ベテランから新人までバラエティ豊かな芸人が集結!『浅井企画がオシテル芸人が出るLIVEを7月5日(火)に西新宿ナルゲキでやります。』ライブレポート

2022年7月5日(火)、西新宿ナルゲキにて『浅井企画がオシテル芸人が出るLIVEを7月5日(火)に西新宿ナルゲキでやります。』が開催された。本ライブには、キャイ~ン流れ星☆どぶろっくのようなベテランから、最近事務所に所属したばかりの新人まで幅広い年代の芸人が出演。

独自の世界観を持つ、“浅井企画らしい”芸人たちが一挙に集う、ボリューム満点のライブとなった。

優しいニューウェーブ

オープニングには、司会のキャイ〜ンが登場。

「オシテル芸人」というライブ名に触れ、「推されていない人は出れないんだね」と、本ライブには出演していないアニマル梯団・見栄晴など浅井企画レジェンド芸人の名前を挙げ、笑いを誘った。

オリジナルの“UDO” Tシャツ

トップバッターは、同日直前ライブ『若ッ!』で優勝したピン芸人・でっかい!くぼた

先生に扮したくぼたは、子どもたちに「ハサミは危ない方を自分に向けて渡す」というマナーを教え、話を広げてゆく。浅井企画らしい優しいネタでありながら、日本の道徳観について考えさせられるネタであった。

でっかい!くぼた

続いて登場したのは、2021年11月に結成したミスター大冒険。

ヤンキー漫画に出てきそうな出で立ちの井福は、不器用だが真っ直ぐで優しい。彼らのネタは、まさに緊張と緩和。テンポの良い漫才の中で、何度も会場をヒリつかせては優しさを見せ、観客を魅了した。

ミスター大冒険。(左:りょうせい、右:井福一礼)

続いて、オテンキが登場しコントを披露。オテンキは元々トリオで活動していたが、2021年8月にコンビとして再スタートを切った。

コントの中では、ヤンキーが内気だけれど明るい少年にカツアゲ。しかし、要求はお金ではなく、意外なものだった。二人の無邪気な笑顔が観客を包み込んだ。

オテンキ(左:GO、右:のり)

続いて、2022年6月に所属したばかりのピン芸人・さとなかほがらかが登場。

柔らかな表情で、丁寧に対応するコールセンターの女性は、保留音のボタンを押すと豹変する。流れるのは自作の保留音で、強烈なパンチラインが次々に放たれる。“あるある”に新たな視点で切り込んだ、ほがらかワールドを展開した。

さとなかほがらか

続いて、同日直前ライブ『若ッ!』にて、でっかい!くぼたと同点優勝した安心安全が漫才を披露。

見るものの心をざわつかせるヴィジュアルと語り口で、昭和初期のようなレトロ感を醸し出す。「なら、ええわ」というユニゾンが印象深く、一度見ればクセになること間違いなしのコンビであった。

安心安全(左:山口トーマス、右:ようちゃん)

続いて、「初めて浅井企画に推された」と自称する上木恋愛研究所がコントを披露。

山で遭難した二人は、まず食料の確認をすることに。しかし、リュックやポケットからは、意外(!?)なものが出てくる。二人の特徴的な体型を活かしたコントで笑いをとった。

上木恋愛研究所(左:ロマンス河野、右;キューティー上木)

一部が終わり、MCタイムへ。

MCタイムに入るも、片付けが終わらない上木恋愛研究所

でっかい!くぼたは、一年前に浅井に移籍したそう。移籍先を探しているとき、お世話になった先輩に「僕どこの事務所っぽいですか?」と聞くと、必ず浅井企画の名前が挙がったため、浅井企画を選んだという。

“浅井企画っぽい”でっかい!くぼた

続いてミスター大冒険。りょうせいが、「10秒以内に着ているものすべてパンツにしまう」特技を披露する流れに。

無事成功したりょうせい

さらに「空気を操れる」と言うりょうせいは、三方向に吹き戻しがついた笛の左側だけを膨らます技を披露。間髪入れず井福も水の高速一気飲みを見せると、芸達者な二人にキャイ〜ンも「世界進出できそう」と賞賛を送った。

緊張感の高まる中、成功させるりょうせいと祈る井福

前の事務所では、ボブ・サップが同期だったというさとなかほがらか。彼女も、でっかい!くぼたと同じく周りから浅井企画っぽいと言われてきたと言う。「浅井はめんどくさいヤツが集まるのか?」と天野が指摘し、笑いが起きた。

音の鳴る電卓で、どぶろっくの「もしかしてだけど」を披露

安心安全は、ロックバンド「ザ50回転ズ」のような髪型、和菓子のような色のスーツを選んだ理由を聞かれ、「本当は和牛さんみたいな漫才したかった」と告白。現在のスタイルはモテを諦め、面白くないものを削ぎ落とした結果だという。

“オモシロ”以外のすべてを削ぎ落した安心安全

上木恋愛研究所にマイクを向けると、ちょうどMCタイム終了のゴングが。愛されキャラの二人に思わず笑いが溢れた。

ゴングに抗議?

強烈な個性が光る中堅芸人

続いて、浅井企画のマドンナ・牧野ステテコが登場。

「最近のグラビアはつまらない」と言い張る「革命児アリス」が独特なポージングを魅せる。終始マイペースな牧野に、観客は翻弄されっぱなしであった。

牧野ステテコ

続いて、中央大学落研出身のマリオネットブラザーズが登場。

昨年の『M-1グランプリ』で準々決勝に進出しており、注目のコンビである。コミカルな動きの肉汁井上が的確にツッコみ、終盤にかけ盛り上がりを見せていく、完成度の高い漫才を披露した。

マリオネットブラザーズ(左:井上大生、右:肉汁)

続いて登場したのは、石出奈々子扮する「魔女のキキ、37歳」。

ジブリの世界観の中で、芸人夫婦のリアルな日常を打ち明けた。「落ち込むこともあるけど、私、この暮らし好き! 」と言う彼女のポジティブなエネルギーが、観客に元気を与えた。

石出奈々子

続いて、『おもしろ荘』優勝経験もあるトリオ・ニュークレープがコントを披露。

短パンの少年が母親らしき人に、公園で見つけたサラリーマンを家で飼いたいと訴える。終盤には、まさかの展開を迎え、一枚上手の実力を見せつけた。

ニュークレープ(左:デビ、中央:リーダー、右:ナターシャ)

続いて、僧侶と安田のコンビ・ドドんが登場。

僧が悟りを開くために行う「禅問答」に挑戦するもなかなかピンとこない問答が続き、「禅問答」の語源を痛感する。僧侶の知識を存分に活かしたネタで盛り上げた。

ドドん(左:石田芳道、右:安田義孝)

続いて、今年『笑デミー賞グランプリ』、『55NEXT』などで優勝し、勢いに乗る元祖いちごちゃんが登場。

突然現れた「物理的に社会から干されている」男は、今の暮らしに疑問を投げかける。石田徹也の風刺画を思い出させるような奇妙でメッセージ性の強いコントは、まさに唯一無二であった。

元祖いちごちゃん(左:植村侑史、右:ハイパーペロちゃん)

二部が終わりMCタイムへ。

おめでたい特技・「首富士山」を披露する牧野ステテコ

ニュークレープナターシャによる完成後の高い女性役「メグ」は、楽屋でも崩れないと言う。飄々としたリーダーに、なぜか謝らせられるデビも加わり、コントのような一幕も見られた。

「メグやん」

ドドんは、仏教エンターテイメントバンド「THE 南無ズ」としての活動も上向きになってきたことを報告。彼らのワンマンライブ名は『読経ナムストーリー 〜とんち、説法しよう!〜』など洒落のきいたライブタイトルで、ファンもダジャレ好きばかりだそう。

バンド活動が順調なドドん

予測不可能な元祖いちごちゃんハイパーペロちゃんの動きには、ウド鈴木も困惑。世代を超えた個性と個性のぶつかり合いを見ることができた。

ウエストポーチから出てきたパルムをプレゼント

エースとベテランの貫禄

続いて、『キングオブコント2019』王者・どぶろっくが登場。

「やらかしちまった!」では超些細なあるあるを、熱を込めて歌い上げた。続いて、「ワクチン ~輝く未来へ~」を披露。時代の流れを汲んだ、どぶろっく流応援ソングに歓声が上がった。

どぶろっく(左:森慎太郎、右:江口直人)

続いて登場したのは、不仲が話題になった流れ星☆

どぶろっくのネタを受けたツカミで爆笑をとると、「ダメなレフェリー」と「ダメな純烈」と早々に言い合いが始まる。長年の経験が可能にする、即興性と安定感のある漫才で爆笑を掻っ攫った。

流れ星☆(左:ちゅうえい、右:たきうえ)

トリを飾ったのはキャイ〜ン

最近流行りのサブスクを話題にした漫才で、何年経っても衰えない実力を披露した。

キャイ〜ン(左:ウド鈴木、右:天野ひろゆき)

エンディングでは、近年の流れ星☆に起きた、結婚・離婚・地下格闘技のような喧嘩・単独ライブでの仲直り・どぶろっくとの裏話などを激白。

数字の5みたいな太り方をしていると指摘されるちゅうえい

芸歴が様々な浅井企画の芸人に共通するのは、人としての温かさだ。彼らの雰囲気が相互作用して生み出された浅井企画のアットホームな空気感は、芸人たちの自由な芸風につながっているのだろう。個性豊かな浅井企画の芸人たちの活動に今後も注目したい。

文:西岡
写真・編集:堀越 愛

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