狂気と狂気のぶつかり合い!第3回コンビ大喜利王決定戦『AUN』ライブレポート

地上波TV放送でも好評を博した『AUN〜コンビ大喜利王決定戦〜』の第3回が8月28日(土)に東京・下北沢の北沢タウンホールで開催された。

出演者は、Aマッソ、カナメストーン、真空ジェシカ、ママタルト、ランジャタイ。そして初登場組にサスペンダーズ、トム・ブラウン、野田ぶるまちゃん(ユニット)。MCは、お馴染みバイク川崎バイクと、期待のメンバーが揃った。ここでは、本大会を振り返るレポートをお届けする。極力ネタバレしないよう気を付けるが、なにも知りたくない人は先にアーカイブをチェック!(チケットはこちらから)

「初めて観る方は、何が起きても驚かないでくださいね」byバイク川崎バイク

大きな拍手の中、MCのバイク川崎バイク(以下、BKB)が登場

登場するなり好き勝手に暴れ回る出演者をBKBが捌く様子も、このライブの醍醐味。出演メンバーは、それぞれが「登場シーン」に並々ならぬ力を入れている。

これは、本当に大喜利ライブなのだろうか?と毎回混乱が起きるこのライブ。今回も、各メンバーの混沌入場に客席が沸いた。

1回戦・第1対戦:真空ジェシカ VS カナメストーン

第1対戦は真空ジェシカ(ガク、川北茂澄)VSカナメストーン(東峰零士、山口誠)。

真空ジェシカの登場と同時に、暗黙の恒例行事(?)となったBKB困らせ選手権がスタート。

「これは、どうしたらいい……一回トイレ行こうかな」フリーダム過ぎる真空ジェシカに、早くも匙を投げたいBKB
初っ端から、「カオス」以外の何物でもない

「ほんまに、ほんまにほんまに、ほんほんほんほんまに……」

なかなか席に座らない二組に対して「ほんまに」しか言葉が出なくなるBKB。「ほんまに」という言葉に、こんなにも切実さと哀愁を感じることが、かつてあっただろうか。「ほんまに」連呼も虚しく、間髪入れずに舞台の袖で痴漢が発生するなど、舞台上はドタバタが止まらない。なんて楽しい空間なのだろう。

痴漢発生直後の舞台
「ガクくんまだお題出てないよ!」このときは、まだガク以外誰も着席していなかった

登場からおよそ15分。やっと大喜利がスタート。

相談し合うカナメストーン。仲睦まじい姿は、観ている側まで楽しくなる魅力がある

初戦は、王者・真空ジェシカがカナメストーンを圧倒し、準決勝への進出を決めた。

1回戦・第2対戦:ランジャタイ VS トム・ブラウン

第2対戦は、ランジャタイ(伊藤幸司、国崎和也)VSトム・ブラウン(布川ひろき、みちお)。

第1対戦のフリーダム登場を目の当たりにしてしまったので、いやが上にも登場の期待値が高まってしまう。が、それを易々と超えてくるのがさすがの、奇怪(!?)派コンビたちだ。

カラスに襲われながら入場するランジャタイ国崎と、それを見つめる伊藤
納言・安部の写真集を掲げ、売り歩く布川。そしてみちおの仮面を被ったみちお

なぜかセットをなぎ倒していくみちおと、突然飛び回るドローン(操縦は国崎)。客席からは悲鳴が上がり、まさに阿鼻叫喚。

さながら破壊神と化したみちおをよそに、各メンバーも好きに暴れ回る

一転、大喜利では良い回答が次々と飛び出す。手に汗握る、接戦のシーソーゲームが始まった。

お題は一般募集から採用されたもの

勝負はもつれ込み、サドンデスへ。最終お題は「時限爆弾大喜利」。爆弾を持っているコンビが回答権を持ち、爆弾を交互に渡し合い、60秒のタイミングで爆弾を持っている方が負け、というルールだ。

激戦の末、ランジャタイが準決勝へ勝ち進んだ。

1回戦・第3対戦:ママタルト VS サスペンダーズ

第3対戦は、ママタルト(大鶴肥満、檜原洋平)VSサスペンダーズ(古川彰悟、依藤たかゆき)。

一人で登場した檜原。手には謎の板

ママタルト・檜原は、「サスペンダーズが相手であれば、大鶴肥満は虚像で十分」とソロ登場。手に持った板から浮かび上がったのは、ホログラムになった手乗りサイズの大鶴肥満だった。

檜原の手の平から現れた、小さな大鶴肥満。「まーちゃんごめんね」
初登場のサスペンダーズ依藤は、実家のコンビニエンスストアの制服と、ちっちゃい寺田寛明を装備し気合十分
巨象が現れた

事前取材で大喜利は不慣れと弱音を吐いていたサスペンダーズだったが、軽快なテンポで回答を繰り出し、前回準優勝のママタルトと意外な好勝負を見せる。

「一件落着大喜利」という少々設定が込み入ったお題も即座にモノにし、会場の空気を掴んでいた。シーソーゲームが繰り広げられた第3対戦は、僅差でママタルトが勝利。初出場のサスペンダーズを下し、準決勝に進んだ。

1回戦・第4対戦:野田ぶるまちゃん VS Aマッソ

第4対戦は、野田ぶるまちゃん(野田ちゃん、紺野ぶるま)VS Aマッソ(加納、村上)。

初出場の野田ぶるまちゃんと、過去2回の『AUN』で名回答を連発してきた大喜利モンスター・Aマッソとの対決。唯一の「ユニット」出場となる、野田ぶるまちゃんのコンビネーションやいかに。

「ちーす、ぶるまちゃんすわ」白スーツが似合っていた紺野ぶるま
野田ちゃん本人が登場……かと思いきや、みちおが登場。パンパンでジャケットを羽織れない
意外にもサラっと登場したAマッソ。しかし、BKBに差し入れで渡した品物は……
紺野ぶるま著『「中退女子」の生き方』から、優勝できるコツを見つけてきたAマッソ。63ページを朗々と読み上げた

大喜利中、野田ちゃんが何度もぶるまの顔を覗き込み、逐一指示を仰ぐ様子がとても印象的だった。ぶるまから返されるクールな指摘一つ一つに、二人の良好な(?)関係性とヒエラルキーが伺えた。

序盤はAマッソが名回答を連発し差がついていたが、お題チェンジ後にエンジンがかかってきた野田ぶるまちゃん。見事な追い上げを見せ僅差まで追い詰めたが、Aマッソが逃げ切り準決勝へ進出した。

準決勝 真空ジェシカ VSランジャタイ

準決勝初戦は、『AUN』のお馴染みメンバーである真空ジェシカ VSランジャタイ。

先に呼びこまれたのは、真空ジェシカ。ガクが意気揚々と「さっさとやりましょう!」と登場するが、川北がいない……!?

川北はサワムラーになった

ランジャタイは、応援隊としてカナメストーンを引き連れて登場。気合十分で準決勝に挑む。

「俺たちは4人でひとつだ!」と雄叫びをあげる4人

お題のテーマは、「架空偉人大喜利」。BKBも「これはおもしろ大喜利ですよ」と名回答を期待しているよう。

大喜利が始まると、BKBの期待に応えるように「おもしろ回答」が続出。第1回・第2回『AUN』では大喜利らしい大喜利をなかなかできなかったランジャタイだが、今回は目の輝きが違う。BKBに「第1回・第2回より全然良かった」と言わせる成長を見せたが、惜しくも敗退。

決勝に進出したのは、真空ジェシカ。

準決勝 ママタルト VS Aマッソ

準決勝2戦目は、ママタルトVS Aマッソ。

「こいつ、僕の肩で汗拭きました!」
大鶴肥満の汗拭きにジャケットを使われてしまった檜原。虎視眈々と汗拭きチャンスを狙う姿にコンビ仲の良さが伺える。

汗じゃなくて口を拭おうとする大鶴肥満

Aマッソは、紺野ぶるまと共に登場。占い師に扮したぶるまは、初戦敗退の恨みを晴らすかのように、次々と切れ味鋭い診断を下す。

ぶるま「33が着る服じゃないからね」

お題のテーマは「前説大喜利」。芸人なら誰しも通る道である「前説」。ある意味“芸人あるある”にトリッキーな設定が加わるこのお題、各コンビどんな回答を繰り出すのか。

↑このキャスティングは、絶対に「手違い」ですね
回答中のママタルト。センターマイクがやっぱり似合う

結果は、両者同点。最終的に、サドンデスお題「時限爆弾大喜利」で勝者を決定することに。60秒後、爆弾を持っていた(時限爆弾爆発)のはママタルト。

「運も実力のうち」という言葉がある。勝利の女神はAマッソに微笑んだ。

決勝 真空ジェシカ VS Aマッソ

決勝で戦うのは、真空ジェシカとAマッソ。

川北は、「イルカも泳ぐわい!」とAマッソ・加納のエッセイ名を叫びながら入場。可愛らしいイルカは、大喜利中もずっと川北の周りを泳いでいた。

手描きであろう愛くるしいイルカを従える川北
インフィニティ新シリーズ(?)「無限近藤」

最終決戦のテーマは「2on2」。個々人が大喜利に回答する、シンプルな大喜利対決だ。怒涛のスピードで息つく暇もなく両コンビの回答が飛び交い、殴り合いにつぐ殴り合いが止まらない。

白熱する点取り合戦の末、王者の座を手にしたのは、真空ジェシカ。なんと、『AUN』3連覇である。「コンビ大喜利王」の名を不動のものにした。

真空ジェシカには、『クイック・ジャパン』本誌での8P特集と、『QJ Web』での連載権が贈呈された。しかし、これまで再三『クイック・ジャパン』に登場した真空ジェシカ。「もう話すことねぇよ」と、王者だからこそのコメント。追加で贈呈されたのは、A5ランクの高級ステーキ肉&国産高級ウニ(UNI)。は、シンプルに嬉しそう。

優勝したガクは語る。「嬉しいんですけど、この大会の箔(はく)が下がってないかと。真空ジェシカしか優勝してない」。第4回『AUN』の開催は現状未定だが、実現した場合誰が王者・真空ジェシカを下すのか。それとも、真空ジェシカが4連覇してしまうのか。

終演後、大喜利ファン必見の新イベント『百喜利』の開催が告知された。詳細はこちらから確認できるので、お見逃しなく。

また、『AUN』配信のアーカイブ期間が延長となり、9月11日(土)20時まで購入できることが決まった(詳細はこちら)。本大会のハッシュタグは、「#AUN大喜利」。期間中何度も見返し、このハッシュタグを付けて感想を呟いてほしい。

文 きたのやま
編集・写真 堀越 愛

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