【ドンデコルテ冠特番『人間、銀次。』放送直前インタビュー】なにがリアルで、どこまでがフィクション?「どこが面白いか、観てる人に見つけてほしい」

日活株式会社が運営するスカパー「映画・チャンネルNECO」にて、2026年8月29日(土)23時15分より、ドンデコルテの冠特番『人間、銀次。』が放送される。

『人間、銀次。』は、どこまでがリアルで、どこからがフィクションか分からない前代未聞の90分フェイクドキュメンタリー。破竹の勢いでスターダムを駆け上がるドンデコルテの人間性に迫るべく、徹底密着をしたのが本番組。この密着を通じて見えてきたのは、渡辺銀次の漫才への尋常ではないこだわりと、「全ては漫才のために」という行き過ぎた行動の数々だった……

7月某日、都内にて『人間、銀次。』に関する合同取材会が開催された。超多忙の日々を過ごすドンデコルテが、本番組にかける想いとは……?

情熱の制作チーム

———90分のフェイクドキュメンタリー番組をつくると聞いたとき、どう思われましたか?

渡辺銀次(以下、銀次): 面白いものになれば良いなと思いました。フェイクドキュメンタリーというやり方が“テレビテレビしてない”というか、やり方が良いなと思いましたね。

小橋共作(以下、小橋): 本当に「光栄だな」と思うのと同時に、「俺ら二人だけで90分も持つんかな」とも思いました。でも打ち合わせを進めるうちに、「すんげぇ面白そうだな」と思うようになりましたね。

———撮影中、特に印象に残っていることを教えてください。

銀次: 動物園に行ったことですね。ワオキツネザルが、あまりにも私のことを好きすぎました。

小橋: ナベさんと餌が好きだったね。

銀次: 餌かなとも思ったんですけど、私は動物に近寄られても逃げないから好かれたのかもしれないですね。みんな、逃げちゃうんですよ。ワオキツネザルは逃げない人間のことが好きなのかもしれないです。これはハプニング的な気づきでしたね。

小橋: 動物がちょっと怖いのもあるんですけど、ワオキツネザルに乗っかられて泥まみれになってるナベさんを見て……全身ブランド物を着てる俺は、その輪に入れなかったです。

銀次: ほんとに、泥まみれになりました。

———銀次さんは、動物がお好きですもんね。

銀次: 好きなんですよ。(汚れても良い)ツナギを着て行きたかったです。本当に臭かったんですけど、ケモノ臭いんじゃないんです。よだれ臭かったんですよ。Tシャツがエライことになりました。

提供:日活株式会社

———とてもお忙しい日々を過ごしているなかで撮影が行われたと思います。撮影にはどのぐらい時間をかけたのでしょうか?

銀次: たしか、丸二日かかってると思いますね。つくり手側のチーム感がありました。

小橋: 僕は、1日目はマジで楽だったんですよ。あんまりやることがなくて。ほぼナベさんが稼働してるんで楽な仕事をいただいたなと思ったんですけど、2日目は丸1日ロケで。楽しくて、家に帰ってからヘトヘトになっていることに気付きましたね。

銀次: そんな感じでした。

提供:日活株式会社

動物園で素が出る銀次

———番組名が『人間、銀次。』です。普段、お互いをどんな人間だと思っていますか?

小橋: ナベさんは真面目ですよね。真面目でネタへのこだわりが強い人間。お笑いに対して真面目っていうイメージですね。

銀次: 小橋は……ほんと、“こんな感じ”ですね。

小橋: ナベさんは、小橋は小橋としか形容できないって言うんです。

銀次: そうですね、小橋は小橋ですね。

小橋: 僕は僕です。

銀次: どういった人間なんだろう……

小橋: 小橋みたいな人間?

銀次: 小橋みたいな人間ですね。

小橋: 小橋みたいな人間らしいです。

銀次: 軽薄で、浅はか。

小橋: け い は く?

銀次: はい。軽くて薄いと書いて、軽薄かな。

小橋: iPhoneってこと?

銀次: そうですね。

———この番組は「どこまでがリアルでどこからがフィクションかわからない」というコンセプトですよね。ロケのなかで、フィクションのつもりで撮影したが意外とリアルになった、という部分はありますか?

小橋: 路地裏のネタ合わせかな。あれはボケっぽく見えるんですけど、意外とボケじゃない。

銀次: あまりに漫才に対してストイックであるがゆえ、路地裏でネタ合わせをする……みたいなシーンがあるんですよ。でもあれは、普通に全芸人がやってきたことですから、実はリアルだったりします。

小橋: 楽屋が狭いのに30組くらい出るライブとか、たまにあるんですよ。

銀次: そういうときは外に出てネタ合わせをやってますから。あれはフィクション風ですけど、リアルだったりしますね。

———逆に、フィクションっぽいけどリアルだったことはありますか?

小橋: ナベさんが動物園に行ったところですかね。制作側はたぶんめっちゃボケにしたかったと思うんですけど、ナベさんが動物好きすぎて。

銀次: はしゃいじゃいました。動物園に行く前は、番組タイトルでつかわれているフォントみたいな「銀次」をやってたんですけど。動物園に行ったときはだいぶはしゃいじゃいましたね。

小橋: 素に戻ってて、たぶん人が違うと思います(笑)。

銀次: 動物園ではテンション上がっちゃって(笑)。

ブレイク後の変化

———2025年のM-1をきっかけにブレイクしました。M-1後、相方の変化を感じることはありますか?

銀次: 着るもんとかはめちゃくちゃ変わりましたけど、小橋自身が変わったとは思わないですね。ただ“着るもんが変わった”って感じですね。

———元々の小橋さんが、着たかったものを着ている?

銀次: そういうの着たいタイプだろうなと思ってたら、思ったよりそういうタイプでした。思ったより、思った通りでした。

———銀次さんの変化はいかがですか?

小橋: ナベさんはなんにも変わってないかなぁ。食べるものが変わったなとは1回思いました。あるとき、僕が4000円の海鮮丼屋に後輩を連れて行こうとしたんですけど金額が高いので「やっぱ海鮮丼の気分じゃない」と嘘をついて別の店にしたんです。その翌日に、ナベさんは同期のカルビさんに4000円の海鮮丼を奢っていて。それを知って「食が変わったな」と思いました。

———お金のつかいどころが違うんですね。銀次さんは仲間につかう、小橋さんは自分につかうタイプ?

銀次: そうっすね……。食い物も、全然変わっていないんですよ。昨日は牛丼ですし……でもポテサラ付けますよ。

小橋: あぁ~、変わったね。

銀次: でも、味噌汁に追加で豆腐入れたりしますよ。こういうところでお金をつかうようになりました。

小橋: 俺、この前叙々苑行っちゃったな。同期と後輩連れて。

———お金を持つと、衣食が変わるんですね。

銀次: 本当はもっと別のことにつかうべきなんでしょうけど、簡単に時間をかけずお金をつかえるのがそういうところなのかもしれないですね。

———住環境の変化はいかがですか?

銀次: 住環境は、狭くなりました。益々荘に山添(相席スタート)が入ったんで、人口密度が上がりましたね。

小橋: 僕は引っ越しを考えてたんですけど、初期費用と面倒くささを考えると「意味ないな」と。なんでお金をたくさん払って、そんなしんどいことをやらないといけないんだと思っちゃいました。引っ越したら、休みを住民票の異動とかに使わなきゃいけないじゃないですか。

銀次: 全休みで荷解きしなきゃいけないしな。

小橋: なんでそんな面倒なことをしなきゃいけないんだと思って。引っ越すつもりがなくなりましたね。今の家に問題があるわけでもないし。タワマンに引っ越したいとかも思ったんですけど、面倒くささが勝ちましたね。

提供:日活株式会社

自分でツッコミながら観る

———『人間、銀次。』の楽しみ方を教えてください。

小橋: 観ながら、どこがボケなのか探してほしいですね。

銀次: 『ジャングルの王者ターちゃん♡』にヂェーンが登場してから漫画にツッコミが現れるようになって、それがきっかけで日本人は自分でツッコみながらなにかを観ることができなくなったと思います。この番組は、自分でツッコミどころを探しながら観れるとより楽しめるかもしれないですね。時代に逆行した番組かもしれないです。先にオチを言わないですし、逆ショート動画と言いますか。どこが面白いか、観てる人に見つけてほしいです。

———撮影を進めながら、想定外の展開になったこともありますか?

銀次: ありました。笑っちゃダメなシーンもあったんですけど、ヤバかったです。つかわれているかわからないですけど、俺の演出で(カゲヤマ)益田がしゃべるところとか、小橋が急に全部言っちゃったシーンとか……ヤバかったですね。

———小橋さんはなにを言ってしまったのでしょうか?

銀次: インタビュアーの方に「こんなに漫才ファーストで生きているのはいつからなんですか?」と聞かれたとき、小橋が「1時間前からです」とか言いやがって。あのシーンはヤバかったですね。

小橋: 「最初からです」って言ったら「そうなんだ」ってなるし……なにが一番おもしろいのかわかんなくなっちゃって。

銀次: いや、それで良かったんだよ(笑)。「そんなわけねぇだろ」って視聴者が思えば良かったんだよ。

小橋: 1時間前ですって言っちゃった。

銀次: それを言ったら元も子もねぇだろってことを急に言ったんです(笑)。

———やっていて、なにがリアルでなにが笑いになるのか、わからない瞬間があったんですね。

小橋: そうですね。ボケに見えてるけど、逆にボケじゃないとか……

銀次: 「1時間前」って、ボケじゃないですからね。

小橋: 本当のことを言っちゃうっていうボケではありますけど、本当のことなんで……(笑)。

銀次: ボケではないというボケ。

———考察のしがいがありそうです。

銀次: どうなってるか、私も早く映像で観たいです。

共通する言葉の感覚

———『人間、銀次。』は漫才が軸にある番組ですよね。小橋さんは銀次さんのネタづくりを身近で見ていて、「すごいな」「これは銀次さんならではだな」と思うことはありますか?

小橋: やっぱ、言葉じゃないですかね。言葉をたくさん知っているんで。ボケ自体が新しかったとしても、言い回しが「お笑いで聞いたことある言葉だな」となったら止めるんですよ。こういうナベさんのこだわりの強さは、ほかの人ではなかなかないかもしれないですね。

銀次: はい、気になっちゃいますね。「お笑いっぽい」ことが。

小橋: せっかく面白いくだりができたとしても、ワードがお笑いでよく使う言葉だと「別の言葉ねぇかな」と探して、なかったらやめる。

銀次: 「どういうお笑い!?」とか言っちゃう若手がいるんですよ。それの真逆をやってます。

小橋: わかりやすく言うと「情緒不安定か!」ってツッコミを入れることで面白くなるくだりができたとしても……

銀次: 嫌いですね。その言葉は「面白くない」に入っちゃいます。

———銀次さんのなかで明確な線引きがあるんですね。

銀次: ありますね。

———銀次さんの線のなかに入る・入らないという感覚は、小橋さんもわかるものなんですか?

小橋: わかります。僕は言葉を知らないだけで、その感覚は一緒なんですよ。

銀次: 特に我々は、ツッコミっぽい言葉・ボケっぽい言葉をつかっちゃダメなコンビだと思います。

———一般人にはなかなかわからない線引きですが、お二人には共通した感覚なんですね。

銀次: 我々は速さやテンポではなく“重さ”でやっているので、咀嚼しなくても意味がわかるような聞いたことある言葉をつかうと、軽くなってしまうんです。

小橋: M-1でやったデジタルデトックスのネタで「自己啓発セミナー」って言葉をつかってるんですけど、実はこれ、僕らの線の外にある言葉なんですよ。

銀次: そうなんです。自己啓発セミナーって言葉、本当は嫌なんです。

小橋: でもいろいろ試した結果、それを言ったあとの「目覚めるな」が良いんですよ。

銀次: 「目覚めるな」のために、渋々「自己啓発セミナー」って言葉を採用してますね。お笑い芸人が最近よく「セミナー」とか「講演」って言葉をつかうんで、嫌になっちゃいました。

小橋: 俺が「うろうろするな」って言うくだりがあるんですけど、本当は「スティーブ・ジョブズじゃねぇんだから」とか言ったほうがわかりやすいんですよ。それは使いたくなくて、でもなにもほかに出てこないから「うろうろするな」という弱い言葉に変わりました(笑)。出てこないから、逆に弱い言葉になってしまったという。

———本来であれば伝わりにくい言葉をつかってネタを伝えるドンデコルテさんの漫才と、このフェイクドキュメンタリー、どこか重なっていますね。

銀次: 我々とはとても相性が良いと思います。なんでもボケるタイプの芸人には、向いてない番組でしょうね。

———いつか『人間、小橋。』があったら、どんな番組にしたいですか?

銀次: やっぱ、リムジンで登場でしょうね。

小橋: リムジンで登場、ヴェルサーチまみれ。ヒールをはいた170センチ以上の美女を三人用意してもらいます。

銀次: 外国人のね。

小橋: その人たちに扇いでもらいながら、インタビュー受ける。

銀次: 扇いでもらうのは、だいぶキャラ変わらない(笑)?

小橋: で、ナベさんは牛丼食ってる(笑)。

『人間、銀次。』番組概要

・タイトル:ドンデコルテ冠特番「人間、銀次。」
・放送局:スカパー 映画・チャンネルNECO
・日時:2026年8月29日(土) 23:15〜24:45

スカパー!番組配信なら、スマホやパソコンからも視聴可能。

・番組公式HP:https://www.necoweb.com/neco/info/detail.php?id=1402
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文, 編集, 撮影:堀越愛