2022.05.19
「ノルマ払えよ!」地下ライブ総集編inナルゲキ『真・モダンタイムスのこけら落とし』ライブレポート
5月12日、西新宿ナルゲキにて「真・モダンタイムスのこけら落とし」が開催された。
去年、ナルゲキが完成した際に行われた「モダンタイムスのこけら落とし」だったが、モダンタイムスに急遽仕事(「アメトーーク! ソニー芸人回」)が入ってしまい、出演キャンセルとなってしまった。まさかの座長不在で開催された「モダンタイムスのこけら落とし」だったが、かが屋が「未来のモダンタイムス」としてMCを務め、名作ネタ「ハツ」をカバーするなど、話題となった。
そんなある意味伝説のライブが完全体となって帰ってきたのが今回の「真・モダンタイムスのこけら落とし」だ。配信を買おうか迷っている方だけではなく、ライブ後半のあまりの濃さに前半の記憶を飛ばしてしまった現地勢の方にも是非読んでいただきたい。
香盤表
【オープニング】
永野
にゃんこスター
4000年に一度咲く金指
まじん
モダンタイムス
【中MC】
脳みそ夫
だーりんず
かが屋
日本エレキテル連合
マツモトクラブ
シークレットゲスト
【エンディング】
早くもマニアックなワードが飛び交う前半戦
熱気に溢れた満員のナルゲキで、去年「仕事を選んでしまった」ことを土下座して謝罪するモダンタイムスのVTRからライブが始まった。
OPMCにはこのライブの座長・モダンタイムスが登場。一年越しでやっとこけらを落とせることに喜びつつも、飛び出しで次の仕事がある永野のために巻きでネタに突入。
すぐに出て行けるように荷物を持って登場した永野。飛び出しで向かうお見送り芸人しんいちのバーター仕事に不満を漏らし、番組台本の一部をバラしてからネタに入った。
例によって客席にクワバタオハラを見つけ、せっかくのナルゲキも大阪になってしまった。すると永野は「俺もK-PROのライブにいっぱい出て綺麗な思い出をみんなで共有したかった」とこぼし、「でも俺はU&Cエンタープライズとズブズブや」と嘆く。
続いて登場したのはにゃんこスター。最初に3助が一人で登場し「アンゴラ村長はU&CをNGにしている」と暴露するも、何事もなかったかのようにコントに突入した。
続いてネタを披露したのは4000年に一度咲く金指。
キマりきった目で披露する静かに狂気的なコントが持ち味の金指。今回披露したネタも狂気が冴えわたっていたが、これが後に悲劇を生む。続いて登場したまじんはSMA所属の漫才師だ。「次に来るソニー芸人」として錦鯉渡辺から太鼓判を押されている。
漫才「男女平等」を披露。コンプラを平然と逆走していく大二郎を斉藤が諌める、ちょうどよく毒の効いた漫才だった。前半ブロックトリに登場したのはモダンタイムス。登場するなり「おいらは綱引き大好き少年だーい!」と叫んだとしみつに会場は大いに沸き上がった。
大塚愛「さくらんぼ」の代わりにZARD「負けないで」が流れていたが、音質が悪くあまり聞こえない。3助の怒りの矛先は綱を引かないマッチョではなくZARDの音質に向かってしまった。
「マッチョ綱引き」の熱も冷めやらぬまま中MCに突入。前半戦の出演者が勢揃いした。ここでは3助と金指の暴露合戦が勃発。結果、金指が「U&Cの流れに乗っかってスベっていた」「お祭りみたいなライブなのに一人だけガチネタをやっていた」「業界に見つかろうとしている」と集中砲火を受けた。
書き下ろしネタにギャグ無間地獄 盛りだくさんの後半戦
後半ブロック最初に登場したのは脳みそ夫。明転した瞬間、ポップで可愛らしい格好で呆然と立ち尽くす脳みそ夫が現れ、会場がどよめいた。果 物子(くだ ものこ)に扮した脳みそ夫は「果物もぎもぎゲーム」を展開していく。
続いてコントを披露したのはだーりんず。3助に「追加キャストでまじんとだーりんずは地獄」「みんなランジャタイを待っている」などと言われていた彼らだったが、馬鹿馬鹿しさが突き抜けるコントを熟練の演技力で魅せる。
続いて登場したのはかが屋だ。他愛の無いようでいて、起も承も転も結も加賀の表情にかかっている絶妙なコントが光る。
続いて登場したのは日本エレキテル連合。橋本演じる猫耳のおじさんのあまりの存在感に衝撃が走る。物悲しくもほのぼのとしたネタに観客を引き込んだ。
続いて登場したのはマツモトクラブ。早押しクイズ番組のコントを披露した。序盤は快調にイントロクイズに答えていったマツモトクラブだが、突然地下芸人にまつわるカルトクイズが始まってしまう。「Q: トリオ芸人、ラーメン、お金貸してくれる。この3つのワードから連想する芸人は? A: や団中嶋」などのクイズに、隣の外国人が快調に答えていく。
この日、このライブのためだけにマツモトクラブが書き下ろしたこのネタには、他出演者たちの名前も巧みに混ぜ込まれている。ぜひ配信で見てほしいネタだ。最後に登場したのはシークレットゲストのあぁ〜しらき。ストリッパーに扮したしらきが登場し、音楽に合わせて妖艶に踊る。ひたすら踊る。
胸元のチャックを高速で上げ下ろししたり、ズボンを高速で上げ下ろししたりと観客を翻弄しながら、一糸まとわぬヌードになった。
と、ここでしらきは一旦踊るのをやめ「~してもIt’s alright!」というギャグを披露、再び音楽が鳴り踊り出す。
しらきがネタを終えても一向にMCが出てくる様子が無い。小田ととしみつが「試しにもう一本やってくれよ」「今度は後ろ向きでやってくれよ」としつこく「It’s alright!」を要求する。しらきが「もうウケないよ!」と叫ぶも、袖からは「でも?」「でも?」とフリが飛んでくる。
計20分のしらきのネタのあと、ようやくエンディングMCのモダンタイムスと後半ブロックの出演者が登場した。エンディングでも隙あらば「It’s alright!」を引き出そうとするとしみつ。かが屋が「これソニーの事務所ライブでしたっけ?」と漏らすのも頷けるほどに、従来のナルゲキよりも数段深い空間がそこにあった。
「It’s alright!」の連打に一時会場がトランス状態になったこのライブ。終了後、観客は明らかに笑い疲れていた。誇張や褒め言葉ではない、実際の現象としての「笑い疲れる」が保証されている「真・モダンタイムスのこけら落とし」、ぜひチェックしてみてはいかがだろうか。