2025.08.12
【YOKO FUCHIGAMI 『クリエイターズ・ファイル 胸やけ大博覧会 in 池袋』インタビュー】余白なし!かつてない胃もたれ必至の“お祭り”を池袋で開催!「胃薬を飲んで来て」
2025年8月8日(金)より、池袋PARCOにて『ロバート 秋山竜次 presents 10周年 クリエイターズ・ファイル 胸やけ大博覧会 in 池袋』が開催されている。

「クリエイターズ・ファイル」は、ロバート・秋山が現代を代表するクリエイターに扮し、それぞれの仕事ぶりや人生について語るクリエイティブコンテンツ。2015年に始動した本コンテンツは今年10周年を迎え、取り上げたクリエイター数は117(2025年8月現在)、公式YouTubeチャンネルは登録者数100万人を超えている。
『胸やけ大博覧会 in 池袋』は、2017年~2018年にかけて全国10都市で行われた展覧会をより一層パワーアップさせた体感型エンターテインメント。会場でしか見られない展示物や撮りおろし映像のほか、100人を超えるクリエイターが勢ぞろいする狂気の部屋など、“胸やけ”必至の濃厚でクリエイティブな展示が目白押しとなる。展覧会の詳細は公式HPで確認を!
『胸やけ大博覧会 in 池袋』目前となった某日、ワラパーはトータル・ファッション・アドバイザーのYOKO FUCHIGAMI氏にインタビューを決行。

「クリエイターズ・ファイル」初期に登場後、『クリエイターズ・ファイル GOLD』(Netflix)や各種CM・広告にも出演しているYOKO FUCHIGAMI氏に、大博覧会の展望や自身のクリエイティブにまつわる話などたっぷり聞いた。
パリ、バリ、パリ、バリ、パリ、チリ
———お忙しいなか、取材の機会をいただきありがとうございます。
とんでもございません、ありがとうございます。

———この夏、『ロバート 秋山竜次 presents 10周年 クリエイターズ・ファイル 胸やけ大博覧会 in 池袋』が開催されるとのこと。展覧会直前の今、どのような想いを抱かれていますか?
秋山さんが手掛ける『胸やけ大博覧会』、その名前だけでワクワクしています。彼が10年間やってきたクリエイターズ・ファイルには、私もファッションデザイナー・YOKO FUCHIGAMIとして参加しています。私は初期に出させていただいて、その後の10年で、数々のクリエイターが出演されました。その数、110人を超えるかな?それだけ続けるって素晴らしいことだと思いますし、秋山さんの活動は評価するものがあります。だから『胸やけ大博覧会』には、私も是非協力したいと思っていて。今回は、YOKO FUCHIGAMIランウェイなんかもつくらさせていただきます。来場者の皆さんがYOKO FUCHIGAMIの専属モデルになれるよう準備していますので、現地で最先端の空気感を味わってほしいですね。

———YOKOさんはこれまで、パリやバリなど様々な場所でランウェイを手掛けてきましたよね。過去のランウェイと比較して、今回はどのようなコンセプトを予定されているのでしょうか?
すごく迷いました……私の活動は、パリ、それからバリ、パリコレ・バリコレですね。で、またパリ。来月の予定で言いますと、バリ、からパリ。パリからのバリ。バリ、パリ、パリ、バリ、パリ、バリ、パリ、ですね。で、パリ、バリ、パリ、バリ、パリ、チリですね。で、チリ、チリ、パリ、チリ、パリ、チリ、チリ。チリ、バリ、チリ、バリ、バリ、パリ、千葉ですね。で、今度は加賀。加賀、千葉、加賀、千葉、千葉、加賀、加賀、肥後、蝦夷、蝦夷、肥後、チリです。で、チリ、チリ、チリ、チリ、チリ、三重、伊賀、伊賀、三重、ミガ。

……ミガなんかないですけども、基本的に2文字のところしか私は行かないんですよ。そのなかで今回オファーがありまして、会場は池袋PARCO。非常に文字数が多いし、悩みました。やめようかなと思いましたし、「なんで協力しなきゃいけないんだ」と思ったこともあります。ですが、開催地を“江戸”と考えれば大丈夫じゃないかってことでクリアしました。“池袋”だと長いけども、今回は“江戸”ということで引き受けました。

———なぜ、2文字にこだわっていらっしゃるのでしょうか?
言いやすさってすごく大事で、長ったらしい文字は時間がかかるんです。「パリ行く」って、4文字なんですね。「バリ行く」「肥後行く」「蝦夷行く」……4文字なんですよ。それが「苫小牧行く」って、7文字。文字数が増える分、おしゃれなことを考えたほうが身になります。その7文字分、おしゃれな発言をしたほうが良いんです。「会話のすべてがおしゃれに直結していたい」ってのが私の考えですので。

———『胸やけ大博覧会』を開催するPARCOさんは、最先端のファッションを体感できるスポットだと思います。PARCOという場所については、どうお考えですか?
ファッションの管制塔のような場所だと思っています。おしゃれな電波を受信するため、私はプライベートでもアンテナを張ってるんですけど、そうするとやっぱりPARCOの電波が入ってきますね。受信しちゃう。軽くは流せない。ないことにはできない。PARCOの電波は、YOKO FUCHIGAMIのアンテナに異常に入ってくる。日本のファッションを引っ張ってきたビルのひとつであることは、間違いないですね。
———YOKOさんも認める場所なんですね。
もちろん認めています。

子ワーキングスペース
———クリエイターズ・ファイルを起点にNetflixで番組ができたりCMがつくられたりと、活動の幅がすごく広がっています。ここまで広がることを、当初から想像していましたか?
クリエイターズ・ファイルに出てから、YOKO FUCHIGAMIにオファーしてくれる方は増えたかもしれませんね。元はファッションショー中心でしたけど、いつの間にか広告に起用していただいたり、テレビCMに呼ばれたり……やっぱり、影響は強いですね。クリエイターズ・ファイルには、真のクリエイターしか出ていませんから。
でも最近、犬であったり微生物であったり……はたまた、幅姫であったり、寮母さんであったり。「これはクリエイターと言えるのか?」という領域に入ってきていると思います。ロバート秋山さんが監修しているということですけど、「どこがクリエイターなのか?」って言いたいですね。妖怪だとかもいたり……110キャラも出ているので「もうこれ以上はないんじゃないか」と思いますけど、彼は「まだある」って言うんです。楽しみですね。
———YOKOさんは、「クリエイター」をどう定義づけていますか?
やっぱ、クリエイターってのは寝てない。寝てるけど寝てない顔をしている。あとエンターキーを強めに叩く。で、カフェで作業して仕事をしているふうに見せてる。あとシェアオフィスを好む。あとワーキングスペースのことを“コワーキングスペース”って言う。なんですか、コワーキングスペースって?ちっちゃいんですか?子熊とか子豚みたいなことなのかな。そうね……クリエイターはワーキングスペースのことを“子ワーキングスペース”っていうのが大前提かな。私は言わないけど、クリエイターっぽい人は言ってます。子豚、子鹿、子熊……子どもなのかな、ワーキングスペースの。あとね、いつも奇抜な帽子をかぶっていたり、奇抜なメガネをかけていたりする方も、確実にクリエイターです。

1日50個生み出すサブブランド
———YOKOさんは長年ファッション業界で活躍されていますよね。でも、長く業界にいると逆に勘が鈍ってしまうこともあるかと思います。新鮮な発想を生み出し続けている秘訣はなんなのでしょうか?
思い立つたびにブランド化することですね。私、1日に50個以上のセカンドブランドを立ち上げるって決めてるんですよ。増え続けて、今はもう何千にもなっています。考える前に形にする、というか、足を突っ込む。踏み入れる。それが大事だと思います。

思い付きで立ち上げたブランドも、たくさんあります。たとえば「カーカー」っていう、路上に落ちてるカラスの羽だけで立ち上げたブランド。あと「タマタマ」という、金玉に着せる服のブランドですね。金玉だけに着せる、きんちゃく型の服があっても良いんじゃないかなって思って。今までなかったでしょう。あと「RIVER」という、川上から流れてきたものだけを使うブランド。犬のミイラとか誰かの軍手とか、そういったものが流れてくるんですけども、それらを使う。地球の呼吸に合わせて服をつくるっていうのが大事だと思います。あと「KINAI」。これはもう、着ないんです。裸。なにがラッキーって、路面店がいらないんですよ。だって商品がないから。着ないってことは商品がない。ってことはコストがかからない。

———新鮮な発想は、新しいことを考え続けるからこそ生まれるんですね。
とにかく、1日50個ブランドを立ち上げる。そういうことですね。だから文章を書いているあなたなんかも、セカンドブランドを立ち上げればいいんですよ。たとえば、あなたは録音するもの(レコーダー)を持っているじゃないですか。これを服に一体化させてやると、忘れることはない。「WRITER FUCHIGAMI」でも良いわけですし、「SHUZAI FUCHIGAMI」でも構わないし。
そうね、たとえば「SHIKAI FUCHIGAMI」ってブランドがあるんですけど、これは腕にMC台がついてるんですよ。肘をつけば自然とMC台になるので、たとえば「打ち上げどこ行こう」となったとき「お前どこ行くんや」「お前帰れや」……みたいな仕切りが自然とできてしまう。……こういう発想を、常日頃増やし続けていけば良いんです。そうすると、もちろん失敗もあります。ただ、生み出す恐怖はなくなっていくように感じますね。

———挑戦し続けることによって、新しいことに挑戦する恐怖がなくなるんですね。
そうね。あと「BERO」っていう、ベロにデニムやカーディガンを着せるブランドもありますよ。要は、味覚を封印する服ですね。苦くて薬飲むのが嫌なとき、ベロにラップをまくと良いと聞いたことがあって。でも、ラップじゃなくデニムでも良いんじゃない?って思うんです。ベロピアスってのがありますけど、これからはベロに服を着せる時代になる気がするんですよ。人間、突起物にはカバーをつけるようにできてますよね。だから、ドアノブカバーがあるわけです。となると、乳首カバー、耳カバーがあっても良いし、ベロはもちろん、鼻、ポコチン……金玉もそうじゃないですか。要は、突起物には全部カバーという名の服を着せてあげる。それが、これからの主流になると思いますね。

———1日50個サブブランドを立ち上げる際は、苦しんで生み出すのでしょうか。もしくは自然と生み出されるものなのでしょうか?
自然ですね。「考えよう」って思ったらブレーキかかって出てこないので、日常生活で思ったことやまわりで起こったことからブランドを立ち上げるのが大事です。必ず直結しています、生活と。たとえば、うんこが間に合わないことってあるじゃないですか。そんなときはケツにチャックをつけて、開きやすくするんです……これは「BENBEN」ってブランドですね。

秋山は「性欲強いの押さえつけ芸人」
———YOKOさんはずっと新しいことに挑戦されていますね。でも新しいことに挑戦するって、一般的には勇気がいることです。新しいことに挑戦したい、でも踏み出せないという方に、なにかメッセージをいただけませんか?
えーっと、これは……絶望している方が読む記事なんですか?
———いえ、展覧会を楽しみにしている方です。
そう……絶望してる方々が読むんだったら「絶望してるんじゃねぇよ」って言いたいですね。「楽しみたい」と思って、記事を読んでるんですもんね。なにかを求めて、ワラパー読んでるんだから……これはお笑いのメディアなんですか?

———お笑い専門のWEBサイトです。
芸人さんのサイトなんだ。芸人さんって数多くいるから、最近わけわからないですよね。近頃、なんたらかんたら芸人っていう名前のジャンルがありますけど……たとえば「ファッションデザイナー芸人」だったら、芸人じゃなくファッションデザイナーじゃないか?って方も多い気がします。新しい時代になってきました。ケツに「芸人」ってつけておけば、成立する時代です。だから、ユーモアのあることを言う必要のない時代に入ってきているのかもしれませんね。入り口だけお笑い事務所に入っておけば、これからはもう、ギャグやネタは考えなくて良い。これ、新しい時代です。だから主婦芸人、機械詳しい芸人……いっぱいありますもんね、なんたら芸人って。芸人に限らず、これからも増えていくと思います。たとえばハヤシライスシンガー。ハヤシライスのことを突き詰めて、ハヤシライスのお店を出して。別に歌わなくて良いんです。そういう時代に来ていると思います。

———では、YOKOさんから見て秋山さんはどんな芸人ですか?
あの方は……性欲強い芸人ですかね。性欲強いの押さえつけ芸人です、やっぱり。彼のラジオ(ロバート秋山の 俺のメモ帳! on tuesday/BAYFM78)たまに聴くんですけど、リスナーの方と中継でつないで「性欲情報」とかやってるんですよ。しかも最近は、バイブで音を奏でられるようになってるんです。
———バイブ?
バイブレーションってあるじゃないですか?バイブっていうか、電マね。電気マッサージ機。あれで今、ドレミファソラシドの音階を奏でられるようになってるんですよ。電マの、ちょっとした匙加減でメロディーを演奏できる次元になってるんですね。なので、よほどじゃないかと思います。よほど、ナニカが強いんじゃないかなと。
あと歌も出されてるじゃないですか。KENZENコブラってユニットで『抜きゃいいじゃん』って歌をうたわれてて。最初は「なにこれ」と思ったんですけども、芸能人が不倫するたびにあの歌が拡散されるんですね。それを聞いてると、やっぱ抜くのが一番良いんじゃないかなって思うようになりました。私は女性だからわかんないんだけど。……これは、アダルト雑誌の取材ですか?

———お笑いのWEBメディアです。
あら、ごめんなさい。……これは、ジョークグッズのカタログの連載ですよね?
———お笑いのWEBメディアです。
ごめんなさい、私、ジョークグッズが好きなもので。

———YOKOさんが、ジョークグッズ?
私が。いろんなグッズのなかで、ジョークグッズが一番好きです。
———それも、ファッションとの関係が?
もちろんです。やっぱり、欲っていうのはファッションにつながるから。食欲、睡眠欲、そして性欲。すべてファッションに直結していますので。おしゃれをして、誰かをモノにしたい、誰かを抱きたい、抱かれたい……というファッションもありますからね。直結してると思いますよ。

———そうなんですね。最後に、展覧会を楽しみにしているファンの皆さんにメッセージをお願いします。
シンプルに、「クリエイターズ・ファイル10年間やってたんだ」って感動と「100人以上やってたんだ」っていう驚き。それから、「YouTubeで100万人も登録者がいらっしゃる」ということ。それらを含めて、2025年はなんだかすごくおめでたい、記念イヤーだと思います。壮大に盛り上がると思いますし、ロバート秋山君のことですから、マジで胃もたれするレベルのネタが仕込まれていると思います。隙間を全部ネタで埋めたいって方なので、会場の余白はないと思いますよ。普通の展覧会ではない、体験したことのないお祭りだと思って、胃薬を飲んで来ていただきたいですね。
YOKO FUCHIGAMI SPECIAL PHOTO





PROFILE

YOKO FUCHIGAMI
トータル・ファッション・アドバイザー
日本服飾協会理事長
文, 編集:堀越 愛
撮影:ビビプロ
INFORMATION

ロバート 秋山竜次 presents 10周年 クリエイターズ・ファイル 胸やけ大博覧会 in 池袋
●会場 :PARCO FACTORY (東京都豊島区南池袋1-28-2 池袋PARCO 本館7F)
●会期 :2025年8月8日(金)~9月1日(月) 11:00-21:00
※入場は閉場の30分前まで
※最終日18時閉場
●入場料:一般1,200円、中高生1,000円、小学生700円
※入場特典付き
※未就学児無料
公式サイト:https://art.parco.jp/parcomuseum/detail/?id=1756
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主催:PARCO
企画制作:CTB/YOSHIMOTO KOGYO/SUNNYES/PARCO
協力:SUPER MARKIT/BSよしもと
制作協力:SUNBOARD
Graphic Design:SHINTARO KIRA