ヤーレンズ・出井隼之介さんが物事の良し悪しを綴る連載『可否伝』。出井さんセレクトの「今月のコーヒー」情報とともに、心が揺れた“良し悪し”を語ります。
10月の可否
志尊淳さんはコーラを1日2リットル飲む。どうもヤーレンズ出井です。
ワラパーコラム仲間である原田フニャオ率いるダンビラムーチョのキングオブコント決勝でのネタが面白過ぎた。なかなか会えないので、この場を借りて敬意を表したい。
やはり一流はワラパーでコラムを書く。ワラパーこそが至高だとまたひとつ証明されたわけだ。みんなもワラパーでコラム書きなよ。
さて、最近『ブレる』とは何か考えている。
というのも、僕はこの1年で人生が激変した。長らく所謂地下芸人の端くれとして変わり映えのしない活動をしていたのだが、今年からは関わる人、飛び込んでくる情報、何もかもが今までと違う。
実に月並みな言葉だが、毎日刺激的だ。
そんな中で、自分の意見や考え方が次第に変容していくのを感じる。それまで"無し"だと思っていたものも、その裏側にある複雑な理由を知って"有り"に、逆に"有り"だと思っていたものも違う考え方に触れて"無し"に。
自分自身の感覚としての捉え方自体は変わっていなくても、脳で考えとしては受け入れられたりしているのだ。その時にふと思う。
「俺…ブレブレやん…!!」
なんで関西弁なのかはさておき、この『ブレ』というのがかなり厄介だ。ブレて褒められるのはフリーキックくらいのもんで、人々は過去の言動と今を照らし合わせて違いのある人を『ブレている』といっていじりがちだ。
人間は本能的に首尾一貫したものを好み、自分自身もそうあろうとするらしい。だから、ブレているもの嫌うし、過去の自分と今の自分に統一性も持たせようとするのだ。
例えば僕はYouTubeに積極的に取り組む芸人に内心眉をひそめていたのが、段々と考え方が変わっていき今ではすっかり楽しくYouTubeをやっている。
しかも、「俺は元々芸人がYouTubeをやる事に肯定的な人間だった」みたいな顔をしているのだ。弱い、弱過ぎる!!
でも、どうなのだろう。ブレない人はカッコいいし、憧れる。渋い。後付けでブレのない一貫性のある人間を演じるのも無理はない。
だが、変化するのは悪い事だろうか?
このブレを嫌う本能は時に進歩の妨げなのではないだろうか。
思えば、僕の好きな敬愛するおじさんたちはみんな若い頃と比べて大きく変化している。
若い頃、松本人志が金髪のマッチョになるとは思っていなかったし、あれほど尖っていたTHA BLUE HERBのBOSSが今の作風になるとも思っていなかった。
桑田佳祐だって、昔の自分の曲や時代そのものにネガティブなコメントをする事があるし、自身を『漫才』と言ってはばからなかったエルシャラカーニの清和さんも「俺は漫才じゃないんじゃないか…?」と言っていた。
枚挙にいとまがないが、これらを全部『ブレ』と切り捨てるのはあんまりだ。あくまで『変化』。それも前向きな。
これから大事なところはブレずに、大いに変化していきたい。何につけても、まだなにも完成していない成長途中の自覚がある。
65歳くらいでなんとなく完成できたらいいなくらいに思っている。
~10月の可否~
可→ 変化していく人間
否→ 過剰にブレを嫌う本能
今月のコーヒー【ROOF TOP COFFEE】
大阪心斎橋PARCOで行われたROOF TOP COFFEE(ROOFTOP COFFEE JAM presented by Heirroom)で色んなコーヒーに出会った!
まだまだ行っていないコーヒー屋さんがたくさんある!嬉しい!
PROFILE
ヤーレンズ・出井隼之介
ケイダッシュステージ所属
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文:ヤーレンズ・出井隼之介
編集:堀越 愛
写真&サムネイル:ヘンミモリ