【『COCHO COCHO』小籔千豊 収録直後インタビュー】「先人の声に耳を傾ければ、悩みはすべて解決」。小籔流のお悩み解決術

2025年2月5日(水)18時、YouTube チャンネル『COCHO COCHO』(制作:株式会社チャビー)で、小籔千豊が出演した動画が公開された。『COCHO COCHO』は、「こどもと、元こどもだったすべての人の心をくすぐる」をコンセプトにしたYouTubeチャンネル。さまざまな企画にとりくむ、こどもたちの予期せぬひとことや不可思議なリアクションを届けている。

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YouTube チャンネル『COCHO COCHO』では、これまで「新しい法案を考える」「お相撲さんにインタビュー」「大人が食べてる“おつまみ”の味とは」など、様々なコンテンツを展開。テーマに合致したゲストを招く回もあり、こどもたちの新鮮な反応を引き出している。

2月5日(水)に公開された「こども駆け込み寺」回のゲストは、小籔千豊。収録では、こどもたちから寄せられた「男の子の友だちができない」「学校になんでおかし持っていっちゃダメ?」「SNSにアンチコメントがつくのがイヤ」などのお悩みに回答した。(「こども駆け込み寺」は全4回で、第2回を2月12日に公開予定。※第3回・第4回は未定)

収録直後、小籔に収録を振り返るインタビューを決行。こどもたちと対話するにあたり、小籔が心がけたこととは。また、自身に「悩みはない」と断言するその背景とは?

寄り添い過ぎず、考え方を変えるお手伝い

———収録に参加いただき、いかがでしたか?

小籔千豊(以下、小籔): 子どもたちと、もっと普通の世間話もしたかったなと思いました。あのくらいの年の子が、一番しゃべる機会が少ないかもわかんないですね。自分の子どもは二人とも大きなってもうたから、もう2度と帰ってこない年代やないですか。自分の子どもというより、子どもの友達としゃべってる感じ思い出して懐かしくなりました。公園で〇〇ちゃんとしゃべったなとか、わけわからんこと砂場でずっと言われたな……みたいなことを思い出しました。

———いくつか子どもの悩みを聞いていただき、特に印象に残った相談はありますか?

小籔: 学校の校則に関する悩みですかね。自分も子どものとき、同じようなこと思ってたなと。めっちゃ文句言ってたから気持ちはわかる。でも子ども側に立ちすぎて「そうやそうや、学校が悪いよな」で返すと、その子が学校に対して怒りを持ったまま学校生活を送ることになる。それはこの子にとって良くないと思って。だから、明日から納得した状態で学校に行ってほしくて「こんなふうに考えたらどう?」って言いました。僕も子どものときは「なんでこんな校則あんねん」とか先生に言ったりしてたんでわかるんですけど、寄り添いまくってその子の校則に対する怒りが3倍になって、腹立ったまま学校に行かれてもかなわんから(笑)。いろんな話聞いて、子どもは子どもなりに悩んでるなというのをあらためて感じることができて良かったなと思います。でも一番印象に残ってるのは、半分ボケで出した大きい声で女の子が泣き出したこと。「ええとこの子なんやな」と思った(笑)。

———泣いてました?

小籔: 泣いてた。涙ピーって出てた。その横にいた子も「怖かった」って言ってた(笑)。でもそんなリアクションすら可愛いなと僕は思います。あの子らがどう思ったかわからないですけど。

———子どもの相談に乗るにあたり、気を付けたことはありますか?

小籔: 自分の子どもにも「こんなときどうしたら良い?」みたいなことをよく聞かれてて、そのときから希望が持てるような、明日からハッピーになるような答えをしようと心がけてました。「ほんま腹立つよな」「ムカつくよな」で寄り添うのって優しいかと思いきや、その子の問題は置き去りのまま、それを増幅してるだけ。そうじゃなく「考え方を変えることによって気持ちが軽くなるかもね」のお手伝いをしようと思ってたんで、今回も頭ごなしに言うより「俺もわかる。でもこういう考え方したら俺は楽になったよ」みたいな言い方をしました。それが正解かどうかはわかんないですけどね。

———本日の収録では「わざと殴ってくる友だちがいる」という相談がありました。ご自身のお子さんでも知り合いでも、同じような相談を受けたことはありますか?

小籔: はい。基本的に、僕は学校にはそこまでして行かんでも良いと思ってます。学校に行ったほうがベターとは思うけど、「マジでしんどいんやったら行かんでええ」と言う大人がおったほうがええかなと思うんですよ。行くべきか行かないべきかは別として、「行かんでええ」と言うたる大人がおらんと追い込まれるかなと。「逃げ道もあるんだ」と強く言うたる大人がいたほうが良いと思うんです。が、今回の収録はよそさんのお子さんなんで、僕がご家庭の方向性を決めるのはちょっとちゃう。ほんまは「行かんでええぞ」って言いかけたんですけど、「学校楽しいか?」って聞いたら「楽しい」って言うから、良かったなと。

———収録では、友だちからずっと殴られるようだったら「俺の名前出してくれてええねんけど」と言ってくださっていましたね。

小籔: 大人が介入していない場の友だち同士の力関係で「どうしても勝てない」となったとき、最後のカードを持ってるか持ってないかで希望が違うと思うんですよ。ほんまにクラス中全員がいじめてきたら、世界で自分だけが孤独だみたいに思って、精神的にも落ちるじゃないですか。「俺には小籔というカードがあるんだ」と思いながらどつかれてんのと、ない状態でどつかれてんのでは気持ちがちゃうと思うから、そのカードを持たしただけです。自分の子どもにも「よその子でもバチバチやったるから、なんかあったら言えよ」って言ってました。そしたら「それはええわ」言われて(笑)。マジで「蹴りに行ったるわ」と言ってたんですけど、そのカードは使わなかったです(笑)。でも本当に、よその子でも悪いことしてたら、フルスイング振りぬく自信あります。

本を読まんと悩むヤツはアホ

———小籔さん自身に悩みがあったときの向き合い方をお伺いしたいのですが……今、なにか悩みはありますか?

小籔: ないです。

———今日は子どもの悩み相談に乗っていただきましたが、自分が悩んだときはどう向き合っているのでしょうか?

小籔: 新喜劇入りたてのころ、すごい悩んでましたね。でも仏教の本とか『論語』とか、松下幸之助や稲盛和夫の本を読んだら、一発で解決します。

———新喜劇に入りたてのころは、どんなことに悩んでいたのでしょうか?

小籔: 1番偉くなったわけじゃないのに台本を決めなあかんとか、ここじゃ言えないようなこともあって、腹立つこともありました。でもアドラーとか先人たちの本を3~4種類読んだら、ほとんどの悩み解決します。悩む人はそんなん読まへんから、悩むんです。全部読んでも悩んでるやつ、見たことない。

———特に参考になった考え方はありますか?

小籔: 人間は思い通りにならへん。思い通りに生きてるつもりやろうけど、思い通りにならんことばっかり。思い通り生きてきたと思ってるでしょ?

———そうですね、ある程度。

小籔: でも生まれる場所とかご家庭は選べないですよね。アラブの石油王の子に生まれたらもっと金持ちやっただろうし、工藤静香と木村拓哉の子どもに生まれとったらもっと男前やったろうし(笑)。あと世代も選べないですよね。生まれる場所もタイミングも選べてないし、死ぬタイミングも場所も死に方も選べないですよね。病気になるタイミングも自分で決められないし、老いたくないけど老いていきます。目が弱くなったり腰が痛くなったりもするし、思い通りにはいかない。

秦の始皇帝という人が、万里の長城を築いて、お金も権力も持って、すべて手に入れて、最後に欲しがったのが不老不死。すべて手に入れた人でも老いることと死ぬことを止めることはできなかった。ってなると、人間は基本的に思い通りにならへんのが前提やと思うんですよ。だから多少の困難があっても、「そらそうやな」と考えるとだいぶ気持ちが楽になってくる。若いときは自分ひとりで生きてて思い通りになってるつもりでおったんですけど、いろいろ考えたら、新喜劇入ったのも誰かが「辞める」って言ったからだし、ちっちゃいときお笑い見せられてたからだし……とか振り返ると、自分の意思でこのように生きたと思いきや、いろんな偶然を重ねてここにおる。そう思ったら、鬱陶しいことも「そりゃしゃあないわな」と思う。

あと、全部「自分が悪い」と思ったほうが良い。アドラー心理学には、「『できない』じゃなく『やらない』ことをあなたが決めただけ」みたいな言葉があります。これを知ったとき、「ほんまそうやな」と思いました。例えば「僕がもうちょっと勉強してたら東大行けたのに」と思うけど、そうではなく自分で「勉強しない」という選択をしただけ。そういう考え方にしたら、俺の悩みはなくなりましたね。

———答えは先人たちの教えのなかにあるんですね。

小籔: 悩んだら、本を読んでください。本も読まんと悩んでるヤツ、アホやと思ってます。先人の声に耳を傾ければ、それですべて解決です。

取材:イトウ
文・編集:堀越 愛