2021.07.02
YouTubeチャンネル『かが屋文庫』は「持ち歩けるコント」!? かが屋がずっとやりたかったこと、始動
2020年は、かが屋にとって「試練」の年でした。新型コロナウイルス感染症の流行を受け、全国4か所で開催予定だった単独ライブが全公演中止。8月に加賀の活動休止が発表され、コンビでの活動は急遽ストップ。ふたりでネタをする機会は、激減してしまいました。
しかし一転、2021年は「再スタート」の年。賀屋が3月の『R-1グランプリ』で見事決勝進出。同時期に加賀が活動再開し、直後に「単独ライブ開催」を発表。5月30日に2年越しの単独ライブ『かが屋の!コント16本!2』(無観客)を成功させました。そのエンディングで発表されたのが、YouTubeチャンネル『かが屋文庫』の始動。
再度ふたりで歩み始めたかが屋にとって、「コント」とはなにか。そして7月2日にスタートするYouTubeチャンネル『かが屋文庫』では、どんなことをやっていくのか。単独ライブを振り返りながら、かが屋の想いを聞きました。
「ライブできるんだ、かが屋で」
――2020年はふたりでネタをする機会が激減した年だったと思います。久しぶりにネタ合わせをしたときは、スムーズにできたのでしょうか?
加賀 翔(以下、加賀): 僕はめちゃくちゃゲラになってましたね。ネタ合わせがまともに進まないくらい自分で笑っちゃうというか。ヘラヘラしちゃってました。
賀屋 壮也(以下、賀屋): 照れなのかなんなのか、笑っちゃってましたね。僕はずっと活動してたから「お前がしっかりしろよ」って話なんですけど、僕も笑ってました。復帰後は『シンパイ賞(爆笑問題&霜降り明星のシンパイ賞!!)』が初めてのネタ披露の場だったんです。それ用の新ネタ練習が、(加賀復帰後)初めてのネタ合わせでしたかね。
――5月30日に単独ライブ『かが屋の!コント16本!』を開催したばかりですね。ライブを終えたときは、どのように感じましたか?
加賀: 「楽しかったなぁ」という充実感はすごかったですね。無観客ではありましたけど、「お客さんが観てくれてる」という気持ちで全力出そうと一生懸命やりました。マセキの後輩の「日食二郎」たちが袖をやってくれたんですけど、「マジかっこ良かったっす、おもろかったっす」って言ってくれて。「絶対おもろくなって、一緒にライブできるように頑張ります」って。「アツっ」て思いました。
賀屋: 気持ちいい子たちだね。
加賀: 気持ちいいね。それで、「良かったー」って思いましたね。僕は。
賀屋: 僕は、「あ、できるんだ」って安心しました。通して練習してなかったから、途中でギブアップあるなと思ってたので(笑)。16本連続でちゃんとコントをできたっていう、その事実が嬉しかったですね。
――単独ライブ開催を発表(3月22日)してから開催までの期間が短かったですよね。
賀屋: 僕に限っては、ファンの皆さんと同じタイミングですね、開催するって知ったのは。ライブ(『みんなのかが屋 トークライブ』)でサプライズ的に発表されたので。加賀とか放送作家の白武(ときお)さんとかは知ってたと思うんですけど。
加賀: 「休養中に何してたのか話します」みたいなコンセプトのライブをやったんです。VTRを作ってるときに、最後になんかオチつけたい、サプライズを作りたいですよね、みたいな話をしてて。で、「コント16本」って言ったら賀屋びっくりするぞって。それだけのために考えたんですね、最初は。そしたら本当にびっくりして、泣いたんですよ。
賀屋: (笑)。めちゃくちゃバカみたいな感じ。
加賀: めっちゃ子供ですよね。ビックリして泣いたんですよ。わー!ってなって、「うえーん」って。
賀屋: 恥ずかしかったですね、あれは。泣いちゃいましたね(笑)。発表を映像で観たんですけど、そこにいつも単独ライブで使ってもらってるフォントが使われてて。それを久々に見て「あぁ戻ってきたのかなぁ。ライブできるんだ、かが屋で」って思って、いろんな感情渦巻いて。
加賀: ベイビーちゃんですね。
――ライブ後、SNSでは「#かが屋16本」でたくさんの感想が発信されていました。その感想を見て、なにか思ったことはありますか?
加賀: こんなに好みが分かれるんだ、と。醍醐味だなと思いました。16本もやるからこそ好みが分かれるし、どれかは好きだったって言ってくださる。こうやって各々違う好みで、同じものを観ても全員が違う感想っていうのは良いなあと思いましたね。
賀屋: 劇場にお客さんがいないので、その場ではなにが一番ウケたか分からないんですよ。なので、よりそれぞれの好みが出たんだと思います。それは無観客でやったからこその面白かったところだなって。周りに左右されずに感想が言えた、みたいなところはあったのかなと。そこは新しかったんじゃないかなって思います。
――ネタ終わりに拍手の音が入っていたので、個人的には劇場で観ているような感覚で、自宅にいても飽きずに配信を観ることができました。
加賀: 僕が「拍手しましょう」って案を出しました。劇場にいた人みんなに拍手してもらって、それを僕の携帯で録音して。普段のライブだったら客席は暗いんですけど、本番中も明るくして、まるで練習中かのような状況にしてもらって。できるだけ寂しくないようにしました。「人が観てる」っていうことをちゃんと感じたくて、あの手この手で盛り上げましたね。
――芸人活動において、テレビのバラエティやライブ、ラジオなど様々な仕事があると思います。かが屋にとって、中でも「ネタ(コント)」はどんな位置づけにあるものですか?
賀屋: 一週間の過ごし方って皆さん色々あると思うんですけど……。
加賀: 良い始まり方をしましたね。
賀屋: 一週間の中で最低1日は、コントをやりたいです。「確実にコントの日があって欲しい」っていう感じですね。
加賀: 僕の中では「一番自分ができること」です。自分の能力の中で、一番伸びる可能性があるんじゃないかっていう部分ですね。自分にできる競技の中で、多分一番向いてるのがコントです。
文庫本みたいに、コントをポケットに
――YouTubeチャンネル『かが屋文庫』の開設は、いつ頃から計画されていたのでしょうか?
賀屋: 計画で言ったら、だいぶ前ですね。
加賀: 個人的な思いで言えば、『ジャルジャルタワー』ができる前からです。白バックで、シンプルにネタをいっぱい見せるというのをやりたいって思ってて。元々ジャルジャルさんが大好きだったんで、ジャルジャルさんがYouTube始めたときは本当に1日絶望してました。「終わった……」って。一番やりたいことを好きな人にやられてるっていう。……でもまぁ、自分たちもやって良いのかって思って。ネタをいっぱい見せる場というか、映像に残す場というのがやりたいな、とずっと思ってたので、今回形になってひとつ目標が叶った気持ちです。
――既存チャンネル『みんなのかが屋」がありますが、そもそも新たにチャンネル開設をすることになったのはなぜですか?
加賀: 「ネタだけのチャンネル」を作りたかったからですね。あとは単純に、チームが違うっていうのはあります。『みんなのかが屋」は、企画やライブをやったりするチームなので方向性が違うというか。なので「ネタチャンネル」として発展させるために、しっかりネタに特化したものを新しく作りたい、と。今後『みんなのかが屋』に関しては、企画を主にやっていけたらなと思っています。
――『かが屋文庫』というチャンネル名には、どういう想いが込められていますか?
加賀: 「文庫」っていうのは便利な言葉で、ハードカバーで出たものを文庫で再販することもありますし、文庫だけで書き下ろしってこともありますよね。だから新ネタも既存ネタも発信できるタイトルとして、ものすごく良い名前なんじゃないかなと思いますね。今のところは既存ネタを撮り溜めていますが、毎月新ネタを10本ずつ下ろす予定です。……やり過ぎてる!10は絶対やり過ぎてる。俺が間違った。
賀屋: 「トライアンドエラー」って言葉が会議でもいっぱい出てるんで、試行錯誤を重ねながら頑張っていきたいと思います。あと、文庫本みたいに「いつでも観やすく、持ち歩ける」みたいな意味もあったりするんじゃないですかね。スマホで観れるから。
加賀: 本当に?
賀屋: 今思いついた。文庫ね、ポケットに入れられるし。持ち歩きやすいですもんね。確かに。
加賀: 自分で「確かに」って(笑)。あんたが言い出したんだよ。
休むこと、そして豊かな心
――賀屋さんの『R-1グランプリ』決勝出場、加賀さんの復帰、単独ライブ、さらに YouTubeチャンネル開設……と、2021年はかが屋にとって「新たなスタート」の年だと思います。YouTubeだけでなく、今後やりたいことはありますか?
賀屋: いろんなところで言ってるんですけど、「ちゃんと休む」ということですね。週にちゃんと1〜2日くらい休みがあって、その上でバリバリ売れてるっていうのをやってみたいです。若手芸人さんは働きすぎなので。
加賀: 僕が言うならわかるんですけど、なぜか賀屋がね。僕に感化されて(笑)。
賀屋: 俺も当事者だから(笑)。
加賀: 僕は「楽しいこと」をちゃんと優先してやることですかね。お笑い以外だったら、いっぱい映画観るとかいっぱい本を読むとか。そういうことですかね。願いは豊かな心を手に入れることです、本当に。後から「うわーミスったー」って落ち込むことってあるじゃないですか。そういう対処を、ちゃんと上手くなっていきたいですよね。こないだ全然知らないおじさんに急に中指立てられたんですけど、豊かな心を持ってるんで、僕は。はい、なんにも言わなかったです。
賀屋: 急に立てられたら怒っていいよ、多分。
加賀: 電車で僕がつり革を持ってたら、席に座ってたおじさんが立ち上がって僕の肘に頭をぶつけたんです。そしたらおじさんが「どつかれた」と勘違いして、絡んできたんですよ。僕も戸惑って「えぇ!?」みたいな感じになっちゃって。僕もおじさんも、降りなきゃいけなかったんで電車から出たんですよ。そしたらキレたおじさんがエスカレーターに乗りながら中指立てて……指だけが、スー……(中指がゆっくりフェードアウト)
賀屋: 最悪のI’ll be back。最悪のシュワちゃん。
加賀: 僕も「ムカつくわー」と思ったんですけど、心の中で「あぁもうこれは仕方ない、豊かな心で」……ということで「インドインドインドインドインド……」と唱えて。僕も怒ってたんですけど、なんとかして落ち着こうと頭をフル回転させて、「インド」。
賀屋: すごい変な回転してたんだね。インドにたどり着いて。
加賀: うん。「違うだろ」って思って心がスッと落ち着きました。「それじゃないだろ」って。そういうのが上手くなっていきたいです。豊かな心。
――最後に『かが屋文庫』を楽しみにしているファンのみなさんへ、メッセージをお願いします。
加賀: 本当にやりたかったことをやらせてもらえてるので、本当に、ついて来てもらいたいですね。ここからもっと面白く楽しくなっていくので、是非お見逃しなく。
賀屋: これまで以上にしっかりしたネタ映像を出せると思います。いろんなところでみんなで観てくれたら嬉しいです。あとチャンネル登録と高評価をお願いします!
加賀: YouTubeで最後にやるやつだ。
賀屋: これは絶対言っとかないと。
加賀: 違う違う違う、YouTube上で言わないといけないんだよ。記事で言っても……
賀屋: いろんなところで言っとかないとね。ここで知る方も絶対いると思う。チャンネル登録お願いします!!
インタビュー 宮下 若葉、きたのやま(文)
写真・編集 堀越 愛
<かが屋|プロフィール>
マセキ芸能社 所属。
右:賀屋 壮也(かや そうや)
1993年2月19日生まれ。広島県出身。趣味は動物のイラストを描く、漫画、広島カープのファン、美術館巡り。特技は合唱。
左:加賀 翔(かが しょう)
1993年5月16日生まれ。岡山県出身。趣味は自由律俳句、短歌。特技は写真撮影(スナップ・ポートレート他)。
★公式プロフィール:https://www.maseki.co.jp/talent/kagaya
★ラジオ「かが屋の鶴の間」:https://radio.rcc.jp/kagaya_tsurunoma/
INFORMATION
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