サンパチになって考えた、「誕生日おめでとう」にまつわる可否。【ヤーレンズ出井隼之介「可否伝」18杯目】

ヤーレンズ・出井隼之介さんが物事の良し悪しを綴る連載『可否伝』。出井さんセレクトの「今月のコーヒー」情報とともに、心が揺れた“良し悪し”を語ります。

3月の可否

藤田ニコルさんは自転車のサドル引っこ抜かれて、そこにブロッコリー刺さってた事がある。どうも、ヤーレンズ出井です。

大してめでたくもないが、3月2日で38歳になった。祝っていただいた皆様、ありがとうございます。

しかし誕生日は特になのだが、人に祝われたり褒められたりするのが今ひとつ得意になれない。

得意になれないと書いたのは、決して嫌とか苦手とかではない。むしろ嬉しいのだが、ちょうど良い表情や返しがまるで分からないという事だ。

先日も、とある現場ででっかいバースデーケーキを持ってきていただいたのだが、その時にちゃんと嬉しい顔をできていたのか不安だ。感情的には“申し訳ない”とか“恥ずかしい”の方が先に来てしまう

これは、根底に“別にめでたいと思っていない”という感情があるのが原因だと思う。

例えば「M-1決勝進出おめでとうございます」なら多少こちらの「ありがとうございます」に感情も乗るが、誕生日は目に生気すら宿らせず、明日をも信じぬ生き屍のような生活をしていても自然と来る。つまり言われるほどめでたくはない。

こういうことを書くと、何があったのか知らないが「人が1年生きる事は当たり前の事じゃないんだぞ」みたいなクソ綺麗事ハンマーを振りかざす人がいるが、付け上がるのも大概にしたほうがいい。そんな事は分かっとんねん。周りに死んだ人とかおんねん。周りへの感謝した上で敢えて言っとんねん。貴様こそ生命の力強さと私の思慮を冒涜している。付け上がるな。

このように、まだ来てもいないクソリプを強い言葉で迎え撃ってしまうくらい、誕生日に関しての感情はだいぶネガティブ方向に脆い。

かと言って、「出井さん誕生日祝われるの嫌いだからお祝い系NGで」なんて宣言しようものなら、ただでさえ“それ予備軍”なのに厄介者一直線だ。それはできない。と、いうことで大してめでたくもないのに周りの人々は祝う、僕は戸惑う、という誰も得しない負のループを死ぬまで続けること確定だ。実にめでたい。おめでとう。

ここではいろんなことを書いているから、この可否伝の読者の皆様にはもしかしたらかなり気難しいおじさんで通っているかもしれないが、僕が今明確にNGにしているのは“チェキ撮影”のみだ。

番組宣伝のTikTokで踊るの嫌と公言しているのだが、スタッフさんに「番組を知らない層にリーチしたいんです」と言われたら効果が絶対にゼロとは言い切れないよな、と考えを改めた。もちろん辛いが。

ラジオの動画配信についても当初消極的だったが、「動画がついている事によって観てくれる新規リスナーの獲得を狙いたい」という意図を聞かされると、その効果が確実にゼロかどうかは、やってみないと分からないのでやるかとなった。懐疑的だし危険ではあると思うけど。

これらは少なくとも制作のプロの人たちが、効果がある、あるいはあるかもしれないと思って言っている事なのだから、感情で拒否していてはただでさえ先細り斜陽産業なのにここから新しい広がりが何もない。

それに、プライドを持つのはもっと実績を積んでからだ。ライブや漫才に関してならまだ少しは許されるかもしれないが、メディアの仕事でプライドを振りかざすほどの実績も経験もまだ無い。

ただ、チェキは別だ。例えば雑誌撮影の現場なんかでも撮る事があるが、他に性能の良いカメラがたくさんあるのも関わらず、チェキで撮るというのは怠惰なのでやる理由が無い。

なんならスマホで撮ったほうが画質もいい上に転送できるのに、おかしい。金銭が発生するチェキは論外だし、金銭絡まない特典系も基本お断りしている。一滴の黒が水を全て染めてしまいかねないからだ。

自分の誕生日会とかできる人は楽だろうなと思う。楽だろうなとも思うが、やりたくもないけどやったほうが諸々スムーズだから気を失っているだけの人もいるのかもしれない。

一種の自己暗示にも近いもので「誕生日とはそういうもんだ」と思ってやり過ごす。正気を失って嵐が過ぎるのを待つ。そういう人もいるのかもしれない。

ダラダラと誕生日への不満を垂れたが、年齢もサンパチってことでより一層漫才を頑張ろうと気持ちを改めている。

まずは初の全国ツアー。先日東京追加公演も締め切らせていたいたが、たくさんのご応募に大感謝。

来年はもう少し大きめのところでやれたらな、と思っている。ゆくゆくは最大級に大きい会場に色目を使ってもいいんじゃないか?という気持ちがむくむくと膨れ上がって来ている。

それくらい嬉しい応募数だった。ありがとうございます。がんばります。


~3月の可否~

可→誕生日で気持ちを新たに頑張ること

否→誕生日のお祝いあれこれ、チェキ

今月のコーヒー【townsfolk coffee 】

townsfolk coffee (金沢)。

真空ジェシカとのツーマンライブの合間に訪れたおしゃれカフェ。おしゃれでかつ、とても美味しゅうございました。

PROFILE

ヤーレンズ・出井隼之介

ケイダッシュステージ所属

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文:ヤーレンズ・出井隼之介
編集:堀越 愛
写真&サムネイル:ヘンミモリ