【ぶるファー吉岡 編】「我らファイナリストの集合体」実力派ピン芸人ユニットの武器は“圧倒的経験値”

1月22日(土)に開催が決まった『AUN~コンビ大喜利王決定戦~』。「一番大喜利が面白いコンビを決める」という名目のもと繰り広げられるカオスな異種格闘技戦も今回で第4回目。1回戦の男女コンビ対決で納言と戦うのが、ぶるファー吉岡。ピン芸人のルシファー吉岡&紺野ぶるまが組んだユニットで、『M-1グランプリ2021』は準々決勝まで勝ち進んだ。何度もファイナリストを経験しており、賞レースの戦績は群を抜いている二人。第3回『AUN』では野田ちゃんの飼い主状態だったぶるまは、今回はパートナーを代えて2度目の出場となる。同じく「下ネタ」を得意技とするルシファーとともに、この大会をどう戦うのか。その眼差しは、納言を通り越し真空ジェシカに向けられているようで……

★チケットはコチラ(会場配信)で販売中!
★ライブ詳細:https://wluck-park.com/topics/5687/

ユニットでM-1出場「紺野さん、死んでくれます?」

———ルシファーさんは初出場ですが、『AUN』はご存知でしたか?

ルシファー吉岡(以下、ルシファー): テレビがあったじゃないですか、オードリーさんがやってる。あれを観て知りました。しかも、その番宣CMを『激レアさんを連れてきた。』中にやってて。僕ナレーションやってるんで。はい。バッチリ観てました。

※2021年8月9日にテレビ朝日で放送された、テレビ版「AUN」。MCはオードリー

———『AUN』はコンビ大喜利のライブなんですが、ルシファーさんは大喜利は得意ですか?

ルシファー: 得意ってことはないですけど、でも好きです。

———今回はユニットでの参戦になりますが、お二人の関係性やコンビ仲についてはいかがですか?

ルシファー: そうですね……。

紺野ぶるま「……はい」

ルシファー: ちょっと待ってくれよ(笑)。暴力振るってそうじゃん。

紺野ぶるま「……っ痛」

ルシファー: 本当に正確に言うなら、まあユニットなんで、仲違いするほど議論を交わしてないってこともありますよ。

紺野ぶるま(以下、ぶるま): そうそうそう(笑)。ほんと、ネタの話しかしないですもんね?

ルシファー: そうそう、ネタの話。ネタのことでしか集まらないし。

ぶるま: 私が関係ない話すると、すぐネタの話に戻すんですよ。

ルシファー: そんなことないよ(笑)。

ぶるま: 無駄話をあんまさせないというか。

ルシファー: そんなことはないでしょう?

ぶるま: いやいや、ルシファーさんはそうですよ。

ルシファー: あっ、そう? そういう感じか……。焦ってたからだと思うんだよね、でも。(M-1に)ユニットで出るってなって。

ぶるま: 確かに。

ルシファー: 実際、ふたを開ければ別にね、そんなに全然注目なんかされてなかったけど。なんかこう、ちょっと過剰に意識しちゃって。

ぶるま: はっはっは(笑)。

ルシファー: ある程度のものを持っていかないと、という意識があったんで。

ぶるま: あぁ〜、確かに。

ルシファー: ネタも出来てなかったし。

ぶるま: そうですね。0から作ったんで。

———ネタ作り期間も含めて、お二人で活動されてた期間はどのくらいあったんですか?

ぶるま: 1ヶ月?

ルシファー: Abemaの『シモネタGP』のときに誘われたんだよね。

※『シモネタGP 2021』。2021年9月10日~10月1日に、AbemaTVで4週にわたり配信された

ぶるま: そうですね。『シモネタGP』のときに。

ルシファー: 収録の日に誘われて。そこから1ヶ月後ぐらいが一回戦の最終日で。エントリーもギリギリだったから、そこで組んで、すぐにエントリーして……まぁ、その間でネタは作ったって感じですかね。だから1ヶ月弱ぐらいです。

———主導権はどちらが握ってるんですか?

意外にも、主導権を握るのはルシファー吉岡

ルシファー: でも、途中からですよ。最初は本当に気を遣って。お互い死なないように、お互いが生きるようなネタを……もう、本当に五分五分で作ってきてたんですけど、「それじゃあ間に合わないよ」ってなってきて。(主導権を握った)具体的な時期は、三回戦終わり。ネタがYouTubeに上がっちゃうから、ネタバレしちゃう。でも、その次の準々決勝まで2週間しかない、ってところで「ちょっとこれはもう、ダメだ」と思って。「死んでください」ということを……。

ぶるま: 「紺野さん、死んでくれます?」ってカフェで言われて。「もちろん!」って返して(笑)。

ルシファー: 「死ぬことになるかもしれないです」ということを伝えて、快諾してくれたんで、そういう形(ルシファー主導)で作りました。そこからは僕がほぼ一人で作って、後から二人で話し合って。

———ぶるまさんの“生かし方”を考えてきた1ヶ月間だった?

ルシファー: そうですね。その1ヶ月は、本当に考えました。まぁ、僕が“生かし方”って言うとちょっと偉そうなんですけど……。別に、どっちが主導権を持っても面白いネタは作れると思うんですけど、そういう感じになりました。

ぶるま: でも、最初は「これ大丈夫?」みたいな感じで言ってくださってたんですけど、途中からネタ中に「はい」とか言うと「何で今『はい』って言ったの!?」とか……。

ルシファー: そんな怖かった(笑)? いや、思ったより素っ頓狂なこと言うじゃない?

ぶるま: 私が?

ルシファー: 「ここどう思う?」って聞くと、すごい良いことも言うけど、本当に素っ頓狂なことも言うじゃない?

ぶるま: 確かに(笑)。

ルシファー: そうそう。だから段々、「あっ、これは時間かければ良いネタを作れるかもしれないけど、短距離には向かない」と。いちいちこの素っ頓狂を聞いてたら、時間無くなっちゃうかなと思って。途中からもう「僕でやります」って形になったっていう。

ぶるま: 確かにね。打率が悪かったんだ(笑)。

ルシファー: 打率悪かったよー。結構、大振りだなって思ったもん。

ぶるま: 確かに。しかも、結構「どや」で出しますもんね、私。

ルシファー: そうそうそう。で、俺が腕組んで「うーん……」って言ってると、「あれ、そんなダメでした?」みたいな感じで。いや、ダメかどうか分かんないです。ただちょっと、僕には手に負えない相手だなって。

ぶるま: 途中から、ちょっと“CEO感”が出始めて。(首を)縦か、横かみたいな。

ルシファー: 採用か、不採用かみたいな(笑)。

ぶるま: 判断早かったですね、ルシファーさん。毎回。

ルシファー: まぁ、怖くしたつもりはないんですけどね。焦ってたんで。

前回は「野田ちゃんを背負ってしまった」

———ぶるまさんは、前回(2021年8月28日開催)の『AUN』には別ユニット(野田ぶるまちゃん)で出場いただきました。そのときの感想をお聞かせください。

ぶるま: まぁ、前回はちょっと、私も勝手に背負ってしまった部分があって。野田ちゃんという人を。勝手に、自分が背負わなきゃみたいな気持ちになっちゃって。野田ちゃんはネタ合わせしてても、それこそずっと素っ頓狂だったんですよ(笑)。

ルシファー: ずっと(笑)?

ぶるま: 素っ頓狂の打率がすごかったんで。私も素っ頓狂なんですけど、自分以上に素っ頓狂だったんで「私がなんとかしなきゃ」っていうのがあって。

ルシファー: じゃあ、両方の立場を短期間に味わったんだ?

ぶるま: そうなんですよ。それでちょっと、最初のほうで私が空回りしてしまったのがもったいなかったなっていう印象がありますね。私、途中から野田ちゃんのこと無視してましたからね。

ルシファー: 無視しても出来るもんなの?

ぶるま: いや、出来なかったんですよ。

ルシファー: そっか。結局それが敗因というか。

ぶるま: 途中から野田ちゃんも私の犬みたいになってきて。全部の回答「これどうですか?」って一文字ずつ……。

ルシファー: 一文字ずつ? 遅ぇな(笑)。

ぶるま: うるさいなって思っちゃって。

ルシファー: ひどいよ(笑)。

———でも、後半は巻き返してましたよね。

ぶるま: そうですね。途中から考えるのやめようと思って。誰かを背負うの向いてないなと思ったんで、「とにかく出して出して」みたいな。で、調子出てきて、「最初からこうやっておけば良かったな」っていうのはありましたね。

———そういった点で悔しい思いをしたと。

ぶるま: そう。野田ちゃんにも申し訳ないことしちゃいましたね。

ルシファー: ちなみに、前回は一回戦で負けちゃったんだよね?

ぶるま: 負けちゃいました。

ルシファー: 相手は?

ぶるま: Aマッソです。

ルシファー: あー、Aマッソか。それ勝ってたらテレビに出れてたってこと?

———テレビは、前々回(第2回『AUN』2021年4月24日開催)の副賞でした。

ルシファー: あ、なるほど。

ぶるま: 前回は真空ジェシカさんが優勝しましたよね? なんかずっと真空ジェシカさんですよね。

———過去3回、全て優勝されてます。

ぶるま: 強い。

ルシファー: それはちょっと倒さないとなー。

ぶるま: えっ?

ルシファー: うん。

ぶるま: (笑)。ルシファーさん、本気出すと顔が吊り上がって、ストッキング被ってるみたいな顔になるんですよ。M-1の準々決勝の動画まだ上がってるんで是非見ていただきたい。

ルシファー: 被っただけでは吊り上がらないよ。

ルシファー「被って、こう」

ぶるま: 終わると脱ぐんですよ。ずっと被らないでほしい。めっちゃ怖いんですよ、あの顔。

ルシファー: ルミネの準々決勝の袖で被ってたんでしょ?

ぶるま: そう。なんか、空気ピリついてんなーと思ったら、薄暗いとこで……。

———それはもう、本当に被ってるみたいな言い方ですね(笑)。

ルシファー: 比喩じゃない。

ぶるま: ははははは(笑)。で、終わってインタビュー受けてたら普通になってたから、いつ脱いだんだろうと思って。

ぶるファー吉岡 『M-1グランプリ2021』準々決勝ネタ

真空ジェシカと「すぐ当たっちゃう」

———今回、初戦の相手が「納言」さんです。印象をお聞かせください。

ルシファー: はいはい、男女コンビ対決。これちなみに、対戦相手はなんとなく決められたってことですか? 抽選とかじゃなくて……。

ぶるま: 被ってる、被ってる。

ルシファー: え?

ぶるま: ストッキング被ってる。

トーナメント表を見て、ストッキングを被ったルシファー吉岡

ルシファー: どうなんですか? 

———今回は実行委員による厳正なる選出ということで……

ぶるま: なにか思うところあるんですか?

ルシファー: だって、納言に勝ったらすぐ真空ジェシカに当たっちゃうから。決勝で倒したいじゃん。

ぶるま: 強気(笑)。ルシファーさんに、そんな大喜利のイメージないですよ?

ルシファー: 誰を見ても強そう。

ぶるま: 強いです。この前も、全員強かったです、本当に。

———今回も、かなり大喜利が得意なメンバーが集まってますね。

ぶるま: あと、なんかあれですよね、「AUNのファン」みたいな感じもありますよね。お客さんも「AUNの真空ジェシカが好き」、みたいな所もあるから。

ルシファー: なるほど。

ぶるま: ちょっと噛ませようとしてますよね。

ルシファー: ふふふ(笑)。

ぶるま: なんか、意図が見えますね。

ルシファー: そうそうそう。多分負けさせようとしてる。準決勝で真空ジェシカに……ってか、納言に負けるかもしれないけど。

ぶるま: ははははは(笑)。それ一番ダメですね。

ルシファー: 全然負ける可能性ある。

ぶるま: 確かにねー。コンビ歴も長いですもん、納言。『AUN』って二人でする大喜利だから。

ルシファー: ああーそっか。

ぶるま: そうそうそう。

悪酔いして、幸に撒かれた

———納言さんとの関係性はいかがですか?

ルシファー: 安部くんは、ほぼ面識ない。幸ちゃんのほうはまぁ、挨拶はしたことあるぐらいで。僕の周りには仲良い人が多いような気がするかなー……っていう感じですかね。

ぶるま: 幸ちゃんは何回か飲みに行ったことあるんですけど、飲み行ってる割には……っていうところがありますね、正直。

———幸さんからは、酔っ払ったぶるまさんがインディアンスのきむさんからメガネを取り上げた話をお聞きしました。

ルシファー: 何をやってるの(笑)?

ぶるま: あぁー……記憶が……。

ルシファー: ヤンキーじゃん。

ぶるま: あー、ありましたね。あったあった。尼神インターの渚さんと幸ちゃんときむさんと飲んでて、私が酔っ払いすぎて。で、「こいつダメだ」みたいな感じで、渚さんが私を撒こうって言い出したらしくて。

ルシファー: 酔っ払い過ぎて?

ぶるま: そう。で、きむさんだけ残ってくれて。二人でカラオケ探したけど見つからなくて。結局、赤いポストの前で缶チューハイ飲んだ記憶がありますね。

ルシファー: 撒かれちゃったんだ。

ぶるま: 撒かれた記憶ありますね。

ルシファー: そんな悪酔いするんだ……。

普通にやれば勝てる

———お二人は下ネタのイメージが強いですが、今回も下ネタは武器になってきそうですか?

ルシファー: まぁ、「下ネタで行こう」とかは無いんですけどねー。

ぶるま: そうなんですよ。我ら、下ネタしかないと思われてるんですけど、実は違うんですよ。

ルシファー: そうですね。作戦ってムズいなと思うんですよ。ウケそうだったら下ネタで攻めますけど、ウケなかったらウケなかったで引っ込めても、まぁ別に全然戦えるだろうなって。

ぶるま: でも我らは「質が高い」ですよね。なにをするにしても。なので、普通にやったら負けることは無いんじゃないかなっていうのはありますね。

ルシファー: まぁ確かに。

ぶるま: 変な感じにならなければ。

ルシファー: 確かに、我らそのー……。

———我ら?

ルシファー: 「ファイナリストの集合体」なんで。

ぶるま: そうですね。

ルシファー: だからもちろん、二人とも大喜利できるわけですし。

ぶるま: まぁ、真空ジェシカはあれとして……他にファイナリストはいないですもんね。

ルシファー: 真空ジェシカが1。うちらは、合わせて10?

ぶるま: えーっと……地方のイベントも入れて良いんでしたっけ?

ルシファー: ちょっと、1回置いといてもらっていい? 地方のイベントは。

ぶるま: 松竹の事務所ライブ『元気バツグン!ライブ』は入れていい?

ルシファー: 絶対ダメ。それ、マイナス1になっちゃう。

ぶるま: なんで(笑)? みょーちゃんとかも出てたんだから。……だから、我らは11?

ルシファー: 僕は5で、(ぶるまは)6?

ぶるま: ABCも入れれば。

※『ABCお笑いグランプリ』。紺野ぶるまは2017年のファイナリスト

ルシファー: あー、ABCはそうか。まぁABCは入れちゃダメって言ったら角立つか。それなら俺も『ツギクル』優勝してるし。

※『ツギクル芸人グランプリ』。『お笑いハーベスト大賞』の後継大会で、ルシファー吉岡は2014年『お笑いハーベスト大賞』で優勝

ぶるま: だから、作戦なんていらないです。はい。普通にやれば勝てますからね。

ルシファー: そうですね。面白い答えと、面白い答えで面白くなる。これが作戦です。

ぶるま: はい。

ルシファー: だから作戦名は「面白いことを言う」です。ね?

ぶるま: はい。

紺野ぶるま「経験値で起こす 天変地異」

ルシファー: これも出来るんです。韻も踏める。

ぶるま: Yeah

ルシファー: 僕は、韻は踏めないですけれども。

ぶるま: フロウのタイプなんで。

ルシファー: フロウ? フロウってなに?

ぶるま: あとで説明する(笑)。

ルシファー: あとで教えてね。

ぶるま: 『フリースタイルティーチャー』(テレビ朝日)にずっと出させてもらってて、ラッパーの人ってすごい煽るんですよ。それ、私も癖でやっちゃうですよね。

ルシファー: ビッグマウス的な?

ぶるま: そうです。

ルシファー: でもあんま大口叩くとさ、感じ悪くなってウケなくなるんじゃない?

ぶるま: でもね、リスペクトがあるからディスれる、っていうのはありますけどね。大前提に。

実力はあるけど人気がない

ルシファー: でもパッと見たら、ライブシーンでの人気は、やっぱ我々がダントツで無い。

ぶるま: 本当だな(笑)。

ルシファー: 実力はあるけど、ライブシーンでの人気は全く無い。

ぶるま: 実力と人気って比例しない?

ルシファー: 比例しないしない。しないですよ、それは。一番人気無いでしょ。次に無いのは納言だな。

ぶるま: え、納言?

ルシファー: ライブの人気は無いでしょう。だってもう、テレビ出てんだから。

ぶるま: あーそっかぁ。

ルシファー: そうそうそう。そういう意味で言うと、『AUN』で一番注目の薄い対決にはなるかもしれないけれども。

ぶるま: 確かにね。

ルシファー: そこを盛り上げてくって意味でも頑張りましょう。

———あらためて、今回の意気込みを教えてください。

ルシファー: やっぱりそのー、チャンピオン・真空ジェシカ。倒したいなって思ってますね。ぶっ倒してやろうかなって思いますよ。…………ちょっと待って、エンジン入れたら全く内容無くなっちゃった(笑)。

ぶるま: ふははははははは(笑)。重鎮レスラーみたいな。

ルシファー: そうね(笑)。やらなきゃいけないことは分かってるんだけど、頭回んないんだよな。

———納言さんに対しては、なにかありますか?

ぶるま: 幸ちゃんね、ビールすごい好きなんですよ。ビール好きだと思うんですけど、お笑いに対して「ビン・カン」でやってきたのはこちらなので、「生」という意味では私たちの方が圧倒的に強いんじゃないかと思いますね。

ルシファー吉岡「Yeah」

ぶるま: ……ちょっと、今ので使えなくなるんで。

ルシファー: 嘘。一気に? 一気に使えなくなんの?

ライター・撮影:武山、編集:堀越 愛


〈ぶるファー吉岡|プロフィール〉
左:ルシファー吉岡(マセキ芸能社 所属)
右:紺野ぶるま(松竹芸能 所属)

PERFORMERS

WLUCK CREATORS