「人生を達成しても芸人はやめない!」唯一無二の存在感を示す、人力舎のニューカマー〈GEININ DATABASE file.1 人間横丁〉

お笑いファンが「次のスター」として注目する芸人に話を聞く新連載、『GEININ DATABASE』を始動します。これは、芸歴や事務所に制限を設けず “これから” が期待できる芸人を取り上げる企画。

賞レースで結果を残しているなど、すでに知名度の高い芸人以外にも、おもしろい芸人はたくさんいます。お笑い専門メディアを掲げる『WLUCK PARK』だからこそ、いち早く「次のスター」に注目したいと考えました。

『GEININ DATABASE』第1回に登場していただくのは、プロダクション人力舎所属の芸人・人間横丁

人間横丁(左:山田 蒼士朗、右:内田 紅多)

ライブに通うお笑いファンで、彼らを知らない人はいません。独特の雰囲気をまとう彼らの強みは、一瞬でその場を “人間横丁色” に染めてしまう世界観。お笑いファンだけでなく芸人をも虜にするパワーを持つ彼らに、結成秘話やネタ作りについて、そしてこれからのことまで、幅広く話を聞きました。

私が男の人になったみたい!

———なぜ「芸人になろう」と思ったのでしょうか?

山田 蒼士朗(以下、山田): 僕は保育園くらいのときから『M-1』を観ていて、「芸人ってかっこいいな」って思っていて。そのときから、なろうと決めてました。

———かなり昔から芸人になることを決めていたんですね。

山田: そうですね。『エンタの神様』とかも、ちっちゃいときから家族で観てました。

内田 紅多(以下、内田): 保育園のときにブラックマヨネーズさんを見て、「大きくなったらホワイトペッパーズになる」って思ってたそうです。「逆になりたい」って言ってました(笑)。

———内田さんは、なぜ芸人になろうと思ったんですか?

内田: 私はお笑い好きになったのがけっこう遅くて、大学生の途中で好きになったんです。就活のタイミングで「芸人もいいな」って思ってたけど、勇気が出せなくて。でも結局就職できなくて、「あーどうしよう」っていう1年ができちゃったんです。絵を描きながらバイトするのも良いかなと思ってたんですけど、そんな時期にサツマカワRPGさんを見て「こんな、面白い方がいるんだ!わー養成所入ろう」と思いました。

———お二人とも“いかにも芸人になりそう”というタイプではないと思いますが、周りからの反対は無かったんでしょうか?

内田: 家族からは全然そういうこと言われなくって、「好きなことしなよ~」って。友だちには「1回就職したほうが良いよ」って子もいたんですけど、できなかったから(笑)。特になにも言われませんでした。

山田: 僕も、思ったよりなにも言われなかったです。

———芸人以外に、興味を持った仕事はありますか?

山田: 僕は、芸人になりたいっていう夢が中学校ぐらいで1回途切れたんですよ。部活をすごいやるようになっちゃって、テレビ観なくなって。で、高校卒業後に介護施設に就職して。

———1度、就職したんですね!

山田: そうなんです。一応就職してて、正社員だったんです(笑)!2年間働いたんですけど、お笑いは好きだったからルミネにライブを観に行って、やっぱあっち(出演する)側が良いなぁってなって。それで養成所に行くことにしました。天竺鼠さん、しずるさん、バンビーノさんとかがいたことを覚えてます。あとジャルジャルさんとか、すごい人たちが出演されてました。

内田: 山田くんは、天竺鼠さんがすごく好きなんです。川原さんがやってるブランドの服を毎日のように着てて。

山田: 「POTENHIT」(ポテンヒット) ってやつなんですけど、ほぼ毎日です。リュックとかポーチとか、たくさん持ってるんです。それくらい好きです。

———養成所に通うにあたり、数ある事務所の中で人力舎を選んだのはなぜですか?

内田: もちろんおぎやはぎさんとか、真空ジェシカさんが好きっていうのもあったんですけど、「人力舎所属の芸人です」って言うのが「イカすな」って思ったからです!

山田: かっこいいよねぇ。

内田: かっこいいよねぇ。「人力舎所属の芸人です」って。

———養成所時代にコンビを結成されたとのことですが、結成に至ったエピソードを詳しく教えてください。

山田: 最初は内田さんとクラスが別々だったんですけど、自己紹介の授業が配信されることになったんです。内田さんの自己紹介を見たときに、「漫才してる、この人と」って思って。でも、すぐには誘えなくて……初めて内田さんを見て4日くらい経ってから、お誘いのメールを送りました。

内田: 私の下の名前が紅多(べえた)で、山田くんが蒼士朗(そうしろう)なんですよ。お誘いのメールで、「紅(べに)と蒼(あお)でなんか良くないですか?」って来て。でも私は「芸名でどうにでもなるのになぁ」って(笑)。なんかちょっとアホっぽい人からメール来たな、どうしようかなって悩んでたんですけど、お話するだけなら全然良いかなって思って。とりあえずお話しようって感じで、Zoomで話したらすごく雰囲気が似ていたから「私が男の人になったみたい」って思ったんです。そのとき私が誰ともコンビを組んでなかったので、組みました。とりあえず(笑)。

———他にもコンビを組もうとお誘いがあったんですか?

内田: 実は、山田くんがメールくれたときは他の子とコンビを組んでたんです。でもZoomで話したときにはちょうど解散してて。4日だけ組んでた男の人がいたんですけど、その人はネタ合わせのときに「グミ食べる?」って渡したら袋ごと受け取って、6個ぐらい食べてて。それが嫌だったんです(笑)。

———内田さんは山田さんと「雰囲気が似ている」と思ったそうですが、具体的にはどういった部分でそう感じられたんですか?

内田: よく笑っているところです。あと、「芸人以外に興味がある仕事」みたいなのが自己紹介の授業で項目としてあったんですけど、山田くんはそれに対して「カウンセラー」って言っていて。私も人の話を聞くの好きだから、すごく良いなって思って。「似てるんだ」って思いました。

———結成後ギャップは感じませんでしたか?

内田: 私は、山田くんには結構「アツいのがある!」って思いました。『M-1』とかも、ちゃんといいとこまで行きたいっていう芯があって。「こういう風になりたい」とか、「ネタしっかりしたい」みたいな気持ちがちゃんとあります。私が悩んでたりするときも、「そんなこと気にしなくていいんだよ」って言ってくれるんです。あったかいんです、内面が。それが意外だったかもしれないですね。

山田: ギャップ、なんだろう……思ったより、「想像を超えた想像」をしてくるなあ、って。自分が考えられない考えを持ってるから、ネタの発想とかが、すごく良いなぁって思ってます。

内田: 嬉しいギャップだなぁ。

———お互い、悪いほうのギャップはなかったのですか?

内田: ちょっとデリカシーがないかも(笑)。こないだ山田くんが、カフェでチョコチップクッキー食べてたんですよ。そしたら、チョコチップが落ちて。それを「あげるぅ~」って!

山田: 口をつけてないチョコが、内田さんのトレーの上に落っこったから……

内田: でもそれ、結果論じゃないですか!落ちた先がトレーだったっていうのは。山田くんはそれを、善としてたんですよ。

山田: 良いことだと、思って……

内田: 全然意味わかんない……。だから私も食べないでいたんですよ。そのまま置いといたら、「あーい」って言って、私が飲んでいるコーヒーにぺって入れたんですよ!

山田: 違う、なんか……良かれと思って……

内田: 本人は、楽しいとか良いだろうっていう気持ちでやったんですけど、私は「わー!」ってなって。「なんで入れたのー」って(笑)。山田くんは「美味しいと思って~」って言ってたんですよ。相手が「どう思うか」っていうのは、考えられないんですよ。そういうところはあるかも。

ネタを作るときは、脳みそが浮いたら最高です!

———ネタはどうやって作っているんですか?

内田: やりたいテーマを書いて枕元に置いておいたら、次の日ネタができてるんですよ。365日サンタさんみたいな。お笑いサンタさんがいて。……というのもありつつ、私が1回台本を書いて、山田くんに見せると、「分かるか分からないか」を言ってくれます。順番とか、「こういうほうがいいんじゃない?」って言ってくれますね。

山田: 本を読むので、僕は(笑)。

内田: 本を読むのと、小さいころからお笑いを観てきたストックで、どうにかしてくれるんです。

山田: 内田さんのネタ、すごいんですよ。内田さんが言ったことに対して、内田さんが返してるから、とんでもない方向に行ってたりとかしてて。

内田: 私が書いちゃうからかなぁ。全部私が喋ってる。それを山田くんが喋っているようにね、してくれたり。……かなぁ。

山田: かなぁ、です(笑)

———内田さんは、ネタが思い浮かばずに考え込むことはあまりないですか?

内田: 思い浮かぶことが多いですね。ネタを作るときは好きな漫画をたくさん読んで、好きなもので頭をいっぱいにすると、現実からどんどん“浮いていく”んです、脳みそが。浮いたら最高です!

———日常の1コマから始まって、気づいたら現実離れしているようなネタが多いですよね。

内田: そうなんです。どれくらい現実から浮けるかが、作るときに意識している作業かもしれないです。

山田: 山本ルンルンさんの漫画が好きなんです、内田さん。

内田: “現実の話っぽいけど作られた世界”みたいな、SFっぽいのが好きで。だからそういう感じになるのかもしれないです。

山田: 僕も、万城目学さんっていう小説家さんが好きで。その人も現実の話なんだけど、SFが入ったみたいな話を書くんです。好きなものが似ているから、ネタを作っていて、すごい楽しい。

———ネタ作りで衝突することはないですか?

山田: ないですね……意見が食い違うことはない。

内田: 山田くんに「ここは無くしても良いかもしれないね」って言われたとしても、私がどうしてもやりたいって言えば、やってくれる(笑)。

山田: どうしてもやりたいことをやれなかったら、楽しくないから……。

内田: 楽しいようにしてくれます。だからそんなに「これは入れたい/入れたくない」みたいにはなんないですね。

———プライベートでも仲が良いとのことですが、大事にしている決まりごとはありますか?

内田: 楽しくいるために、「今日は楽しくできるかわからない」っていう気分のときは、先に言うってのはあるかもしれない。

山田: そうですね、ちゃんと事前に言っておく。

内田: 私が、「言わなくてもわかるでしょ、みたいなのはこの世にない!」って言ったんです。あれは嘘!

山田: (コンビを組んだ)最初のほうに聞きました。

内田: だから、ちゃんと考えたこととか、思ったこととか、伝えたいことを言うようにしてますね。

人力舎の先輩・永田敬介さんに頑張り方を教えてもらった

———意識している芸人さんはいらっしゃいますか?

山田: 僕は、マセキのフランツさん。ネタがすごい面白くって。

内田: 私も、フランツさんが1番最初に浮かびますね。すごい芸歴が近くって、1個か2個ぐらいしか変わんないんですけど、もうめっちゃ面白くて。最初に見たときから好きでした。

山田: 「負けたくないな」って気持ちもありつつ、面白いから……「くうぅ」っていう気持ちです。

内田: 尊敬が強いかもしれない。

山田: 仲良しではあるから。良い人たちです。

内田: あと、人としてすごく良いなって思うのは、十九人ってコンビのゆッちゃんw さん。すごい素敵だなって毎日思ってます。一緒にいて楽しいし、明るいし、可愛らしくて面白いから、憧れてるかも。

———では、この芸人さんに「面白い」と言われたい・認められたい、と思う芸人さんはいらっしゃいますか?

山田: パンプキンポテトフライの谷さん。面白い人に褒められたい。

内田: うわぁー!谷さんは良いですねぇ、認められたい。

内田: あと、まんじゅう大帝国の田中さん!

山田: 本当にいっぱいいます。あと、令和ロマンさん、9番街レトロさん、ひつじねいりさんとかも。

内田: あと、真空ジェシカさんとか!認めてもらえたら嬉しい!

———現在たくさんのライブに出演しているほか、テレビ出演をすることもあると思います。息切れを感じたり、疲れたりすることはありませんか?

山田: まだ全然!

内田: でも、想像してたより「戦うんだ」とは思いました。バトルライブが多くて、順位のつくものがこんなにあるんだなと思ったりはしてて。

———そうなんですね。

内田: 実は、私があんまりネタを思いつかなくなっちゃった時期があったんですよ。そのときに山田くんが、「ネタ書くよー」って言ってくれたり、人力舎の先輩の永田敬介さんが、「みんな絞りだしてるんだよ」って言ってくれて。「それを踏まえたら、辛さが減るんじゃない?」って言われたことがあったんです。みんなキラキラしてるから分からなかったんですけど、「確かに」って思って。それがすごい嬉しくて、頑張れました。

山田: 永田さんのおかげ。

内田: そんなに、心が折れるみたいなことはないんです。でも、永田さんに頑張り方を教えてもらいました。

まずはM-1で決勝に!

———お二人は、結成2年目ながら『ゴッドタン』や『勝手にシンパイショー』といった人気番組に出演されました。1年後までに、「こんな仕事ができていたら嬉しい」という目標はありますか?

山田: 今は深夜帯のネタ番組が多いから、1年後までにはゴールデンのなにか……出たい番組いっぱいある……。

内田: 1年でだんだん、時計の針を戻したいってことだよね。今は24時くらいの時間帯の番組ですけど、23時、22時、21時って、1年かけてだんだんお昼くらいまで……。

山田: お昼まで、そう!お昼の番組にも出たい!『ラヴィット!』とかも。あと、『有吉の壁』……?

内田: わー!場所でボケたりとか?

山田: ロケとかもしてみたいし……

内田: 美味しいもの食べたりもしてみたいよね。

———ネタ番組だけでなく、バラエティーにも出てみたいんですね。

内田: 出てみたいです!クイズ番組とかも。

山田: 出てみたい!

内田: ここ(下)にペンでね。

二人: モニターに書くのとか!

内田: ピンポーンって言われたいです(笑)。

———「これができたら芸人やめてもいい!」みたいな、究極の目標はありますか?

山田: 究極目標?ええー!

内田: うーん……

山田: どんなことがあっても、芸人は多分やめないです(笑)。でも、えー、なんだろう……志村さんに会いたかったんですけど、いなくなってしまったから。

内田: そしたら、人生を達成したらやめても良いってこと?人生を達成したときに、寝ちゃうでしょ、ずっと。そしたら、その後に会えるから、そこでやめられる。

山田: あ、そういうこと?………やめない!

内田: 死んでも続けるってこと?天国でもやるってこと?

山田: やるってこと。

内田: でも私、すっごい深い落とし穴にドッキリで落ちて、びっくりして死んじゃったら、辞めちゃうかも(笑)。

———ドッキリにも興味あるんですね。

山田: なんでもやります!

内田: 落とし穴に落ちたりとかしてみたいですし。急に猫が喋るドッキリとか、見てみたい。

山田: 見たいねぇ。

山田: あ、あと、ディズニーとかピクサーの声優やりたい!

内田: 声優さん!確かにやってみたい。アニメーションとか好きなので、良いなって思う。あぁいうのに関われるの。

———お二方とも、幅広い活動を目指されているんですね。

内田: そうですね、お洋服好きだからそういうお仕事とかもしてみたいし。

山田: でもまずは、やっぱり『M-1』で決勝に。

内田: それは1番大事。

山田: 最初はネタがきっかけで、メディアに出ていきたい。

———最後の質問です。芸人になる前夜の自分になにか一言かけられるとしたら、なんと伝えますか?

山田: えー!なんだろう、「楽しいよ」って。

内田: 確かに。1番だね、それは。

山田: 「楽しいから、頑張って」って言ってあげたいと思います。

内田: 私は、いぶりがっことクリームチーズを一緒に食べるとすごい美味しいんで、それを伝えたいです。

山田: え、それで良いの(笑)?

内田: 最近知ったから。そのときの自分は知らないので、教えてあげたいです。そしたらもっと早く食べれてたから!

文:渡辺 陽
写真・編集:堀越 愛


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