ゴッドタンに出て「扱い方を分かってもらえた」【青色1号インタビュー(前編)】

メディア露出が増えてきている若手注目株のコント師・青色1号。インタビュー前編では三人が芸人を目指したきっかけやネタ作りのルーツ、『ゴッドタン』に出た際の反響などを教えてもらいました。(前・後編の前編/後編へ)

テレビを観て芸人に憧れた。太田プロを選んだ意外な共通点。

—最初に芸人を志したきっかけを教えていただけますか?

仮屋想(以下、仮屋): 僕は小学校のときぐらいからずっと『爆笑オンエアバトル』とかのお笑い番組が好きだったので、本当に早い段階で、なんとなく「芸人になりたいな」みたいな気持ちがあったんです。あと、部活の練習が終わって、へとへとになって帰ったときに、『笑っていいとも!』を観て、それがすごく楽しそうだったんで、「なんかずるいな」って思っちゃって。芸人が単純に楽しそうだったし、憧れてました。

—憧れていた芸人さんはいらっしゃいましたか?

仮屋: そうですね……。本当にいっぱいいて、正直全員なんですけど。ウッチャンナンチャンさんとかくりぃむしちゅーさんとか、それこそタモリさんとかも好きでしたね。あと『恋のから騒ぎ』のときのさんまさんが面白すぎて、観てる僕が幸せになったのは覚えてます。

—ありがとうございます。榎本さんはいかがですか?

榎本淳(以下、榎本): 僕も小学校のころからお笑い番組を観ていて、「やっぱりこういう世界って楽しいんだろうな」って思ってました。一番のきっかけは『笑う犬の生活』っていうコント番組で、内村(光良)さんがいろんなキャラクターやコントをやっていて、「こんなコントやりたいな」とか、「こんな人になりたいな」って思ったので、これが芸人になろうって思ったきっかけですね。

—上村さんはいかがですか?

上村典弘(以下、上村): 僕は『エンタの神様』で東京03さんを観て、なんとなくコントにハマってそこからですね。バナナマンさんとかラーメンズさんみたいな東京のコント師にハマって、さまぁ~ずさんとかも全部観て、「コントかっこいいな」って思ってお笑い始めましたね。そこからはずっとコントしかやってこなかったです。でも最近『M-1』の宣伝がかっこよすぎて、ちょっと後悔してます。漫才もありだったなって。

榎本: ずるいっすよね(笑)。

—養成所を選ぶ際に太田プロの養成所を選ばれた理由を教えていただけますか?

仮屋: もともと中学校の同級生と東京でお笑いやろうってことは決めてたんです。養成所はどこでもよかったんですけど、相方が「太田プロが今アツい」っていう謎の情報を言ってきて。あと安いっていうのもあって、一緒についていったって感じですね。

榎本: 僕は大学のお笑いサークルに入ってたんですけど、サークルの先輩に太田プロに入った人がいて。知り合いがいてやりやすそうだし、もし入ったら楽しそうだなって思って入りましたね。あと安いっていうのもありましたね(笑)

—上村さんはいかがですか?

上村: 僕は安いからっす(笑)。本当にこだわりはなかったんで、最終的には一番安いところを探して決めましたね。でも最初は浅井企画とかワタナベとかのオーディションをとにかく受けたんです。地元の友達を連れて一応ネタ作って見せに行ったんですけど、もう全然話にならなくて。まあ今思えばそりゃそうだろうなって話なんですけど、「もう養成所入っちゃおう」って感じで、一番安いところを探して入りましたね。

—三人とも値段が決め手になったんですね(笑)。

仮屋: 基本みんなそうだと思います。太田プロの養成所入る人って。

榎本: 歴史が浅かったっていうのもあると思います。6期生ぐらいまでしかいなくて、まだ有名な人が出てなかったんで、チャンスかなっていうのはありましたね。

上村: (太田プロという)名前は聞いたことあるしね。

「今日からトリオになります」青色1号ができるまで

—三人は養成所内で出会われたと思うのですが、トリオ結成の経緯を教えていただけますか?

上村: 元々は全員違う相方でやってたんですけど、全員解散しちゃって。そのタイミングで僕が榎本を誘って、コンビで青色1号としてやってました。

仮屋: 僕はさっき言った同級生と解散した後、ピンで本当にちょっとだけやってたんですよ。でもそれがしんど過ぎて、誰かと組みたいってなったときにちょうど誘ってくれたんで。

上村: 僕が「トリオでやりたいな」ってずっと思ってたんで誘いましたね。

榎本: でも、僕トリオを組むってこと知らされてなくて……。ちょっとネタ合わせしようかって呼ばれて、行ってみたら急に仮屋が来て。「どうしたの?」って聞いたら、かみちゃん(上村)が「今日からトリオになります」って。

上村: そんな感じでしたね(笑)

—「青色1号」というトリオ名の由来を教えてください。

上村: 僕と榎本がコンビ名決めるときに、動物か色か数字が入っていると覚えやすいという話になって。前のコンビで動物を使ってたんで、色と数字が入ってる「青色1号」っていう言葉があるっていうのを知って、それで決めましたね。そのときに榎本が20個ぐらい候補を持ってきたんですけど、まずそれを全部却下したんです。

榎本: 1個に全部負けて……(笑)

上村: ダサかったんですよ。なんだっけ?「ウォーターミカン」だっけ?

榎本: そうそう。「虹色チャーハン」とか、「幕末バックスクリーン」、「純白パンプキン」とかいろいろ考えたんですけど、全部負けましたね。

—(笑)。仮屋さんはこの名前だったら嫌だったなとかありますか?

仮屋: 「幕末バックスクリーン」ですね。

榎本: 良かったです、「青色1号」で(笑)

上村: 「幕末バックスクリーン」はちょっとダサすぎる(笑)。

『ゴッドタン』で変わった印象。「いじった方が面白い」

—昨年の『ゴッドタン』の「この若手知ってんのか!?2020」(2020年8月8日、15日放送)に、とにかくやばい芸人として出演した際の印象が強いのですが、なにか反響はありましたか?

榎本: そうですね。YouTubeの登録者数とか、SNSのフォロワーが増えたりしたんですけど、1番はかみちゃんにアンチができて……

上村: 初めてアンチができましたね。

榎本: 「あいつ何言ってんだよ」とか、「劇団ひとりさんのおかげで面白くなってんだろ」みたいなことを言う人が結構増えてきて。

上村: 僕が行ってる床屋さんは、「君のおかげで劇団ひとりが面白くなってる」って言ってくれましたけどね。

仮屋: そんなわけない……。

上村: 僕は「確かにそうですね」って(床屋さんに)言いました(笑)。アンチの件で1つ腹立つのが、アンチコメントを二人が探してくるんですよ。僕はTwitterとかやってないんですけど、わざわざ見せてくるのがむかつきます。嬉しそうにするんで。自分の手を汚さずに僕を怒らせる方法を見つけ出して。

榎本・仮屋: (笑)

—上村さんに注目が集まることに関して、お二人はどう感じていますか?

榎本: 本当にありがたいというか……、それで注目してくれるのは嬉しいですけどね(笑)。

仮屋: 番組でいじられて、「いじった方が面白い」って流れになったんで、逆にありがたかったです。その前まではライブとかでもちょっと怖い感じで、僕らもあんまりいじったりしてなかったんですけど。それが『ゴッドタン』に出ていじってもいいんだなって認識されたのは良かったですね。扱い方を分かってもらえたと言いますか。

上村: あんまりいじられたくはないけどね(笑)

榎本・仮屋: (笑)

上村: でも三四郎さんのラジオ(2020年12月31日『三四郎のオールナイトニッポン 年越し初笑いSP 2020→2021』)に出たときにいじってくれたり、『さらば青春の光寄席』に出演したときもさらばさんが覚えてくれてたんで、それは嬉しかったですね。

榎本: そうですね。

上村: どう出ればいいかを僕らが分かってなかったんで、それがほんの少し見えてきました。

—『ゴッドタン』に出て、街中で顔をさされたりすることは増えましたか?

上村: 出演してから、2回くらいさされましたね。初めてでしたね。

仮屋: かみちゃんはやっぱり目立つんで。

上村: (声をかけてくれたのが)おじさんだったんですけど、すごい嬉しくて。僕、女の子とかよりおじさんを笑わせたいんですよ。おじさんが「面白い」って言ってくれるのがめっちゃ嬉しい。

仮屋: 僕らは(顔をさされることは)ないです(笑)。

榎本: 全然ないですね。かみちゃんと一緒にいるときに気づかれたりすると「僕らも出てましたよ」って顔するんですけど、向こうは「ん!?いた!?」みたいな感じになるんです(笑)。

ネタのルーツはあの番組……?

—次にコントについてお伺いします。青色1号さんのコントは完全な非日常というより、日常の中の1コマを切り取ったようなネタが多いと思います。ネタを作るうえで常日頃から意識していることはありますか?

上村: そうですね……、僕は緊張する場所に行くとネタを思いつくことが多いんですよ。毎日行くお店よりちょっとおしゃれなお店とかに行くと雰囲気が違ったりするんで。そういう機会を増やすようにはしますね。あとは人の会話を盗み聞くとかですね。なるべくイヤホンつけずに歩いたりとか、電車の中の会話とか聞いてます。

—他人の会話を聞いて面白いと思ったものをネタに変えるということですか?

上村: そうですね。バイト中も、聞こえてきたお客さんの会話をすぐスマホにメモしたり。あと『ノンストップ!』に「赤裸々ボイス」っていうコーナーがあるんですよ。日常のちょっとした気まずい瞬間とかを設楽さん(バナナマン)に相談するコーナーなんですけど。あれがめちゃめちゃ良くて、毎回観るようにしてます。

—他の人の人生をベースに作ることが多いんですね。

上村: そうですね。僕らのネタに、会社の上司に明日の予定空いてるかどうか聞かれるネタがあるんですよ。「空いてるけど嫌な誘いだったら行きたくないな」みたいなネタなんですけど、それも「赤裸々ボイス」の相談でやってたんですよ。そういうのも使えるなって思いましたね。

三人の意識 ~仲間とライバルと~

—今後芸人として活動をしていくうえで、ライバルとなりそうな芸人さんや意識している芸人さんはいらっしゃいますか?

仮屋: 今はゼンモンキーじゃないですか?(「お笑いABEMA CUP 2021~ワタナベNo.1決定戦」優勝)

上村: 僕はやっぱりコント師はだいたい意識しちゃいますけど、飯塚さん(東京03)にべた褒めされてるサスペンダーズさんはちょっと羨ましいなとは思いますね。

榎本 :僕はコント師“全員”ですねライバルは。

—“全員”ですか?

榎本: “全員”です。

上村: 嘘だろ。

榎本: なんでだよ!

上村: 榎本は別に何にも思ってないです(笑)。仲良くやりたいだけです。

仮屋: ライバル意識がないっすね多分。

榎本: でも……、全員倒そうと思ってます。

上村: 無理だよ!榎本じゃ無理だよ!

榎本: いや俺だけで行こうとはしてないから。ついてきてよ(笑)。

—相方さんについて尊敬している部分や、逆に腹が立つ部分はございますか?

上村: ……歩くのが遅いことですかね(笑)。二人がめっちゃ遅いんですよ、三人で移動するときとか。

榎本: 僕は速いです。どっちでもいけます、遅くても早くても。仮屋が遅いです。

仮屋: まあ僕が遅いというか、二人が速いです。

榎本: (笑)

上村: あとね、榎本が移動とかで横に付くんですよ、仮屋の横に。歩道狭いときは縦になれって思うんですよ、「ドラクエ」みたいに。榎本ってそういうことあんまり考えれないんすよね。

榎本: そんなことない(笑)。

—榎本さんはいかがですか?

榎本: ネタを書けるってところは二人とも尊敬してます。あの設定が生まれるっていうのもすごいと思うんですけど、それを仮屋が膨らませたりするんで。仮屋のキャラとかボケとかの考え方っていうのもすごいと思います。

—仮屋さんはいかがですか?

仮屋: ネタもそうですけど、かみちゃんはSNSやってないのはすごいと思いますね。僕とか榎本は情報が欲しいし、みんなやってるからやっといた方がいいじゃないですか。そこを頑なにやってないというか……。その意識が無いのはすごいなって思います(笑)

—なぜ始めないんですか?

上村: 本当にただめんどくさくて……、でもそれがなんかカッコイイって言われだしたんすよね。カッコイイならいいかなって。あとファンに手を出していいならやりますけど、ダメじゃないですか(笑)。ダメならやる意味ないかなって。

仮屋: 榎本に関しては何も言わないんですよね。それがすごいなとも思うんですけど、それがあるがゆえに、上村とちょっと揉めてるときも一切入ってこないんですよ。そこはちょっと腹立ちます(笑)。

榎本: (笑)

仮屋: どっちかでいいから何か意見を言って欲しいんですよ。

榎本: 僕は割と順応できるんですよ。でも仮屋もかみちゃんも二人とも自分を曲げないタイプなんでぶつかって……。そこで、「どうしよう?」みたいな……

上村: でも榎本が味方してくれたとこで別に武器になんないです。だから別にいいよ、黙っててくれても(笑)。

榎本: (笑)

上村: なんかね、僕と仮屋で気まずくなってると練習とかしだすんですよ、コントの。「嘘つけよ!」って思って、「そんなことねえだろ」って。

仮屋: どっちかって言ってくれたらいいんすけどね。本当に何も言わないから(笑)

上村: でも榎本はとにかく人に怒らないんすよ。そこはちょっとすごいなとは思います。怒りの感情がないのかなっていうくらい怒らないです。

—榎本さんはなぜ怒らないんですか?

榎本: 「そんなに怒ることじゃないな」って思いますね。怒ること自体が苦手なので。「別にいいかな」って思っちゃいます。

上村: でも僕が何かに対してイラっときてるときに、合わせなきゃと思ってなのかちょっと怒ってる表情とか作ったりするんすよ。

榎本: (笑)

上村: それはめちゃめちゃムカつきます。「怒ってねえだろ」って思うんで。いいよ、あれやんなくて。

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ライター:つきやま、撮影・編集:堀越愛


<青色1号|プロフィール>
2017年結成。太田プロダクション所属。太田プロエンタテイメント学院卒業。

左:上村 典弘(かみむら のりひろ)
1990年6月7日生まれ。185cm/78kg。B型。東京都足立区出身。趣味・特技は野球(13年間)、レトロビン収集(ボトルディギング)、キックボクシング、野良猫探し。日本大学文理学部体育学科卒業。

中:榎本 淳(えのもと じゅん)
1992年5月29日生まれ。162cm/52kg。B型。神奈川県相模原市出身。趣味・特技はテニス(10年間)、ディズニー、お笑い番組観賞。和光大学表現学部総合文化学科卒業。

右:仮屋 想(かりや そう)
1991年7月17日生まれ。O型。175cm/65kg。福岡県出身。趣味・特技は映画鑑賞、ギャンブル(パチンコ・パチスロ・ボートレース)ティンホイッスル、アルトサックス。

★公式プロフィール:https://www.ohtapro.co.jp/talent/aoiroichigo.html
★青色1号公式YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCsEJngH2ucAeevZgMKe30Iw

PERFORMERS

  • 上村 典弘(かみむら のりひろ)/青色1号

    太田プロダクション所属


  • 榎本 淳(えのもと じゅん)/青色1号

    太田プロダクション所属

    ・Twitter:@rousoku_jun


  • 仮屋 想(かりや そう)/青色1号

    太田プロダクション所属

    ・Twitter:@aoiro1goo


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