2021.09.11

【WEST ANTS ストーリー -vol.5 ボニーボニー-（前編）】荒れたマウンド、望むところ「面白くなるかギリギリを攻めていきたい」～西の地下で轟く、新たな笑いの息吹～

2021年4月、大阪のライブシーンで活動する9組18人の芸人によるユニット『WEST ANTS』が誕生しました。発起人は、大阪・西心斎橋で「BAR舞台袖」を営む加藤進之介さん。大阪のお笑いを盛り上げるべく、本当に「面白い」と思う芸人を集めました。（加藤さんインタビュー：大阪を「芸人が飯を食える場所」にしたい）

隔月で東京遠征をしている『WEST ANTS』。7月の遠征時、東京のお笑いファンを最も沸かせたのが「ボニーボニー」でした。破天荒に思えるのに、なぜだか優しさが伝わってくる彼ら。それは、「ボニーボニー」の“一筋縄ではいかない”過去があったからなのかもしれません。インタビュー前編では、コンビ結成秘話や芸名の由来といった過去のことはもちろん、『WEST ANTS』への想いなど、二人の“素”が伝わってくるお話をたくさん聞かせていただきました。（インタビュー後編はこちら）

★【WEST ANTS ストーリー -vol.0-】大阪お笑いに、新たな息吹！芸人ユニット『WEST ANTS』とは

賃貸の感覚でコンビ組むなよ

――ボニーボニーさんが結成したきっかけを教えてください。

花崎天神（以下、花崎）：　僕らは、元々NSCの先輩・後輩なんです。僕の方が1年先輩。お互い別々のコンビでやってたんですけど、解散することになって。友達おらんくて誰とも組めないってなったとき、とくのしんが連絡くれて、「じゃあ組もうか」って感じですね。

とくのしん：　そう。唯一僕にご飯奢ってくれる先輩。

花崎：　そうそう。………………もうちょっとドラマティックなこと言った方が良いっすか！？

とくのしん：　なんか、弱いわ。

花崎：　弱いとか言うな。

とくのしん：　もうちょっと喋ってくれへんと、ボケられへんやん。…………あの、僕の母が占い師なんですけど……

花崎：　いや止めろ。ちゃうちゃう、なんだよ占い師って。

とくのしん：　……大予言の末……

花崎：　いやちょっと、そんなわけないですから。大予言とか無いよ。「じゃあ、もっと早く売れとかないと」ってなるだろ。

とくのしん：　まぁ、誰とも組むアテが無かったんで……。暇してるやろうと思って連絡しました。

――それで結成されたんですね。コンビを解散してピンになる方もいますが、お二人にはそういう選択肢は無かったんですか？

花崎：　あー、考えてなかったっすね。漫才したかったんで。ずっと。

とくのしん：　僕、その頃家が無くて。あの、ホームレスやってたんで……（花崎は）家があったんで、組んだらそこに住めるってのもある。

花崎：　やばいって。その感覚で組んでんの。

とくのしん：　……正直、それはありましたね。

花崎：　いやいや、宿にしてんじゃん。

とくのしん：　今も使ってますし。

花崎：　いやそうだけど。一緒に住んでるんです。そうなんです……宿感覚なのかよ！なぁ。

とくのしん：　そうです。家が無かったので。

花崎：　いや「家が無かったので」じゃない。それは1回相談しよう、二人で。1回話し合おう。

とくのしん：　家が見つかりしだい解散ですよね。

花崎：　おい嘘だろ。賃貸の感覚でコンビ組むなよ。

とくのしん：　そういう感覚ですね。

花崎：　嘘だろ、おい。

――とくのしんさんは、なぜ家が無かったんですか？

とくのしん：　前の相方とルームシェアしてたんですけど、僕があまりにもお酒が好きすぎてバイトをしなくなって。解散と同時にルームシェアも解散しちゃって……そんとき実家の両親ともあんまりうまいこといってなくて、帰るとこ無かったんで。京都なんで近いんですけど、帰られへんしなと思って河原でギター弾いてました。

花崎：　小銭稼いで、っていう。……お前の人生おもしれぇなぁ。良いな、山あり谷ありで。

――そんな過去があったんですね。ちなみに「ボニーボニー」というコンビ名にはどんな由来があるんですか？

花崎：　とくのしんが『俺たちに明日はない』っていう映画めちゃくちゃ好きで、組もうかって話した日に観たんです。で、「あー、ボニー（登場人物）可愛いな」って。本当は「ボニーなんちゃら」か「なんちゃらボニー」にしたくて一晩いろいろ考えたんですよ。例えば「一撃ボニー」とか「ボニーゴーゴー」とか……いろいろ考えたんですけどしっくりこなくて、嫌になってきちゃって、「もうボニーボニーで良い」「じゃあボニーボニーで」「繰り返せ繰り返せ」ってなって……「ボニーボニー」です。これに決まった理由としては、喧嘩したくなかったから。ギリ喧嘩するかしないかまでいってたんで。

とくのしん：　僕がけっこう映画好きで。花崎さんは、「映画はコスパ悪い」って言うけど。

花崎：　そうっすね。2時間拘束されて、あんま面白くないんかい！っていうときガッカリするじゃないですか。アニメとかだったら30分で切れるけど。映画はコスパがあんまり良くないから好きじゃなかったんですけど……

とくのしん：　でも、まぁオススメの映画だからって一緒に観ようってなったんです。

――面白かったですか？

花崎：　女の子可愛かったです。やっぱ、金髪ショートカットっていうのがすごく良かったんで……二人とも金髪ショートカットが好きなんで、「じゃあボニーで良いか」って話になりました。

――お二人の芸名も映画に由来があるんでしょうか？

とくのしん：　僕は本名です。下の名前が「とくのしん」で。親、中卒なんで。

花崎：　言うな、そんなん。良い名前だよ。

とくのしん：　漢字やとちょっと読みにくいし、平仮名にしようかなくらいで。

花崎：　ごつすぎるんですよ。道徳の「徳」に、「之」（これ）という字に、「進」むと書いて「徳之進」なんで。

とくのしん：　平仮名にして、やわらかくして。

花崎：　僕は本名の「花崎太一」でやってたんですけど、調べたら「強運に恵まれるし人生も順風満帆にいくけど、人間関係でトラブルを起こしてずっと一人」って書いてあって（笑）。ちょうど人間関係で悩んでる時期だったんで、これはその通りかもしれない、変えんとまずいと思って、字画の良い名前に変えました。……あんま言ってないですけど、僕の好きなギャルゲーが『アマガミ』ってタイトルで。「天神」って、音読にすると「あまがみ」になるよっていう……これ他では言ってない。内緒。

とくのしん：　きっしょ。

花崎：　そう。実は『アマガミ』なんだよね。

とくのしん：　きっっっっっつ。

ライバルは「世界」と「自分自身」

――お二人が目指している芸人像ってありますか？憧れの芸人さんとか。

花崎：　僕はずっと、やすし師匠ですね。舞台衣装の胸ポケットに写真入れてるんですけど。

とくのしん：　怖いけどな。（花崎が）静岡出身なのに、怖い。

花崎：　やっぱね、やすきよ（横山やすし・西川きよし）の漫才が一番面白いと思ってるんで。はい、これですね。

とくのしん：　ずっと入れてますね。

花崎：　（もう1枚の写真を指して）これは、ガールズバーの推しの女の子ですね。お守りです。

とくのしん：　同居させんなよ。

花崎：　やすし師匠の命日、墓参り行かしてもらったり。

――ボニーボニーの漫才も、影響を受けてたりするんですか？モチーフにしてたり。

花崎：　いやー、それがね。できたら良かったんですけど（笑）。ずっと憧れていたんですけど、モチーフにできなかったんですよ。今は、「師匠が見てる」っていう気持ちでいるだけです。

とくのしん：　（横山やすし・西川きよしには）なれないですから。

花崎：　なれないっすね。憧れてても。

――やすしきよし師匠の、どんなところに憧れてるんですか？

花崎：　ちょっとキショくなりますけど、漫才のすごいところって「その人たちじゃないと成立しない」ところだと思うんですよ。誰でもできるネタをやっても、絶対面白くない。やすし師匠ときよし師匠がやってるから面白いのが、「やすきよの漫才」だと僕は思うんです。それは「漫才の究極」だと思うので……そういうところに憧れたって感じですね。

とくのしん：　……っていうのに憧れて、ギャルゲーから芸名付けた。

花崎：　まぁ、そうなってくるよね。うん。そうなってくるよね。

とくのしん：　そっから学んだ？

花崎：　え、なにが？ギャルゲーから？学んだよ。やっぱ女の子には優しくしなきゃいけないし。うん。そうそう。会話とかね……………バカにすんなよ！バカにすんな、あんまり。

とくのしん：　僕はだいぶ引きましたね。

花崎：　引いてんじゃねぇよ。

とくのしん：　（芸名の由来を）知らんかったので、だいぶ引きました。

花崎：　せやろ？今日初めて言ったから。

とくのしん：　あ～～～～、こっわ。

花崎：　今日、このインタビューのためにずっと隠していたので。

とくのしん：　絶対書いといてください。ギャルゲーから付けたって。

花崎：　内緒よ、これ。

とくのしん：　怖いわー、ほんまに。

花崎：　なんでやねん。距離とんなや。……そんな感じですね。僕はやすし師匠に憧れてます。あと『M-1』王者とかだったら、アンタッチャブルさんの漫才が好きです。あなたは？

とくのしん：　僕は、ブルーハーツ。

花崎：　芸人で出せよ。

とくのしん：　ブルーハーツです。

花崎：　話変わってくるって。ブルーハーツに憧れて芸人やるとか。

とくのしん：　リズム感があったら、音楽をやりたかった。

花崎：　いや、おい！がっかりするって。「あの人、ほんとはブルーハーツが良かったんだ」……って。

とくのしん：　ウルフルズとかね。

花崎：　勘弁してくれ！

とくのしん：　エレファントカシマシとかですね。憧れてるのは。

花崎：　んで、家が無いから俺と組んで芸人してんねや。おい、いやいやじゃねぇか、お前！

とくのしん：　リズム感あれば良かった。

花崎：　謝りな。他の芸人に。

とくのしん：　ほんとに、ネタとかもウルフルズとか見ながら……ウルフルズから作ってます。

花崎：　そんなことないのよ。作り得ないから。ウルフルズから。

とくのしん：　歌の内容から……。

花崎：　ちゃうちゃう！『大阪ストラット』から漫才作れない。ね、無理だから。

とくのしん：　ほんまにそうです。

花崎：　ほんまにそうなんかい。じゃあキショいな。キメェわ、じゃあ。

とくのしん：　ロックバンドになりたい。

花崎：　お笑い要素無いのよ、今んところ。

とくのしん：　……いや、でも本当にあんまり無いですね。憧れてる漫才師。怖いんですけど、自分でも。無いんすよね。

花崎：　なんか、プロレスラーになりたかった時期があったらしくて。

とくのしん：　あ、そうなんですよ。高校生のときレスリングやってて。大阪に「大阪プロレス」っていうのがあるんですけど、そこがコントもあるし、プロレスもちゃんとするみたいなところで。試合の中にお笑い要素もあるし、プロレスのかっこよさもある、みたいな。そこに入ろうと思ってたんですけど、進路決めるタイミングで「大阪プロレス」が経営不振で無くなったんですよ。なので、プロレスが無くなったんで、NSCに入りました。

花崎：　変な二択！

とくのしん：　ほんとにそう。

花崎：　いや、ほんとにそうだから怖いのよ。

とくのしん：　プロレスがスタートです。

花崎：　プロレススタートで、今はロックンローラーになりたくて……。

とくのしん：　お笑いやってれば、「大阪プロレス」復活したときにそっち入れるなって。

花崎：　じゃあ今、繋ぎかい！！

とくのしん：　はい。

花崎：　繋ぎでやってんねや、今、漫才。

とくのしん：　そういうことですね。最後はロックバンドです。

花崎：　その育成システムは無理よ？

――そのTシャツも、音楽系のなんですか？

とくのしん：　あ、そうですね。『キン肉マン』の「ブロッケンJr.」。

花崎：　全然ロックバンドじゃねえ！「そうですね」じゃねえよ。

とくのしん：　プロレスのほう。

花崎：　いや、『キン肉マン』をプロレスとすんなや。

とくのしん：　いやプロレスよ。これは、高校生のときにゆでたまご先生のサイン会に行って並んで買いました。もう10年弱くらい着てます。

花崎：　ずっと着てんじゃねーか。意外とアニメとか漫画好きなんです。

――割と、サブカル系のアニメや漫画とか。

とくのしん：　そうです。ぎゅっと集中してめっちゃ好きになって、その趣味を薄～く続けるっていうのをいっぱいやってたら、趣味たくさんになっちゃった。

花崎：　……そういう感じですね。一応、目指してるのはそんな感じです。

――では、「ライバル」だと思う芸人さんはいますか？

花崎：　やっぱり、『WEST ANTS』の仲間？風穴さん（風穴あけるズ）とか、絶7（絶対的7%）とか‥‥…仲間ですけど、やっぱりライバルなんでね。勝っていかなきゃいけないかなっていう。

とくのしん：　そんな無難なこと言うなや。

花崎：　なんじゃお前！オルァ！！！

とくのしん：　みんな1回は言ってるって。そんな。

花崎：　それはそうか。じゃあライバル誰？

とくのしん：　…………自分自身すかね。

花崎：　ダサいなおい！

とくのしん：　赤文字でお願いします。ライバルは自分自身です。

花崎：　いや聞いてられないのよ。自分自身って。まぁでもね……だから……世界、ですかね。この理不尽な世界……を、変えていきたい。

とくのしん：　あれ、ロックバンド寄りですか？

花崎：　いや違います。ギャルゲー寄りです。オタク寄りです。そうですね、理不尽な世界を変えるために芸人をしてる。

とくのしん：　変わらへんのよ、漫才じゃ、世界は。

花崎：　いやでもね、変えていきたいよね。じゃあじゃあ、ライバルは、僕は世界、あなたは自分自身で（笑）。

とくのしん：　え～、もっと痛いこと言いたい。

花崎：　痛いことって言うな。

とくのしん：　……（ライバルは）あんま意識してないです（笑）。

花崎：　……そうっすね～。誰かっていうより、やっぱり常に、まわりにいるやつらより面白いことしたいってのはありますね。お笑いっていうのは順位じゃないってずっと思ってるんで、結局。みんなが、ね、自分が面白いと思うことをやって、笑ってくれたら良いなっていう……感じですよね。

とくのしん：　えんちゃう？

花崎：　なんじゃあお前！読んでくれた人に好きになってもらいたいだろ！「花崎さん、熱いこと言ってるなぁ」って。今んとこ、だいぶ点数下がってるから！俺ら！

とくのしん：　そっかそっか。

花崎：　家が欲しくてとか、芸名をギャルゲーから付けたとか。

とくのしん：　そっかそっか。

花崎：　ここからポイント付けていかないと！！！

幸せになってくれる人が増えるんじゃないか

――『WEST ANTS』には、どんな経緯で参加することになったんでしょうか？

花崎：　加藤さんに声をかけてもらって。僕らフリーでやってるんですけど、二人とも「計画を立てて動く」とか「誰かと連絡を取って仕事に繋げる」とか、そういう大人なことが一切できなくて。どうしようかなと思ってたときに、加藤さんが「WEST ANTSやります」って言ってくださったんで。あ、これはそういうことをやってくださる人に頼ろうっていう気持ちで入りました。僕らは、加藤さんがいろいろやってくださる分、面白いことだけを考えようと。

とくのしん：　僕は違いますけどね。

花崎：　なんやねん。お前。

とくのしん：　僕は、『WEST ANTS』でやったほうが、一人でも多くの人に笑っていただけるかなと。

花崎：　お前ずるいて！！！

とくのしん：　一人でも多くの人を笑かせるなぁ、元気にできるなぁ、って。そういう気持ちです。

花崎：　ずるいって。

とくのしん：　『WEST ANTS』に入ったほうが、幸せになってくれる人が増えるんじゃないか。そういう気持ちで入りました。

花崎：　……じゃあ、僕も違くって！

とくのしん：　はははは（笑）。

花崎：　ちょっと、大阪変えたいかなーって。大阪変えたいなって思ってたときに、ちょうど加藤さんが「大阪変えたいんすよ」って言うから、これはガチッと合うなって。僕としては……「大阪変えたかった」、そういうタイミングだったからですね！

――なるほど（笑）。実際入ってみて、いかがでしたか？

花崎：　僕ら、前にいた事務所だと、同期もいないし漫才師もいなくて。その状態で5年くらいやってきたんで、『WEST ANTS』に入って先輩とか同期ができたのは個人的にすごく嬉しかったです。今まではできなかった話ができるようになったりもしたし。今までとはちゃう関係性の芸人仲間ができたのは、すごい嬉しかったです。

とくのしん：　えっと、まったく一緒です。

花崎：　ずるいて（笑）！！！

とくのしん：　なにがっすか。

花崎：　ずるいて！……いやでも、これに関してはとくのしんのほうが嬉しがってると思います。先輩と絡んでるときとか、嬉しそうです。とくのしんはずっと尖ってて、ホームレスになっちゃうくらいなんで……先輩とか同期とあんまり仲良くなかったけど、最近は仲良い先輩もできたし、同期もできたし。なんか嬉しそうだなーと思いますね。

とくのしん：　その、過去の僕をバリ尖らすみたいなのずるいっすよ。自分を上げるんじゃなく、僕を下げている。

花崎：　違う違う！！！

とくのしん：　なるほどね。そういう戦い方ね。

花崎：　違う違う違う違う違う。いや、でもそうでしょ。好きでしょ？『WEST ANTS』。

とくのしん：　それはもちろん。……でも別に、ね。僕は前から……先輩とか仲良いですし。

花崎：　いや、「嬉しい～」って言ってたね。

とくのしん：　言ってない。

花崎：　言ってたね！！！にぼしいわしとかと仲良くなれて嬉しいとか、言ってたね！

とくのしん：　……花崎さんこの前、「正直、人付き合いだるい」って言ってました。

花崎：　そんなん言ってない！！！！！嘘付くな、そんな（笑）。

とくのしん：　言ってましたよ（笑）。

花崎：　言うかぁ！！！言ってるかぁ！！！

とくのしん：　「あんまり関わりたくない」って。

花崎：　言ってない！いや、言ってない！！好き！めっちゃ好き！！！

とくのしん：　「集団がしんどい」。

花崎：　集団は苦手だけど、人付き合いは好きだっつの！めっちゃ好き！な、やめろってお前。嫌な嘘付くなよ。なんでそんなんすんだよ（笑）。

とくのしん：　いろんなライブに出れるのが楽しいですね！

花崎：　あぁ、ポップに終わらすな（笑）。いろんなライブに出れるし、東京に行かせてもらえるのとかもやっぱ嬉しいですね。

とくのしん：　いろんな人と一緒にライブできるのは、普通に楽しい。

花崎：　東京の芸人さんとライブできるのもそうですし、あと東京で応援してくださってる方のところに、隔月で行けてライブやらせていただけて、っていうのはめっちゃ嬉しいですね。

『WEST ANTS』のどぶさらい担当

――今後『WEST ANTS』でやっていきたいことはありますか？

花崎：　7月に東京行ったとき、僕らとハノーバーで、巣鴨の公園で単独をやらしてもらったんです。この時点で訳分かんないんですけど、その道中を加藤さんが動画に撮ってくださってて。単独までのロケみたいな感じでYouTubeに上がってる^※んですけど、それが自分で観ても楽しくて。YouTubeでも良いんで、企画でロケみたいなことはしてみたいなぁと。変なところに行ってロケするとか、今までできなかったことなので。やってみたいな、っていうのはありますね。

※公式YouTube『WEST ANTSのアリ様』より「巣鴨単独」を参照

とくのしん：　『WEST ANTS』にシンバルモンキーっていうのがいるんですけど、二人とも香川出身なんですよ。香川名物の「骨付鳥」っていうのがめっちゃ美味しくて。シンバルモンキーに香川で単独やらせて、そのゲストで出たいっす。

花崎：　やばいってお前。「骨付鳥」がメインじゃん。

とくのしん：　食べに行きたい。

花崎：　食べには行きたいよ、それは。うどんも食べてぇし。

とくのしん：　東京にも、『蒙古タンメン中本』食べに行ってるみたいなところあるんで。

花崎：　いや、やばいて！これマジで、ずっと言うんすよ。この前東京行ったときも、ライブの間の時間を縫って「どうしても蒙古タンメン食べたい」って。

とくのしん：　辛いやつ。

花崎：　辛～いやつギリギリまで食べてて、ちょっと遅刻したりとかして。あかんよ、そんなん。

とくのしん：　……だから、いろんな地方に行きたいですね。

花崎：　いや、いろんなところにメシ食いに行けたらな～じゃ、ない！楽しいけどな、それは。……じゃあ、いろんなところにご飯食べに行きたいです！変なまとめ（笑）！！！

――『WEST ANTS』の中で、ボニーボニーさんはどんな立ち位置なんですか？

とくのしん：　『WEST ANTS』の“どぶさらい”担当。

花崎：　あんま、否定しづれぇよ。

とくのしん：　どんな営業でも良いんでね。みんなが行きたくないような荒れたマウンドのところに行きたいです。

花崎：　進んで行きたがるじゃん。

とくのしん：　体を張りたい。

花崎：　そうね、他のコンビがちょっと難しいかな、というところでも。今まで「UMEDA芸能」っていうところにいたんですけど、もともとショウバーをやってたところで。そこで培った、なんにでも対応できる能力があると思うんで。そういうのを活かして笑かしにいきたいですね。……刑務所慰問とかしたいですね。

とくのしん：　僕は、ただただ100㎞歩くとかやりたいですね。

花崎：　いや、やりたいけど。おもろそうやけど。……そういう、面白くなるかギリギリのところを攻めていきたいっすね。

とくのしん：　どれだけ伝えられるのか。

花崎：　そうね、面白くなるかどうか、ギリギリのところ。真面目な顔してるけど、意外と主催の加藤さんもそっち寄りで、ギリギリを攻めたがるんで。でもそれをみんなにも強いるわけにはいかないじゃないですか。だから、その捌け口として（笑）。今はすごく真面目にまともな企画を立ててくれてるけど、やっぱ心の中で「ギリギリなことしたいな～」って欲があると思うんで。お笑いの捌け口ですね。

とくのしん：　『クレヨンしんちゃん』のネネちゃんが持ってるウサギみたいな。

花崎：　ウサギみたいな役割になれたら（笑）。

――ショウバーにいた時代は、けっこう体を張るようなことをしてたんですか？

とくのしん：　普通に漫才やってたんですけど、お客さんが酔っぱらいなんで。ヤジ飛ばされたり、顔の真ん前で「おもんないで」って言われたりとかしました（笑）。

花崎：　あと、僕は頻繁に相撲とってました。ロレインローレンスのあーるどらっていうめっちゃ痩せてるやつと、めっちゃ痩せてる僕が相撲をとるんですよ。そうすると盛り上がるんです。これって、もう「コロッセオのおもしろ」ですよね、古代ローマの。そういうところで育ったんで、ある程度のことはできます。犬と戦うくらいだったら、いけるかなと……これ、大丈夫か（笑）？まぁ、いっぱいしんどいことやってきたんで、ある程度はなにをされても笑ってできると思います。今めっちゃ楽しいですね。お客さんも仲間もいて、やりたいことやらしてもらえて。

【後編を読む】「面白いもの見せてやっから、ワクワクしてついて来いよ！」ステゴロ漫才で痺れさす

取材（撮影）：藤田うな
文：堀越愛
協力：サトミメイ、うはらほむら、石川駿介