一番好きなアイス。《春とヒコーキ「VIP ROOM HARUHIKO」第40回》

『VIP ROOM HARUHIKO』は、春とヒコーキがバーのVIP ROOM で本音を語るような、そんな場所。

‟語りつくされた、でも正解はなく、各々で考え方が異なる”普遍的なテーマについて、ぐんぴぃと土岡がそれぞれの視点で綴ります。

今月のテーマは、「一番好きなアイス」。


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theme. 一番好きなアイス

ver.ぐんぴぃ

井村屋さんの「あずきバー」です!不動の一位です。

世界で一番硬いアイスとも呼ばれています。噛んだ人の歯が折れてしまい、訴訟になりかけたという噂もあります。確かに食べるたびに乳歯では歯が立たないのではないか、と子供たちが心配になります。聞くところによると年々硬さが増しているらしい。

実に好ましいことです。アイスなんてものは硬ければ硬いほど美味いんですから

柔らかくなると食感も水っぽくなって味も薄まります。溶け進むと食べやすくはなるが、比例して楽しくなくなる。氷菓子をいただく際、いちばんご機嫌でいられるのは硬い時なんです。

うだるような暑さにやられて「アイスを食べたい」と願う時、ドロドロに溶けた後半の姿を想像する方はあまりいないでしょう。カチンカチンの新鮮な氷菓を想定しますよね。

それは硬い時が一番美味しいから。ならばつまり世界で一番硬いアイスが、世界で一番美味しいアイスということになりませんか。他のアイスに比べたら、硬い時間が長い気がするし。実際は溶けやすいらしいのだけど、これはもう印象だ。溶けてないアイスより、溶けかかったあずきバーの方が硬いんだから。

あと、硬すぎて早食いできないところも好き。ゆっくり味わざるをえないから満足感も高いし、コスパが良いんです。そもそも驚くほど安い(65mlで80円)。企業努力が行き届いている。

硬さの理由は、空気の含有量が少ないこと、乳原料が含まれていないこと、乳化剤や安定剤のような添加物が使用されていないからだそう。なんなら砂糖も少ないらしい。ヘルシーで健康的なアイス。「ぜんざいをそのまま冷やしてアイスにする」が着想のあずきバー。在るのはぜんざいだけです。混じりっけがないから、硬い。

鍛錬された日本刀と同じ原理だ。刀鍛冶たちが熱して赤くなった刀身を叩くのは鉄内の不純物を飛ばすため。あずきバーは武器のような硬さと形容されることがあるが、納得であります。

硬さの話ばかりしてきたが、あずきバーは溶けたあとも楽しい。形が崩れ始めた頃合いに舐めると、口内にほろ甘い小豆の味が広がります。あの優しくて情け深い味わいたるや。怖いぐらいギンギンに硬かったのに、気づけば田舎のおばあちゃんの手料理のような安らげる風合いを放っている。途方もない矛盾。この二つが成り立っているのがあずきバーです。

ツンツンして冷たかったアイツが実は優しい、という構図。ツンデレです。なんだか愛おしくなってきませんか。


ver.土岡

今「好きなアイスは?」というお題が降ってきた理由は、AiScReamのヒットに他ならないだろう。ラブライブ!シリーズから生まれたユニット、および同名の曲。その曲の中で大バズりしているのが、好きなアイスの味について受け答えをする部分。これが世の人間に「そういえば自分は好きなアイスの味ってなんだろう?」と考えるきっかけを与えた。アイス好きを自認していなかった人も「好きなアイスの味」を持つようになり、アイスを食べるようになった。のちの世では、この2025年がアイス強化人類の元年だと語られることになる。しかし、1998年、シャイな小学生であった多部未華子は、世界の未来も、自分が翌年にミュージカル「アニー」を観て女優を志すこともまだ知るよしもない。

ぼくが小さい頃に憧れたアイスは、スモーカー大佐のズボンの主食としても知られている、コーンの上に丸が2つも3つも積み重なったアイス。アイス屋さんに行っても2段や3段なんてめったに買ってもらえないが、何度か食べたことがある。感想としては「2つの好きなアイスが一緒になった!」という感覚はなく、実際には上の段のアイスを食べ終わらないと下に行けない。「別々のアイスを2連続で食べた」だった。それでも2段、3段アイスの見た目の魅力は変わらず、特別に見える。実際に食べたときの都合は忘れて、またイメージの魔法にかかる。

つぶつぶのアイス「ディッピンドッツ」も、よくデパートのフードコートで食べていた。当時はつぶつぶのアイスと呼んでいて、大きくなってから「ディッピンドッツ」だと知った。たけしさんが映画で「ディッピンドッツぐらい分かるよ馬鹿野郎」と言うセリフが有名だが、あれは甘味知識でマウントを取られたことに怒りを露わにするシーンだ。

パピコ、クーリッシュ、ガリガリ君、明治エッセルスーパーカップ、バスキンロビンスのバナナアンドストロベリーおよびベリーベリーストロベリー(ぼくはサーティワンアイスを「バスキンロビンス」の方で呼ぶようにしている。カッコ良すぎるので)、みぞれいちご、ピノ、……ヨーロピアンシュガーコーン。(ドラマのポスターに出演者の名前が並んでて最後にちょっと空けて「北大路欣也」、みたいにしてみた)

ヨーロピアンシュガーコーンは、コンビニやスーパーで買える箱のアイスだ。箱なので、一本だけ食べたいから買ってパッと食べる、ができない。家で食べるアイス。初めて食べたのは10歳くらいのときだろうか。家で簡単に食べていいのかと思える上品な形と、コーンまで美味しいという夢を裏切らないっぷりに感動した。風呂上がりに座椅子に体重を預けてテレビのニュースを見ながらヨーロピアンシュガーコーンを食べるとき、体が「それでいい」と言っている。ああ、体と気が合うなあ、と思ってぼーっとする時間は幸福だ。


文:春とヒコーキ
編集:堀越 愛、サムネイル:つるみ32

PROFILE

タイタン 所属

左:ぐんぴぃ
右:土岡 哲朗

★公式プロフィール:https://www.titan-net.co.jp/talent/haruhiko/
★公式YouTube:春とヒコーキバキ童チャンネル【ぐんぴぃ】