赤羽健壱)のコント師3組に、作家・演出家の中村元樹を加えた7人組演劇ユニット。2021年の第1回公演以降、年2回のペースで作品を発表。昨年の第7回公演では初の2週間公演を完走し、過去最多の動員数を記録している。第8回公演『遠藤さんの叔父さんが死んだけど旅行は行きたい』は、前回を上回り過去最大となる全16公演が予定されている。

『遠藤さんの叔父さんが死んだけど旅行は行きたい』は、“他人の叔父の死”というタブーに触れた問題作。他人の叔父の死により社員旅行の開催が危ぶまれ、「行きたいけど、そうは言えない人たち」の心の揺れが繊細に描かれている。
4月30日に『遠藤さんの叔父さんが死んだけど旅行は行きたい』ゲネプロ(最終リハーサル)が行われ、その直後、囲み取材が行われた。ここでは、取材会の様子をレポートする。
ゲネは過去一番の手ごたえ
ゲネプロを終え、感想を問われるとライス・田所は「今までのゲネのなかで一番手ごたえがあった」と回答。しずる・純も田所に賛同し「過去のゲネで一番(観客の)笑い声を聞けた」と振り返った。また、サルゴリラ・赤羽も「ゲネがこんなにあったかいことはない」と言う。ゲネプロは関係者やメディアが観ることが多く、通常公演とは客席の雰囲気が異なる。そのため、過去はゲネで少し落ち込み、気を引き締めてから初日を迎えるのが恒例だったとのこと。「今日は、皆さん笑いすぎていた。逆に油断しないようにしたい」と語った。

脚本のしずる・池田によると、今作は「人の“死”を扱う、センシティブ」な物語。しかも芸人が死を扱うということで、「それはどうなんだ。さぁどうなるんだ。どうだい?そこはどうなんだろう?と方々から言われた」そうだが、死はすべての人に平等にあるもの。それを「いかにコメディにできるか」苦戦したという。演出の中村は、脚本を読んで「“すきま”に転がっている面白さ」を感じたそう。演出のポイントは、演技や見せ方に違和感を残したこと。

メトロンズは、コントを生業とする芸人たちによる演劇公演。普段は短尺のネタを披露することの多い芸人が長尺の演劇に携わることについて、演出の中村は「コントは短距離、お芝居は長距離になるので、使う頭も動きも変わってくる」と言う。メトロンズメンバーは「それに耐えうる稽古量をこなして、公演中最後まで走りきることができる」力があるとメンバーを評価した。池田は「コントは自分だけウケれば良いと思っていたけど、メトロンズの場合は自分だけじゃなく、チームプレーが大事。コントとはそこが違う」とコントとの違いを語る。サルゴリラ・児玉も「時間が決まっているコントではできない変な笑いができる」と言い、間をたっぷり使うなど、笑い声を起こすだけに縛られない表現ができることがメトロンズの魅力だと語った。

リーダーのサルゴリラ・児玉は、メトロンズの展望を問われ「60代とかになっても、ずっと楽しんで続けていきたい」と語る。さらに「メトロンズで映像にも挑戦したい。たとえば……この作品を映画にしたい」と意欲的な様子。メンバーたちも賛同し、最強のコント師集団が活躍の場を広げる可能性を感じさせた。

メトロンズ第8回公演『遠藤さんの叔父さんが死んだけど旅行は行きたい』は、5月11日(日)まで東京・赤坂レッドシアターで上演中。完売回も出ているため、気になっている方は早めにチケット確保を!5月12日(月)からは配信もスタートするので、お見逃しなく。
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また9月10日(水)~28日(日)には、赤坂レッドシアターにて第9回公演『No Sing, No End!』を上演予定。ゲストに川上友里と福井夏を迎え、次回はさらにスケールアップしたメトロンズ公演を観ることができそうだ。
文, 編集:堀越 愛
INFORMATION
メトロンズ Official YouTube Channel
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