今年の漢字《春とヒコーキ「VIP ROOM HARUHIKO」第33回》

『VIP ROOM HARUHIKO』は、春とヒコーキがバーのVIP ROOM で本音を語るような、そんな場所。

‟語りつくされた、でも正解はなく、各々で考え方が異なる”普遍的なテーマについて、ぐんぴぃと土岡がそれぞれの視点で綴ります。

今月のテーマは、「今年の漢字」。


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theme.今年の漢字

ver.ぐんぴぃ

「甘」です。今年はたくさん甘いものを食べたからです。

僕は芸人じゃなかったら和菓子屋さんになりたかったほど甘味には目がありません。

ドラマや映画の現場には「差し入れ」という文化があることを知りました。

俳優陣がオススメのお菓子などのお土産を現場一堂に振る舞う、食わず嫌い王で披露されていたアレです。

今年は役者仕事を多くいただけたので、芸能人が吟味した贅沢なお菓子にありつける機会が増えました。デブなのでどさくさに紛れて2~3個食べますが、みんな許してくれます。(4個ぐらいから空気が重くなる/ぐんぴぃ調べ

僕もいつか差し入れをやってみたいのですが、なんか生意気な気がして。何を買えばいいかも分からないし。

今のところマネージャーさんがぐんぴぃ名義で「価格のわりに尋常じゃない量が入ってるお得おせんべい」を買ってきてくれるのが通例になっています。

さて年末ですし、僕が今年食べて美味しかった甘味をランキング形式でご紹介しましょう!

2024年ぐんぴぃが好きな甘味ベスト3

3位:スタバのあんバターサンド

事務所の近くにスタバがあって、YouTube撮影の休憩中にテイクアウトしています。苦めのコールドブリューコーヒーのトールサイズで流し込むのが好きです。あんバターって流行りましたけど、スタバのはバターが濃厚すぎず、こしあんのキメ細やかさをより引き立たたせます。

コーヒーがあまり好きじゃないのですが、あんバターサンドを楽しむために我慢して、より苦いものを飲んでいます。

子どもの頃、茶道教室に和菓子を食べるために通っていた時期があるのですが、変わっていません。


2位:虎屋(岐阜県関市)の栗きんとん

栗きんとんと聞くと、おせちに入ってる黄色いのを思い浮かべますが、岐阜や東海地方では違うらしいのです。子どもから見たおせち唯一の可食部ではなく、栗を餡に混ぜて用いたお饅頭が虎屋の栗きんとん。映画『怪獣ヤロウ!』の撮影でお世話になりました。

食べて驚愕しました。栗の甘みと味がそのままで、栗そのものをいただいている気分になります。不思議なことに天津甘栗やらガチの栗よりも、栗を味わえるんです。本当に凄い。ぶどう味のグミがぶどうを超えたみたいなことですから。お菓子界の大事件です。

秋から冬にしか販売していないらしいとのこと。栗好きには絶対おすすめです。


1位:銀座 甘楽 りんごパイ

今年食べた中でダントツで美味かったッ!!!騙されたと思って食べて欲しいです。人を幸せにするお菓子。

風味豊かな粒あんを包んだパイ生地の上に、ほのかに酸味が感じられる蜜漬けのりんごが鎮座しています。合うんだなぁこれが。味の混ざり具合が心地よく「お菓子」「甘味」「スイーツ」など現存する言葉では表せない、未知の官能的な味わいに昇華されている。食べてて気持ち良いです。和菓子のゲームチェンジャーになり得る存在。ぐんぴぃへの差し入れはこちらが良いでしょう。

番外編

・青いマヌカハニー

ママタルト檜原さんに教えてもらった、成城石井で買えるハチミツ。MGOという健康に良い成分が入ってるとかなんとかで、舐めると喉が枯れなくなるとつよつよ漫才師の間で評判の代物です。ある程度数値化されており、普通のハチミツの20倍の健康成分が入ってるのが「MGO100+」。この青いマヌカハニーは「MGO400+」と書いてあるのでその4倍で、普通のハチミツの80倍も良い成分が含有されている。ですが、僕は喉とか関係なく美味しいのでベロベロ舐めています

ちなみに令和ロマンのくるまは「MGO1400+」と桁違いの、もはや全然美味しくないマヌカハニーを愛用しているそうです。すごいよ。そりゃ2連覇もするよな。


・櫻井翔さんにもらったとらやの小型羊羹

ドラマ『新空港占拠』の撮影中に櫻井さんが食べてるのを物欲しそうな顔で見ていたら「どうぞ!」といただいた代物。お優しい。

集中力が必要な現場で、糖分を補給したいときにパクッと食べるのが櫻井さん流の食べ方らしい。

成田空港に売り場があるので、海外に行くときは一箱買って日本の味が恋しくなった頃合いにほおばっていました。

(※先ほどの岐阜県関市の虎屋とは別の“とらや”)


・ここにきてハリボー

今年初めてハリボーを食べました。

トルコに単身旅行に行った時のこと。食事の時間をミスってしまい、ホテルの部屋に備え付けのハリボーグミを食べるしかない夜がありました。

失意の中モグモグやらせてもらってたら、こんなにも美味いもんかと。なんか馬鹿にしてました。名前もウリ坊みたいだし。あの熊が舐められるのかな。でも調べたら全てのグミの祖がハリボーなんですもんね。

おかげでグミ全般を好きになりました。どれだけ好きになったかというと。

グミの絵を買いました!好きな画家が描いたグミの絵。

©︎澤井昌平

部屋にグミがあるっていい。コンビニで暮らしてる気分になりますよ。


美味しくなかったお菓子

トルコで買ってきたお土産

同じくトルコにて、現地の人に「お土産にピッタリだよ!」とおすすめされ、言われるがまま購入した代物。

帰国して開封して驚きましたが、うんこに酷似しています。4種類の色とりどりのうんこ。

食べたらベタベタに甘くて、甘すぎて味が感じられなくなるバグみたいな不気味な現象が起きる。次第にそんなことより独特な固さが気になり。うんこってこういう固さなのかもしれないっていう固さが吐き気を誘発してしまい、お土産史上もっとも不評なものになりました。

何はともあれ「甘」を色々知ることができて幸せです!

あと、なんかおしっこが甘くなってきた気がします。焼きたての洋菓子のような匂いがするんです。なんなんですかね。

甘き死よ、来たれ。ではまた。


ver.土岡

今年の漢字は「」。自分のやりたいこと、やれること、何に喜びを感じるのかを確めるような年だった。

まず、多くの芸人を振り回して好き勝手できる場は気持ちがいいと思った。

今年は4回ハンマーブロスになった。中でも2月に行われた「ハンマーブロスパーティ」は気持ちが良かった。ライブ『ケミカルX』内でやった企画で、土岡扮するハンマーブロスが、マリオパーティよりも低価格な「ハンマーブロスパーティ」を引っさげて下北沢に巡業に来て、芸人たちにミニゲームをさせた。

ミニゲームは「2番目に面白い顔をしろ」、「3番目に目を開けた人が勝ち」、山手線ゲームとは違って関連性のあることを言ってはいけない「都営大江戸線ゲーム」(山手線とちがって都営大江戸線はどこともつながっていないから)など。ゲームとしての楽しさも低価格。

その場にいた芸人たちのおかげで企画も盛り上がったが、自分さえも自分の好き勝手に振り回されているという状態は他では味わえない背徳感がある。そんな場はしょっちゅうはないが、しっかり作っていきたい。

ハンマーブロスになった土岡(第8回AUNより)

次に、自分はどうせ自分なんだから、自分らしくいればいいと学んだ。

23年秋に始まった「研修テレビ‼︎」が、丸一年で最終回を迎えた。この番組で初めてのレギュラー番組を経験させてもらったし、財産になった。

最初のうちは、バッチリ決めないといけない、でもなかなかできない……と苦しんだ。だんだん適度にリラックスしてきて、素直に発言できる機会が増えた。

ある回で「この番組が終わったら松村さんを見る機会がなくなっちゃう」と、ひつじねいり松村さんがイジられる流れになった。それを受けてぼくが番組のことを「松村さんをめんまにした『あの花』」と発言した。アニメ『あの花』では、めんまと一緒にいられるように幼なじみたちが頑張ったから。これが別にこの場をまとめる一言として適切とも思わず、でもボケてるつもりもなく、ただそう思ったから言った。そしたらその言葉は3秒間宙に浮いたのちに、令和ロマンくるまくんに「……何ですか、今の?」と言われて取り沙汰された。みんながその言葉と向き合う空気になり、笑いになった。オンエアを見ると、それがカットされずに使われていた。「松村さんをめんまにした『あの花』」は言ってOKだった。これで、確実じゃなくてもしゃべっちゃえば周りの力も借りられるし、自分に素直にやっちゃおう、と思えた。

そして、好きなものについてしゃべる行為は、好きなんだから損がないことも知った。

趣味の映画関係のお仕事も今年からいただくようになった。映画にコメントを寄せたり、映画好きであることについて語る取材を受けたりした。 23年の暮れ頃からFilmarksに映画の感想を投稿し始めたのがつながった。

Filmarksを始めたのは、マネージャーさんとの雑談がきっかけだった。

「映画好きをもし知ってもらうならFilmarks始めるのが分かりやすいよ」

「そうなんですねえ。ぼく、誰にも見せてないんですけど、13年くらいExcelに映画の感想書き溜めてるんで、それを載せるとかはできますねえ」

え、13年?誰にも見せずに?……Excel??

たしかに、Excelは計算するためのソフトだからなんか変だなとは6年目くらいから思っていた。でも映画の感想も管理しやすい。とにかく、それを徐々に公開し始めたら、映画好き関係の仕事が増えた。

これを今までやっていなかった理由として、他人の作ったものについてしゃべるのがカッコ悪いという意識があった。まだ他人の作ったものにコメントする立場じゃないだろ、と自分で思っちゃうのでやってこなかった。今は「その気持ちを持ちながらなら、やってもいいか」と思ってやっている。で、楽しい。

あと、これは仕事じゃないけど、バキ童チャンネルでアニメ『ラブライブ!』シリーズについて語る1時間半の動画を投稿した。どんな反応があるのか怖かった。でも、動画を公開したら、みんな「そうそう!ラブライブっていいよな!」と一緒に楽しんでくれて、かなり嬉しかった。ぼくのしゃべった内容で、情報が混ざっちゃって間違えてるところもあるんだけど、みんな大目に見てくれた。この動画でぼくを知ってくれた人は、ファンにならなくて全然いいので、テレビかどこかで見かけたときに「お、あいつだ。ちょっと見るか」と思ってくれたら最高。

キングオブコントの準決勝での経験は先月書かせてもらったので割愛するが、今の本分はここ。2025年は、ネタもそれ以外も、「自分」を濃縮還元する年にしよう


文:春とヒコーキ
編集:堀越 愛、サムネイル:つるみ32

PROFILE

タイタン 所属

左:ぐんぴぃ
右:土岡 哲朗

★公式プロフィール:https://www.titan-net.co.jp/talent/haruhiko/
★公式YouTube:春とヒコーキバキ童チャンネル【ぐんぴぃ】