「僕を信じてついてきてくれたら」芸人の間でも実力はお墨付き、マセキのネクストブレイク幼馴染コンビ〈GEININ DATABASE file.3 フランツ〉

編集部が「次のスター」として注目するお笑い芸人に話を聞く新連載『GEININ DATABASE』。

芸歴や事務所に制限を設けず、今注目したい芸人さんを取り上げる新企画です。お笑い専門メディアを掲げるWLUCK PARKだからこそ、いち早く次のスターに注目したいと考えました。

第3回に登場していただくのは、マセキ芸能社所属の芸人・フランツ。

フランツ(左:土岐真太郎、右:馬場健吾)

本連載の初回に登場した人間横丁が“意識する芸人”として名前をあげるなど、お笑い好きのみならず芸人からの評判もほしいままにするふたり。

小学校の友達からコンビを組んだという実力派幼馴染コンビに根掘り葉掘り話を聞きました。

ドッジボールで同じくらいよけてるやつ

―――小学校5年生からお友達だったおふたりですが、お互いの学生時代の印象を教えてください。

土岐: 馬場ってムーンウォークができるんですよ。それでクラスの女子に騒がれてました。僕ら男子たちはクラスの端っこで「なんやあいつおもんない」って見てたんですけど、髪型とかいじってみたら返しは面白くて。「どっちやねん!」みたいな(笑)。おもんなくて女子に人気な奴なんか、男子にウケるおもろい奴なのか。めっちゃ不思議な奴でした。

馬場: 俺はどっちにも好かれたいですから……どっちも頑張ってましたね。土岐はもうほんまにこのまんまというか、ちょっと人見知りやけど男子のグループでは大はしゃぎしてる奴でしたね。

土岐: 休み時間にはクラスで最強やけど、ほかのクラスまで遊びに行くとかは一切ない人間でした(笑)。

―――おふたりが仲良くなったきっかけはなんですか?

馬場: 最初はお笑いは全然関係なくて。小学校のとき、休み時間によくドッジボールをやってたんですけど、ふたりともひたすらボールを避けてたんです。

土岐: 1年生からずっとそのスタイルでやってきてたんですよ。

馬場: 僕も「こいつめっちゃ避けるのうまいやん」ってずっと言われてて。ちょうど一緒のクラスになったときに「俺くらい避けてる奴がいるなあ」ってお互いに思ったんです。

土岐: 「あ、あいつも避けるの大事にしてる!」って(笑)。そっから僕らともうひとりとずっと3人で遊んでましたね。

―――コンビを組むきっかけは土岐さんからなんですよね?

土岐: お笑いをやりたいっていうのはずっと思ってて。高3の誕生日に「お笑い、実はやりたいねん」みたいなことをお母さんに伝えました。まあ当然反対するじゃないですか。その日のうちに先生との三者面談が開かれました。先生からも「大学は行ったほうがいい」って言われて、そこでは折れたんです。まあそのあと大学でテニスサークルに入ったらそれが楽しかったんで、お笑いやりたかったことは一旦忘れたんですけど。

馬場: 意志弱いんかい(笑)。

土岐: それで会社員になって1年間くらい働いたときに、「あんまり楽しくないなあ」って思って。そういえばずっとお笑いやりたかったよなって思い出したんです。馬場とは別々の会社だったんですけど、馬場も仕事に不満を持ってるっていう話を聞いてて。

馬場: 古着を扱いたくてリサイクルショップに就職したんですけど、家電のほうにまわされて。

土岐: 「僕と一緒にお笑いやったほうがええやろ」って誘いました。

馬場: 「おっけー」って会社辞めちゃいましたね。

土岐: 馬場が白物家電に興味がなくてよかったです(笑)。それから親にもう一回「お笑いやりたいねん」って伝えました。まだちょっと反対もされたんですけど「18歳で一回諦めて、24歳でもっかいダメやったら、俺30歳でもやりたいって言うで」って。そこでようやくお笑いの道に進みました。

馬場: 時間かかったな。

土岐: いやでも芸人になってよかったですよ。最近は馬場の顔もすごい明るくなりましたし。当時はすごい人相悪かったんですよ。

馬場: 復讐マンガの主人公みたいな顔だったんで。

土岐: いや、ほんまに。全部の車に傷をつけてく男みたいな顔してましたから。

自分の判断は間違ってないっていう謎の自信があります

―――ネタ作りはどのようにされていますか?

土岐: 事務所ライブのネタ見せがあるんですけど、その前の日の夜9時とかから作りはじめます。

―――ネタ作りの方向性としては、ふたりで話し合いながら?

土岐: そうですね、ふたりで一個テーマを決めて、そっからは浮かんだほうから「こうボケて、こうツッコむのは?」ってお互いにアイデア出して、盛り上がったら採用みたいな。だから結構楽しい時間ではありますね。

馬場: ただ、最終採用みたいなんは土岐が決めてます。

―――ちょっと話は変わりますが、YouTubeでやっているラジオの名前も土岐さんが決めたんですよね?

馬場: 「ビッグフェイステレビ」ですね!

土岐: YouTubeのチャンネル名(『おもしろフランツ倉庫』)もそうですね。コンビ名も、マセキに入ろうって決めたのも僕ですし。

馬場: 任せてる感じはありますね。

土岐: 自分の判断は絶対に間違ってないっていう謎の自信があるんですよ。ほんまに過信というか、勝手に思ってるだけなんですけど。

―――「フランツ」という名前はどうやって決まったんですか?

土岐: なんか4文字か5文字くらいのカタカナがいいと思ってて。かっこいいカタカナを考えてたんですよ。ペガサス、とか。

馬場: あぶな! ペガサスになるとこやった。

土岐: スポーツ、もいいですよね。

馬場: あぶなー! あぶないよぉ。

土岐:ただ「スポーツ」はあまりにスポーツすぎるなぁってなって(笑)。「ペガサス」もその名前で『M-1』に出てる方がいましたし。ほかのカッコいいコンビ名も調べたら全部いたんですよ。で、7番目くらいにフランツが浮かんで、検索してもいなかったんで「じゃあもうこれにしましょうか」って感じでしたね。

―――所属事務所はなぜマセキ芸能社を選ばれたんですか?

土岐: 大阪で働いてるときからマセキのネタはYouTubeで観てたんですよ。ルシファー吉岡さんとかサスペンダーズさんとかがすごい好きで。もう東京行くならマセキやろって思ってましたね。

―――関西=よしもとのようなイメージもありますが。

土岐: よしもとは、NSC入らんとダメなんですよ。僕らがお笑いやりたいって思ったのが、5月とか6月とかだったんで、次の4月を待ってそっからまた1年通ってってなったら、26歳とかになってしまう。それはちょっと遅すぎると。あと、僕がYouTubeでライブ動画を観てたみたいに、最短ルートでいろんな人に観てもらえるようにするならマセキやろって。

―――戦略的ですね。

土岐: これくらい考えて決めてるから、俺の判断は間違ってへんやろって思うんですよ。自信を持っているのでついてきてもらえたらって思いますね。

―――馬場さんから見た土岐さんはいかがですか?

馬場: 頑固なとこはありますね。やりたくないものは絶対にやりたくない奴です。あと決定までが遅いです。ちょっとした連絡とかもめっちゃ遅いから、それだけ嫌です! ライブの前日とかって、僕はバイトもせんと一日空けてるんですよ。それなのに土岐は普通に家で映画一本観たりとかしてるんで。

土岐: 「まだサボれるな?」ってパスタを食べたりしてるんで、いっつも朝の4時くらいまでかかってます。

馬場: はよせえや(笑)!

―――フランツさんのなかで、意識されている芸人さんっていらっしゃいますか?

土岐: 金魚番長さんですね。少し先輩なので言うのもおこがましいんですけど、めちゃめちゃ面白いです。『M-1』でも準々決勝にいってるんですけど、戦績も評価も足りてなさすぎるくらい面白い。騒がれてなさすぎるなぁって思います。これから先僕らも面白くなって、一緒にライブとかやっていけたら嬉しいと思うコンビですね。

馬場: 僕はセンチネルさんと春組織さんですね。とにかくスベってるところをみたことがない。

―――では、この人に面白いってほめられたい!と思うような芸人さんはいらっしゃいますか?

土岐: かなり先輩になっちゃいますけど、霜降り明星さん。大学生のときに単独ライブを観に行ったことがあって。僕、漫才は最初から最後まで、”ぱつぱつに面白くあるべき”みたいな考えがあるんですけど、それは霜降り明星さんの影響がかなりあると思いますね。『M-1』を勝ち進んで、霜降り明星さんに面白いって言ってもらえるようになりたいです。

―――前回のインタビューで、人間横丁からもおふたりの名前が挙がっていました。ほかの芸人さんからも面白い!と名前が挙がることの多いフランツさんですが、率直な感想をお聞かせください。

土岐: 本当に嬉しいです。ありがたいことに、そう言ってもらえることがここ最近かなり増えた感じがしています。

馬場: めっちゃ嬉しいんですけど、いよいよスベれへんなって思いますね。

理解できたからこそ、悔しい気持ちをぶつけることしかできなかった

―――最近、赤もみじさんが活動休止を発表されましたが、ラジオで詳しくお話されている場面にフランツさんもゲストでいらっしゃったかと思います。なにか感じたことはありますか?

土岐: 結構ショックやったんすよ。僕ら赤もみじさんめっちゃ好きやったし。でも、活動休止の理由が「ネタが浮かばん」とか「面白いと思うネタができてない」とか、そんな感じで。そうなったら確かに自分もちょっと考えてしまうやろなって思いましたね。

―――気持ちとして理解できる部分があったんですね。

土岐: そうですね。理解できたからこそ、僕らが活動休止にとやかく言うことはできなくて。悔しいという気持ちをぶつけることしかできませんでした。

馬場: 阪田さんって、めっちゃ面白い人(=村田さん)が隣におって、その人についていってるというスタンスやったじゃないですか。だから、メインウェポンの方の支え方みたいなのはめっちゃ考えましたね。たとえば、一個不満があったときにそれを相方にどう伝えるのか。すごく考えさせられました。

―――いつか土岐さんを信じられなくなったときにどうするだろうって……。

馬場: 深刻にならへん前に言うのが大事なんですかね。

土岐: たしかに、僕らは結構思ったことすぐ言いますね。この間事務所ライブのMCを僕らでやったとき、僕がめっちゃいっぱいボケたんですよ。そしたら馬場が「いやーまぁ土岐もMCでかかってるけど」みたいなこと言って(笑)。それで舞台降りてすぐ「ボケの人にかかってるって言うのだけはやめてくれ、それからひとつもボケれんくなってしまうから」って言いました。

馬場: ああそっか、ごめんごめんって。

土岐: ただこういうのを溜めてしまうコンビもあるとは思うんで……。

―――今のところ、面白いネタが浮かばなくなってしまったことはないですか?

土岐: 全く面白いと思わないネタはないですね。ただ、自分ではわからないじゃないですか。なので馬場には「拍手笑いじゃなくて、ただ拍手なだけのネタしてたらそれは言ってくれ」ってよう言ってます。たとえば漫才中に上手いことを言って、拍手だけ生まれるみたいな。そういうのって意外とバトルライブでは強かったりするんですよ。でもそういう状況になったら結構危ないんですよね。そういう感じにはなりたくないなと思ってます。

「思ってるよりまぁ結構、いけるんちゃう?」

―――直近で、なにか大きな達成目標はありますか?

土岐: お笑いだけで生活したいです! バイトせずに、お笑いだけで生活できるようになりたい。1年以内に、もしかしたら実現できるかもって思ってます。

馬場: たしかに、めっちゃ頑張ったらできるかもな。あとは直近だと『M-1』でいところまで行くとか。

土岐: そういうとこで結果残して、自分達でライブやりますっていうときに、いっぱいお客さんが来てくれる状態にしておきたいですね。

―――馬場さんも、同じ目標ですか?

馬場: はい! 土岐が食えてるってことは、僕も食えてるってことですから。

土岐: たしかに目標とか、好きなお笑いとか、僕らはかなり一致してると思いますね。子供のときからおんなじお笑いを共有してるんで。一緒にライブも観に行ってましたし。

―――「これが達成できたら芸人やめてもいい」と思えるくらいの究極の目標はありますか?

土岐: うーん、相当やめないですけどね。やめないですけど……。こんなことが起こったら、お笑いやめてもいいってことですよね?

馬場: それくらい最高のやつ。

土岐: 大人数の前で漫才をやって、4分間ネタやったら4分間ずっと大爆笑で。霜降り明星さんとか、ママタルトさんとかさすらいラビーさんとか、僕が面白いと思ってる人全員が「お前ら、めっちゃおもろかったな!」ってばーっと駆け寄ってきて、胴上げをしてくれる。そんときは流石にやめてもいいかもしれませんね。

馬場: 死ぬ前の夢やん(笑)。

土岐: それ以外はやめないかもしれないっすね。

馬場: 僕はベタですけどテレビのMCとかして、めっちゃ面白い人たちを見つける番組をやりたいです。僕、変な人とかやばい人への許容範囲がめちゃくちゃ広いほうなんです。『激レアさん』とか『アウト×デラックス』みたいな番組で、とにかく変な人と出会っていきたいです。

―――土岐さんは、今後出演してみたい番組はありますか?

土岐: 関西で千鳥さん、笑い飯さん、野生爆弾さん、トータルテンボスさんがやってた『シャバダバの空に』っていうテレビ番組があるんですけど、そういうのになれたら最高やなって思います。自分達がおもろいと思いあってる人だけで何組か集まっておもろい企画をやる番組ができたら最高ですね。

―――では最後に、芸人になると決めた前夜の自分になにか声をかけるとしたらなんと声をかけますか?

土岐: 「結構面白いみたいやで?」みたいのは伝えたいですね。僕らお笑いサークルにも入ってへんし、会社員してたし。ほかのお笑いを目指してる人と自分の差がわからないんですよ。その不安を取り除いてあげたいです。「なんか思ってるよりまぁ結構、いけるんちゃう?」って。

馬場: ほんまの前夜でいったら、「お前が今やってるスプラトゥーン2、明日ごろに引っ越しでお金なくなって売るで」って。

土岐: そんなん言ったらお笑いやってくれへんのちゃう? スプラトゥーンやりたすぎて。

馬場: たしかにな(笑)。じゃあ、「スプラトゥーンより楽しいかも」とは言いますね。「売って余りあるほど楽しいよ」って伝えたいです。

文:渡辺 陽 撮影:堀越 愛 編集:フクダ

<フランツ|PROFILE>

マセキ芸能社所属

左:土岐真太郎

右:馬場健吾

★公式プロフィール:https://www.maseki.co.jp/talent/franz
★公式YouTube:おもしろフランツ倉庫

<ラジオ>
★stand.fm:フランツのGeneral Audience
★YouTube:ビッグフェイステレビ

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