2023.08.28
GAGによるストイックすぎるツーマンライブ ファイナルのゲストはロングコートダディ!! ≪GAG×ロングコートダディ『エレクトロニック』終演直後インタビュー≫
ワラパーが密着しているGAGの6ヶ月連続ツーマンライブ。ファイナルである第6回のゲストは、賞レース決勝常連の実力派・ロングコートダディ。
6ヶ月連続ツーマンを締めくくる『エレクトロニック』は、無限大ホールが立ち見席まで満席に。6ヶ月を追ったファンの熱量も高く、最終回にふさわしい熱狂のライブとなった。ライブ終了直後、GAGとロングコートダディに話を聞いた。
自身の原点であるGAGを、無意識で殴りにいった兎
———お疲れ様でした!ライブの感想を教えてください。
ロングコートダディ・兎(以下、兎): 楽しかったですね。
GAG・SJ: 俺もマジで、楽しかった。
兎: GAGさんが大阪にいた時代からずっと思ってたんですけど、GAGさんは僕にとって身体を全部預けられる存在ですね。ほんま、なにをしても助けてくれるので、ノンプレッシャー・ノンストレスというか。楽しいだけです。
ロングコートダディ・堂前透(以下、堂前): ……怪しい。これは悪癖のひとつである、「脊髄でしゃべる」をやってますね。
兎: ちょちょちょちょちょ(笑)。
堂前: 脳を介さず、脊髄反射的にしゃべってる。
兎: そんなことない。昔からずっと憧れてきた存在であるから……
GAG・福井俊太郎(以下、GAG福井): 怪しいなぁ。
兎: 僕、ほんまにお笑いというものを知らずにこの世界に入ったんですよ。その初期に見ていた先輩であって、全員僕の原点なんですよ。
SJ: 今のは、脊髄(S)確定じゃん(J)。
兎: 「SJ!」じゃないすよ(笑)!「じゃん」はズルいっすよ(笑)!いや、僕はGAGさんが『鉄筋base』※に出てるころずっと観てて……
※2008年4月~2009年3月まで放送されていたバラエティ番組。baseよしもとに出演していたメンバーが、テレビ初公開のネタバトルを行った。
堂前: 僕は、昔は正直「“少年楽団”※ってなんやねん」ってけっこう思ってました(笑)。だから、GAGになってうれしかったですね。
※GAGの旧トリオ名(~2018年6月2日)
兎: 僕は自分のなかに「少年楽団」と名付ける引き出しがないから、逆に「かっこいいな」と思ってました。
SJ: ほんとはね、「ジュニアフィルハーモニック」にしたかったの。
兎: ジュニアフィルハーモニック?それはちょっと、ごめんなさい、わかんないっす(笑)。GAGジュニアフィルハーモニック……ちょっと長いですかね(笑)。
SJ: 長いやろ。だから、「GAG少年楽団」にした。それでも長いけど。
兎: いや~~、めっちゃかっこいい。
GAG福井: 怪しいなぁ。
兎: いやマジで、さっきのが本当にすべてで、マジ原点。GAGさんは、一番原点の部分にあります。
GAG福井: そんだけさ、原点だと思っている人に対して、ライブの最後、身体を預ける云々ではなく殴り倒そうとしていたよね?ひろゆきを殴り倒そうとしてたよね?
兎: 殴り倒そうとしてないですよ!
GAG福井: 危なかったよね。
GAG・ひろゆき(以下、ひろゆき): たしかに(笑)。僕は、前にライブで兎君とMC対決をしていたから、そのノリを仕掛けてくれたのかなと思ったんですよ。でも暗転した瞬間、「すいません、MCの癖が出ました」って……あれ、仕掛けたのではなくて癖でやったんや(笑)?
GAG福井: 締め癖ってこと?
SJ: あれの美しいところはね、兎君→ひろゆきっていう順番で話すのではなく、同時にやっていたところ。
GAG福井: デュオ。
堂前: ユニゾンが起きてた(笑)。でも僕は、ひろゆきさんのMCのほうが全然信頼してます。
兎: それは、それは、俺もよ!俺もひろゆきさんのMCを信頼してる、もちろん。
堂前: でも殴り殺そうとしてたやん。
兎: いや僕なんか、誰よりもMC下手なんで。上手い人がやっちゃうとほんまにMCを食っちゃうから。それこそ良くないですよね?
堂前: 食っちゃうって(笑)。
GAG福井: 僕は、MCのノリは1回終わったと思ったんですよ。でもその後、もう1回兎君が締めにいったんです。それをひろゆきが気付かず、じーっとしてて。そんとき「やばいやばいやばい」ってなって、ひろゆきに「締められてる!」と言いました。
ひろゆき: 試合が終わって息をついてたら、延長戦がはじまった(笑)。
堂前: 僕はわかるんですけど、もう1回締めていたことは兎も気付いてないですよ(笑)。
兎: だから、さっき言ったGAGさんに対する熱い想いをどうしても最後に言いたかってん。ほんまに昔から憧れていたことを「言えてない」と思って。それで言ったら締めっぽくなっちゃって。仕掛けたつもりはなかった。
ひろゆき: 誰も仕掛けてることに気付いてないやん(笑)。恐ろしい戦い。
兎: 危なかったですよね。
お互いの印象
———GAGさんから見て、ロングコートダディさんはどんな印象ですか?
SJ: ほんま、おもろい。だって、全部できるじゃないですか。
堂前: 大阪にいた時代は僕らのこと知らなかったですよね?
GAG福井: 存在はもちろん知ってたよ。
SJ: でもプライベートとか人となりとかは知らんかった。どっちからしゃべりかけたら良いんやろ?どっちのほうが社交的なんやろう?っていうのが、ムズイやんか。
堂前: え、ムズイですか?こっち(兎)やと思いますけどね。
SJ: 俺が行って嫌がられなくて、楽しく話せるのは堂前君なのか兎君なのか、どっちなんやろ?っていうのをずっと見てたよ。
兎: 見てるだけ?
GAG福井: 最終的に決められたんですか?
SJ: いや、決められず出会ってしまったから、そのまま伝えた。
兎: どっちかっていうとまだ僕のほうが社交的なんですけど、人間として深いのは、堂前のほう。芸人さんってけっこう自分の思考があって、意思があって、いっぱいいろんなこと考えてしゃべるじゃないですか。僕はたぶん、社交的なだけなので、すぐについていけなくなります。
堂前: (笑)。
兎: 「そうですね」とか薄い返しをすることが多くなっていくので、しゃべりやすいけど、しゃべってもなにも生まれないほうが僕です。
SJ: でも全然、そこは別に良い。俺もそうやから。
兎: えっ、そうなんですね。
SJ: そうそう。深いこととかしゃべんない。ふたりでご飯に行っても、たとえば「なんやねん、それ」だけで2時間くらい終わる。
兎: なんやねん、それ(笑)。
SJ: 「いただきまーす!ごちそうさまでした!」「なんやねん、それ、食べてないやろ!」。こういうのがあって、「じゃあね、またね~。俺んちこっちやから」って言いながら別の方向に行って「いやこっちこっち!」とかいうのが、2時間(笑)。そういうことができて嫌われない方は、どっちやろうな?っていうのを見てた。
兎: あ、それはもう、完全にこっちです。
堂前: 僕は、そういうのは嫌いですね(笑)。
GAG福井: ロングコートダディと男性ブランコは、コント師のなかで昔から違った感じがありましたね。目立っていたというか。
兎: でも、僕らが劇場入りしたころってもうGAGさん東京に行ってましたよね?
GAG福井: 賞レースの予選とか、出てたでしょう。
兎: そんなとこ見てくれてたんですか……。
GAG福井: みんな、よく「ロングコートダディおもろい」って言ってたやん。
SJ: めっちゃ言ってた。
兎: マジすか。めっちゃうれしいっす。
GAG福井: あと堂前君が、『座王』で無双しているという噂はずっとあった。
堂前: 出といてよかった~。
兎: めちゃめちゃ届いてたね。
堂前: 僕らは、KOCの予選で「GAGさんがマジでウケたらしい」って毎年聞いてました。
兎: 毎年、大阪に届く情報は「GAGさんがイチウケ」でしたね。
堂前: お客さんが「横になってた」って聞いてたよね。
兎: 笑いすぎてね。
堂前: 大阪に情報が届くころには、尾ひれがついて(笑)。
兎: 俺は、笑いすぎて疲れたから会場に泊まった人がいるって聞きました(笑)。
たどりついた集大成の即興コント
———今日のライブで特に印象に残っていることを教えてください。
堂前: GAGさんのネタ、ウケがエグイなと思いました。
兎: あのウケのあとにやるのは、ほんとに嫌でしたね。
ひろゆき: ロングコートダディもいかつかったやん(笑)。
兎: いや、でも特に1本目「この後にやるのか……」って思いました。「これ以上はウケんといてくれ」と。
堂前: だから、結局最初に爆噛みしたもんな。
兎: 噛んだことないところで(笑)。
堂前: あと、3本ネタするってのもけっこう久々でしたね。
兎: 今日即興コントやらせてもらいましたけど、こういうのも機会あればやってみたいなと思いました。
堂前: 即興?即興を?
GAG福井: それは、脳から言ってる?
堂前: 脊髄系?
兎: もう、お前が変なこと言うから(笑)。たまに脊髄トークするんすけど、たまにですから。今日は脳からですよ。
堂前: 過去のライブでも、全部即興コントやってたんですか?
GAG福井: そうそう。全部やってて、そのなかでも今回は本当にめっちゃ良かった。
堂前: え、良かったんですか?
GAG福井: 良かった。ライブ中も言ったけどさ、ニッ社のときほんまに申し訳ないことになったから。その反省も踏まえて、最後の即興コントで集大成を迎えられたなと思います。
———即興コント中、どの瞬間に「集大成だ」と思いましたか?
GAG福井: 兎君がSJさんに「お前、人間のころの記憶戻ってきたな」って言ったときですね。あれを聞いたときは痺れました。
兎: 福井さんが「ここは馬になれば稼げるぞ」って言うのを聞いて、「下にいたSJさんは、元々人間だったんだ」と気付けたんですよ。
SJ: さすが。
GAG福井: 痺れましたね~。汲み取ってくれたんだと。
SJ: 舞台上でも言ったけど、「誰かを馬にしよう」「あ、ダメダメ、ゲストだから俺が馬になろう」って思ってコントが始まったんですよ。どうなるかわからなかったけど、やっぱり堂前君がうまいとこ設定や空気をつくってくれたんです。それなのにうちの身内ふたりが、まったく関係ないことを自分らではじめて(笑)。「あ、自分らではじめた!!」って思ってたら、それを兎君がつなげてくれたという感動。あそこで「見えた!」と思いましたね。
兎: たしかに、つながった感じがしましたね。
堂前: あれは兎のおかげやな。あそこで終わっても良かったもんな。
兎: いや、俺は楽しすぎたから、俺から終わるという選択肢はなかった。俺からこの世界を終わらすなんてことはできなかった。……人生、常に後悔しないほうを選んでるから。
GAG福井: かっこいいねんな。
ひろゆき: 4人ともはけて、堂前君をひとりで残す時間もあったな(笑)。
兎: あれ、キングオブコントでも1回やったことあるんですよ。ネタが飛んじゃって真っ白になって、ほんまはそんな予定まったくなかったんですけど、「もうお前なんか嫌いだ!」って言って思いっきりはけたんです。堂前ひとりにしたら、こいつ、うまいこと落としてくれた。
SJ: すげぇな。
兎: 「なんとかなったー!」っていう。
堂前: あれは、夢で見るような出来事でした。
兎: 終わって、裏でふたりとも大爆笑で。
堂前: いや、お前だけ!俺は大爆笑してないから(笑)。
兎: めちゃくちゃおもろかったよ。「俺、逃げたよなぁ!」って(笑)。
SJ: 個人的に、即興コントが3分ジャストで終わったのに「3分(S)ジャストじゃん(J)」ができなかったことは悔やんでます。
兎: SJチャンスだった。
コントの仲間が増えた6ヶ月
———6ヶ月続いたツーマンライブが今回でファイナルを迎えました。これまでを振り返って、いかがでしたか?
GAG福井: なんせ初めてのことやったんで、今思えば最初の3ヶ月は楽しめていなかったかもしれないですね。確実に勉強にはなったんですけど。僕はこの6回が、毎月一番緊張するライブでした。なんかスポーツみたいな感覚で、真剣勝負で取り組んだ感じがあります。
ひろゆき: 6ヶ月、早かったですね。かが屋が半年前って信じられない(笑)。緊張もあったけど楽しかったし、いろんな感情がありますね。あと即興コントをやったことで勝手にゲストに親近感がわいてしまって、別の現場でダウ90000さんにお会いしたとき普通にしゃべりかけてしまって……「まだちょっと早かったかな」と思いました(笑)。でも、コントの仲間が増えたのがすごくうれしかったですね。
SJ: この6ヶ月で得たものめっちゃあったよね。本当に、出てくれたゲストの皆さん、企画してくれたBOSS、作家さんもふくめ、みんなに「ありがたいな」と心から思いました。宮ちゃん(ひろゆき)が言ってたみたいに、新しい仲間が増えました。一方的に僕が寄っているだけかもしれないけど……これ、よく福井に言われるんですけど。
GAG福井: 彼は「友達になった」「先輩にお世話になった」と思うのがかなり速いタイプなんですよ。相手側がどう思っているかはわからないですけど、彼からするとだいぶ寄っていけたようです。
SJ: 友達スタンプを押せました。あと、「髪の毛って半年で伸びるんやな」と思いました。人間の不思議。もっと伸びてないやろうなと思ってたのに。2回切ってパーマあててるので、”ギュッ”となってるはずなのにあんなに伸びるんや、っていう。人体の不思議がわかった6ヶ月でした。
GAG福井: まぁ、たしかに伸びてはいます(笑)。
———最後に、6ヶ月のツーマンライブを終えて、GAGさんの次のチャレンジが決まっていたら教えてください。
GAG福井: 今、ちょうどそれを話し合っているところで決まり切ってないんですよ。僕個人としては、やっぱり「この世界でコントを軸に戦っていきたい」とより強く思いました。
SJ: 僕は、もっと髪を伸ばそうと思っています。この倍は(笑)。
ひろゆき: 僕は、福井君やSJ君、GAGチームの皆さんが決めたことに、一生懸命付いていきます。その所存です。
文, 編集, 撮影:堀越 愛