人力舎を牽引する若手芸人が集合!2020年最後のネタライブ『紅白ネタ合戦!』

2020年12月18日(金)・19日(土)、新宿バティオスにてお笑いライブ『どっきん!』が開催された。『どっきん!』は月1回開催されている人力舎主催の若手ライブ。今回は2020年最後ということで、『年末恒例!人力紅白なんでも合戦!!!』として2日間で5ライブを実施。ネタはもちろん、宴会芸・歌・大喜利といった多彩なテーマでライブが行われ、2020年『女芸人No.1決定戦 THE W 2020』 優勝の吉住をはじめとする豪華メンバーが出演した。ここでは、19日(土)に行われた『紅白ネタ合戦!』の様子をレポートする。

『紅白ネタ合戦!』は、19日(土)に行われたライブの第1部として開催。出演者は、ういろうプリン・真空ジェシカ・トンツカタン・ふぁのシャープ・化石コンパス・吉住・しんぷる内藤・ターリーターキー・ネギゴリラ・竹内ズ・パルテノンモード・みたらし祭り。人力舎の中でも、今年特に活躍したメンバー達である。

ライブは13時開演。公演時間は約1時間半

12時40分の開演に合わせ整理番号順に呼び込まれ、入り口で消毒・検温の上入場。座席は間隔が空けられており、感染対策が徹底されていた。

1席ずつ空けられた客席。また、観客アンケートは壁に貼られたQRコードを各自が読み込み、WEB上で回答

 

前説は結成1年目の若手・みたらし祭り。『THE W』で吉住が優勝した直後、人力舎HPがサーバーダウンしたエピソードなどを紹介し、開演前の会場を温めた。

前説のみたらし祭り(左:りゅうせい、右:ゴッチス)

『THE W』の裏話を皮切りにライブスタート!

オープニングに登場したのは、真空ジェシカ(ガク・川北茂澄)、吉住、タ―リーターキー(玉遥香・伊藤那美)。吉住が『THE W』優勝直後だったこともあり、冒頭からお祝いムードに。急激に多忙になり“怖い仕事”が続いていたという吉住は、安心した様子で「こんなに『どっきん!』があって嬉しいことってあるんだ」と語った。

(左から)真空ジェシカ(ガク・川北茂澄)、吉住、タ―リーターキー(玉遥香・伊藤那美)
吉住はこの日も、ライブ後に大物芸人と共演する番組収録があったという

トークはそのまま『THE W』の話題に。人力舎からは、吉住とタ―リーターキーが決勝に進出。なぜか当日楽屋に真空ジェシカが現れ、出演者より先にケータリングを食べていたというエピソードが話された。また、「(優勝後は)寝れているのか?」と問われた吉住は「意外と寝れている」と回答。会社からのメンタルケアが徹底されており、ほぼ毎日数名のマネージャーが電話で「大丈夫?」と聞いてくれるという。「本当に良い事務所」と感慨深げに話した。

オープニングのターリーターキー(左:玉遥香、右:伊藤那美)

吉住が優勝した際、タ―リーターキー・伊藤が泣いていたことをガクが指摘。すると伊藤は「吉住さんが泣く人間だと思っていなくて……」と説明。吉住の“人間味”に気付いたこと、そして、10年程賞レースで良い結果を残せていなかった人力舎から優勝者が出た、という感動で涙を流したそう。

真空ジェシカからライブの趣旨が説明され、ネタブロックへ。

芸歴1年目~賞レース優勝者まで登場!

最初に登場したのは、みたらし祭り(りゅうせい・ゴッチス)。別れを切り出そうとする彼女と、回避しようとする彼氏の攻防を、テンポよく演じた。

みたらし祭り(左:ゴッチス、右:りゅうせい)。オリジナル音源を巧妙に使うコントでスタートダッシュをかけた

次に登場したのは、トンツカタン(お抹茶・森本晋太郎・櫻田佑)。漫才は「刑事ドラマ」の好きなシーンを再現するというテーマ。普段の関係性が垣間見えるような掛け合いに、会場からは常時笑い声が。

トンツカタン(左:お抹茶、中央:森本晋太郎、右:櫻田佑)。トリオだからこそのコンビネーションを披露

3番目は、吉住。クラスメイトの「たっちゃん」と過ごす部屋に入ってきた、父親とのやり取りを演じた。切なげな歌をBGMに、哀愁漂う演技は圧巻。

感情豊かな一人コント。その迫力に、笑いながらもなぜかこちらまで泣きそうに……

4番目に登場したのは、真空ジェシカ(ガク・川北茂澄)。川北が“とあるもの”を失くしてしまった、というテーマで、独特の世界観の漫才を展開。

真空ジェシカ(左:ガク、右:川北茂澄) 。吉住の話題を出しつつ、全編下ネタで漫才

第2ブロックは、楽器を使ったネタやピンネタも

中MCを担当したのは、しんぷる内藤ネギゴリラ(酒井駿、細野祐作)。ここでも話題は『THE W』に。所属事務所から優勝者が出ることへの喜びを語った。細野は単独ライブや予選で吉住の音響を担当しており、本番も同行していたそう。音響をやりすぎた細野は「(音響を)叩く」という独特の表現を使いながら、当日を振り返った。音響は「(吉住の)人生がかかっている」ため手が震えるほど緊張するそうで、緊迫感のある貴重な経験ができたと話した。

左から、しんぷる内藤、ネギゴリラ(酒井駿・細野祐作)

細野によると、「(音響は)僕の下が育っていない。人材不足」ということ。音響はミスをしないだけではなく、本番後のメンタルケアまでが重要と説明した。

ネタブロック5番目に登場したのは、ふぁのシャープ(わたなべオーケストラ・かわいタクト)。音楽用語とオーボエを巧みに操り、唯一無二の漫才を披露。

ふぁのシャープ(左:わたなべオーケストラ、右:かわいタクト)。漫才中に演奏も聴けるので、一石二鳥!(?)

6番目に登場したのは、パルテノンモード(宮治慎吾・小野龍一)。漫才のテーマは、「“め”と“ぬ”の発音の違い」。特有のワードセンスで、テンポの良い掛け合いを見せた。

パルテノンモード(左:宮治慎吾、右:小野龍一)。個性派揃いのメンバーの中、正統派漫才を披露

7番目に登場したのは、ネギゴリラ(酒井駿、細野祐作)。久しぶりに会った友人の「しゃべり方が変わった」というテーマでコントを展開。

ネギゴリラ(左:酒井駿、右:細野祐作)。しゃべり方が変わってしまった酒井の話を、細野が落ち着いて聴いているのが印象的

8番目のしんぷる内藤は、「3つの首をもつケルベロス」というテーマでピンネタを披露。1度聞いたら頭から離れないオリジナル曲とともに、舞台を駆け回った。

「内藤ケルベロスだ」と歌いながら、特有の世界観で客席を魅了

実力派が続く第3ブロック

換気を兼ねた中MCに登場したのは、ういろうプリン(内間一彰・丸山雄史)ふぁのシャープ(わたなべオーケストラ・かわいタクト)。内間から「風呂場で死にかけた」というエピソードが。泡をモコモコにして洗顔していたところ肺まで吸い込んでしまい、息ができなくなったそう。“100円で8分”のコインシャワーを使っていた内間は時間に追われており、「こんなことしている場合じゃない」という気概でピンチを乗り切ったという。

左から、ういろうプリン(内間一彰・丸山雄史)、ふぁのシャープ(わたなべオーケストラ・かわいタクト)

続いて、話題はわたなべの特技に。どんな質問でもオーボエで回答できるという。例えば「好きな犬種は?
」という質問には、『マル・マル・モリ・モリ! (薫と友樹、たまにムック。)』を演奏(正解は「マルチーズ」)。わたなべならではの特技で会場を沸かせ、ネタブロックに繋いだ。

ネタブロック9番目に登場したのは、ターリーターキー(玉遥香・伊藤那美)。「コンビニ店員をやりたい」という玉に対し、伊藤が「嘘じゃん」と返す掛け合いから漫才を開始。『THE W』決勝進出の実力派が、ネタ第3ブロックを軽やかにスタートさせた。

ターリーターキー(左:玉遥香、右:伊藤那美)。かみ合わない二人の会話に、思わず引き込まれてしまう

10番目に登場したのは、化石コンパス(増子潤也・木下裕之)。「好きな子が引っ越してしまう」という話題からコントがはじまると、親友であるという二人に“とある共通点”が見つかる。青春時代の甘酸っぱさと変態性が入り混じる演技を展開した。

化石コンパス(左:増子潤也、右:木下裕之)。爽やかな片思いコントと思いきや……!?

11番目に登場したのは、竹内ズ(竹内大規・がまの助)。「しゅうまい」をめぐる店員と客のやり取りを演じた。

竹内ズ(左:竹内大規、右:がまの助)。巧妙に作られた“小道具”にも注目を

トリを務めたのは、ういろうプリン(内間一彰・丸山雄史)。「お金を稼ぐ方法」をテーマに漫才を披露。内間のキレあるツッコミが隙間なく続き、観客を巻き込みつつ安定感のある漫才を展開。

ういろうプリン(左:内間一彰、右:丸山雄史)。ういろうプリンと言えば、「あっち行けよ」。この日も何度も会場が沸いた

僅差の紅白戦を制したのは……!?

エンディングに登場したのは、ういろうプリンとターリーターキー。『THE W』出演のターリーターキーをういろうプリンが賞賛し、観客投票へ。

観客には、パンフレットとともに紅白の色紙が配布された

【紅組】
吉住・タ―リーターキー・ふぁのシャープ・ネギゴリラ・竹内ズ・みたらし祭り

【白組】
ういろうプリン・真空ジェシカ・トンツカタン・化石コンパス・しんぷる内藤・パルテノンモード

投票の様子。観客は紅白いずれかの紙を上げ、舞台上から勝敗を確認

観客投票の結果は拮抗。結果は、紅組18票、白組14票。『THE W』決勝進出者を2組擁する紅組が接戦を制した。勝者には特に賞金や景品があるわけではないそうで、「そういうところも人力舎の良いところ」としながら、エンディングへ。1年を振り返りつつ、2020年最後の事務所主催ネタライブを締めくくった。

 

ライター・撮影:堀越 愛

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