2023.04.28

涙のケンカを超え“大人”になった人間横丁が挑む！「目がチカチカして、耳から星が出るようなライブに」【人間横丁第2回新ネタライブ『ゆっくりアザラシ』事前インタビュー】

2023年5月11日（木）、人間横丁の新ネタライブ『ゆっくりアザラシ』が開催される。2月19日（日）に開催した『きらり』に続く2回目の新ネタライブで、渋谷・ユーロライブを舞台にネタを6本披露する予定だ。

「仲が良い」と思われがちな人間横丁だが、『きらり』直前には舞台上で涙を流すほどのケンカをしたという。そんな波乱と試練を乗り越え、より結束を強めた人間横丁。前回を振り返りつつ、第2回新ネタライブ『ゆっくりアザラシ』に挑む想いを聞いた。

全人類が来てくれた新ネタライブ

———『きらり』を振り返って、大変だったことを教えてください。

内田紅多（以下、内田）：　元々、噂で聞いてたんですよ。「新ネタライブの準備期間中はピリピリしちゃうよ」って。

山田蒼士朗（以下、山田）：　まさかねぇ、と思ってたけど……。

内田：　そうそう。「ピリピリなりますか～？」って思ってたけど、ほんとになって（笑）。ライブでケンカみたいなことまでも起きて、「噂通りだ～！」って（笑）。個人的には、ネタのことよりも“楽しくある方法”を考えるのが難しかったかもしれない。「どうしたらふたりが楽しいんだろう？」っていうのが、一番問題だったかもしれないです。

山田：　そうかもねぇ。

内田：　普段から嫌なことがあったら言うようにしてるけど、ネタの話をするたびにピリピリしちゃう。頻度がすごい（笑）。

山田：　すごい、すごい嫌われた感じがあって……。

内田：　あの期間は5秒に1回「なんだこの！なんだこいつ！」ってなってたような気もする（笑）。

山田：　僕が、不安だったから…… 。

———山田さんが不安になってしまって、うまくいかなかった？

山田：　不安で、もうどうにもならない。準備の期間中、全部を悪く感じちゃったりしてたんです。

———なにに対する不安だったんですか？

山田：　なんなんだろ。ネタできるかな？間に合うかな～？の不安。

内田：　私たちは事前にネタを作っておかないとできないタイプだから、それが不安だったね。ギリギリ前日に6個できたらどうしよう！って。

山田：　前日に、6個できたしね（笑）。

内田：　そんなことない。でも半分くらいは前日に作ったかもしれない（笑）。

山田：　1回も合わせないでやったネタもある。

内田：　だからけっこう、ライブはフワフワしちゃったかもしれません。山田くんは本番の4週間前くらいに不安になって、2週間前くらいには治ってるんです。私は、4週間前は平気だけど2週間前に不安になるから、すれ違い（笑）。私は「山田くん、あんなに不安そうにしてたけど平気かな？」みたいに思うけど、私がワタワタしてるときには山田くんはもう治って「大丈夫でしょ～」とか言ってて。どういうことなんだろう～！みたいな。

———お互いの不安な気持ちを、分かり合えなかったんですね。

内田：　分かり合えなかったですね～。

———本番は、緊張しましたか？

内田：　すごい緊張しました。劇場に集まった「この人数が私たちを観に来てるんだ！」と分かりやすいから。しかも、なんか、全人類がいました！

———全人類？

山田：　あ、そうね。

内田：　全人類がいました！

山田：　ろうな、ろう、ろう……

内田：　（小声）にゃく！

山田：　にゃく！なんにょ。

内田：　全人類が来てくれてて、私はそれがすごく嬉しかったです。

———老若男女が観に来てくれたんですね！

山田：　商店街……。

———商店街？

内田：　商店街みたいでした、バティオスが（笑）。

人間横丁、本当は仲良くないんじゃないの？

———先ほどお話があった「ライブでケンカ」について、教えてください。

内田：　新ネタライブの数日前、『ブレナイ』^※というライブのオープニングでケンカしたんです。

※K-PRO主催の、芸歴8年以下の次世代ホープ芸人によるネタ＆コーナーライブ

山田：　オープニングで、ゼンモンキーの村松さんにふっかけられて。

内田：　「本当は仲良くないんじゃないの？」みたいに言われたんだよね。でもそもそも、その日もケンカしてたんです。

山田：　そう。ライブの前にケンカして、1回離れて、別々に会場に行って。僕のいないところで、内田さんと村松さんが話してたんだよね。

内田：　「今日は山田くんとケンカしました」とお話したんです。そしたら村松さんが「それオープニングでしゃべれる？」って聞いてくれて。どうだろう～と思ったけど、まぁ言っちゃおう！と。そしたら、山田くんがめちゃめちゃ怒って（笑）。

山田：　知らなかったから……。

内田：　そう。私たちはグルだったんですけど、山田くんは知らなかったから。

山田：　ゼンモンキーさんと内田さんと、4対1みたいになって……

内田：　その日ケンカした理由が、「私（内田）が元気じゃないから」。一緒に公園にいたら、そう言って山田くんがどっか行っちゃったんです。

山田：　違うんだよ、それだけじゃないんだよ。

内田：　「元気じゃない！」って言って、どっかに行っちゃったんです。

山田：　それだけじゃないんだよ。

内田：　私が元気じゃなかったから……。

山田：　分かってない……。

———またケンカになっちゃいそうです。

山田：　ケンカしないです、もう（笑）。

内田：　こんな感じで、ライブのオープニングで「元気じゃないとか言うんですよ～」って言ったら、すごいプンプンしてて。

山田：　プンプンして。

内田：　で、山田くんに「お笑い知らなすぎでしょ！」って言われたんです。怒った山田くんに「こんなの、ウケるわけないじゃん！」「もうやりたくない！」って言われて。じゃあひとりでネタしようって思って袖にいたら、山田くんが来て「やんないわけないだろ！」って。私も怒ってるから、「えー、でも山田くんプロ意識低いからやんないと思ったよ～」とか言い返して、バチバチでした（笑）。袖でそんなことをずっとやってたら、ゼンモンキーの荻野さんが左右に揺れながら……

山田：　ワタワタしてた。申し訳ない……。

内田：　「でもさ、そうなるよね、新ネタライブ前でしょ？」って荻野さんがワタワタして（笑）。そのまま舞台に出て、私がいつも通り「わ～～い！！！」って言ったら、山田くんがゆっくり来て「わ～～いじゃないんだよ！」って（笑）。で、「なに？言いたいことあるの？」って私が言ったら「仲直りしよ」って。10分くらい、みんなの前で仲直りをしました（笑）。それでね、ふたりとも泣いちゃって……。結局は、本当に仲直りできて良かったねってなったんですけど、みんなに迷惑をかけました。

山田：　みんなに迷惑かけた。

内田：　新ネタライブって、「本当にこうなるんだ！」と思ったんですよ。みんなすごいな～、舞台でケンカとか仲直りとかしないのなんで～！？って思いました（笑）。みんなしてないもんね。

山田：　しないんだよ（笑）。

———舞台上で言い合って、分かり合えたんですね。

内田：　それ以降、関係がすごい健康的になりました。なんか、みんなの前で言ったのが良かったなって。みんなの前で「こういうこともあります」って見せられた。やっぱ「ケンカするの？」ってすごい聞かれるんです。ケンカしない人たちだって思われてる。

山田：　けど。

内田：　けっこう、するっちゃするみたいな感じはあるんです。だから、みんなの前でこんなにできて良かったのかもしれないな～とは思いました。

山田：　心が楽になった。

内田：　そう！

———新ネタライブの前にそういう出来事があって、迷惑はかけてしまったけど、最終的には良かったなと。

内田：　はい、すごい良かったと思います。

山田：　成長になりました。

内田：　「二度とこんなことしちゃいけない」っていうのももちろんあります（笑）。こんなことしてはいけない。

山田：　したくないしね。

———ケンカもしたし、新ネタ6本にも挑戦したし、次のライブではひと皮むけた人間横丁さんが見られそうですね。

内田：　大人になりました！第1回で大人になったから、第2回は大人になったご様子を見てほしい。ご様子をうかがいに来てほしい！

M-1でいけそうなネタを作ります！

———『ゆっくりアザラシ』は、賞レースを意識したライブなんでしょうか？

山田：　賞レース近いですからね。これから『UNDER5 AWARD』^※もあるし。それに夏には『M-1』が始まるから、今回のライブでできたネタで挑むことも、あり得る。

※芸歴5年目以内の芸人からニュースターを発掘する賞レース（https://under5-award.com/）

内田：　今回、作りたいなと思います。（小声）『M-1』でいけそうなヤツとか～……。

山田：　あら。小声になって（笑）。

内田：　強気にいこう！強気に。作ります！ググッと！

———『ゆっくりアザラシ』はどんな意味なんですか？

山田：　意味はないです（笑）。

内田：　ライブタイトルを決めるとき、私が「『びっくりアザラシ』はどう？」って言ったら、マネージャーさんも山田くんも「ゆっくりアザラシ」って聞き間違えて「すごい良いね！」って言ってくれて（笑）。あ、じゃあいいか～、ゆっくりアザラシで！ってなりました。

———では、響き重視で。

山田：　そうですね。

内田：　響きがかわいい！

———かわいいタイトルに反して、フライヤーの雰囲気はかっこいいですよね。デザインには、どんな想いを込めているんですか？

内田：　今回は私たちのいろんな面を出したいから「かっこいいのにしてみましょう！」って個人的に思って、デザイナーのヘンミモリさんにお願いしたんです。空間とか日常の中に、ちょっと不思議な場所がある。ネタも、世界の中に「これってなんでこんな感じなんだろう？」とか、そういう不思議を集めたいから……そういうイメージです！

———日常にあいた隙間の中に、ちょっと不思議なものが見えてくるみたいな？

内田：　みたいな。で、やっぱ“こういうところ”に入っていきたいですね～！っていう。

山田：　この層になってるのが、テリーヌみたいなね。

内田：　あ、そう！これは「テリーヌにしてください！」って言いました。テリーヌって、切ったところがすごいかわいいじゃないですか。野菜がゼリーみたいなのに閉じ込められてる「断面図みたいな感じにしてください！」ってお願いして。やっぱり、すごいワクワクするから。テリーヌの断面図って！

山田：　このワクワクを詰め込んで。

内田：　詰め込んで、こっそり出して！

———今度はユーロライブで開催するんですよね。劇場はおふたりの意見で決めたんですか？

山田：　はい。ユーロライブがけっこう好きで。

内田：　かっこいい～、ユーロライブ、イカすなぁ～！ってイメージがあって。だから「ここでできたら嬉しいね～」って言ってたら、ユーロライブの方が知ってくれていて「良いですよ～」ということになりました。

———ユーロライブの雰囲気が好きだったんですか？

山田：　そうですね。

内田：　あと椅子がふかふかだし、赤くて厳かなのも良いなって。

———人間横丁さんがユーロライブの舞台に立ってるのを思い浮かべると、すごく似合ってますね！

内田：　え～、嬉しい～！

山田：　似合ってますよ～。前に出たとき、配信で見たけど。

内田：　あ、似合ってた？

山田：　似合ってます。

内田：　自他ともに認める（笑）！

ネギゴリラさんは嘘でした

———先輩芸人から、新ネタライブへの心構えを教えてもらったりはしましたか？たとえば、昨年から竹内ズさんが毎月新ネタライブをやってますよね。

内田：　竹内ズさんからはあんまり……でも、がまの助さんのお話を聞いたことはあります。おふたりはネタ合わせをしないから、がまの助さんが竹内さんに「聞いてもらって良い？」って設定とか喋るんですよ。それを横に座って、お利口さんに聞くってことはやったことがあります（笑）。

山田：　新ネタライブの心構えとかは聞いてないかも（笑）。あ、でもジャンクの山下さん！

内田：　そう！ジャンクさんも新ネタライブを毎月やってて。前回は、私たちのライブの前日に「思ってるよりもめちゃめちゃ楽しいから、わくわくしながら寝なね〜」みたいにLINEをくれて。「うわぁ～～～！！！山下さ～～～ん！！！」ってなりました。泣いてはないけど、そんな感じの気持ちにはなりました（笑）。あと前回のインタビュー^※のとき、ネギゴリラさんが「本番直前に芸人が楽屋挨拶に来て喋るから焦るよ～」みたいな話を言ってましたけど、あれは嘘でした！同期のあおいちゃんの“みむ”ちゃんが来て差し入れをくれたんですけど、死ぬほど嬉しかった！

※【ネギゴリラ×人間横丁合同インタビュー】「受動的」と「能動的」、対照的な2組の挑戦に迫る

山田：　すごい嬉しかった。

内田：　全然ヒヤヒヤしなかったし、あれは嘘でした（笑）。