ネギゴリラ＆人間横丁が新ネタライブを開催！「受動的」と「能動的」、対照的な2組の挑戦に迫る【合同インタビュー】

2023年2月19日（日）、新宿バティオスにてネギゴリラ・人間横丁の新ネタライブが開催される。90分ずつの単独公演で、それぞれ6本ずつ新ネタを披露する予定だ。

ネギゴリラは『ツギクル芸人グランプリ』（2022年5月21日決勝開催）でファイナルステージに進出。優勝は逃したものの確かな実力を見せつけ、2023年の飛躍を期待されている若手コント師だ。また、人間横丁は『ゴッドタン』（2022年6月18日放送）で「こいつは天才だ」部門1位を獲得。『M-1』では三回戦に進出し、キャラクター・ネタともに注目を集めている。

ライブシーンを中心に活躍する2組が、今このタイミングで新ネタライブを開催する理由とは？そして、タイトルやフライヤーデザインに込めた想いとは？新ネタライブに向け準備を進めるネギゴリラと人間横丁に、話を聞いた。

賞レースを意識した新ネタライブ

———新ネタライブをやることになったきっかけを教えてください。

ネギゴリラ・細野 祐作（以下、細野）：　きっかけ……マネージャーさんにお声がけいただきました。「やりたいですか？」と聞かれたので、「やりたいです」と。

人間横丁・山田 蒼士朗（以下、山田）：　僕らは逆だよね。「やりたいです」って言ったら、マネージャーさんが用意してくれました。

人間横丁・内田 紅多（以下、内田）：　『M-1』を頑張りたいから、新ネタをたくさんやろうって。去年の『M-1』終わったくらいの時期から「今年度中にはなにかしたいね」って話してて、2月にやることになりました！

ネギゴリラ・酒井 駿（以下、酒井）：　僕らは「人間横丁が新ネタライブやる日、枠があいてるんで誰か探してるんですけど……」みたいな感じだったよね。合コンの数合わせみたいな感じです。

細野：　俺たちとの対比で、人間横丁の好感度が上がってく。能動的と受動的……。

———賞レースを意識した新ネタライブなんですね！

内田：　はい！頑張ろう！ということで。

酒井：　僕らは『キングオブコント』の前に、『ツギクル』（ツギクル芸人グランプリ／フジテレビ）を意識してます。

細野：　僕ら、去年の『ツギクル』で3位だったんです。ファイナルステージに上がれた嬉しさはありつつ、手が届かなかった悔しさもあって。だから『ツギクル』で優勝できるようなネタを作る、っていうのはだいぶ意識してます。

酒井：　『ツギクル』で優勝できるかできないかだと、だいぶ違いますから。

細野：　前、家の近くを歩いてたらストレッチーズの福島さんがカメラを引き連れて歩いてらっしゃったんですよ。そのとき、僕バイトに行く途中で……。「今から朝までコース」っていう、夜勤に向かう電車に乗ろうとしてるところだったんですよ。一方福島さんはカメラに囲まれて歩いてて、「優勝してたら俺がカメラに囲まれてたのに、俺は今から夜勤に行くんだ」と思って……こんなに違うんだな。優勝と3位っていうのは。

内田：　泣いちゃいそうです（笑）。

酒井：　辛い中でも働いていることを褒めてほしい。

細野：　ちゃんと行ったから、俺。夜勤に。

酒井：　偉い、偉いよ。本当に。

細野：　今年は絶対優勝したい。まずは『ツギクル』、そして『キングオブコント』。あと漫才もやり始めたので、『M-1』に向けて1本やろうかなと思ってます。

余生の新ネタおろします

———今回の新ネタライブ、タイトルやフライヤーをデザイナーさんと一緒に決めたと伺いました。ネギゴリラさんは『NO COLOR』ですね。

細野：　めっちゃ悩みましたね……なにも出てこなくて。「いったんどういうキャラの人たちなのか掘り下げましょう」みたいな雰囲気になったんだよな。で、マネージャーさんが「キャラは無いですね」って言って（笑）。僕らも頷くしかなくて。でもそういう意味では、いろんなネタができるし「ノーカラーなところが逆にカラーなのかな」という流れになったときに、デザイナーのヘンミモリさんが「良いですね」と。

酒井：　「ダサくて良い」って。

細野：　ニヤニヤしてました。「ちょうどいいダサさですね」とか言って……。

———「キャラが無い」という話から、『NO COLOR』に……。

酒井：　『NO CHARACTER』か『NO COLOR』かどっちか、という話になったんですよ。「キャラクターが無い」はちょっとヤバい（笑）。色が無いだったらなんにでもなれるけど（笑）。決まらな過ぎて、マネージャーの名前から『西岡』になる線もありました。

———だいぶ難産だったんですね。人間横丁さんはどうでしたか？

内田：　「これがいい」「あれがいい」って、たくさんぶつけました！

山田：　デザイナーさんと打ち合わせした後にもアイディアを出し合って、何日か後に提出したタイトルになりました。

酒井：　能動的だね。

細野：　やりやすかっただろうなぁ。

山田：　デザインに関しても、内田さんが美大出身っていうこともあってけっこう話が盛り上がってたね。

内田：　「余白がほしい」とか「キラキラ入れてください」とか！

山田：　「分かります～！」みたいな、なんか“デザインあるある”の話してました。

細野：　俺らのときと全然違うな。

———『きらり』にはどんな意味があるんですか？

内田：　「もちり」みたいな“音”が良いなって話になって。

山田：　僕、最初「みっちり」って言ったんですけど、内田さんが「それは嫌」って言うから「きらり」になりました。

内田：　新ネタライブやるときは、今後も「ぴかり」みたいな感じでちょっとずつ変えていきたいんですよ。でも「みっちり」だと、パターンがあんまりないって言ったんです。「嫌」とかじゃなくて、先のこと考えてないから私が考えたの！ほかに案出してないでしょ？

山田：　ダメって言われたから、出さなかった……

内田：　ダメって言ってない！

山田：　なんで喧嘩になるの……

細野：　能動的なぶつかり合いだ。受動的同士だと、こんなふうにはならない。これは良い喧嘩だと思います。

酒井：　お母さんと息子みたい。

内田：　最近すごい言われます。お母さんみたいって言われるの、嫌なんです！

酒井：　山田くんの衣装、シャツのボタンがとれちゃって、安全ピンで留めてるんですよ。ライブの前、紅多が毎回「じっとして！」とか言ってやってあげてる（笑）。

内田：　つけ方教えたんですよ。「ここにこう通して、こうやってやるんだよ」って。でもできない！

———「新婚夫婦みたいだね」じゃなく、もう「お母さんみたい」になってしまったんですね。

内田：　最初は「『新婚さんいらっしゃい！』みたい」って言われてました。でも最近は、お母さん！最悪！産んでる！途中から産んだ（笑）！良いよね、山田くんは。産んでもらってさ、適当に過ごしてたら良いもんね。

細野：　たまに出る毒が、今出てますね～

———個人的には、ネギゴリラさんも能動的にガツガツしてるイメージがありました。

細野：　いやいや。僕らはふたりとも我が強いので、動いたら動いたで話進まなくなりますよ。

酒井：　ぶつかっちゃうんで、お互いなにも言いません（笑）。

細野：　人間横丁も、多分こういう状態通るよ。動かない、受動的なタイミングが。

酒井：　「これやりたい」とか言う時期もありましたけどね。

内田：　両方とも鎮まることあるんですね（笑）。

細野：　老夫婦のような関係になった。

内田：　余生で今お笑いやってるんだ（笑）！

細野：　ライブでは、余生の新ネタおろさせていただきます。

———ネギゴリラさんは、2019年に初単独ライブを実施していますよね。1組だけで公演をやるのは、それ以来ですか？

細野：　そうですね。あのときの感じ、ちょっと思い出しますね。人間横丁は初めて？

山田：　初めてです。

細野：　マジで気持ち悪くなるよ。自分たちしかいないから替えがきかないし、まっすぐ評価されちゃうわけじゃん。どれだけネタを考えても「これで良いわけないだろ」とか思っちゃって、めちゃくちゃ気持ち悪くなる。

内田：　体調管理、しっかりしなきゃ。

酒井：　1つ言っておきたいことがある。本番直前、ふたりでネタ合わせするじゃん。ギリギリまで合わせたいんだけど、楽屋挨拶くんのよ、芸人が。

細野：　あ、そうそう！

酒井：　ありがたいんだけど、今はちょっとほっといてほしい（笑）。でもどんどん来るのよ。

細野：　先輩芸人は経験してるから、空気読んでくれんのよ。でもそうじゃないヤツは、「やってんね～！」みたいな感じで来て（笑）。すごいイライラしたな。あれは、ちょっと気を付けて。でも自分たちだけでライブやるって、楽しみですね。90分僕たちを見ていただけるってことだし、「ネギゴリラはネタおもろいんだぞ」って伝えたいですね。……ちょっと恥ずかしいこと言ってるか？

内田：　かっこいいこと！

酒井：　「NO COLOR」っていう色を、見てもらいたいっすね。

喧嘩するほど仲が良い？

———ネギゴリラさんと人間横丁さん、2組は普段どういう関係性ですか？

酒井：　1回、ここ（細野と人間横丁）は喧嘩してますよ。収録の帰り、1時間くらい電車で一緒に移動することがあったんですけど、ずっと喧嘩してました。

山田：　本当にどうでも良いことで。

細野：　僕『ONE PIECE』好きなんですけど、こいつらがルフィのことバカにするんです！

山田：　してないです！

細野：　ルフィは海賊王になる男だぞ？本当に許せない。

内田：　『ONE PIECE』でルフィが1番好きってあんまり聞いたこと無いから、私たちは「どこが好きなんですか？」って聞いたんです！

山田：　ずっと「なんでなんで？」って聞いてたら、めちゃめちゃ怒って。

酒井：　これといった理由を出さないんですよ。

内田：　「ワンピースはルフィなんだよ！」「ルフィがワンピースなんだよ！」って、ずっとそれだけ。

山田：　聞かれたことに答えてない（笑）。

細野：　『ONE PIECE』っていうのは、ルフィの物語なんです。だから『ONE PIECE』が好きな時点で、ルフィが好きなんですよ。まず1発目にそこを出さなきゃいけないんです。分かります？『ONE PIECE』はルフィの物語だから「ルフィが好きなんだよ」って、でっかめに投げてるんですよ。なのにこいつらが「なにがですか」「どこがですか」ってすごい聞くんです！

山田：　たとえば「お笑いは誰が好きですか？」って聞かれてるのに、「お笑いはダウンタウンだろ」って暴論みたいなことを言ってる。

酒井：　「ダウンタウンのこれが面白い」「ダウンタウンのこういうところが好き」とかじゃなくて、「お笑いってダウンタウンだから」と。

細野：　違う！違うのよ。いや、違くないよ！こいつらが僕のことをナメちゃってるんで、説明しようとしても「会話になってないですよ」みたいなことをずっとやってくるんです。

酒井：　じゃあ説明はできるってこと？好きな理由。

細野：　できるよ！

山田：　それだけを知りたかったのに。

細野：　取材だからお笑いにしてますけど、僕本気で怒ってますからね！

内田：　はっきり「嫌い」って言われました（笑）。

———人間横丁さんは、芸人仲間から愛されている癒しキャラみたいなイメージでしたが……

細野：　もう、僕は大嫌いです！

山田：　あはは（笑）！

細野：　まわり固めてて良かったな、って思います。僕の味方してくれる人、ひとりもいないんで……お前らは日頃の行いが良かったね！って思います。

人間横丁：　（笑）。

酒井：　細野はみんなにナメられやすいんですよ。

山田：　それはありますね。

細野：　だったらナメていいってこと？ナメやすいからナメて良いってこと？

山田：　でも、後輩からナメられるのって嬉しいですよね？

内田：　幸せなこと。

細野：　それ、ナメてる側が言うことじゃないですよね～！

内田：　……私たちは、こういう関係です（笑）。

細野：　バチバチです。

———酒井さんと人間横丁さんは、どんな関係ですか？

内田：　酒井さんは、つるとんたんに連れて行ってくれました！つるとんたんの器、でっかいじゃないですか。入りました！

酒井：　器の中に？

内田：　そのくらい楽しかったです！

酒井：　つるとんたんのレンゲ、銀色でちょっとでかいんですよね。みんなで喋りながら食べてたら、山田が僕の視界の端のほうで「眩し！」って言ったんですよ。レンゲに光が当たって反射で眩しかったらしくて、ほんとポケモンみたいで可愛いな。癒される。

細野：　しっかり中身見たら意外と癒されないけどな。

酒井：　中身まで可愛いと思うけどな。

ワクワクキラキラライブに

———ネギゴリラさんから見て、人間横丁さんはどんなコンビですか？他己紹介をお願いします。

細野：　さっき「お母さんと息子」って言ってましたけど、本当にめちゃくちゃ仲良いですよね。片方だけメシ誘ったら「じゃあ山田くん呼んで良いですか？」とか。そんなの、コンビで無いじゃない。酒井となんてメシ行きたくないし。

酒井：　……。話すと長くなるんですけど、養成所のときに……

細野：　他己紹介をしてたんだよ。

酒井：　ちょっとごめんなさいね、自己紹介になっちゃって。養成所の頃は、全然ふたりでご飯行ける関係だったんですよ。共通で仲良い養成所生がいて、僕が「おでん食べに行こう」って約束してたのに、先に細野と行かれたことがあるんですよ。細野が「酒井なんか呼ばなくていい」って言ったらしくて。それを聞いてから、一緒にご飯行く気はなくなりました。そっちがそうだったら良いですよ！っていう……

内田：　歩み寄っていたこともあるけれど。

酒井：　もう老夫婦だから、ぶつかることもない……

細野：　それ、俺悪いか？

酒井：　「酒井呼ばなくていい」は悪い。

内田：　こういうの、もっと表でしたらいいのにって思います。表ではしないから。

細野：　酒井が“すかす”んですよ。全然プロレスしてくれない。

内田：　ずっと目が合わないですね。

———ライブがもっと楽しみになるように、良いところをもっと知ってもらおうという取材のはずだったのですが……

山田：　今のところ、ネギゴリラさんの悪いところしか出てない（笑）。

細野：　人間横丁もちょっと悪いところ出てたよ。

内田：　それが霞むくらいです（笑）。

細野：　ネギゴリラの良いところ出さないとヤバいぞ。

内田：　「きちんと努力されてる方たちだ」って、めっちゃ思いますね。ちゃんと、“重ねて”6年目になってるというか。ずっとサボってない感じ。だから『ツギクル』もファイナリストになってるんだと思います。

———ネタが本当に面白いですよね。

内田：　はい、本当に面白いです！

細野：　平場はあまりやらないようにするので、ネタだけ観に来ていただければ……

内田：　ライブ観た方に、どんな気持ちになってほしいですか？

細野：　「こいつらに未来感じるな」って思ってほしい。ネタが面白いのは大前提で、「こいつらを応援してたら良いことあるんだろうな」って思ってもらえるくらいの公演にしたいですね。……まぁ酒井しだいか。

内田：　同じ気持ちですよね？

酒井：　同じです。「良いもの見たな」って満足感で帰ってほしいですね。

細野：　うう～～ん……

酒井：　なんかちっちゃい声で「うう～～ん」って言ってる。

内田：　ネタだけじゃなく、ぶつかりあう90分やったら良いのにって思いますけど（笑）。

———ネギゴリラさんの“人間”が伝わるような。

酒井：　そしたらノーキャラクターじゃなくなるかも。なにかが出てくる可能性がある。

———人間横丁さんは、どんなライブにしたいですか？

内田：　私たちは、すごいずっとワクワクするライブにしたい。すっごいお腹いっぱいになる、キラキラのライブにしたいです！

山田：　完売してくれたのもあって、頑張ろうって気持ちが強いです。でもいつも通り、楽しい雰囲気でやりたいなという気持ちです！

取材（文・写真）、編集：堀越 愛

PROFILE

ネギゴリラ

中央右：酒井 駿
右：細野 祐作

★公式YouTube：ネギゴリラ Official YouTube Channel
★ライブ情報：https://timetreeapp.com/public_calendars/negigorillajoho

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人間横丁

中央左：内田 紅多
左：山田 蒼士朗

★公式YouTube：人間横丁のにんげんよこちゅ〜る
★共用Twitter：@ningen_yokocho