2025.12.08

誕生日おめでとう！“俺たちの面白”を追求するルームシェア【ストレッチーズ高木貫太『大声魔法使いかんちゃん』第5声】

『大声魔法使いかんちゃん』は、ストレッチーズ・高木貫太さんの大声コラム連載。

『大声魔法使いかんちゃん』は、文字媒体にもかかわらずイヤホン必須の新感覚コラム。どんな局面も大声の技術を用いてなんとかしてくれる“大声魔法使い”かんちゃん（ストレッチーズ高木貫太）が、日常で見つけた様々な違和感にツッコミまくります！

12月に生まれすぎだろ

12月に入った。年末の慌ただしい雰囲気がかなり好きだ。
（この時候の挨拶っぽい文章の入り、かなり俺のコラムニストパワーの上昇が感じられる）

別に個人的なスケジュールは忙しくもなんともないのだが、街を行き交う人々の「はぁ〜忙し、忙し」といった雰囲気が好きだ。

「えっ！？なになに！？なんか楽しい！！」

と、来客にテンションの上がった犬のように舌ベロを出しながら尻尾を振っている。

「良いお年を」という年末限定の別れの挨拶も好きだ。
言う時に必ず、「この人と年内会うのは最後だな」という確認が入るのが良い。別れの挨拶・レギュラーメニューの「お疲れ様でした」「じゃあね」等とは訳が違う。
別れ際に「良いお年を」と言われると、（この人は俺と年内会うかどうか考えてくれたんだな）と嬉しい気持ちになる。

「えっもう年内最後だっけ？」
「そう、多分最後だよ」
「あーそっか、良いお年を！」

無駄っぽいやり取りだけど、なんか良い。
こういう無駄の積み重ねで年末は慌ただしくなってるのかもしれない。

12月は、クリスマスや大晦日など楽しいイベントがたくさんあるが、個人的なイベントもある。
それは真空ジェシカガクさんの誕生日（12/3）と、さすらいラビー宇野の誕生日（12/17）だ。
僕はこの2人と長らくルームシェアをしていた。3人で約4年暮らし、宇野が抜けてガクさんと2人でさらに約5年暮らした。

（ちょっと数字が登場しすぎてすみません。このあと何かを計算で求めなきゃいけないとかはないです。とりあえず長いこと住んでたってことだけお納めください）

ルームシェアしていた時からお互いの誕生日を祝っていた名残で、今でもそれぞれの誕生日には3人で集まってささやかなパーティーを開催している。
誕生日以外の2人が、プレゼントを用意し、ケーキを買ってくる。
俺の誕生日は7月なので、俺だけが12月ダブルで祝わなければならない。
そのため本当に金欠の時は、

「12月に生まれすぎだろ！！」

という理不尽すぎるツッコミを心の中でしていた。人を祝うやつのマインドでは到底ない。
話がよくない方向に逸れたが、とりあえずこの誕生日会は今でもかつてのルームメイトと集まれる楽しい会だ。

ルームシェア生活を約9年していたが、ずっと楽しかった。喧嘩もほぼなく、ずっと楽しく暮らしていた。
ただ、１つ問題があるとしたら、このルームシェア。誰も面白いことを言っていなかった。
「楽しい」と「面白い」は違う。

お笑い芸人が集まって生活をしていたら、さぞ面白い空間になっているんだろうと想像するかもしれない。高度なボケ、鋭いツッコミ。誰もやっていなかった。家で3人、脳を休めていた。「楽しくて落ち着く」を追い求めた結果、「面白い」から1番遠ざかったのだ。
家の中では何も考えずに喋っていた。

宇野「明日6時起き。やだ」
高木「やだ。や団」
ガク「おっ。ロングサイズ伊藤」
宇野「中嶋」
高木「ロングサイズ伊藤」
ガク「あぁ〜や団揃わず」

…このような何も面白くない会話をし続けていた。9年間。
これを「どこに出しても恥ずかしいノリ」と呼んでいる。どこに出しても恥ずかしいので、無論ここで出しても恥ずかしい。や団さんの件は勿論一例で、このくらいのユーモアともとれないレベルの会話しかしていなかったのだ。そりゃ楽しいわ。

近年、板橋ハウスをはじめ、若手芸人がルームシェアメンバーでYouTubeをやったりしている。SNSで発信して、人気を博している。
それを見て、俺たちも当時何かSNSで発信すれば良かった…とは全く思わない。
なぜなら家の中の会話が、「どこに出しても恥ずかしい」レベルだったからだ。「あの家でやってた面白いノリを発信すれば…！」と後悔するノリがひとつもない。

ただ、そんな俺たちのルームシェア。
唯一世に放っているコンテンツがある。
それが前述の誕生日会で撮影している「誕生日動画」だ。

現存する最古の誕生日動画がコチラだ。2017年7月。