【人力舎新若手事務所ライブ『閃』開催インタビュー】「思っているより本気です」。出演メンバーが語る舞台裏と展望

2025年2月から、プロダクション人力舎(以下、人力舎)の新若手事務所ライブ『閃(ひらめき)』がスタートした。

人力舎の若手ライブといえば、『バカ爆走』や『どっきん!』。なぜ今回、新たな事務所ライブを、しかも若手向けのライブを創設したのだろうか。出演メンバーである人間横丁、鈴木ジェロニモ、ジャンクの3組に加え、4月から新たにメンバー入りする花ブービーに、『閃』の魅力や意気込みについて話を聞いた。

運営の本気を感じたライブ

———人力舎の新事務所ライブ『閃』がスタートしました。ライブの概要を教えてください。

鈴木ジェロニモ(以下、鈴木): 『閃』は、人力舎の新しい若手芸人ライブです。芸歴5年目以下が出る『バカ爆走』と、5年目以上が出る『どっきん!』の間に位置する感じで、ざっくり10年目以内の勢いある若手芸人が出るイメージですね。

鈴木ジェロニモ(右)

———芸歴がきっかり決まっているわけではないんですね。

鈴木: そうですね。なんとなく若手っていう感じです。お客さんたちに「人力舎の芸人、応援したいな」と思ってもらえるよう、芸人たちをどんどん育成・お披露目していくライブです。

ジャンク・山下瑞生(以下、山下): 素晴らしい。

ジャンク・山下瑞生

———このライブを企画したのは……

ジャンク・小森瑠斗(以下、小森): 人間横丁のマネージャーです。

マネージャー: いや、みなさんのマネージャーですよ。

山下: 人間横丁を盛り上げるためにはじめたライブですよね。

マネージャー: 違う違う(笑)。

ジャンク・小森瑠斗

———マネージャーさんにあらためてお伺いしますが、なぜこのライブを企画したのでしょうか?

山下: これ、俺らもあんま知らないよな。

マネージャー: 人力舎に面白い芸人さんが増えてきたのもあって、より濃いお笑いができる人を集めたライブがしたかったからです。

人間横丁・内田紅多(以下、内田): 嘘っぽい(笑)!

山下: これ嘘だな。本当は人間横丁を……。

小森: 僕らは人間横丁の踏み台です。

山下: ロイター板。

人間横丁・内田紅多

———新ライブがスタートすると聞いたとき、みなさんはどう思われましたか?

小森: 最初は「マネージャーがなんかはじめようとしてるぞ」って、そのくらいの感覚でした。そしたらあれよあれよという間にライブができていて、「メンバーだよ」って言われて。そこで初めて「あ、本気でライブ考えてたんだ」って気付きましたね。

山下: 一旦LINE無視したもんな。マネージャーからの熱いLINE。

鈴木: 人力舎で新しいなにかをはじめるときって、そこまで長く続かないことが多いんですよね。だから今回も単発なのかな〜なんて思っていたら、もう4回もライブが開催されていて。「あ、これは本当に続ける気だ」って、運営側からの思いを感じました。

人間横丁・山田蒼士朗(以下、山田): そう、本気を感じた。

人間横丁・山田蒼士朗

内田: キービジュアルが出たときは、めっちゃワクワクしましたね。

塗装, テーブル, 鳥, 大きい が含まれている画像

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▲デザイナー・ニョグさんが作成した『閃』のキービジュアル

まちょねーずを見られるライブ

———人力舎の若手ライブといえば『バカ爆走』、といったイメージを持つ人は少なくありません。『閃』のメンバーにも『バカ爆走』でおなじみの顔ぶれがそろっていますが、両ライブの違いはどんなところにあるのでしょうか?

山田: あ、でもこれは……あれか。あの〜……

山下: 言いたいことわかるよ。

山田: ……『閃』のほうがダラダラしてない。

山下: たしかに(笑)。楽屋からグダってないよね。『バカ爆走』は、楽屋からグダり気味だから。

内田: 楽屋の湿度が違う。『バカ爆走』はちょっとジメッとしてる。

小森: まぁ、明るいヤツらが多いよね。人力舎のなかでも、色味のある明るい若手がそろってると思う。

鈴木: 色味あるか?

山田: みんな暗そうだけど。

小森: あるある。人力舎って、なんとなく「ネタは強いけど暗い」みたいなイメージを持たれがちなんですけど、このライブは明るくワイワイしてますね。前までの人力舎ライブとは少し違う雰囲気がある気がする。

「真ん中にぽつんと人力舎」「どこにいても人力舎」と野次を飛ばされる鈴木ジェロニモ

小森: 一番伝えたいのは、企画パートのすごさですね。ほかの人力舎ライブは芸人持ち込みで企画をやることが多いんですけど、『閃』は企画に定評のある構成作家さんが入ってくれているんですよ。その企画に乗っかっていれば、確実に面白くなる。

鈴木: 企画の最中も、ちゃんとSE(サウンドエフェクト/効果音)とか付けてくれてますし。今までの人力舎ライブ、音とか出たことなかったから。『閃』に初めて出たとき「すごい、よしもとのライブみたい」って思いました。よしもとライブを疑似体験できる。

小森: 疑似体験(笑)。

鈴木: いつもだと、フリップ使うときに大体「ペンのインクが出ません」タイムがあるんですけど、『閃』にはないし。お題ボックスとかフリップみたいな小物類もちゃんとしてる。

———細かい部分が整備されているんですね。

山下: あとは、まちょねーずを定期的に見れますよ。

内田: なかなか会えない、まちょねーずは。

山下: ラティオスとラティアスくらい会えない。

※ポケットモンスター

内田: 単体でも会えないんだ。

鈴木: 『閃』のまちょねーずは、観てて元気になる。その後に『バカ爆走』のまちょねーずを観たら、なんか寂しい気持ちになる。

山下: まちょねーずは『どっきん!』に出てるときが一番ふわふわしてるから。

鈴木: 新宿バティオスってこんなに広かったっけ?って思う。

山下: 出所したての空くらい広く感じる。その空をラティオスとラティアスが飛んでて……。

小森: 最近映画観たの(笑)?

まちょねーず(左:坂本フジオ、右:ちぇい)

リーダーはスパイシーガーリック?

———新メンバーの花ブービーは、まだ『閃』に出たことがないとお伺いしています。今までの話を受けて、いかがでしょうか?

花ブービー・水上あめんぼ(以下、水上): 僕ら、このライブのことはずっと遠巻きから「なんか楽しそうだなぁ〜」って眺めてたんですよ。

花ブービー・水上あめんぼ

花ブービー・新井ねこ(以下、新井): 花火大会の音だけ聞こえるみたいな。どこで打ち上げられてるかはわかんないけど、って感じでした。

水上: 唐突にメンバー入りが決まったんです。なんで声かけられたんだろうな……。

小森: もともとトリオだったけど、コンビになってどうなんだ?ってなったとき、やっぱ面白いし勢いもあるから呼ばれたんでしょ。

※トリオ「いろはラムネ」として活動していたが、メンバー脱退により2024年11月から「花ブービー」に改名してコンビ活動をしている

水上: ……うれしかったっす。

山下: 初キッスの感想?

花ブービー・新井ねこ

———初期メンバーの皆さんは、花ブービーが加入すると知ってどう思われましたか?

小森: 「あ、いなかったんだ」って思いました。

鈴木: たしかに、あんまり驚きがない。

内田: このライブのグループLINEに、マネージャーさんから「花ブービー加入します」ってメッセージが来たんですけど、それに対する反応が0だったんですよ。サイレントのスタンプすらなかった。これは由々しき事態だ!と思って、すっごく心配なんですけど……

山田: イメージ通りなだけだったんじゃない?

内田: 本当に「イメージ通り」なことが心配。

新井: グループLINEもまだ入ってないし。わかんない。なにも知らない……。

———『閃』メンバーの最年長はどなたなのでしょうか?

鈴木: 9年目のスパイシーガーリックさんですね。片山さんがいると「無言の先輩」って感じ。片山さんは威厳を醸し出してます。

一同: わかる〜。

鈴木: でもこの前、片山さんがいなくてジョンさんだけのときがあったんですけど。そのときはなんか、……誰もいなかった。

小森: どういうこと?なんで消えるの?

鈴木: ジョンさんは、スタッフの人よりスタッフすぎるというか。お笑い芸人とは思えない裏方感がある。

内田: まわりに溶け込みすぎて、いなくなっちゃう。溶けて消えちゃう。

スパイシーガーリック(左:片山 智勝、右:ジョン)

———では『閃』のリーダー的存在は、やはりスパイシーガーリックのお二人ですか?

内田: 意外と、ジェロニモさんがまとめ役っぽいかも。MCもよくやってるし、リーダー的存在なのかな。

山下: でもさ、もしスパイシーガーリックさんがこの記事読んで「ジェロニモがリーダー」って言われてたら、やっぱ落ち込むんじゃない?

小森: たしかに(笑)。

山下: 本当にいなくなっちゃう可能性ある。だからやっぱり、リーダーはスパイシーガーリックさんですよ。

内田: 付いていきたい気持ちはある。

山下: 背中はちゃんとデカいよね。正面がちっちゃいけど。

鈴木: 付いていこうと思ったら「あれ……?」って見失う。

『閃』を歴史あるライブ、そして「食える」ライブに

———新メンバーの加入もあり、『閃』の盛り上がりはさらに加速していきそうですね。

山下: このライブって、出演者がみんなウケるんですよ。一番上のスパイシーガーリックさんとか、めちゃくちゃウケてる。だから、ちょっといつもとは違う緊張感がありますね。だから新メンバーの花ブービーがどんなもんかも、楽しみです。

水上: こんなこと言われたら、スベれない。

山下: スベったことないでしょ?

水上: あるよ!

水上: でも、楽しくできそうです。お客さんを楽しませるんだったら、まずは芸人側が楽しんでなきゃダメだと思うんで。

山下: (新井)ねこの意気込みも聞かせてよ。

新井: うーん……。(水上)あめんぼと一緒です。

山田: サボったな!

新井: だって知らないもん、『閃』のこと。

小森: すごいなお前。

山下: 『閃』のプロモーションのためのインタビューでしょ?これ。

新井: 今まで僕、ライターさんと同じ目線で話してましたよ。そのくらい情報を知らない。

———『閃』がはじまって1ヶ月ほどが経ちました。今後長く続けていくなかで、やってみたいことや期待していることはありますか?

水上: 「くだり」みたいなものって、このライブにはあるんですかね?人力舎って、普段あんまりそういうのないから。『閃』でつくっていきたい。

内田: 言われてみれば、人力舎のくだりって見たことないね。

新井: 人力舎って「連携」をとにかく嫌がる(笑)。個で活躍したい芸人が多めではありますね。でも『閃』はメンバーが固定されてるから、くだりもつくりやすいかもしれない。

新井: もう『閃』で定番になってるくだりとか、あるんですか?

内田: 4回くらい出てるけど、一度も見たことない。全員が個人競技。

水上: じゃあ、これからみんなでつくっていきましょう。

———新しいチャレンジが多いライブとのことで、今後がとても楽しみです。最後に、みなさんの『閃』に対する想いや意気込みを教えてください。

小森: やっぱり、発案者のマネージャーが本気なんで、本気でやろうと思ってます。『バカ爆走』とか『どっきん!』みたいに、『閃』もずっと続くライブにしていきたい。

山下: 歴史あるライブになったらいいね。

新井: 人力舎って、ずっとあるものだとみんな思ってるじゃないですか。上の人たちがずっと売れ続けてるから。でも、そんなことないもんな。だから、この新しいライブを、ずっと存在するライブにしていきたい。

鈴木: あとは、やっぱり芸人が食っていけるライブにしたい。もちろん「食えるようになったらいいな〜」とは思ってたけど、じゃあ実際どうするかまではリアルに考えたことがなかったんですよね。「食っていくってどういうことだろう」って本気で考えるきっかけになるライブにできればうれしいです。

小森: 配信とかグッズの販売なんかも、マネージャーと話し合いながらどんどん進めていきたいですね。

鈴木: 人力舎の芸人って、あんまり「頑張ります!」って感じを出さないんですけど、本当にみんな一生懸命やってる。それが『閃』を通してみなさんに伝わって、ほかのライブでも「人力舎の芸人頑張ってるな」って思ってくれたらいいなって期待しています。キャッチコピーは「思ったよりも本気」。

山下: いいね、そのキャッチコピー。「思ったよりも本気」。

山田: みんなが『閃』で、成長していきたい!と思っています。

取材後、なぜかエア剣道対決が行われた
剣道対決、勝者はジャンク山下??

PROFILE

左から

人間横丁・山田蒼士朗
ジャンク・小森 瑠斗
人間横丁・内田紅多
花ブービー・水上あめんぼ
鈴木ジェロニモ
ジャンク・山下 瑞生
花ブービー・新井ねこ

文:中込 有紀

編集, 撮影:堀越 愛