《ケビンス ロケ翌日インタビュー》体当たりロケで「いけ好かない」イメージを払拭!?仁木の夢を叶える特番『ケビンスの取扱説明書』が始動

2025年1月31日(金)に、90分特番『ケビンスの取扱説明書』が放送される。これは、仁木の夢「山口コンボイをスターにしてケビンスとして売れる」を現実にするための実験的番組。コンボイを各メディアにアピールするべく、仁木主導で「ケビンスの取扱説明書」をつくる企画である。

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特番のロケ翌日、撮影の熱が冷めやらないタイミングでケビンスにインタビューを実施した。仁木は、コンボイのどんなところにスター性を感じたのか?また、仁木と出会いコンボイはどう変化したのか?……話を聞くと、唯一無二と言えるケビンスの関係性が見えてきた。

コンボイのスター性

———特番『ケビンスの取扱説明書』には、「山口コンボイをスターにする」というテーマがあるそうですね。そもそも、ケビンスは「コンボイをスターにする」と仁木さんが言って結成したとか。仁木さんは、コンボイさんのどういうところにスター性を感じていたのでしょうか?

仁木 恭平(以下、仁木): 実はその話、ちょっと違って伝わってて。「俺がコンボイをスターにする」というか、「スターになれるポテンシャルがあるのに、あなた間違い続けてるよ」っていう感じなんですよね。なんていうんですかね……ムキムキのジムの受付みたいな感じのことしてたんで。

山口コンボイ(以下、コンボイ): 自分がトレーナーになれば良いのにっていうね。

仁木: そうだね(笑)。「自分の使い方間違ってるよ」みたいな感じだったんで、「スターにする」というよりは「なれる」というニュアンスですね。スター性はずっとあったんで、「教えてあげたい!」って感じ。というのも、コンボイは人が寄ってくるような人柄ですし、運動能力だとか、本人は気付いていないバカさみたいな感じが良くて。面白いことを言おうとして言ってる人って、スターではないと思うんです。だからコンボイは「なんかこいつ“持ってる”よな」っていう感覚に近いですかね。

———コンボイさんには、自分のスター性に気付いていないからこその魅力があったんですね。ほかに、スター性を感じる芸人さんはいますか?

仁木: うーん、「上手いな」とか「技巧派だな」と思う人はいますけど……スターかぁ。熊プロ(紅しょうが・熊元プロレス)とかですかね。

ケビンス: はい!僕も同じこと言おうとしてました。

仁木: 舞台上にいたら、明るくなるんすよ。そういう人がね、まぁ~いないんですよね。

コンボイ: 同期のシモリュウ・シモタとか、あいつも明るくする力があると思います。

仁木: 全然スターじゃない。

コンボイ: ……良くも悪くも、その場を明るくさせる感じはすごくあると思います。

仁木: シモタはお笑いができるだけ。スターの意味をはき違えてますね。コンボイは舞台でウケてる人を言ってるだけです。

———スターは「面白い」だけではなれないんですね。

仁木: そう、だからなかなかいないですね。ウケてても「え、なにが?」みたいな人が、多分スターなんですよ。あと、過剰なサービス精神があるとか。ちょっと上のお兄さんにはいるかもしれないけど、俺らのまわりにスターはなかなかいないですね。

——コンボイさんは、なかなかいない“スター”になれる素質を持っている存在なんですね。

仁木: そうですね。以前のコンボイは、小さくまとまってました。

コンボイ: 以前は、どこにでもいる“売れてない芸人”みたいな立ち振る舞いをしてました。あと、自分をネタが書けるツッコミだと思い込んじゃってて。「俺ってこういうやり方は向いてないんだ」って思ってから仁木君と出会えたんです。だから、タイミングもすごく良かったですね。

人の言うことを聞くと時短になる

——コンボイさんは仁木さんに「スターになれる」と言われたことに対して、どう思っているのでしょうか?

コンボイ: 超うれしかったです。根拠のない自信だけは常にあったんで。東京18期の同期にそいつどいつとかレインボーがいるんですけど、僕もコント師として期待されていた時期があって、一緒にユニットコントライブとかやってたんですよ。…………ほんとにあったんですよ、そういう時期が。

仁木: 吉本内で期待されてたんだよね。

コンボイ: はい、吉本内で。一緒にやってて、当時「山口は絶対ボケをやったほうが良い」とか「もうちょっとこういうボケ方が良いよ」とか言われてたんですけど、僕が全部突っぱねてしまって。まわりの意見を聞き入れる力が全然なかったんで……

仁木: やば(笑)。

コンボイ: はい。同期にさえそういうスタンスだったんです。仁木君は2つ上で先輩だし、俺が「面白い」と思ってる人。で、「ボケやってみたほうが良いのかな」と思ってるタイミングで出会って……すべて噛み合って。なので「この人の言うことをちゃんと聞こう」と思って組みました。仁木君の言うことを聞くようになって、「人の意見を聞くとこんなに話早いんだ」って思うようになりました。そこから、耳を傾けるようにしてます。人の話を聞くと、時短になるなと思いました。

仁木: この考え方、怖いんすよね……

コンボイ: 人の意見を聞くのは、時短になる。これ鍵括弧でお願いします。「時短になる」

——ケビンスを組んでから、仁木さん以外のアドバイスも聞くようになったんですか?

コンボイ: はい、ケビンスを組んでから意識が変わりました。今までレインボーのジャンボや池田が言ってくれてたことってこういうことだったんだ、作家の山田ナビスコさんはこういうことを言ってたのか……と、全部答え合わせになりましたね。

———コンボイさんは、仁木さんに出会ってだいぶ変わりましたね。

コンボイ: そうですね。以前の僕は、コンビを組むことも諦めてましたし。

仁木: 8個解散してるんだよね。

———8個!?

コンボイ: はい、高校生のとき『ハイスクールマンザイ』って大会に出たとき組んでいたコンビと養成所時代も合わせたら、8個解散してます。

仁木: 完全にお前が悪いじゃん。

コンボイ: 何回数えても、間違いなく8個ですね。恐ろしいのが、ケビンス以外のコンビでは全部ツッコミをやってたんですよ。

仁木: どういう流れでツッコミやろうってなったの?

コンボイ: 俺、ツッコミでネタ書いて売れると思ってたから。

仁木: 違う違う、組むときにどうやってツッコミになったの?

コンボイ: 「俺が全部やるから」みたいな感じ。

仁木: お前が全部やるなよ(笑)!

コンボイ: 俺が全部ケツ拭くから、みたいな。

仁木: お前が全部ケツ拭けないだろ。

コンボイ: ネタもつくるし、ツッコミもするし、もし滑ったりしても俺が滑ってない感じにできるから、みたいな……

仁木: あはははは(笑)!

コンボイ: そういう文句を言ってました。

仁木: 最高だな。スターですねぇ。

特番ロケで気付いたこと

———今回の特番は「コンボイさんの取扱説明書をつくる」ということで、コンボイさんを目立たせる構成になるのかなと思います。でも仁木さん個人でもすごく才能豊かですし、自分がもっと主役になろうという考えはないのでしょうか?

仁木: 僕も出たほうが良いとはもちろん思うんですよ。コンボイを前に出し過ぎて2024年は失敗したと思ってるんで……でも僕がどうにかしようとは思ってないですね。僕が取れるところは取りますけど、くらいの感じです。僕が面白いと思ってることを言ったところで、なんか暗いヤツがボソボソやってるだけなんで、なんか説得力がないんですよね。パッケージとして弱いというか、暗くて発想系の芸人っていくらでもいるというか……そういう意味でも、僕が思うことはコンボイを通して伝える、つまり外に出すまでに1個挟むことで、自由にできてるなと思います。

コンボイ: (神妙な表情)

———コンボイさんの表情はどういう意味で……

コンボイ: 嬉しく聞いてました。受け止めてました、嬉しく。すみません、碇ゲンドウみたいな感じになっちゃって。嬉しく聞いておりました、ここも鍵括弧でお願いします。「嬉しく聞いておりました」

———……ありがとうございます。

仁木: ペース崩させんなよ。

コンボイ: (笑)。

———コンボイさんは衣装なども仁木さんにプロデュースされているんですよね。それもすべて受け入れているんですか?

コンボイ: はい。昔は当たり障りのない青のセットアップとかネイビーのスーツとかを着てたんですけど、それで8年くらいすべての賞レースで2回戦敗退していたので……。人の言うことを聞こうというタイミングで、仁木君が「こういう衣装でいこう」みたいなのを絵で書いてくれたんですよ。それを見て「良いじゃないの!」って。マイナーチェンジしてきましたけど、今が一番しっくり来てますね。

仁木: そうっすね。

———仁木さんは、コンボイさんをどういうテーマでプロデュースしているんですか?

仁木: 嘘はつきたくないんですよ。だから、コンボイは本当にバカで快活なヤツなんだし、自分に合わない「雑学集める」とかはやめろよと思ってます。

コンボイ: 「ゆっくり解説」とかで雑学集めるのが好きで。

仁木: 「雑学集めよう」っていう気持ちがまず、めっちゃバカなんだから……

コンボイ: らしいです。

仁木: バカであるから「賢い」と思われたがるんだから。

コンボイ: らしいです。

仁木: 賢いと思われたい反動で雑学を集めてると思うんで、本当はやめさせたい。ネタではすべての抵抗や武装を取り払ったあとの山口コンボイを出してるんですけど、楽屋とかではめっちゃ武装してるんですよ。

———楽屋で武装されてるんですか?

コンボイ: してるつもりはないんですけど、たとえば初対面の先輩に嫌われないように尻込みしちゃったりするんです。「お前は多少失礼なことを言っても“しょうがねえな”ってなるから行けよ」って言われるんですけど、嫌われたくないから「でもちょっと……」と思っちゃって。特番のロケでは仁木君の指示通りに商店街をまわったんですけど、失礼なことを言っても思いのほか商店街の人たちが笑ってくれたんです。それで、幅が広がった感じがしますね。「俺ってこのままで良いんだ」っていう新しい発見がありました。

仁木: 眉間にグッとしわを寄せて、後輩にネタのアドバイスをしてるより、このロケでやったようなことがコンボイには合ってます。

コンボイ: おぉい(笑)!たまにね、たまにはありますよ。ピンネタのこととかだったら、ある程度伝えられることがあるかもしれないから。

仁木: ……そういうのは、違うんじゃないかみたいな感じです。

コンボイ: 今まで、正直、ネタだから笑ってもらえてるのかなと思ってたんですよ。でもロケでは指示を受けて、けっこう失礼なことを言ってたんですけど、皆さん笑ってくれて。「なるほどな」と思いました。納得できましたね。

———特番の収録を経て、コンボイさんに新たな気付きがあったんですね。

コンボイ: そうっすね。

仁木: 1個なにか取れた感じがしますね。

コンボイ: 言い方が合ってるかわからないですけど、すごく良い実験結果になったと思います。最高のシチュエーションで試させてもらいました。

業界関係者に観てほしい!

———特番は、90分全部ケビンスさんなんですよね?

仁木: はい。すごいですよね、ありがたい。大きく出たなと思います。ケビンスを好きになっていただくうえで取りこぼしが無いくらい良さが詰まってるんじゃないかな。

———どんな方に見てほしいですか?

仁木: 「ケビンスの名前は知ってる」くらいの方が観るのが一番面白いんじゃないかなと思います。まったく知らない人が見たら「え、大丈夫かこいつ」みたいなシーンもたくさんあるんで(笑)。……俺が考えすぎかもしれないけど、ケビンスって「いけ好かない」って思われてる気がするんですよね。

———そうですか?

仁木: 初速がちょっと早すぎて。あんまり苦労してる感じもしないですよね、めっちゃしてるのに。

———たしかに、コンビ歴だけで言ったらまだ4年ですもんね。

仁木: 特番を見て、「こんなに体張るんだ」とか思ってくれたら良いなと。ちょっと認知してるくらいの方が、これを見て評価を変えてくれたらなと思います。お客さんだけじゃなく、「いけ好かない」って目で見てる吉本の社員を何人か見た気がして……(笑)。

———社員さんが!?

仁木: 「俺はもっといぶし銀の芸人を応援するよ」みたいな社員を、見た気がします。

———では、特番は社員さんにも是非見てもらいたい。

仁木: そうですよ。

コンボイ: たしかに、うん。

仁木: 今言ったことで、台無しになったかもしれないな。

———最後に、コンボイさんから番組を楽しみにしている方に向けてメッセージをお願いできますか?

コンボイ: 普段僕たちのライブを観に来てくれている人にとっても、初めて観る人にとっても、最高の、今年一発目。最高の、ケビンスの良いところが詰まったロケ。それぞれの見方があると思います。なので、絶対に観てほしいです!いっちばん観てほしいのは、結局業界関係者!

仁木: ファンとかじゃなくて?

コンボイ: いっちばん、結局業界関係者!観てほしいです。

仁木: でも業界の方に会ったら会ったで、腰低いんだよな。

コンボイ: やっぱ、その(笑)。嫌われたくないという発想があるから。

仁木: 特番は面白かったのに……みたいになるんじゃない?

コンボイ: ありそう!「お酒、なに飲みますか?僕注ぎますけど」みたいなスタンスになっちゃうかもしれない。でも強気で!業界関係者にも強気で!これが俺だ!って感じで。で、応援してくださってる方にも「良いのできたよ!」って感じで見てもらえたら最高ですね。

PROFILE

ケビンス

左:仁木 恭平
右:山口 コンボイ

文, 編集:堀越 愛

撮影:福原 雄樹