無限大ホール閉館に寄せて。【シシガシラ 浜中 英昌「せきららです」第13回】

シシガシラ・浜中英昌さんによる連載がリニューアル!毎月異なるテーマで、浜中さんの心中を“せきらら”に語るコラムがスタートします。

★シシガシラ浜中さんによる連載「脇田 in WONDERLAND」(2024年3月~2025年2月)はコチラから

無限大ホールへ

東京都渋谷区宇田川町31-2 渋谷ビームB1Fにあるよしもとの劇場。
席数は1階218席。A列からH列まである。

この度、無限大ホールが渋谷よしもと漫才劇場に変わることになった。
なので無限大ホールの思い出を書こうと思う。

無限大ホールができたのは2006年3月。
まだ芸人になっていない。浜中は2008年デビュー。

当時、無限大ホールはものすごく人気の劇場であった。
NSCに通っていた時に無限大ホールという劇場を知った。

無限大ホールに立ちたい。その思いで必死に昔のコンビで漫才をやっていた。
しかし、無限大ホールに立つにはなかなか難しかった。

無限大ホールはピラミッドのシステムになっており、A age・B age・C age・MAE age、という4段階あった……。さらに……その下に、AGEチャレ・AGEプロという階層もあり、合計6段階あった。

デビューしたての僕らはもちろん1番下のAGEプロから。シアターDという劇場があり、AGEプロとAGEチャレは無限大ではネタはできず、毎月シアターDに行く。

必死にやっていた。しかし最初のコンビは解散してしまう。その後すぐに新しいコンビを組んだ。どうにか頑張ってAGEチャレに上がることはできたが、AGEチャレには大量の面白お兄さんが待っている。
頑張ってAGEチャレをキープしていた。
そしてキープすること約1年間。

AGE AGE LIVEが終了してしまう……

結局デビューから2年間、1度も無限大ホールの舞台に立つことはなかった。悔しかった。どんなに頑張っても無理だった。実力が無さすぎた。

その後システムが変わり、お兄さん達が無限大を卒業していき自動的に無限大の舞台で漫才ができるようになった。
自分で手に入れて立てた舞台ではない。心の底からは喜べなかった。
ピラミッドのシステムはあったが、1番上に行けたことはなかった。
しかし、いただいた仕事には全力で挑んでいた。

そしてその後もシステムはどんどん変わる。
「ばちーんLIVE」
「GET KING LIVE」
もちろん出番はあったがピラミッドの1番上にいたことはなかった。
面白い後輩がどんどん出てきていたからだ。

どんなネタをやっても審査員票も客票も入らない。
ムカついていた。
無限大に出たい、という憧れはいつしか無くなっていた。
むしろ出たくないという気持ちにさえなっていた。

それでもやり続けないと不安が襲ってくる。

そんな気持ちを繰り返してた時にまたシステムが変わった。

「彩〜irodori〜 LIVE」

またどうせ1番上にはいけないと思っていた。
が、そうではなかった。

変わらず必死にやっていた結果、ピラミッドの1番上にいけた。

嬉しかった!!

憧れていた無限大ホール。
心の底から喜べなかった無限大ホール。
出たくないと思った無限大ホール。

嬉しかった!!
やっと認められた。

頑張ってきてよかった!!

ただ、、、

当時劇場では1番上に行けたけど、M-1では結果が残せていなかった。

ここから葛藤が始まった。

劇場ではウケる。が、M-1ではウケない……。

劇場で1番上に行けたがために賞レースの壁にぶつかった。

結局話し合ってコンビは解散する。

そこからはまた地獄の始まりである……。

ピンになり、無限大には出れなくなった。もうこの時期は芸人を辞めようと考えていた。つらすぎた……。約1年間ぐらい……。

それから脇田さんが声をかけてくれてシシガシラを組むことになり、M-1で準々決勝にいき、無限大ホールでもピラミッドを勝ち進んでレギュラーまで這い上がった。

無限大と浜中の関係はざっとこんな感じである。

常に無限大ホールを意識していた17年間だった。
正直に言うと、好きな時期もあれば嫌いな時期もある劇場。勝手に信用して、勝手に裏切られたり。むしろ嫌いな時期の方が多いと思う。

でも無限大ホールがなかったら今の浜中は存在してなかった。
悔しさをバネにしていた。

そこに関しては本当に感謝している。

色々思うことはあるが、ありがとうという気持ち。

ありがとう、無限大ホール。

これからの劇場は、自分がどんな気持ちでいるのかたのしみである。

筆者プロフィール

シシガシラ・浜中英昌

吉本興業 所属

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