努力と絶望はセット。傾聴力の源はどこ?【ヤーレンズ出井隼之介「可否伝」27杯目】

ヤーレンズ・出井隼之介さんが物事の良し悪しを綴る連載『可否伝』。出井さんセレクトの「今月のコーヒー」情報とともに、心が揺れた“良し悪し”を語ります。

12月の可否

ウエストランドの太はサンダースのミリタリーダービーを履いている。どうも、ヤーレンズ出井です。タクシー蹴ったときも履いてたのかな?

さて、40歳も近くなると、ただ鼻をほじっているだけでも後輩が増えてくる。

ライブに出ると、こんな僕にでも「出井さん、今日僕たちのネタ、見といてもらっていいですか?」と言われる事がたまにある。要するに、「ネタに対するダメ出しがほしい」という事だ。

快諾して袖からネタを見て、自分なりに「もっとここをこうした方がいいかな」などと偉そうに所感を述べる。すると後輩から「いや、でも…」と反論されることがある。

後輩から、「ちょっと悩んでるんでご飯行きたいです!」なんて言われ、しょうがないなと居酒屋で悩みを聞き「ん〜…じゃあこうすれば?」と答えてみる。すると、「いや、それは違うと思うんすよ…」と言われることがある。

うそやん。

別に全て受け入れろとは言わないけど、そんな撥水加工したかの様に弾き返さんでも。ていうか、あんま聞く気ないなら頼むなや。

こういう時、今まで僕は下唇を噛み締めて「自分にもっと実績や説得力があれば…」「俺が若林さんじゃないから…」と思っていたのだが、どうやらそればかりではないのでは?と最近思ってきた。

僕のYouTubeには矢沢永吉の若い頃のインタビューがよく流れてくる。矢沢は「いつの時代も、やる奴はやるしやらない奴はやらない」と言っていた。

別の動画では現千葉ロッテマリーンズの澤村投手が「若手に言ってやってよとか言われるけど、やる奴はやるし、やらない奴はやらない」と言っていた。澤村投手が矢沢の動画を観ていた可能性も大いにあるが、確かにその通りだと思う。

そんなにやらなくても成功できちゃう奴もいるかもしれないが、基本的にはやる奴しか成果は残せない。

そして、やった奴にしか絶望はおとずれない。

例えば「M-1の決勝行きたいっす!」とか言ってるのに全然ライブ出てないやつは、負けても絶望しないと思う。

極端だが、僕が今マラソンに出て完走できなくても別に絶望はしない。やってないから。

努力と絶望はセット。ちゃんと努力してそれが無情にも結実しなかったという経験が、絶望となる。やってもない奴は絶望する資格すらない。

この絶望値がある程度貯まらないと、人の意見を飲み込む事ができない。トム・ブラウンの布川さんはこれをよく「達してない」と表現している。

人のアドバイスに傾聴できるのにはある程度の絶望、つまりやった経験が必要。達してない奴に何言ってもだめ。

だから、自分は誰に言われずともどんどんやって、たくさん絶望して、そして人の話をいっぱい聞こうと、最近強く思う。


~12月の可否~

可→やる奴

否→達してない奴

今月のコーヒー【xBloom】

今回はマシンの紹介。xBloom(エックスブルーム)という全自動コーヒーメーカー。

ハンドドリップの再現度、レシピの設定など、今までのコーヒーメーカーとは一線を画す素晴らしいマシン。

PROFILE

ヤーレンズ・出井隼之介

ケイダッシュステージ所属

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・note:https://note.com/yarlens_dei/


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文:ヤーレンズ・出井隼之介
編集:堀越 愛
写真&サムネイル:ヘンミモリ