【トム・ブラウン編】「地下芸人を忘れたなんて言わせない」サイコ・ゴリラ・穴。先が読めない、狂気の二人　～AUNインタビュー～

――大喜利は得意ですか？

みちお：　僕は、ケイダッシュステージの「若手大喜利グランプリ」でチャンピオンになってますからね。大喜利はとても強いです。

布川：　あんまり自分で言わないけどね。自分で「めっちゃ強いです」とかあんま言わないけど、それは自信あるよね。やっぱり。

みちお：　つまりなにが言いたいの？

布川：　君は自信あるよね。

みちお：　こき下ろすのか、優しくするのかどっち（笑）。

布川：　僕は確認してるだけですよ。

みちお：　あ、確認してるだけ（笑）。

布川：　自信ある人なんだよね！って。

みちお：　こき下ろすならこき下ろしてよ。

布川：　こき下ろしはしないよ。確認をしたいんだから、僕は。みちおはね、昔『ダイナマイト関西』の事務所対抗戦で、メンバーに入ってましたからね。

みちお：　補欠には入ってました。

布川：　僕は『ダイナマイト関西』のメンバーを決める、予選を兼ねたアンケートで落選してますけどね。

みちお：　まぁ、一人ずつだったら小粒ですわ。小豆ですよ。でも二人いたら、あんこですわ。そういうことですかね。体型も、あんこですからね。

布川：　いやぁ、例えが良いですよ。「例え」は大喜利ですからね。

みちお：　そうです。とにかく、コンビネーションで言ったら、かなり自信あります。高校時代から一緒ですから。

布川：　もう20年くらいは一緒にいるんじゃないですかね。出場メンバーで20年一緒にいる人、います？いないんじゃないですか？20年は。

みちお：　いないよ。

布川：　学生時代から一緒。……Aマッソとかもそうか。Aマッソは20年以上か？

みちお：　でも初戦の相手はランジャタイだから。

布川：　彼らはNSCで出会ってますよね。

みちお：　一人ずつの力だったら、もしかしたら良い勝負かもしれない。でもコンビネーションになったら、圧倒的に僕らが勝つと思いますよ。

布川：　もちろんですよ。見てたら、なに言うか分かりますからね。

布川：　「へほ」って言うと思ってました。ちょうど、「へほ」って言う顔してました。

みちお：　とにかくね、自信あります。

戦い方「は」知っている

――それぞれ、相方の紹介をしていただけますか？

布川：　最近少しメディアに出させてもらうようになって、観てる方は分かると思うんですけど……みちおはちょっと、サイコチックな出方をしてるんですよね。本当にサイコ野郎ですね。

布川：　本当にサイコ野郎です。

みちお：　まぁ、そうですね。サイコな答えだったら自信あるかもしれないですね。

布川：　あと、これ言って良いか分かんないですけど……みちおは大喜利で「ゴリラ」っていうワードをよく使いますね。だから「ゴリラ」が出たときは、自信があるときだと思って良いです。とにかく、ゴリラが好きなサイコ。これがみちおの全部です。

みちお：　ゴリラのこと尊敬してるんで。やっぱり極限の戦いになると、ゴリラはバンバン出てくると思います。

布川：　出ますね。前に『有吉の壁』の収録で、確か（大喜利の）10答中５答くらいゴリラ使ってましたから。

みちお：　まぁ、（放送では）１個も使われてなかったですけどね。

布川：　悪くは無かったんだけどね。

みちお：　布川くんて、声のキーが高いんですよ。自分の「声のキーの高さ」が面白いということを本能的に分かってるんですね。言い方と声の高さがマッチして、すごく面白くなる答えを知ってるので、かなり強者だと僕は思ってます。

布川：　助かりますね。

みちお：　だから（『ダイナマイト関西』の）アンケートで事務所内予選を落ちましたけど、実際に布川くんの声で言えば面白い答えなんで。一緒に戦う仲間としては、最強だと思ってます。

布川：　めちゃめちゃ良いこと言ってくれましたね。

みちお：　ただ、大喜利というカテゴリの中で強いか弱いかで言ったら、強くはないです。戦い方を知っている、そういうことです。

布川：　ま、10段階の7くらいのものをいっぱい出すのか、それとも、10か1のどっちかを出すか。僕は後者を取るから。

みちお：　うん。

布川：　でも、それだったら負けるからね。どうする？

光と闇を知るトム・ブラウン

――初戦で戦うランジャタイさんとは、どういう関係なんでしょうか？

みちお：　お互い地下芸人出身で、僕にいたっては芸歴も一緒です。苦しい思いを分かち合ってきた芸人の一人ですよ。

布川：　そうですね。

みちお：　まぁ、だからこそ手の内も分かってますし、勝てると思ってます。

――最近トム・ブラウンさんはテレビに出ることが増えたので、「もう地下を忘れてしまったんじゃないか」とランジャタイさんが言ってました。

布川：　それは、ほんと分かってないです。僕ら、ついこの間、早稲田クローバースタジオに出てますから。

――早稲田……？

みちお：　知らないですか？きっと、ランジャタイも出たことないですよ。お客さんが8人入ったら満員になるようなスタジオです。

布川：　そこで『キングオブコント』準々決勝のネタを調整してますから。

みちお：　もう、地下芸人を忘れたなんて言わせないですよ。泥臭い戦いをします。どんな手を使ってでもね、勝ちにいきたいと思います。

布川：　僕らなんて、テレビで共演した方に、いまだに「トム・ブラウンはいつまで経っても汚さが抜けないねぇ」って言われますから。

みちお：　そうですよ。地上の芸人だったらね、僕が口に入れた紙は確実に口に入れないけど、僕らは地下芸人ですからね。

布川：　それは、ご時世的に良くない。

みちお：　ごめんなさい。

布川：　こういうのは、テレビで覚えました。

みちお：　だからね、光と闇、どちらの加減も知ってる我々ですから。確実に勝てます。

布川：　勝てます。

――ランジャタイさんからは、トム・ブラウンさんに勝つ秘策があると伺ってます。弱点を握ってると。

布川：　えっ！？

――布川さんの肛門の写真を持ってるので、負けそうになったらそれを出す、と言ってました。

みちお：　お前は、なにを送り付けてるの……。

布川：　最近も送ったね。

みちお：　彼は、心を許した芸人仲間に自分のお尻の穴の写真を送るという癖（へき）があるんです。

布川：　そうですね。

みちお：　だから、ランジャタイには心を許してるってことなのに。だから送り付けてるのに。

みちお：　まぁでも、お尻の穴を出されても、なんの感情もわかないですよ。

布川：　むしろ、嬉しい。

みちお：　彼らは僕らの弱点だと思ってるかもしれないですけどね。僕らにとっては強みです。

布川：　僕、逆にパワー出ちゃいますから。写真出したらかえって彼らのマイナスになりますよ。でも、どの写真かにはよるけどね。何枚も送ってるから。キツめのやつもあるから。

みちお：　お尻の穴が、見え過ぎちゃうやつ。

布川：　見え過ぎて、腸が見えてるんじゃないかってやつあるからね。

みちお：　写真によっては怖いね、確かに。

――最後に、コンビの「阿吽の呼吸」を感じるようなエピソードがあれば教えてください。

みちお：　10年程前に、僕が危うく女性に手を出しそうになってしまったとき、布川くんがバッと僕を羽交い絞めにして止めてくれた。あれは阿吽だったよね。

布川：　女の子が、みちおにすごい傍若無人な態度をとってきてね。

みちお：　「お金よこせ」とか、「北海道から出てきた田舎もんがしゃしゃってるんじゃねぇ」みたいなね。

布川：　まぁ、本気で手を出そうとしてたわけではないですけどね。みちおを羽交い絞めにして、僕が女の子に「タクシー呼んで帰って！」ってお金渡して帰ってもらって。

布川：　僕じゃなきゃ、そのときのみちおを止めることはできなかったはずです。絆は深いですね。

みちお：　あと、もう一つ。漫才で、僕が「中島くんを5人集めて合体させて、最強のナカジマックスを作りたいんですよ」って言うんですね。普通のツッコミだったら、「いや意味分かんないよ」って言うと思うんですけど、布川くんは「見てみたいから作ってほしい」って言って、二人が同じ方向を見るっていう漫才をやってるんですよ。普段からそういう息の合った漫才をやってるんで。大喜利になっても、それは一緒です。

布川：　あれを「ネタ」だと思ってる人もいるんですけど。僕としては全然嘘じゃないですからね。本当に、ただ「作ってほしい」って気持ちでやってますから。

みちお：　面白いと思ってる方向が一緒なんで。確実にシンクロすると思います。