世の中は言い切れないことばかり。曖昧さを引き受けて、個人を尊重しよう。【ヤーレンズ出井隼之介「可否伝」31杯目】

ヤーレンズ・出井隼之介さんが物事の良し悪しを綴る連載『可否伝』。出井さんセレクトの「今月のコーヒー」情報とともに、心が揺れた“良し悪し”を語ります。

4月の可否

おいでやす小田さんは40年前の炊飯器を使っている。どうも、ヤーレンズ出井です。

現在我々ヤーレンズは4本のレギュラー番組をやらせていただいている。かなり喋りすぎの部類だとは思うが、一応それぞれ話す内容は分けている。そんな我々のラジオに共通している特徴の一つが、政治の話題や政治家の名前が多く出てくることだ。

いわゆる「政治的発言」なんて大したものではない。豊田真由子の車内激昂ソングや山崎拓の親子丼など、ちょっと揶揄したりボケの一つとして使う程度だ。

しかし、この「政治の話題」は、表に出て喋る人間からすると取り扱い注意なものの象徴だ。そんな中、芸人が政治的発言をするべきかどうか?というような話は本コラムの9杯目に書いたので是非。今も概ね同じ考えだ。

最近似たようなことをまた考えた。きっかけはやはりラジオでの発言だ。前回の選挙の際、野党の体たらくを批判するようなことを言った。今思えば少し視野が狭い言い方だったと反省もあるのだが、それに対して「もう少しリベラルな視点を磨いてほしい」的な意見が寄せられた。

逆に、つい先日都庁のプロジェクションマッピングを批判するボケをしたら「いいぞ!」みたいな反応もあった。

この両方に政治的発言の怖い点・リスクが含まれている。発言の中身そのものというより、「自分と同じ側の意見かどうか」に過剰に喜んだり、逆なら見限ったりする人が一定数いるのだ。なんなら「もう○○では笑えない」とまでなってしまう

個人的には人の道を外れていないなら思想と作品は切り離して鑑賞する(カニエはもうすすんでは聴かない)ので、たかだか発言の一つ二つで何が急にダメになるんだと思う。

しかも、こういう人はネット上で声が大きい。世の中は曖昧で玉虫色で、ななまがり・初瀬さんでも言い切れないようなことばかりなのに、単純で極端なことを言うと簡単に目立ててしまう。インプレッションを稼いでしまう。

さらに厄介なのが勝手なラベリングだ。僕はこのコラムなどでフェミニズム的な思想に(おじさん芸人にしては)明るい方とされることが多い。そのせいか「リベラルな人」「アップデートされてる人」みたいに雑に括られることもしばしばある

その結果、僕のことを『同じ側の人』だと思ってる人から、もっとこちらの意見を汲んでほしい、みたいな期待を向けられることがある。だが、僕がフェミニズムを少しインストールしている軍国主義者の可能性もあるはずだ。無いけど。

先日も受けた取材で、末尾のプロフィールに「リベラルな視点からの・・・」という文言が入っていて、それは念のため削除してもらった。

何事も、白か黒かでしか判断できない人が多いのだろう。特定の政治家を批判するにしても、「ここは評価できるが、ここは良くない」となるのが自然じゃないか?賛成か反対かで全て割り切れるほど全ては単純じゃない。

だから我々は、声高に何かを表明したりしない。多くの人に笑っていただきたいから、片側からだけの熱い支持はいらない。

実際コンビ間でも支持政党なんて知らないし、裏で喋ってて「自分と違う考えだなぁ」と思うこともある。当然だ。でも、別になんてことはない。個人の意見や思想は尊重する。それが自然だと思っている。


~4月の可否~

可→曖昧さを引き受ける

否→白黒で人を仕分ける

今月のコーヒー【珈琲 はなまる(青森)】

青森で真空ジェシカとのツーマンライブの合間に訪れた。

アップルパイ美味しかった。

PROFILE

ヤーレンズ・出井隼之介

ケイダッシュステージ所属

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文:ヤーレンズ・出井隼之介
編集:堀越 愛
写真&サムネイル:ヘンミモリ