2025.09.25

小4の夏。「なにがあっても正直に言おう」と決めた野球少年と、映画『キャスト・アウェイ』【シアターフニャオ〜ダンビラムーチョ原田の日常〜 vol.40】

実は映画通の芸人、ダンビラムーチョ・原田フニャオさん。『シアターフニャオ』（月1回更新）は、フニャオさんが日常で起きたエピソードとともに映画を紹介するコラムです。

今月は、フニャオさんが「正直であること」を大切にしようと決めた、とある出来事のお話。それは、小4の夏のこと……

箱根行きのロマンスカー

前にダイタクさんが、芸人を連れて箱根に連れてってくれたことがある。行きのロマンスカーで大さんが「昨日玉子サンドを仕込んできたから食べよう」と手作り玉子サンドイッチを出してくれた。しかしその玉子サンドイッチの味付けが異様にしょっぱかった。ただこういう時は先輩に気を使って「最高にうまいっす！」に決まっている。
ただ俺は「大さんすみません、、正直めっちゃしょっぱいです」と言ったんだ。。。

月一出させてもらっている長野の情報番組『駅テレマルシェ』に出た後「駅テレマルシェ見たぞ！元気かー！？」とDMが届いた。送り主は小学校3～4年生の時の担任の先生だ。小学校から高校までなぜか担任の先生は女の人ばかりで、唯一の男の先生。体育大学卒のゴリゴリの体育会系で、いつもタンクトップに、タマキンが見えそうなくらい短い赤い短パンを履いていて『赤パン先生』と呼ばれていた。赤パン先生は、生徒に対して熱くとても厳しかった。ただ愛に溢れる人で凄く記憶に残っている。
今は校長になった赤パン先生が「吉洋、覚えてるかなぁ？吉洋が下校途中に石を投げて遊んでたら、、」と、ある事について聞いてきた。

めっちゃくちゃ覚えてる。人の優しさに触れた25年前の小4の夏のことだ。

小学校の帰り道

小学校の野球チームに入っていた俺は、ふらふらと落ちてる石を投げながら学校終わり家に帰っていた。神社の横を歩いている時に、15メートルくらい先に電柱があり、心の中で「この距離から当てられたら天才だぜ！」と石を拾い、ワインドアップで思い切り投げた。ビューンと飛んでいった石は見事電柱に命中。「よっしゃー！！」とバンザイをした瞬間、、

スパーン！！！！

と音が聞こえてきた。

俺はその光景を見て立ち尽くした。
その石は電柱に見事に当たったが、思い切り跳ね返り、その横に止めてあった車の後ろガラスにぶつかった。そして一瞬にして粉々に割れたのだ。パリーンとかじゃない、スパーン！！！！だった。

呆然としながらバンザイをした手をゆっくり下す。状況が整理できない、とにかく鼓動が早くなっている。どうしよう、、やばい、、、とりあえずまわりを見る。まわりには誰も人がいない。という事は誰にもバレてない、、。

俺は決めてしまった。
帰ろう。

そして家へとスタスタ歩き出した。何事もなかったように、、。

次の日。
朝の会で赤パン先生から話があった。「えー昨日神社に停めてあった車の窓ガラスが割られたみたいです。この中になにか知っている人いないか？」

はい。知ってます。自分です。

なんて言えるわけなかった。

俺はまたもや決めてしまった。
ダンマリを決め込もう。

それから2週間。
黙ってるなんて無理だった。日記に全部書いて先生に伝え、お母さんと一緒に車の持ち主だった神社の神主の方に謝りに行く事になった。

しこたま怒られてもしょうがない。そのくらいのことをしてしまったんだ。覚悟を決めるとその神主の方は「むしろきちんと教えてくれてありがとう」と言ってくれた。「なんでこんな事が起きたかモヤモヤしてたからスッキリしたよ、ありがとう」と。神主さん、、、その神主さんの優しさに触れて、今後なにがあっても正直に言おうと思ったんだ。

箱根行きのロマンスカー。
大さんに「正直めっちゃしょっぱいです」と言った。すると大さんは「ふざけんじゃねぇ！！せっかく作ってきたのにそれはねぇだろ！ちょっと酔っ払って作ったんだからそのくらい我慢しろ！！」とかなり怒られた。

正直は、時と場合によるよね。