2026年トレンド予想《春とヒコーキ「VIP ROOM HARUHIKO」第46回》

『VIP ROOM HARUHIKO』は、春とヒコーキがバーのVIP ROOM で本音を語るような、そんな場所。

‟語りつくされた、でも正解はなく、各々で考え方が異なる”普遍的なテーマについて、ぐんぴぃと土岡がそれぞれの視点で綴ります。

今月のテーマは、「2026年トレンド予想」。


★春とヒコーキが読者のお悩みに答える連載「VIP ROOM HARUHIKO ~秘め問い~」はコチラから

theme.2026年トレンド予想

ver.ぐんぴぃ

トレンド予想は苦手です。トレンドから外れつつある人間ですし。でも僕なりに来そうなものを書かせていただきます。

※ちなみに昨年も書きました。三宅香帆さんは無事ブレイクされました。
2025年トレンド予想:https://wluck-park.com/special/26899/


エチピク先生

感激したエロ漫画家の方です。昨年発表された『プラスチックより透明な爆弾』が大傑作すぎると話題になっていました。僕も読んですぐにスケベ大学学長の岩永さんに連絡しました。

ストーリー、画風。そして演出・表現方法。エロ漫画の次元を飛び級的に押し上げている天才作家です。難しいことを言っていますけど、抜けるんです。でも、なんで抜けるのか分からない時があるんです。「なぜこれがエロいのだ」と疑問符が浮かぶぐらい、前人未到の表現で性感を惹起させたのです。見たことがないものは、途方もない興奮を引き起こします。

そもそもエロ漫画は表現方法の新陳代謝が高いジャンルです。「性行為」という同じ現象を主題にして描く以上、どうしても演出や表現で差別化を図るようになります。同じ噺を取り扱うことで滲んだ個性を楽しむ古典落語に似ています。

『プラスチックより透明な爆弾』を例に取ると、主人公が乳房を吸うシーンの興奮が、極めて主観的に描かれています。ページいっぱいに乳房が顕現している。領域展開に巻き込まれたような演出で、男性が没入していることが直感で伝わります。登場人物の興奮に共鳴できると、読者は抜きやすくなるものです。

分からないようで分かる気がする。ギリギリの表現でエロを成立させる。レールの半分だけ車輪が乗って傾きながら走る電車のような。危うさと昂揚が両立しています。

読者を突き放しているようで、信じてもいるのでしょう。この方の次回作に期待します。


・お笑いライブ団体の戦国時代

お笑いライブ団体の戦国時代が来るでしょう。あくまで他事務所勢の話です。ライブ界隈に明るくない方に説明しておくと、吉本興業以外のお笑い系プロダクションのことを他事務所と呼びます。自社で複数の劇場を持ち、圧倒的な人数と公演数を担保したリーディングカンパニー吉本の勢いに、他事務所勢は指をくわえて見るしかない状況です。新しく芸人を始める方も、吉本興業を選ぶ人が大半なため、今後もさらに一強の時代になっていくと想定されています。

話がちょっと逸れますが、NSCの志望者がめちゃくちゃ増えているのは、ウエストランド井口さんの功績だと思っています。

あらゆる番組で「吉本の若手はこんなやつも食えてる」「配信のお金がいいらしい」としきりに攻撃した結果、学生芸人の大多数は吉本を選ぶようになったと聞いています。吉本の宣伝大使ですよあの人は。

令和ロマンの娯楽がたり』に出演した際にもちょっと触れましたけど。吉本以外の事務所が合同で劇場(寄席)を作ってはどうか、と提案しました。劇場がない事務所は、絶対的にライブ数が少ないのです。「M-1グランプリ」や「キングオブコント」などは、基本的にはネタの場数を踏んだ人が強いですから。賞レースは吉本流が有利なシステムとされています。大会で勝ち上がるためにも舞台数を増やしたい。

あと「ライブだけで食える」というのが夢じゃないのが羨ましいのです。アメリカのコメディアンみたい。吉本芸人にしかない「単価を上げる」って概念がすごく好きです。

他事務所が作った劇場(寄席)にもっとも近づいたのが、お笑いライブ団体「K-PRO」さんでしょう。常設小屋を作り、毎日のようにイベントを開く。最上位バトルライブ「トッパレ!(A)」で優勝できたら、賞レースでもいい結果が出る、というジンクスもありました。

しかし、最近は元気がなくなってしまったようです。事情はそれなりに伺っています。立場を表明すると、僕は児島さんの味方につきます。それはさておき。K-PROさんにハマればライブ数が担保できると考えていたのですが、今後はそうはいかなそうです。新人が憧れるライブが「若武者」から「ワイガヤ」に変わったと聞きます。諸行無常。

K-PRO枠がポッカリと空いた今、出番を失った芸人たちをエネルギー源にして、あらゆるライブ団体が始動しています。10年前には考えられなかった事態です。僕が芸歴をスタートした頃には、K-PROだけ出ていればいいという風潮がありました。ライブ数が増えるし、業界関係者が客席にいると聞くし。

知らない名前のライブ団体からオファーが増えました。ありがたい限りです。主催者がヤバければ、すぐに同業者一同に知れ渡るので、大体いいところが多い。どこかがK-PROのように巨大な寄席を構築するのか。児島さんが復活するのか。ワクワクして仕方ありません。


・なきむしヒーロー だっとちゃん

数年前から推している可愛いキャラクターです。イラストレーターのなかのゆう先生が描くうさぎのヒーロー。と言っても、弱くてドジで、泣き虫のだっとちゃん。楽しみはスーパーの半額シール付きのお寿司です。けなげ〜。

ちゃんと見つかったら爆発的に人気が出るポテンシャルがあると思い、ずっとウォッチしています。強力なインフルエンサーに見つかってほしい。ラブブドリーム。

そんな中、先日ようやっと ぬいぐるみが発売されました。なんと秒で売り切れました。

買えなかったですけど、嬉しくて仕方ありません。だっとちゃんの時代が来るのではないか?

サンリオ、サンエックスのような大手事務所じゃない、他事務所勢のだっとちゃんを強く応援しています。世に顔が知れきったキャラクターもいいですけど、ツギクル枠のキャラを推すのも一興ですよ。

だっとちゃんのキャラクター紹介


・政治の話

みんな政治の話をするようになりました。芸人もずいぶん発信する人が増えました。

正直、僕は政治を語る芸人は苦手です。でも、やっぱりいいことなのでしょう。国政を語ることが楽しいフェーズになってきています。それは生活が苦しくなったり、外交的に不安だったりの裏返しでもあるのでしょうが。

またちょっと逸れますが、相方の土岡が『ツッコミマン』と『ボケラッシュ』という企画に立て続けにでていまして。コンビのツッコミとボケが呼ばれるイベントを土岡が制覇してて「あれれ、オデは?」と恐ろしくなりました。

まぁでも。僕は僕で『娯楽がたり』だったり、面白かった本を紹介したり。カルチャー仕事が振られてるからな〜、と自分に言い聞かせています。

しかし、カルチャー長喋り系の人が向かう先は、政治になる気がします。例えば中田のあっちゃんは、教養系をやめて政治の話題に100%全振りしています。ネットゴシップ語りが面白かったヘライザー総統も、政治家を斬るスタイルにシフトチェンジしてから好調です。今、YouTubeでは政治を扱うと再生数が爆増します。お金になります。だからこの流れは加速するでしょう。

自分は芸人が政治を語るのはダサいと思う派です。多数派でしょう。「おまえの思想なんか知らん。いいから笑わせろよ」と。しかし、これは近いうちに古い考え方になりそうです(今年のトレンドになるかは分からないですけど)

数年以内に「政治を語れない芸人はダサい」と逆転現象が起きている可能性も全然あります。

僕は現時点では、政治より面白いことをしたいです。政治を語る人が増えるのは全然いいですけど。負けないぞ〜。


ver.土岡

今、チャットGPTが大流行、というか盛り上がるのではなく皆の生活に根付き始めている。ぼくも出かけるときの選択肢を聞いたり、体調を崩したときの指示を仰いだり、だいぶ頼っている。なので、チャットGPTありきでの流行が出てくるのではないだろうか。AIにあらがってみるブーム、AIとのやりとりを経てアナログに帰ってくるブーム。

たとえば、チャットGPTが言わなかったことだけやってみるチャレンジ。旅行先で「どこそこに来たけどおすすめのスポットある?」とチャットGPTに聞いてみて、出てこなかったところに行く。それが自分で見つけた選択肢として価値を感じられる、という風潮になるかも。学校のレポートや作文でも、チャットGPTを使ってある程度の文章がすでに書けるらしい。先生に「これお前じゃなくてAIが書いただろ」と言われないために、チャットGPTからいかに離れるかをみんなが心がけるようになる。AI扱いされないため、という目的で個性が生まれる時代になるかも知れない。

チャットGPTに聞くのではなく、教えるブームも来るかもしれない。自分がいつどこで何をしたかをチャットGPTに教えていけば、自分の趣味趣向を「人間の思考のパターンの一例」としてAI全体に刷り込むことができるかも知れない。自分の癖が、後世の人間が使うAIに反映される。それがこの世に自分の痕跡を残すこと、と人間は感じるようになるかも知れない。

あと、一人で考え事をするときに、チャットGPTに打ち込むつもりで要点をまとめるのって便利だな、と最近気づいた。チャットGPTに質問するときって、あまり雑に入力してもこちらの意図が伝わらず、欲しい答えを得られない。だから、こういう前提で今こういう状態でこれが知りたい、と丁寧に打ち込む。打ち込んでいるうちに、自分が知りたいこと、根幹の目的に気づかされる。そのときチャットGPTに質問したのは、たぶん買い物の質問かなにかだったけど、じっくり自分で何か考える場合もこのくらい丁寧に質問を設定すれば考えやすいと気づいた。勉強や仕事で、小さい子どもに教えるつもりで、とか、誰に話すのか相手を想定して、などとよく言われるが、それが「AIに質問するつもりで」になっている。ちょっと怖くもある。

ぼくは去年、家の中にいたにも関わらず、すんでのところでトイレに間に合わなくて大きい方を漏らし、パンツを汚してしまったことが二回あった。家だからこその横着と油断。1年のうちに2回もあったので体の不調かと不安になり、チャットGPTに状況を説明した。チャットGPTは「原因が気になる感じ?それとも、今どうやって処理するか教える?」と質問の方向を定めようと聞いてきた。ぼくは、AI相手に丁寧に話す必要もないしと思って「前者」と答えた。この文章のやりとりだけ見たら、どっちがAIに見えるだろう?丁寧に提示された質問に、一言で「前者」とだけ淡泊に答えているこっちの方がAIじゃないか。近未来SFさながらの恐怖だ。でも、漏らせるのは人間だけだ!私が人間だ!そう思って、ぼくは奮起することができた。あれは人類の威信をかけた漏らしだった。


文:春とヒコーキ
編集:堀越 愛、サムネイル:つるみ32

PROFILE

タイタン 所属

左:ぐんぴぃ
右:土岡 哲朗

★公式プロフィール:https://www.titan-net.co.jp/talent/haruhiko/
★公式YouTube:春とヒコーキバキ童チャンネル【ぐんぴぃ】