『VIP ROOM HARUHIKO』は、春とヒコーキがバーのVIP ROOM で本音を語るような、そんな場所。
‟語りつくされた、でも正解はなく、各々で考え方が異なる”普遍的なテーマについて、ぐんぴぃと土岡がそれぞれの視点で綴ります。
今月のテーマは、「2025年トレンド予想」。
★春とヒコーキが読者のお悩みに答える連載「VIP ROOM HARUHIKO ~秘め問い~」はコチラから
theme.2025年トレンド予想
ver.ぐんぴぃ
トレンドに疎いのですが、身の回りで流行ってほしいものを列挙します!
・『弁論』(©︎こたけ正義感)スタイルの長尺漫談ライブ
ピン芸人って格好いいんだなって見た人全員に思わせてくれた『弁論』。長尺漫談の単独ライブ、芸人みんなが無責任に真似て流行ってほしいし、こたけも「流行ってほしいねん」と言ってました。
漫才やコントは人数が多いと分かりやすいし広く受け入れられる傾向がありますが、ピン芸は一人でやりきるからこその凄み、「一は全」というか、芸人の持っている宇宙をそのまま観客に丸呑みさせることができるんだな、と。深いところまで共感してもらえる芸。
観客からしても、喋り続ける一人の話にじっと耳を傾ける快楽もありますよね。聞き逃さないように話を追ってる時ってそれ以外何も考えられないから没頭できますし。
とはいえ、古舘伊知郎さんのトーキングブルースもそうですけど、暗い空間でかっこよく喋るのを聴きたい!正直、暗いところでカッコよく喋ってくれたらなんでもいい!開演したら不機嫌な表情でブツブツ言いながら登壇して、小粋なジョークを挟みながら進行してくれ!!終盤にお笑い少なめメッセージ多めのパートも用意してくれたら、普段とのギャップでより一層輝いて見えるんだ!
そうして弁論スタイルのライブが流行り、成熟を経て食傷気味になった頃合いで、イギリスでの武者修行でムキムキになった小松海佑が帰ってきて、むちゃくちゃな漫談で揺らしてほしい。
・三宅夏帆さん
文芸評論家の三宅夏帆さんをよく見かけます。
ベストセラーになった『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』の著者で「普段考えもしなかったけど、言われてみたらモヤモヤしてんすよね・・・」を、僕らよりずっとモヤモヤして、僕らの代わりに膨大に資料を読み込んで500%言語化してくれる人です。
切羽詰まってるほどじゃないけど、痒いところに手が届くことを教えてくれる。読んでいると背中を思いっきり孫の手で掻き倒してもらえるような気持ちよさがあります。
三宅さんの本は、小難しくない、ご陽気な文体を徹底されている感じが非常に好きで。
ご本人も「ごきげんな批評家を目指したい」と言ってましたが、批評家=深刻そうなイメージを丁寧に文章から取り除いている気がします。
数年前に、書店に置いてあった『文学オタクの私が教える バズる文章教室』をたまたまジャケ買いしたらめちゃくちゃ面白くて。いわゆる文章の書き方・文体について取り上げた書籍です。
僕は文章術を説いた本にハマっていた時期があります。なんか文才あるって思われたかったし。ただそういう著作ってビジネスマンがナメられないことを目指す自己啓発系か、小説家が記した文章読本のような説教くさい堅苦しいイメージのものがほとんどです。
一方『〜バズる文章教室』は文体論をバズる/バズらないの軸で捉えたポップさが新鮮でした。あまりに明るくて平易な文章なので、僕は本当に、著者の三宅さんをずっと金髪ギャルだと思っていました(表紙の絵に引っ張られていた)。タイトルすら『文学ギャルが教える〜』と読み違えてました。それぐらい楽しげな文章だったのです。僕は一定以上明るい女性はギャルだと思い込む節があるため、全然そのせいかもしれないですが。
読んだ当時は、テレビに出てもSNSのフォロワーは増えないと言われ始めていて。僕も苦労して深夜のネタ番組に出た割にTwitterのフォロワーが数人しか増えず。近しい芸人が賞レースで優勝したのにフォロワー数がさほど変わらず夢がない、とボヤいているのを目にしていました。
Twiterのフォロワーを増やすだけなら、バズるツイートをしたほうが早いことに気づき、やたらめったらにバズることを目指しました。ネットの時代だとそのほうが知名度が手っ取り早く増える。おかげさまでワラパーさんの記事もバズらせていただいてます。そういうものを書くときにはいつも『文学オタクが教える バズる文章教室』を意識しているので、恩人と言っていいかもしれません。
三宅さんはYouTubeも面白くて、働きながら本を読むコツの動画が面白かったです。人と喋りながら本を読むことを肯定してくれる人、初めてです。本について説得力を持って話せるヒーローだと思います。
そういえばバキ童チャンネルで今度撮ろうと思ってる動画で「なぜ働いているのにエロ本は読めるのか」という企画案がありまして。しっかり考察してみようと思います。
・ゆっくり喋ること
ゆっくり喋るのが自分の中のマイブームになっています。
きっかけはYouTubeでやった「エッチな言葉もゆっくり喋れば、YouTubeのAIにバレずに規制されないのでは!?」という企画でした。
動画サイトの規制は年々厳しくなり、下ネタのワードを言うとAIが正確に判断して、容赦なく収益化が剥奪されます。でもそういう話題はやめたくない。
板挟みのなか知恵を絞った結果、「卑猥な単語だけ速度を落として喋る」と言う低コストかつ低レベルな解決方法が考案されました。企画を聞いた時は、政府の検閲に規制されないためにシュールな作風に至ったヤン・シュヴァンクマイエルのようだとアガったのですが、一緒にしたらかなり失礼ですね。
ただただゆっくり言葉を口に出すだけなんですが、酷すぎて撮影中で過去イチで笑ってしまいまして。何かから隠れながら秘密を共有する楽しさもあれば、ゆっくり喋ってるだけで人って面白いし。
行くところまで行きまして、こないだは逆に「早口クイズ」という動画を撮りました。早押しクイズではなく早口クイズ。問題が早口で読まれるので聞き取って答えられるかどうか。これも酷かったなぁ。
バキ童チャンネルは今、「速度」がアツい。
ver.土岡
2025年は平成レトロ、平成ポップがもっと盛り上がると思う。というか、見たい。
23年のドラマ「ブラッシュアップライフ」では、平成の流行がたくさん登場するのも楽しかった。30代にとって、初めて自分たちの過去を懐かしがるときが来たので、もうひと盛り上がりして楽しみ尽くしたい。
子どもの頃、テレビで大人たちが昔のアニメやドラマの話をする番組をいっぱい見たけど、こういうことね、と分かってきた。自分たちの子ども時代の話をしながら、あの頃の大人の気持ちがわかる。子どもでいられるし、大人になれた気分も味わえる。だから、「懐かしむ」という感情は人気の娯楽なのだと思う。
ホラーの方面でも、平成っぽさを「なんか懐かしい怖さ」として扱う作品を見かける。
24年に開催された「行方不明展」は、子どもの頃に町で見かけたものものしい貼り紙などの雰囲気がホラーてして誇張して再現されていた。自分が生まれ育った時代の当たり前だった風景に、ときどき紛れ込んでいた怖さ。
ぼくが小学生のときに一度、学校の近くの電柱に思想強めの演劇のチラシが貼られていたことがあった。帰り道に何枚もあるので、みんなで下校中に「またあった!なんだこれ!」と騒いでいたら、先生にあまり見ないように言われた。最近のフェイクドキュメンタリーホラーは、そんな頭の隅っこにあった些細な記憶に引っかかってくる。「あなたの細胞にも刻まれてますよ」とされる感覚が珍しくて見てしまう。
テレビ番組「イシナガキクエを探しています」(24年)、「飯沼一家に謝罪します」(25年)も話題になった。2作品ともタイトルに「イ」から始まる人の名前が入っているので、次は「稲川淳二に抗議します」が来るんじゃないかと思っている。稲川淳二が怪談ライブに備えてのど飴を買い占め、近所の人から恨みを買う物語。今若手芸人の間でも喉にいいと話題の「青いマヌカハニー」を誰かが教えてあげれば解決するのでは、という考察が飛び交うだろう。
あと、毎年、若者の間で謎の言葉が流行るので、そこも予想しよう。
毎年気がつくと、文字を見ただけではどう発音するのか分からない、知らない言葉が流行っている。だいたい、高校生を中心にTikTokで広まっている、とかで知る。なので、その枠に入りそうな言葉を予言しておく。
「運動したいからしちゃう〜」
「トコトコじゃ たどりつかんて」
「固い甲羅で謝ってほしい」
「それそれ巧妙 はい刹那」
たぶんこんな響きの言葉が何かしら流行る。
PROFILE
タイタン 所属
左:ぐんぴぃ
右:土岡 哲朗
★公式プロフィール:https://www.titan-net.co.jp/talent/haruhiko/
★公式YouTube:春とヒコーキ / バキ童チャンネル【ぐんぴぃ】
INFORMATION
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