2025.09.04
34歳、愛煙家ワガママボーイが見つけた座右の銘。【ストレッチーズ 高木貫太『大声魔法使いかんちゃん』 第2声】
『大声魔法使いかんちゃん』は、ストレッチーズ・高木貫太さんの大声コラム連載。

『大声魔法使いかんちゃん』は、文字媒体にもかかわらずイヤホン必須の新感覚コラム。どんな局面も大声の技術を用いてなんとかしてくれる“大声魔法使い”かんちゃん(ストレッチーズ高木貫太)が、日常で見つけた様々な違和感にツッコミまくります!
コラムニスト顔で過ごした8月
初回のコラムが世に放たれてから1ヶ月。
いかがお過ごしでしょうか。
何人かの芸人仲間から、「コラム面白かったよ!」との声をいただき、Xで恐る恐るエゴサをしたところ反応も上々で、「なあんだ、俺文章いけんじゃん!」と、満面のコラムニスト顔で8月は過ごしました。
何より最初に震える手で、担当の堀越さんに原稿をラインで提出したところ、
「かなりおもしろかったです」
と返信が来たのがデカかった。
「とてもおもしろかったです」は、なんか定型文っぽい。言葉として、「とても」は何かの程度を増す表現ではあるけども、程度が増してる気があまりしない。
「かなりおもしろかったです」は、かなり面白がってくれてそう。伝わってくる。
「めっちゃおもしろかったです」はどうだろうか?「とても」よりは良いけど、定型文の範疇っぽくて、やや伝わってこない。
「結構おもしろかったです」
これは普通に失礼。「案外」みたいなニュアンスが入るからナメられてる感じになる。
「ギザおもしろかったです」
中川翔子さん!コラム読んでくれたんですね、ありがとうございます!
…やっぱり「かなりおもしろかったです」がベストな気がする。堀越さんありがとうございます。精神が落ち着きました。
タバコ
今月はタバコについて書いてみようと思う。
20歳のときにタバコを吸い始めて(このようなパブリックな場だから20歳と言い張ってるのではなく、ガチで20歳から吸い始めました。おう、疑ってるならかかってこいよ)、34歳になった現在まで1度の禁煙もせぬまま喫煙者人生を邁進している。美味しい、タバコ。
小野照崎神社という神社がある。
かつて渥美清さんが、「大好きなタバコと酒をやめるから仕事をくれ」とお願いしたところ、寅さんの仕事が決まったという逸話がある神社だ。
その逸話から、芸人をはじめ色々な夢追い人達が、自分の好きなものをやめて、その代わり大きな仕事をくださいとその神社にお願いしている。
やめるものは自分が好きであればあるほど効果があるとされ、日常に不可欠になっているものであればあるほど比例して大きな仕事が入ってくるらしい。
なので喫煙者は必然的にタバコとなってくる。
芸人仲間からこれまで何度か、小野照崎神社で一緒にタバコをやめないか?と誘われた。
この文言だけ聞くと「小野照崎神社という禁煙外来がある」みたいになっているが勿論そういう意味ではない。好きなものを断って、芸人として売れようぜ!という意味のお誘いだ。
しかしその誘いはこれまで全て断ってきた。
なぜなら、
「大きな仕事が入るんだったら、その仕事の前タバコ吸いたすぎる!」
これなんです。
大きな仕事?絶対緊張するじゃん。絶対本番前一服したいじゃん。
喫煙者にとって、緊張する現場におけるタバコはもう嗜好品を超えて「お守り」。
毎回M-1の予選前だって、耳から煙が出るくらいタバコを吸っている。
「タバコをやめた状態で入ってくる大きな仕事」
俺にとってこの文言は恐怖でしかない。
お酒も大好きだ、ほとんど毎日お酒を呑む。酒をやめれば良いんじゃないか?
いや違う。
「大きな仕事が入るんだったら、その仕事終わったあと酒飲みたすぎる!」
34歳、さすがにワガママボーイすぎる自覚はある。
欲の塊で情けない。
しかし何もやめない分、頑張るんで許してちょんまげラーメンという気持ちである。
そんなこんなでずっとタバコは吸っているが、喫煙人生において忘れられない言葉がある。
愛煙家の先輩オズワルド伊藤さんの言葉だ。
もう今から4~5年前、ライブ終わりで伊藤さんと飯を食いに行くことになった。2人とも喫煙者、もちろん喫煙可能な飲食店を探していた。しかし土曜の新宿、どこも満席でなかなか入れず、5軒ほど断られ続ける。
そんな時、パッと目に入った中華料理屋の席が空いていた。
しかし飛び込んでくる「禁煙」の二文字。
禁煙ではあるが、店探しに疲れていた俺は伊藤さんに、「もうここで良くないですか?」と言った。
すると伊藤さんがキッと俺を睨みつけ、一言。
「貫太ぁ、遊びじゃねえんだよ」
遊びじゃなかったんだ。
まず普通に意味がわからなかった。
「ここで良くないですか?」という質問に対する答えに全然なってない。多分ダメって意味なんだろうけど。
ライブ終わりに飯行くの、遊びだろとも思った。
しかし考えれば考えるほど、なんだか深みを感じる言葉だ。
伊藤さんにとって、タバコが吸えるかどうかは死活問題、生きるか死ぬかの真剣な問題で、だからこそ「遊びじゃない」という言葉が出たんじゃなかろうか。
かっこいい。愛煙家として、いつか俺もその境地に達してみたい。
「遊びじゃねえんだよ」
俺の喫煙人生における座右の銘だ。
結局伊藤さんも店探しがダルくなり、その禁煙中華で飯を食った。美味そうに食ってたし楽しそうに喋ってた。遊びじゃねえんじゃなかったのか。
最後にこの間、喫煙所であったちょっとしたエピソード。
デカい商業施設にある喫煙所には、電子タバコ・アイコスの売り子さんがいる時がある。
紙巻タバコを吸う人には、銘柄を聞いてそれに合うアイコスを薦めたり。アイコスをすでに吸っている人にも、最新のアイコス機器を薦めたり。
とにかく喫煙所にいると売り子さんに話しかけられる。
俺の隣でアイコスを吸っている70歳くらいのお爺ちゃんに、売り子さんが話しかけていた。
「アイコス以前は紙タバコ吸われてたんですか?」
文・声:ストレッチーズ 高木貫太
編集:堀越 愛
サムネイルデザイン:TSURUMI32
PROFILE

ストレッチーズ・高木貫太
・公式プロフィール:https://www.ohtapro.co.jp/talent/stretchees.html
・X:@komekami2010
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