どこでもドアがあったらどこに行く?《春とヒコーキ「VIP ROOM HARUHIKO」第31回》

『VIP ROOM HARUHIKO』は、春とヒコーキがバーのVIP ROOM で本音を語るような、そんな場所。

‟語りつくされた、でも正解はなく、各々で考え方が異なる”普遍的なテーマについて、ぐんぴぃと土岡がそれぞれの視点で綴ります。

今月のテーマは、「どこでもドアがあったらどこに行く?」。


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theme. どこでもドアがあったらどこに行く?

ver.ぐんぴぃ

どこでもドアを旅行に用いたらきっと魅力が半減するだろう。

旅は目的地に着くまでの道すがらが楽しいんだから。どこでもドアは行きでは使わず、帰りに利用するのが冴えたやり方。仕事の直前ギリまで遊び呆け、出勤5秒前にすまし顔で職場にワープしたらきっとシビれますよ。

ここ数年で海外に渡航する機会が増えています。ほとんどが撮影を兼ねていて、遠方の地へ向かう際は1週間から10日ほど滞在する。実は大体2日目にはちょっと飽きてます。帰ってもいいかもな、と感じ始めている。

現地の食文化や景観など、分かりやすくカルチャーショックを浴びるのが初日から2日目までで。3日目には既視感を覚える。お腹が弱いから大概壊すし。お風呂も日本の方がいい(という理由でスキップする)。とはいえ3日目以降に現地文化の深い部分を味わえているから、1週間以上滞在する価値はあるし、結局楽しめているのだけど(旅動画も、3日目ぐらいから面白くなるイメージ)。どうしても日本が、いや自分の家が好きなのです。

どこでもドアがあったら旅行2日目の夜に自宅に帰って寝ます。3日目の朝にまた現地にワープする。きっと退屈せずに堪能できるはずです。ワガママな話ですが。

どこでもドアがあったら流行るだろうゲームをやりたいです。

まず複数人が参加、できれば金銭を没収し身ぐるみを剥ぎます。どこでもドアの行き先を都度ランダムに設定して、一人ずつドアをくぐらせる。さまざまな土地に飛ばされた参加者のうち誰が1番早く戻って来れるかを競うレースゲームです。ある者はストックホルム、ある者はシドニー、そしてある者はドバイ(例として挙げた地名はどれも日本から8000km、公平を期すために同じ距離)から東京へ目指す。どこでもドアがなくてもバーソロミュー・くまがいればできます。

シンプルすぎてつまらないと思われたかもしれませんが、意外と盛り上がるはずなんです。人類が大好きな物語類型「行きて帰りし物語」(どこかから帰還する旅はドラマが生まれがち)を味わえるから白熱すること間違いなし。交通機関や国、民族も異なり「八十日間世界一周」のような熾烈な争いになる。かなり昔に「トロイの木馬」という番組で、二人の漫画家が北海道と鹿児島の二手に分かれ、自作の絵を手売りしながら東京の講談社を目指すレース企画をやってて、これが爆裂に面白かった覚えがあります。未来のYouTuberがやるかもしれません。おーす!みらいのYouTuber!現時点でもし近いことをやってる人がいたら教えてください。


ver.土岡

「♪そらをじゆうにとべなくていいから、移動時間を短縮したいなあ」と言ったとき、ドラえもんはのび太を見限る。「ああ!どこでもドアをそうとしか思わなくなった?のび太くんも立派な大人だわ!立派、立派!ぼく帰るね!この家、出ていきます!ぼくの歯ブラシは排水溝掃除にでも使ってもらっていいんで!じゃ!」

でも、そのくらい移動の手間をなくしたい場所はある。まずは映画館だ。映画が2時間と見せかけて、電車での移動も含めたら3,4時間かかる。それが億劫で「今日は映画行こうと思ってたけどやめるか……」という日がある。でも、家でちまちました作業やネットをしていたらあっという間に3,4時間経っていて、「だったら映画館行けばよかった……」となる。それとランニングだ。住宅街は走りづらいので広い公園で走りたい。でも公園まで歩いていくのが「走るために歩いてるこの時間は何なんだ」と意味が分からなくなって、ランニングしなくなった。移動時間の面倒さはいろんな体験を奪う。

逆に、旅行だったら移動時間を省きすぎては行けない。鈍行列車より新幹線とか、そういう時短はするけど、ドアを開けてすぐ観光地に行けてしまっては楽しさが半減する。旅行は、移動して徐々に非日常に辿り着くためのイベントだ。

とか言いながら、いざどこでもドアがあったらバンバン海外の観光地に行く。まったりすることが目的の旅行は、行く道のりも大切。でも、行った先が非日常すぎるときは、いきなり目的地でいい。権利上どこでもドアという名前が使えなかった場合の商品名も、「いきなり目的地」でいい。

オープンワールドのゲームで、ストーリーをクリアしてもまだマップは全体の20%くらいしか攻略してなくて、「このゲームの世界、網羅するの時間かかる〜」なんて主婦の声をよく聞くけれど、じゃあぼくらは自分の住んでる町の一体何%を攻略したのか。今まで住んだ町はどれも、行ってないお店や施設だらけで、5%も攻略せずに引越していると思う。それを地球規模で考えたら、ぼくらは何万分の一、何億分の一の場所しか体験できずに一生を終える。そう思うと、移動もじっくりなんて言わずにバンバンどこでもドアで海外に行かないともったいない。

ただ、人気の場所はみんなが行きたがるから、こちらがどこでもドアを開くタイミングで目の前にもどこでもドアを開こうとする人がいて、ドアがぶつかって一向に開かないことになる。

そうすると、みんなが寝静まった時間が寂しいとき、時差を利用して20時くらいの国を転々とし続けるのがいいと思う。


文:春とヒコーキ
編集:堀越 愛、サムネイル:つるみ32

PROFILE

タイタン 所属

左:ぐんぴぃ
右:土岡 哲朗

★公式プロフィール:https://www.titan-net.co.jp/talent/haruhiko/
★公式YouTube:春とヒコーキバキ童チャンネル【ぐんぴぃ】