圧巻の熱量!これぞリアルなライブシーン!知る人ぞ知る「田野寄席」に迫る

先に公開したライブレポート「荒城の月×メランコリー大喜利ライブ」と同じ日(2月28日@阿佐ヶ谷ロフトA)、主催の一人である田野は、もう一つ大きなライブを抱えていた。自身の名前を冠した「田野寄席」というイベントである。

大喜利プレーヤーである傍ら、Convaというトリオとしてもコントライブなどを行ってきた彼。今回はキュレーターを務め、プロの芸人から、アマチュア・学生まで、彼の見たいユニットを集めた。フライヤーのデザインも話題を呼び、チケットも完売、開催前から大変話題になっていた。

大喜利プレーヤーでもあるギャルがデザインした、AKIRA風のフライヤー

MCとして、Conva(田野・警備員・吉原怜那)の3人が登場。このような会場でネタをできる機会、そして満席であることに対し、緊張している姿を見せた。田野は「予想外すぎて。満席って聞いて、びっくりした」と語り、警備員も「本来嬉しいはずの、お客さんが増えたっていう情報に『まだ増えんのか~』って。プレッシャーがね」と田野の様子を紹介し、笑いを誘う。この日に向けての高揚感がうかがえるオープニングだった。

左:吉原怜那、中:田野、右:警備員

Convaのコントに会場は大盛り上がり!学生芸人も大活躍

トップバッターを務めたのは、学生芸人のインサイド(黒木・吉田)。ボケの黒木がスピリチュアルなパワーを感じられる能力者という漫才で、吉田の独特な長いツッコミがクセになる。吉田の例えに毎度笑いが起こり、つられて二人も笑いそうになるところに仲の良さが垣間見えた。

左:黒木、右:吉田

続いて、暗転中の登場シーンからうっすらと笑いが起きていた、学生芸人の清水駿平。金八先生の恰好で登場し、最初の一言から会場全体の心をつかんだ。武田鉄矢の言葉たちのリフレイン、次々に飛び出す予想外のフレーズたち、どこを切り取っても彼の魅力を味わうことができた。

ピン芸人の清水駿平

3組目は、主催の田野のユニットであるConva。捜査に協力する凶悪犯罪者と刑事たちのやり取りを見せるシリアスなコントかと思いきや、思わぬ転換を見せる。三人の演技の幅やリアルさに魅了され、底抜けの明るさと、人間模様のもの悲しさとの対比がたまらない。

刑事役の吉原と田野、凶悪犯罪者役の警備員

何を見せられているかわからないのに、拍手が鳴りやまないゆうD

レッドブルつばさは、居酒屋キャッチのバイトのネタ。明るくも切ない、全身全霊をかけるような熱演にくぎ付けになる。満面の笑みや全力の表情がまぶしく、裏切られるような終盤シーンの盛り上がり、そしてラストの衝撃で、暗転後の拍手もひと際だ。

ピン芸人のレッドブルつばさ

5組目は、アマチュア芸人のデッサンビーム(黒川・有吉)がストーカーのコントを披露した。誰にも予想のできないような設定、作り込まれたそれぞれの展開に惹きつけられる。一つひとつのボケがすべて会場にハマっており、笑いの鳴りやまない時間が続いた。

左:有吉、右:黒川

次に出てきたゆうDは、登場から大爆笑をかっさらった。ネタの意味は誰にも理解できない。しかし、その一挙手一投足、すべてのワードチョイスで拍手笑いを起こすというとんでもない舞台だった。新手のエンドレスエイト(*)とも言える彼のネタは、会場に、いやこの世に衝撃を与えたと言っても過言ではない。

*『涼宮ハルヒの憂鬱』のストーリーからできた言葉で、ループする物語を指す

猫になり、マイクをネコパンチするピン芸人のゆうD

7組目は、ピン芸人の可児正。同じ誕生日を持つ二人を紹介していくフリップネタを披露した。飄々とした味のある語り口、フリップの目の付け所が可笑しく、着実に笑いを誘った。特にウケていたフリップはTwitterでも紹介されていたので、是非チェックしてみてほしい。

ピン芸人の可児正 フリップ「三権分立」

ガクヅケの熱量、生活の知恵のWコーメ、そしてトリのサツマカワRPGは圧巻!

続いては、ガクヅケ(船引亮佑・木田)の登場。設定だけでも既に面白いのに、やり取りで笑いをとるにとどまらず、終盤の予想外のシーンにはニヤけざるを得ない。BGMとネタとのマッチ、静と動の対比、画としても常にワクワクさせられるコントで、印象的なネタだった。

左:木田、右:船引亮佑

9組目は、生活の知恵(栗原ヤスユキ・大久保八億)。二人とも小梅太夫の恰好で登場するという“Wコーメスタイル”ながら、意外にも「うっせえわ」など流行りの単語を交えた漫才を披露。その自由度の高さ、客層を完全に理解したボケに、会場は大盛り上がりだ。

左:栗原ヤスユキ、右:阿佐ヶ谷ロフトの背景の手につままれている大久保八億

トリを務めたのは、サツマカワRPG。圧巻の表現力と間で、序盤の焦らされるような展開がたまらない。最後は「田野さんの好きそうなショートコントを3つほどやります」と宣言し、田野寄席のラストを締めくくるにふさわしい、良い意味で後味の悪い最高のショートコントを披露した。大爆笑の中、すべてのネタが終了。

ピン芸人のサツマカワRPG

最後は、MCのConvaとゲストのガクヅケ、サツマカワRPG、レッドブルつばさが登場。なぜか主催の田野が演者たちから質問攻めされる流れに。田野のバイトでのエピソードで大盛り上がりの中、ライブの幕は閉じた。

どのネタも、終わるたびに客席からどよめきや余韻の笑い声が残る、とんでもない熱量のライブだった。第2回の開催があれば、是非足を運んでみてほしい。

 

 

ライター:噂のそうせきゅん

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