2025.11.05
大声魔法使い、鍵をなくす。深夜の捜索で大焦り!【ストレッチーズ 高木貫太『大声魔法使いかんちゃん』 第4声】
『大声魔法使いかんちゃん』は、ストレッチーズ・高木貫太さんの大声コラム連載。

『大声魔法使いかんちゃん』は、文字媒体にもかかわらずイヤホン必須の新感覚コラム。どんな局面も大声の技術を用いてなんとかしてくれる“大声魔法使い”かんちゃん(ストレッチーズ高木貫太)が、日常で見つけた様々な違和感にツッコミまくります!
なんか魔法のやつ
現在11月3日の21時。喫茶店でこのコラムを書いている。
航海日誌みたいな導入になってしまって申し訳ないが、今日の23時59分が今月のコラムの締切だ。
「コラムニスト」という肩書きに憧れていた俺は、この締切に追われている感じにも酔えている。無意味に頭を掻きむしったり、天を仰いだりしている。コラムニストっぽくてかっこいいから。
初回でも触れていた、「後輩の飲みの誘いをコラムの締切を理由に断る」という憧れムーブも先ほど達成した。
後輩「貫太さん飲み行きません?」
俺「ごめんちょっとコラムの締切なんだわ〜(できるだけ二重瞼のカッコいい顔で)」
後輩「あぁなんか魔法のやつっすか?」
なんか魔法のやつ?????
最悪だ。
ダサいタイトルのせいでちゃんと後輩に認識もされていない。
日本一情けない顔をしながら
「大声魔法使いかんちゃんね」
と小声で訂正した。
失物注意
とにかく物をよくなくす。
当方34歳、ものすごく恥ずかしいことだとはわかっている。
アイコスの機械はトイレットペーパーくらいのペースで買い替えている気がするし、イヤホンもどうせなくすので安いやつしか買っていない。
おみくじを引いた時だって、真っ先に「失物(うせもの)」の欄を見る。
小さい頃から母親に、「忘れ物となくし物だけは気をつけなさい」と言われ続けたが、まだまだ忘れるし、まだまだなくす。
逆に「勉強しなさい」と言われた記憶はないが、勉強はしてた。意味がわからん。子育て難しすぎる。育てられた側が言うセリフではないが。
つい先日、家の鍵をなくした。
夜中の23時すぎ、家を出て鍵を締め、近所のラーメン屋に行き、最寄りのコンビニで煙草を買って、家に帰ったら鍵をなくしていた。
この間およそ30分。1日動き回ったのちに無いことに気付いたならかなり焦るが、おそらくラーメン屋で落としたのだろうと予測がついていたので、最初は楽観視していた。
ラーメン屋に戻り、「すみません鍵落としちゃったみたいで…」と大将に説明し、床を探す。
無い。
店内は狭く、お客さんも沢山いたのでウロウロする訳にもいかず、「すみません無かったです…」と伝え、店を出た。
となると、コンビニで支払ったタイミングか…?コンビニに戻り、レジにいた外国人の店員さんに聞く。
「トドイテナイデス」
レジ周りの床も探させてもらい、一応売り場の方も見た。無い。
いよいよ焦ってくる。こうなると道中しかない。記憶を頼りに道中をくまなく探した。スマホのライト機能で道を照らしながら。光永亮太のAlwaysのPVのように。
無い。
この時点で深夜0時30分。
絶望の中、最後の希望は「ラーメン屋の中はまだしっかりとは探せていない」ということ。
ラーメン屋が閉まるのが深夜1時。閉店後、お客さんがゼロになってからしっかりと探せばもしかしたらあるかもしれない。
閉店までの時間、道中を何往復もした。コンビニも何度か見直した。いつまでもレジ周辺をウロウロする俺を、先ほど対応してくれた外国人の店員さんが心配そうな顔で見つめてくる。ちょっと一緒に探してくれたりもした。優しい。
焦りの感情がどんどん湧き上がっていく。
ラーメンを食べたばかりで、腹だけいっぱいなのもムカついてきた。
なんで腹はいっぱいなのに鍵がねえんだよ!
と自分を責めた。
このくらいのタイミングで後輩から
「明日の昼、服買いに行きません?」
というラインが来て、
「うるせぇ!!家の鍵がねえんだよ今!!鍵がねえやつが服買いに行けねえだろ!」
と感情的に返してしまった。申し訳ないが仕方ない。今それどころじゃないんだ。
それに対して後輩は、
「家入れないなら服必要じゃないですか?」
とかなり最悪な返しをしてきた。
どうなってるんだこいつの神経は。
もちろん無視した。
そうこうしているうちに1時になり、閉店後のラーメン屋に行った。大将に事情を説明し、ゆっくりくまなく店内を探した。最後の希望……やっぱり無い。
「ありがとうございました、もう少しだけ道中探してみます」と伝えると、
「2時くらいまでは閉店作業してるので何かあったら言ってください」
と大将が言ってくれた。優しい。
打ちひしがれながら何度見たかわからない自宅までの道中を探す。
深夜に鍵屋さんを呼ぶと高いって聞いたことあるなぁ…でも仕方ないかぁ…などと考えながら自宅に着いたその時。
とんでもないものが目に入ってきた。
鍵が挿さっていた。
説明がややこしくなるが、俺の住んでるマンションはオートロックとまではいかないまでも、1階の共用部分に鍵を使わないと入れない扉がある。
その扉に、鍵が挿さったままになっていた。
なんで気づかなかったんだ。
「よかったあ〜〜!」
と安心の感情になったのも束の間、そこから
「なんでこんなことに????いい大人が???」
という怒涛の情けなさが襲ってきた。
家に帰った時に、1階の扉に鍵を挿して開けて入り、自分の部屋の前で鍵がないことに気づく。
普通に考えれば1階の扉を開けているのだからそこまで鍵があったのは当然。そんなことすら冷静に考えれていなかった。ヤバすぎる。
(本当にただの言い訳だが、うちのマンションはオートロックではないので、鍵がなくても共用部分に入れる裏口がある。なので忘れていた、というかなり苦しい言い訳だけ置いておく)
おっちょこちょいなんて言葉で片付けられるようなレベルの話ではないが、とりあえず鍵が見つかった。迷惑をかけたコンビニとラーメン屋さんに報告だけしよう。
まずコンビニの外国人店員さんに報告したところ、
「ヨカッタネー!!!」
とほぼ抱擁してくれた。本当に優しい。
そしてラーメン屋の大将にも報告。
俺「鍵見つかりました!」
大将「よかったですねー!」
俺「すみませんご迷惑おかけして…」
大将「いえいえ!ちなみにどこにあったんですか?」
俺「あ、、、えっと、、、
なんか道の茂みのわかりづらいところに落ちてました!!!」
言えなかった。扉に挿さってたなんて。あんだけ大騒ぎしたんだから。
見栄の嘘だから、わざわざ「わかりづらいところ」とかも言ってる。
大将ごめん。挿さってたんだよホントは。それ1時間半くらい探してたんだよ。
皆さんも、焦った時こそ冷静に。
皆さんは大丈夫か。こんなことにはならないでしょう。書いてて情けなさすぎてこのエピソードが世に出るのも嫌になってきた。でももう締切だから提出します。俺はコラムニスト。
文・声:ストレッチーズ 高木貫太
編集:堀越 愛
サムネイルデザイン:TSURUMI32
PROFILE

ストレッチーズ・高木貫太
・公式プロフィール:https://www.ohtapro.co.jp/talent/stretchees.html
・X:@komekami2010
・YouTube:ストレッチーズOfficial YouTube Channel



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