2024.12.06
【「M-1グランプリ2024」決勝進出会見レポート】初進出、ラストイヤー、下剋上!勝負の決め手は「M-1への愛」?
ついに20回目を迎えた“漫才頂上決戦”『M-1グランプリ』。12月5日(木)、その準決勝が東京のNEW PIER HALLで行われた。『M-1グランプリ2024』のエントリー数は、過去最高の10,330組。準決勝に残ったのは、わずか31組だ。
即完となったプラチナチケットを手に入れた観客が固唾を呑んで見守るなか、16時から準決勝はスタート。トップバッターのロングコートダディから、ラストのトム・ブラウンまで、31組のネタが次々と披露され、終演は19時ごろ。ついさっきまで熱戦が繰り広げられたその場所で、決勝進出者が発表されたのは21時を回るころだった。
今回のファイナリストは発表順に、ママタルト、令和ロマン、ジョックロック、真空ジェシカ、エバース、トム・ブラウン、ダイタク、ヤーレンズ、バッテリィズの9組。
ここでは、ファイナリストたちが登場した記者会見の模様をレポートする。
ヤーレンズ・楢原「二人の時間が最高!」
現王者が再び戴冠するのか、あるいは決勝の舞台で辛酸をなめた者たちの下剋上か。はたまた新参者が大会をかき回すか。ラストイヤー組の爆発か──。
TVerで配信された決勝進出者会見。このファイナリストのラインナップから、今年のドラマへの期待も膨らむ。しかし、ディフェンディング・チャンピオンの令和ロマンの髙比良くるまは、お笑いファンの無数の妄想をなぎ倒すかのように、決勝進出を「通過点、ただそれだけです」とうそぶく。さらには「負けるわけにはいかないので、すべての子羊漫才師を、檻に帰す」とボケながらも、ラスボスとして立ちはだかる覚悟を示した。
そんな圧倒的王者に挑む、昨年準優勝のヤーレンズ・楢原真樹は「憎き令和ロマンを倒すため、今年はパワーにパワーを重ね、筋トレに筋トレを重ね……」と、とにかく力を蓄えてきたことをアピールする。「ほかの芸人とうまく絡めていない」と舞台上での芸人同士の絡みに若干の苦手意識を見せるも「ラジオだけ4本決まった」「二人の時間が最高」と自画自賛で気持ちを立て直し、二人きりの漫才ならば誰にも負けないという意地を示した。
2021年から4年連続の決勝進出となった真空ジェシカは、お決まりのふざけっぷりで司会のマヂカルラブリーを呆れさせる。野田クリスタルの「お前ら会見だけ来るな」というセリフに、「かまいたちさんなら、そんなこと言わない」と反撃する川北。かまいたちが司会を務めた2022年大会の決勝進出者発表会見を、このなかで唯一知っている川北ならではの切り返しだ。しかし野田も黙ってはいない。「ここ(司会のポジションでも)賛否両論ある!?」と、「漫才か漫才じゃないか論争」の当事者にしか言えない切り返しで応戦した。両者のやりとりも、今年で見納めとなるのか否か。
フレッシュな初決勝組
実力者たちが会見場の空気を掌握するなか、4組の“初決勝”コンビも存在感を見せた。なかでも結成2年半の大阪の雄・ジョックロックは、福本ユウショウのアキレス腱を伸ばすようなポーズで行うツッコミスタイルが、会見でも大いにハマる。「これめちゃくちゃCMにも使いやすいので!」とアピールし、M-1後のブレイク候補筆頭に名乗りを上げた。
同じく初決勝組のママタルトは、大鶴肥満が体重190kgあることから、決勝ステージの設営スタッフも「肥満仕様」へのアップデートを余儀なくされているとか。すっかり肥満の代名詞となった(?)「まーごめ」(まーちゃんごめんね)とともに、ついに全国区となる日も近い。
今年、数々の新人賞レースで活躍したエバース。ファイナリスト発表時、「ゾーンに入ってた」という町田だが、実は緊張しやすいのだとか。相方の佐々木は「この2週間、緊張しないように全部のライブ、本当に準決勝だと思ってやろう」と決めたところ、すべてのライブで町田がセリフを噛んだと明かす。決勝では町田がゾーンに入れるかどうかが、カギとなりそうだ。
そして、マヂラブ・村上が「面白いなと思って見てました」「かわいい!」と絶賛したのが、バッテリィズ。結果発表で名前を呼ばれたときの心境を語るエースの「(名前を読み上げられたのが)最後やったんで、呼ばれへんかなと思ってたら呼ばれたんでうれしい」という、素直な言葉に、会場も温かい笑いに包まれた。質問されても、エースは「ごめんなさい、なんですか?」と聞き返してしまう。錦鯉・長谷川雅紀や、モグライダー・ともしげ の枠を今大会で担うのは彼かもしれない。
ラストイヤーの承認欲求と出所明け
フレッシュな顔ぶれとは反対に、「結成15年以内」という大会規定によって“ラストイヤー”を迎えたトム・ブラウンとダイタクの二組にも注目だ。
2018年大会以来、6年ぶりに決勝の舞台に帰ってきたトム・ブラウン。ギラギラした目で当時の思い出を語るみちおだが、相方の布川ひろきが「みちお、かかっててムカつきますね」と言い出す。結果発表時、やたらと「えずいていた」というみちお。しかし布川は「あれ、承認欲求ですよ」と、ぶっちゃける。喧嘩するほど仲が良い二人の一触即発に場も盛り上がる。
トム・ブラウンの所属事務所であるケイダッシュステージからは今回、ヤーレンズも決勝に来ている。同一大会で吉本以外の事務所から2組のファイナリストが誕生したのは、2001年、2002年、2022年以来、4度目の快挙だ。盟友たちの『M-1』最初で最後の共演からも目が離せない。
そして、なんといっても発表時に一番芸人たちを湧かせたのが、ダイタクだ。6回目の準決勝で、ようやくファイナリストになれた双子の二人。兄の大は、コンビ名をコールされたときには泣かなかったものの、「(芸人仲間たちが)出所明けくらい来てくれて、そのときにやっぱ泣きましたね」と語る。15年間、愚直に腕を磨き続けてきた二人は、芸人仲間からの人望も厚い。「ラストイヤー×初決勝」の舞台にどう挑むのか。
M-1への愛が問われる大会に?
会見後、9組は各メディアからの質問に答えた。「前年王者が敗者復活ではなくストレートにファイナルに駒を進めた心境」を問われた令和ロマン・くるまは「実はちょっと意識していました。敗者復活に行ったらマジで炎上するだろうなと思ってたんで、それはよかったです」と、実はホッとしている胸の内をここで明かした。さらに「勝負の決め手は?」という問いには、「M-1への愛じゃないでしょうか!」と豪語する。
20回の節目を迎えた『M-1グランプリ2024』。実力伯仲。勝負を最後に決めるのは、時の運と、M-1への愛なのかもしれない。
決勝戦は、12月22日(日)18時30分からABCテレビ・テレビ朝日系にて放送される。また、決勝戦に先立って、22組のセミファイナリストによる敗者復活戦の模様も15時から放送される。
文:安里 和哲
編集, 撮影:堀越 愛
INFORMATION
「M-1グランプリ2024」概要
「M-1グランプリ2024」
12月22日(日)放送 よる6時30分 ~10時10分
ABCテレビ・テレビ朝日系列全国ネット生放送
「M-1グランプリ2024 敗者復活戦」
12月22日(日)午後3時~よる6時30分
ABCテレビ・テレビ朝日系列全国ネット生放送
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主催:M–1グランプリ事務局
(制 作) ABCテレビ、吉本興業
(ネット) ABCテレビ・テレビ朝日系列24局ネット