【からし蓮根 単独ライブ「火の国Start」直前インタビュー】環境を変え、漫才を軸に再出発。東京から全国、そして九州へ

2025年4月、デビュー時から大阪を拠点に活動していたからし蓮根が、東京へ進出した。

結成13年目のからし蓮根は、2019年にはM-1グランプリ決勝に出場した実力派漫才師。5月17日(土)には渋谷よしもと漫才劇場にて、上京後初となる単独ライブ『火の国Start』を開催する。単独ライブに先立ち、からし蓮根にインタビューを実施。これまでの芸人キャリアから、東京で目指すこと、漫才との向き合い方まで様々な話を聞いた。

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 ※配信チケットの販売は5月24日(土)12時まで/見逃し視聴は5月24日(土)23時59分まで

ネタは方言、平場は社交性を武器に

———からし蓮根さんは、今年の4月から拠点を東京に移されましたね。上京を決めた経緯を教えて下さい。

伊織: 2~3年前から上京を考えていて、本当は「M-1決勝にもう一度行けたら東京に行こう」と話していました。でももう、それは関係なく「行こう」と。

杉本 青空(以下、青空): 僕の方からごりっと言いましたね。

———上京は、なぜ今年だったのでしょうか?

青空: 去年のM-1は準々決勝で落ちたんですけど、自分たち的には手応えがあって。初めて「これで落ちるのか」となったんです。M-1は目新しさも大事なので「なにか変えなアカン」と思ったんですけど、ネタの中身は変えたくなかった。だから、上京してまわりの環境を変えようと思いました。

———上京するにあたって、不安と楽しみどちらが大きかったですか?

伊織: 来るときは不安が大きかったんですけど、今は楽しいですね。プライベートも楽しいし、仕事も楽しいですね。

青空: 僕は「楽しみ」という気持ちだけでしたね。

———まだ上京したばかりですが、東京で期待していることはありますか?

青空: 東京には、いろんな幅の仕事があると思います。その分チャンスもたくさんあると思うので、それをモノにできればと。

伊織: 東京のほうが仕事は幅広いと聞いていたので、楽しみですね。

青空: 大阪ではやったことのない仕事があるんだろうなと。

———具体的に、出演してみたい番組などはありますか?

青空: 僕はラップとプロレスとハロプロが好きなので、それ関連の番組に出てみたいですね。

伊織: 僕は野球と動物系。旅に行くロケもいいですね。あとは西野カナ。西野カナさんといちご狩りがしたいですね。

———東京のライブと大阪のライブ、違いは感じますか?

伊織: 東京では「僕たちを初めて見るんだろうな」という印象は受けますね。

青空: たしかに。

伊織: 「名前は聞いたことあるぞ」みたいな。

———それもプラスに働きそうですよね。

青空: 意外と、そっちのほうが良いですね。

———ネタの特徴でもある熊本弁は、東京でも武器になりそうです。

青空: 関西でもそうでしたけど、東京だとより際立つかなと思っています。

伊織: ネタに関しては方言、平場は社交性を武器にやっていきたいです。

ライバルはケビンス?

———東京進出にあたって、ロールモデルとされている芸人さんはいますか?

伊織: マユリカさんとか見取り図さんあたりを目指していきたいですね。

青空: あー、たしかに。

伊織: マユリカさんや見取り図さんは、最初は漫才から入ってロケとかテレビ番組で活躍されていたので、僕たちもそのような形で売れていきたいですね。

青空: そうですね。千鳥さん、ダイアンさん、かまいたちさんとかも、理想形ですよね。

———東京でライバルだと思う芸人はいますか?

伊織: ケビンスとか……。山口コンボイは同期ですし。ライブで一緒になったときもめっちゃ面白かった。

青空: ケビンスは意識していなかったし、初めて聞いたけど、たしかにな。ライブで「どっちを呼ぶ?」とか、ふるいにかけられていそうな気がします。言われて、そうやなと思いました。

———4月から、からし蓮根さんは東京の漫才劇場所属になりましたね。

伊織: ありがたいですよね。

青空: 大阪でも出番をいただいたりしていますし、スムーズに変わらずできる感じですね。

———東京でも、軸足は漫才でしょうか?

青空: そうですね。漫才があって、ほかがあるという考えですかね。

原点は高校時代

———漫才についても話を聞かせてください。からし蓮根さんが最初にM-1で決勝進出したのは、2019年でした。当時は結成6年目でしたが、どのような思いでしたか?

青空: 驚きでしたね。考える余裕もなく、無我夢中で。とりあえずやったという感じでした。

伊織: 僕も驚きが大きかったですね。

———この年、準決勝で手ごたえがあったわけではなかったのでしょうか?

伊織: 準決勝はそんなにでしたね。「まあまあかな」くらい。みんなウケているので、誰が行くかわかんないんですよ。

青空: ウケでいうと、前の年(2018年)のほうがあったような気がしていたんです。あとからまわりに「ウケてた」と言われて、「そうなんですかね」みたいな感覚で。

———若くしてM-1ファイナリストとなったわけですが、そこから5年間は準決勝、もしくは準々決勝で敗退でしたよね。

伊織: やっぱり、新しさがないんですかね。

青空: 僕らがまた決勝へ行くってなると、めっちゃウケないと通らないと思います。あとはスタイルを新しくするか……

———YouTubeなど他のメディアで、「漫才のスタイルを変えるつもりはない」というお話もありましたよね。

伊織: もう変えられないんですよ(笑)。

青空: そうですね。もう、このスタイルの100点、120点を出すしかないと思っています。

———伊織さんが少し怖いボケをして、それを青空さんが熊本弁混じりでツッコむというスタイルの漫才が定着しているように思いますが、これはいつごろからはじめたのでしょうか?

伊織: 最初からですかね。

青空: 大元の形は最初からありました。

———最初というと、高校時代にコンビを結成したときですよね?

青空: そのときですね。僕が元々ネタを考えたりするのが好きで、書いてはいたんです。だから、いきなり二人のネタを書いて「漫才をやろう」と渡しました。

———高校生のころから今のスタイルに通じる漫才をしていたんですね。伊織さんから、ネタに対してなにか助言することはあるんですか?

伊織: たまにありますね。ボケもそうですし、ツッコミもいきすぎていたら言うようにしています。

青空: 僕としてもそのほうがありがたい。ひとりでやっていると、マジでいきすぎるときがあるので(笑)。

———高校時代から、ツッコミの青空さんが伊織さんをいじるというような関係性だったのでしょうか?

伊織: 僕はいじられキャラでしたけど、青空がいじるのはなかったですね。

青空: グループが別だったので。僕は先生のモノマネだけでのし上がっていきました(笑)。

———少し意外な感じがします。影響を受けた芸人さんとかはいらっしゃるんですか?

青空: 高校生のときは、YouTubeで「AGE AGE LIVE」を見ていました。あとは、M-1でサンドウィッチマンさん、フットボールアワーさん、チュートリアルさんとか。みんなと同じような感じですね。

伊織: 僕はウド鈴木さん。「楽しそうやな」と思っていました。

———現在のからし蓮根さんのネタにも、影響を与えているのでしょうか?

青空: どうすかね。好きなので、気をつけないといくらでもパクってしまう(笑)。だから、一緒にならないようにという点では意識しているかもしれないです。

———からし蓮根さんの特徴というと、青空さんの方言もですが、個人的には伊織さんの狂気的なボケが大きな色になっているかと思います。

伊織: 最初は今みたいな怖いボケはしていなかったんですよね。

青空: もっとポップなネタをやっていました(笑)。

———どうしてあんな怖いボケが生まれたんですか?

青空: 怖いつもりでしていなかったんですけど(笑)。ボケは明るいものを求めていたんですけど、一旦まったく違う感じにして。“引いて”というか、無理なく違和感ない形にしていったら、こうなりました。

———それも含めて、すっかりからし蓮根さんの色になりました。後半にかけて、青空さんがまくしたてるのも印象的です。

青空: 後半に向けて、がっと上げていくのをやっぱり意識していました。2019年の決勝でやった教習所のネタがあるんですけど、あれができたときにその流れも生まれましたね。

単独ライブは「挨拶まわり」

———今回の単独ライブ『火の国Start』は、お二人にとってどのような位置づけでしょうか?

伊織: 「挨拶まわり」って感じですかね。

青空: 東京一発目の単独ライブなので、「こういうコンビなんだ」とわかってもらえると良いなと。新ネタを5本やる予定ですけど、間に合わなかったら往年のネタで……(笑)。

———今のところ、ネタの出来具合はいかがでしょうか?

青空: まだ0%くらいですね。

———そうなんですね(笑)。単独ライブに向けて、新しく挑戦していることはあるのでしょうか?

青空: 2年前の単独ライブから、1~2本はやったことない形のネタもやりはじめています。いわゆる漫才コントではなく、しゃべくりとか、流れをかちっと決めないやつですね。

———普段の形から変えると、ネタを考えるのもやるのも難しそうです。

青空: めっちゃ難しいですね。伊織を無駄遣いしている気がして(笑)。でかいのに喋らせているだけになっちゃうので。それでも、良さを出せるようになれたら、もう一皮むけるかなと思います。

伊織: 僕としては、自分らしさというか、自分たちしかできないネタをしていけたら良いです。

———今後もM-1を指針に戦っていくと思うのですが、最終的に目指していくところはどこになるのでしょうか?

青空: 東京へ出てきたということもあるので、全国区で売れたいというのがありますね。

伊織: 全国で売れて、福岡へ行きたいです。最後は地元の九州で……と考えていて。九州も福岡も好きなので、福岡でいろいろ好きな仕事がしたいですね。

———最後に、単独ライブを行うにあたってファンの方へメッセージをお願いします。

青空: 間に合えば新ネタ5本なので、楽しみにしてください!

伊織: 東京へ来て1か月、どれくらい染まったか見てください!

PROFILE

からし蓮根

左:伊織
右:杉本青空

★公式プロフィール:https://profile.yoshimoto.co.jp/talent/detail?id=5233
★公式YouTube:からし蓮根のからし詰めたろか

文:まっつ

編集, 撮影:堀越 愛