『脇田 in WONDERLAND』~第12話(最終回)~ 未来人【作:シシガシラ 浜中 英昌】

シシガシラ・浜中英昌さんによる連載『脇田 in WONDERLAND』。この話、どこからどこまでが現実で、どこからどこまでが虚構?

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脇田さんの秘密

脇田さんは今、人生で最大に太っているらしい。
もう椅子に座るだけでもしんどいと言っていた。
昔、脇田さんにこんなことを言ったことがある。

「このまま太り続けたらまん丸の球体になっちゃうんじゃないですか?」

脇田さんは言う。
「なるかー!見たことあんのか、そんな人間!!」

……実はもう本当に球体になってしまっている

ついこの前、渋谷の道玄坂を下って歩いてる時だった。
後ろからゴロゴロと何かが転がり落ちてくる音がした。
チラッと見ると脇田さんだった。すでに歩いていなかった。沢山の人が歩く道玄坂を人にぶつかりながら器用に転がって行く。そのまま転がりながら渋谷駅の方に向かい、見事に改札を入っていった。その姿はまるでパチンコ玉のようだった。

ロケで2人でお風呂に入ったことがある。サウナを紹介するロケで水風呂に入るという流れ。
脇田さんが水風呂に入り、頭まで全身潜った時はまるでラムネの瓶に入っているビー玉のようだった。

舞台上で目隠しをして1vs1でお互い目隠しをして気配を感じて叩きあうコーナー、脇田さんが叩かれた時はまるでスイカ割りのようだった。

脇田さんは球体になっていってる。

生物は、何百年、何千年、何万年とかけて進化している。
例えばキリン。キリンはエサを求め競争するにつれて首が長くなり、高いところの葉に届くようになって、背丈の低い動物より優位に立った。
ゾウ。生活の場を湿地や森林から草原に移したことによりどんどん体が大きくなった。そうなると水を飲むための姿勢にもエネルギーを使うため、鼻が伸びることによりエネルギーを消費せずに水が飲めて便利になった。

他にも沢山の生物は進化してきた。

人間が球体になる……

これは進化なのかも知れない……

もしかしたらこの世界から車が消え、レールが敷かれる世界になるかも知れない……
ミニ四駆を想像したらわかると思う。ミニ四駆というのは決められたコースをただひたすら何周も走る。
あの世界が将来人間で起きたとしたら、生き残れるのはただ2人。

脇田さんとバボちゃんだ!!
永遠に転がり続けることができる。

正直、現代の人間は脇田さんとバボちゃんを下に見ていると思う。いや、みんなではないが間違いなく俺は下に見ている。

しかしこれはあの2人が下に見せているだけなのかも知れない。
だとしたらなんてかっこいいんだ!!
将来世界がレールになることを知っているのに。

しかし脇田さんは今痩せようとしている。
現代に合わせるために。
そんなことはさせてはいけないと思う。

もし脇田さんが今後痩せようとしているところを見かけたら、目の前に食べ物を置いて欲しい。
そしてそのエサに食いついたら後ろからすぐに拘束して欲しい。
鳩を捕まえるように。
その後は私に連絡して欲しい。人間解剖できる施設に送り込むから。

だって彼は全てを知っている未来人なのだから。


シシガシラ浜中さんによる連載『脇田 in WONDERLAND』は、今月で最終回となります。1年間、ご愛読ありがとうございました!『脇田 in WONDERLAND』は終了しますが、浜中さんの連載は続きます。詳細は、近日公開予定!次の展開をお楽しみに。

筆者プロフィール

シシガシラ・浜中英昌

吉本興業 所属

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