レアチャーシューで考えた、刺激優先時代の可否。【ヤーレンズ出井隼之介「可否伝」21杯目】

ヤーレンズ・出井隼之介さんが物事の良し悪しを綴る連載『可否伝』。出井さんセレクトの「今月のコーヒー」情報とともに、心が揺れた“良し悪し”を語ります。

6月の可否

マライアキャリーのクローゼットには、メイウェザーからもらったコートがある。どうも、ヤーレンズ出井です。

先日ラジオで「流行りのラーメン屋さんよ、火の通ってないチャーシューを載せるのはやめてくれ」という旨の発言をした(正確には僕ではなく、僕の知り合いが言っていた)のだが、言った側から低温調理風半生鶏チャーシューで食中毒が発生してしまった。

言わんこっちゃない!俺たちのラジオにもっとラーメン業界への影響力があれば…!!

人類は長い時間をかけて、火を使う事を覚え、焼く、蒸す、揚げる、茹でるなどの方法を編み出し、動物の肉に火を通して食べられるようにした。そこまでの過程には数多の犠牲があった事だろう。

にも関わらず!ここにきてまさかの火を通さずに肉を食べてしまい体調を崩すという大失態。人類の叡智に背を向けた、とんだ原始帰りである。

さて、ここで一つ聞きたい。レアなチャーシューは火の通ったチャーシューより美味いのか?

まあ美味いかどうかは個人の味覚にもよるのだが、つまり何が言いたいのかというと、本当に『味』を追求した結果半生になったのか?という事である。

もしかして、半生で提供したのは美味しさよりも提供した時の『驚き』を優先したんじゃないかと、そう勘繰ってしまうのだ。

思えばそんな…味よりも驚きを優先しているような食べ物を目にする機会が最近増えている気がする。

やれ肉の上にウニを乗せてみたり、丼からイクラをこぼしてみたり、出汁に綿飴を溶かしてみたり…

この大SNS時代では、店側も少しでも写真映えするような商品を提供したい。それはとても分かる。食べログでもYouTubeでもTikTokでも、味の詳細は伝わらないが、絵面はバッチリ伝わるからだ。

見ているひとが食いつくような、載せる人が見出しをつけやすいような、そんな店がこの時代を生き延びるという側面はある。

が、思い返してみてほしい。我々はなるべく驚かないようにするために進化してきたのだ。

チョコミントアイスの味に驚かないために歯磨き粉が、意外と低いところを飛ぶ鳥にびっくりしないために凧揚げが、信じられない場所にちぢれ毛が落ちていてびっくりするのを防ぐためにロボット掃除機が、それぞれ発明されたのではないか。何も文明から逆行する必要はないのだ。

刺激を求め過ぎて、ドーパミン中毒になってしまっては正常な判断はできない。みんな一旦落ち着こう。

政治家もパフォーマンスが上手い奴じゃなく、実務能力が高い奴を選ぼうな。とか選挙にくっつけて社会派コラムにしようかと思ったが少々強引過ぎた。びっくりさせてしまい申し訳ない。


~6月の可否~

可→ラジオでの低温調理への警鐘

否→刺激を優先して退行してしまう人々

今月のコーヒー【THE GUT’S COFFEE】

"THE GUT’S COFFEE"(大阪)。

この奥の部屋が好きなもの丸出しで最高だった!

ドーナッツもコーヒーも◎

PROFILE

ヤーレンズ・出井隼之介

ケイダッシュステージ所属

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文:ヤーレンズ・出井隼之介
編集:堀越 愛
写真&サムネイル:ヘンミモリ