《Cブロック》オダウエダ・ナイチンゲールダンス・マユリカ・永田敬介&鈴木ジェロニモ【第8回AUN本戦事前インタビュー】

永田敬介&鈴木ジェロニモ

左:永田敬介 右:鈴木ジェロニモ

僕たちは磁石と砂鉄

———永田敬介さん&鈴木ジェロニモさんのコンビでは、AUN初登場となります。AUNはご存知でしたか?

永田敬介(以下、永田): そうですね。俺はそもそも予選『新呼吸』に出たことがあって、負けて。それで本戦に出れてしまうのかっていう……やっぱ、日本っておかしい国だなって。日本ってこういうことが起きるんだ。いやうれしいんですけど、あのとき、たしかに負けた。だから全部、君しだいだから。君に友だちがいないってことか?俺以外に。

鈴木ジェロニモ(以下、鈴木): そういう認識ってことですよね。

永田: 「ジェロニモ呼ぶか」って言って、ジェロニモの友だちいねーなってことで、同じ事務所のピン芸人を入れるかってことで?俺、予選で負けたことあるよ。

鈴木: 僕によって永田さんを、入れることができたってことですか?

永田: まぁそういうことだな。

鈴木: 僕が磁石で、永田さんが砂鉄みたいにやって来たって認識で合ってますか?

永田: そういうことだね。砂鉄だね、あの不思議なやつね。

鈴木: 砂場に磁石をツッコんだら……

永田: あれで目をキラキラさせないやつに、理科教えなくて良いわ。

鈴木: たしかに。

砂場に砂鉄をツッコんで目をキラキラさせない子どもには理科を教えなくて良い

永田: あれでなんにも思わなかったら、もう理科終わりで良いじゃん。理科の才能なし。終わらせて良いじゃん。

鈴木: あそこ、理科の1サビっすもんね。

永田: そういう感じでどんどん絞っていけば良いのにね。数学とかも、「ここで目光らないんだらもう良い」って。

鈴木: 砂鉄は振り落とすための装置だったんですね。

永田: あれで「不思議~!」ってならなきゃ無理。別のことをしたほうが良い。

鈴木: そう思ったことがなかったんで、知れて良かったです。

永田: そうだな。砂鉄が磁石を動かすことはできないじゃん。砂鉄引っ張ったら、離れちゃうじゃん。ボロボロって落ちちゃってさ。磁石じゃないとくっついていけないからさ。そういうことだったんだね、プロポーズみたいなことだったんだね。「俺が引っ張っていく」みたいな。気付かなかったわ、俺。今まで。

嫌いになってないからね、ジェロニモのこと

———お二人はプロダクション人力舎の先輩・後輩ですよね。プライベートで一緒に過ごす機会は多いですか?

永田: 1回だけハンバーグ屋さんに行きました。なかなか豪快な店で、ドリンクいっぱい頼めると。でっかい紙コップ1個渡されて、側にドリンクバーの機械があって、好きなだけ並々ドリンクを入れて良いよっていう店で、ジェロニモは普通にジュース頼んだじゃん。コーラたくさん入れたじゃん。

鈴木: はい。

1回だけハンバーグ屋さんに行ったことのある二人

永田: 俺、普通にお茶にしたじゃん。

鈴木: たしかに。

永田: ああいうとこね、ちょっと、ちょっとだけ、俺のほうが大人だなって思った。

鈴木: 先輩だなって思いました。

永田: 思ったね。ジェロニモとは良い関係なのかわかんないですけど。あんま自分で言うことじゃないかもしれないですけど、だいぶ前から何回か褒めたことがあって。

鈴木: そうなんですよね。

永田: これ、相当印象が良いはずです。ラップやらボイパやら短歌やらやる前の状態から褒めてた。相当ね、信頼があると思いますね。

鈴木: 本当にそうですね。僕がYouTube始めるきっかけになったのは、永田さんが「YouTubeとかすごい合うと思うよ」って言ってくださったからなんで。金言です。僕はそのときから永田さんが金色に輝いているとわかっていました。

永田: ジェロニモはファンをめちゃくちゃ増やして、「YouTubeを始めるきっかけ」みたいなところでたしか俺の名前を言ってくれた。永田さんにそう言われて……みたいな。で、それを知ったジェロニモのファンがYouTubeの感想で「あれは永田敬介が言ったんだ」って言って。「永田敬介ナイス」って書いてあって。で、ナイスじゃなくてさ、って。それはなんか違うんだって。それは、言った俺に興味を持つターンなんじゃないの?って。次はって。ナイスじゃなくてさ。なんかおかしいよね。ナイスって俺はずっと下なのかって。それはおかしな話だよ。ジェロニモだけが見えてる世界なわけじゃん。なんで「それをした永田さんも応援したいわ」にならないのかっていう。ナイスっていうさ。ああいうの良くないよね。

鈴木: あなたの足で自由に歩いて良いですよ、ってことですもんね。

「永田敬介ナイス」じゃなくてさ

永田: あとね、人力舎のファンクラブっていうのがあって。そのサイトのトップにイラストがあって。相当選ばれた者しかイラスト化されない、可愛いイラストがあって。上がおぎやはぎさん、下が真空ジェシカあたりまでっていう、本当に狭き門。真空ジェシカでギリ。そのファンサイトの1周年記念で「投票でひとり新たにデフォルメで加わる芸人が決まります」っていうのがあって。それ、普通に俺一位になったんだよ。

鈴木: おお~、おめでとうございます。

永田: 一位になって。でも、なんか浮かない空気になって。「え、こいつで良いの?」みたいな。

鈴木: コイルがポケモン投票で一位になったみたいな?

永田: そうそうそう。マジで。痛いファンが悪ふざけで入れたみたいになってんの。コイルショック。まさしく。あれ、マジでムカついて。ほんとに変な空気になって。で、それもあってかイラスト、1ヶ月くらい経ってもなんにも音沙汰なくて。3~4ヶ月経って、さすがにちょっと激怒したんですよ。これ、もっと売れっ子だったら、ターリーターキーだったら、明日にでもイラスト化されてるんじゃねぇのかと。激怒して。普通にそれは、しっかり俺、激怒してしまったんですよ。事務所の話し合いがちょうどあったから。俺は別に、人力舎が売れさせてくれるとは思っていなくて。人力舎っていうのがそういうところじゃないのは入る前からのイメージですけど、知っていると。

鈴木: はい。

永田: だから別に、「売れさせろ」なんてことは言わないわけですよ。ただ、こういうところからすっかりスルーしてるのは、それはさすがに違いすぎるのではないかと。事務所の範囲でやれることで、やってくれないのは、さすがに「推す」とか以前の、そういうぐらいのことはやってほしいと。ここを見落としてるなら、俺がなにか活躍して「永田ちょっと来てんじゃないか」ってなったときに、センサーがないならそれすら見落としてしまうんじゃないか。ちゃんと俺のことを見てくれてるのかということで。「見てくれてるんですかね」ってことを言って。そしたらマネージャーが言ったんですよ。「でも、ジェロニモはそういうことを言わずに、黙々と自分で仕事を持ってくるよ」って。そういう話してないだろボケが!って。そういう話でしたか、今のは?って。「こういうところも見てないなら俺が手柄立てたときすら見てくれないんじゃないか心配です」って言っただけで、「ジェロニモはそういうの言わないよ」って。そりゃ言ってないよ。このシチュエーションになってないから。そういうの嫌なんだよね、なんでもかんでもさ。なぜか、大谷を引き合いにして馬鹿にするヤツがいる。大谷と比べたらお前は、って。そういうようなのにジェロニモ使われて。それでよく、俺ジェロニモのこと嫌いになってないと思うよ。

鈴木: いや、そうですね、まぁ……。

それでもジェロニモのこと嫌いになってないよ

永田: 普通、嫌いになるよ。ジェロニモのこと。逆恨みで。

鈴木: あとは「嫌い」って言うだけですもんね。

永田: そうそう。「なにあいつ」ってなっちゃう。でも嫌いになってないからね、ジェロニモのこと。

———コンビで大喜利をするのは、大丈夫そうですか?

永田: 俺ばっかしゃべってるけど。どう?

鈴木: コンビでやるにあたって、僕としては「月くらいに光れば良いかな」みたいな気持ちがあったんですよね。永田さんが隣にいてくださることで「僕は月で良い」と思ってたのに、永田さんの話を聞いてみたら、勝手に太陽になってる……みたいな。永田さんが月以上の月を出してくださってるから、ロケット鉛筆方式で、今まで月だったものが太陽に変わってって。永田さんはどう思ってるかわからないですけど、僕としては太陽になって良かったなっていう気持ちがあります。

永田: ロケット鉛筆ね。後ろのほう、消しゴムとして使えるみたいな。ロケット鉛筆は全部同じじゃんって。月の後も月だから。色鉛筆版もあるけどね、ロケット鉛筆の。なんか、違う色のやつ。使いづらいったらありゃしない。

鈴木: だいぶ出さないと青が出ない。

永田: やんなきゃいけない。目当ての色が出るまで……ってことだよね。あんなの良くないよね。

&があるせいで

———対戦表がこちらです。Cブロックの出場者について、1組ずつ印象を教えてください。

永田: オダウエダさんは『THE W』で優勝した。一応、面識自体はある。一緒に出たトークライブで俺が悲しいエピソードをしゃべっていて、渾身の「ここだ」っていうところがあったんですけど、それを出す直前に面白いことを言われてしまったんですよ。「ちょっと待って、それ〇〇じゃないですか」って。この話をすると批判的に聞こえちゃうかもしれないですけど、いわゆる宮迫さんの「ちょっと待ってください、出川さんシャツなんでこんなことなってんですか」……あれみたいなことをやられて、そのときはすごい屈辱だったんですけど、でもやっぱ、やったもん勝ちだと。人生エネルギー。行動力をばら撒いた人の勝ち。『THE W』優勝は素晴らしかったと思います。本当に。……どう?話したことある?

鈴木: 僕、楽屋でちょっとだけ挨拶させていただいたことくらいしかないです。友人が以前、飲み屋でたまたまオダウエダの植田さんと居合わせたことがあるらしくて。すごく話が上手で、素人ながら「この人面白いな」と思ったそうです。

永田: 面白いからね、正直。俺は「なんだ、元気があればなんでもできるのか?」っていうのが若干あるけど、でも、本当にそれで良いんだと思う。先に元気があって、あとからついてくると思う。なんか胡散臭い投資家みたいな人いるけど、結局一発当たったらそれでいいと思う。ほか全部失敗で、命中率低くても良い。いや別に、オダウエダは高いですけど。テレビのスタッフさんとかさ、俺たちみたいヤツらのこと普通に嫌いなんだよな。 「たまにはこういうヤツらがいても良いよな」はテレビは永久にない。テレビは永久にオダウエダ 。 「たまには永田敬介とジェロニモにしましょうか」は一回も来ない。みんな自分の人生かかってるから。冒険はしない。オダウエダと、ナイチンゲールダンス……ってか、ここに勝って人としての価値をようやく若干巻き返せるってことですね。

鈴木: 現状、すでに三敗している状態ですもんね。

オダウエダ・ナイチンゲールダンス・マユリカに勝ってやっと人間としての価値を巻き返せる

永田: オダウエダ、ナイチンゲールダンス、マユリカさんにもこのインタビューをしたとして、俺らになにも言えることはないんじゃないか。そもそも空欄だと思われてる。&て。&がすでにダメだった。&なしで語られる存在にならなきゃ。&があるせいで、補助器具だから。&の時点でね。じゃあ、ナイチンゲールダンス。……カッコいい。

鈴木: カッコいいですね。

永田: ナイチンゲールダンスのファンに「永田とジェロニモ面白かったね」って、2~3人でも言ってもらえたら今回は勝ちだと思います。なかなか、推しの人以外言わない。こういう、吉本の最前線の人のファンって。俺、結構この日一番ウケたんじゃないかって思うような、吉本の人たちと混じってるライブもあったんだけど。本当に誰も言ってくれてなかったから。

鈴木: ってことは、3人も言ってくれたら……

永田: 1~2人いただけでマジで奇跡。人って捨てたもんじゃねぇなっていうやつ。マユリカさんは?

鈴木: マユリカさんは、はじめましてです。

永田: はじめましてですね。これは、本当に、コンプレックスというか、吉本だよね。で、そんな人だから、もう、なんでしょうね。ってか、マユリカ・ナイチンゲールダンス・オダウエダは正直、もし仮に大喜利が得意でなかったとしても呼ぶ価値がある人達だと思う。ただ俺たちは大喜利が強くなきゃ呼ぶ価値がない。まわりからしたら 「大喜利強いから呼ばれた」しか理由が見当たんない。絶対強いんだろうなって思われてる。

鈴木: 面白いことを言う以外の魅力がない。

永田: そうそうそう。相当マジで大変なことです。俺らだけ。

鈴木: あと、マユリカさんがいることでいよいよ言い訳ができない。お二人は人間の魅力でカッコよく見えるってことを、すでに叶えちゃってる。僕らはぱっと見イケメンじゃないけども、人間的魅力で華開きます……として、僕らが小さい花を咲かせたとしても、横に向日葵が咲いている状態というか。

マユリカはイケメンコンビではないけど、人間の魅力でカッコよく見える

永田: なるほどね。

鈴木: 太陽すらも、そっちに光を当てに来る。

永田: たしかにね。

鈴木: 本当に面白いことを言うか、地中に花を咲かせるしかない。地下鉄を発明した人みたいな。こっちに走らせれば良いんだっていう。争わないようにしないと勝てないなって思いますね。

永田: 地下の帝国ね。

#永田ジェロニモありがとう

———同じブロック内で、順位予想をお願いします。

永田: 一位は……マユリカ。いや、どうなんだろう。これを言うと語弊があるかな。……お客さん票ですか?

———お客さん票ではなく、審査員がいます。

永田: いや、マユリカ。

———4組中2組が準決勝に進出します。

鈴木: って考えると、「こいつらも入れとくか」って思ってもらえたら実は可能性ある。

永田: たしかに。吉本だらけだから。ほかに純粋な人力舎はいない。寺田寛明&お抹茶っていう、これも寺田くんのパートナーがいないだけ。寺田くんも友達いないから、お抹茶になんとなく……っていう。あとはDブロックが緑色だから、それでお抹茶思い出したんだ、お抹茶入れようって。

鈴木: 色先行で。

永田: ってことだと思う。じゃあ、俺らが二位になれたら最高だな。すごいことです。そしたら、俺らの代わりにナイチンゲールダンスに上がってもらう。だからナイチンゲールダンスさんのファンに、Xで「#永田ジェロニモありがとう」って言ってもらう。ナイチンゲールダンスファン全員が、3週間くらい。

鈴木: 言い続ける。それで手打ち。

永田: 俺らでナイチンゲールダンスさんを勝たせる。俺らが勝って、ナイチンゲールダンスに譲る。それでファンになってもらう。

ファンを増やす戦略が独特

鈴木: あの、『もののけ姫』に、山の下のでかい門を力づくで開けないといけないみたいなシーンがあるんですけど。僕らがその門を開けるんで、ナイチンゲールダンスさんがそこを通る……って感じでやらしてもらえたらなって。

永田: そういうことですね。『もののけ姫』むずかったな。口に血がついてるだけで引いちゃったから。うわ!って思って。ポスター、よく見たら血なんだって。引くわって。俺、それだけで観てない。

鈴木: 「生きろ。」のポスターですよね。

永田: 「生きろ。」。で、ライバルの監督がそれに応じるようなキャッチコピー作ったんだよね、たしか。「生きてやる。」みたいな、別の。そういう関係に彼らとなれたらいいよね。単独ライブの言葉とかで煽り合うの。

鈴木: 良いっすね。

永田: マユリカにとって俺らは「第1話」になれば良い。『ヒカルの碁』における、1話で負けたおかっぱの人。

鈴木: ストーリーがはじまる。

永田: 希望しかない。

取材:上妻成吾
構成:堀越愛
写真:武山
協力:忠地彩葉

永田敬介&鈴木ジェロニモ プロフィール

左:永田敬介
右:鈴木ジェロニモ

★公式プロフィール(永田敬介):https://www.p-jinriki.com/talent/nagatakeisuke/
★公式プロフィール(鈴木ジェロニモ):https://www.p-jinriki.com/talent/suzukigeronimo/