ヤーレンズ・出井隼之介さんが物事の良し悪しを綴る連載『可否伝』。出井さんセレクトの「今月のコーヒー」情報とともに、心が揺れた“良し悪し”を語ります。

9月の可否
2024年7月の可否伝でも書いたのだが、割と普段からご機嫌に生きている。
それは“努めて”ご機嫌に生きているわけで、別に僕は森の番人でも、おにぎり大好き大男でも何でもないので、身に降りかかる全てをおおらかにやり過ごせるわけではない。
過去の自分を鑑みるに、僕の怒りは大別して「意味の分からないこと(誰も得しないこと)」や「明確な悪意」に触れたときに発動する事が多い。
例えば先日、後ろから自転車で追い抜いて行ったおっさんが追い抜き際に「わぁ!!」と驚かせてきたのだが、これは「意味が分からない」し「明確な悪意」なので腹が立つ。あれなんだったんだよ。
他にもある。先日、全国ツアーの追加公演を東京の王子にある劇場で開催した。駅直結の好立地でかつ、席数1,300という大変立派な劇場である。開演前ステージから客席を望む。このクオリティ、キャパの劇場が埋まる事を改めて噛み締めた。
そんな気合いが空回りしたのか、元々予定していた終演予定時間を大幅に超過してしまった。これは本当に申し訳ない。不得の致すところである。
そのライブの後半、やたらと暑く、汗だくでライブを終えた。この汗の量、いかに僕が階級アップの為の増量期とはいえさすがにおかしいと思いスタッフ陣に確認したところ、とんでもない事が発覚した。
空調を切られていたのだ。
会場側がこの夏の暑い日に空調を切るなんて事があっていいのか…?よく見ると僕だけではない。お客さんもスタッフも汗だくである。
「いや〜!漫才長くやり過ぎて空調切られちゃいましたよ!」
なんて言って、その日は軽く笑い話で済まそうかと思ったのだが、後日ふつふつと怒りが湧いてきた。
会場に対しては延長料金を公演前に予め払っており、22:00までの使用を申請していた。
にも関わらず、21:00には空調は切られてしまった。これは「意味が分からない」。
絶対に舐められている。我々がフィルハーモニー交響楽団や劇団四季だったら絶対に空調を切られてないだろうし、同じ演芸だとしても講談や落語なら空調は切られてない。
多岐に渡る芸人の仕事のうちでも、ライブというのは我々が最も大事にするものであるし、ライブに来てくれるお客様も同様に大切だ。その両方を雑に扱われた。「明確な悪意」で。
まあ済んだ事だし大事には至っていないが、こういう時に声を上げないとまた舐められる。こういうときに舐められたままだと、何も変わらない。我々の後に使用する“下に見られがちな演芸”の人々もまた空調を切られてしまいかねない。
もちろん謝罪等があれば解決でその後はごちゃごちゃ言わないし、それに向かって直接話し合うつもりだ。
誰が押したか知らないが、あなたが押した空調のスイッチは、我が怒りのスイッチでもあったんですよと伝える必要はある。
活動していると「なんでみんな邪魔してくるんだろう?」とつくづく思う。
ラジオをやれば「こんなのラジオじゃない」とか色々言われるし、諸々お金を払ってくれない人々はいるし、ライブをやれば空調を切られるし、あの手この手で誰かが邪魔してくる。
我々は別に悪い事をしているわけではないのに、なんでなんだろう?
大概の事はへらへら笑って済ませるが、舐められるのは違うので、自分が大事にしている部分を侵されたときには明確に怒りを発現させていこうと思う。これは自分や自分の大切なもの、未来を守るためでもある。
~9月の可否~
可→努めてご機嫌に生きる
否→どうしても許せない時は声を上げる
今月のコーヒー【SHOZO CAFE】
SHOZO CAFE(栃木)

ロケの終わりに訪れた栃木の有名店。コーヒーもお菓子も美味しい。

U字工事さんに行った事を伝えたら「ありがとね!」と言われた。

PROFILE

ヤーレンズ・出井隼之介
ケイダッシュステージ所属
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文:ヤーレンズ・出井隼之介
編集:堀越 愛
写真&サムネイル:ヘンミモリ