トットがM-1戦士を呼び漫才を磨くライブがスタート！初回ゲストはカナメストーン！　≪トット×カナメストーン『3ヶ月連続事務所交流漫才ライブ』終演直後インタビュー≫

2023年7月より、トットの『3ヶ月連続事務所交流漫才ライブ』がスタートした。初回となる7月27日（木）のゲストは、マセキ芸能社・カナメストーン。

ライブでは、トットが3本、カナメストーンが2本のネタを披露。トークをした後、即興漫才を行った。特筆すべきは、”ネタ中、客席後方でお互いのネタを見ていた”こと。対バン相手のネタを見るなんて、どんな緊張感のあるライブなのか……と思いきや、トークや即興漫才ではハチャメチャに乱れ合う四人。これまでほぼ絡みがなかったとは思えないほど、息の合ったライブとなった。

ライブを終え、トットとカナメストーンはどんな感想を持ったのだろうか？終演直後、それぞれに話を聞いた。

カナメストーンの振り返り

———お疲れ様でした！ライブはいかがでしたか？

東峰零士（以下、零士）：　確実にトットさんと仲良くなれましたね。なんかうれしいよな。大阪でバンバン活躍されて、そこから東京に来られたじゃないですか。大阪時代にテレビで活躍を観てた人とツーマンをやれたってだけでうれしいのに、最後の漫才で確実に仲良くなれたな！

山口誠（以下、山口）：　しかも、3ヶ月連続でやるライブの一発目に呼んでくれた！

零士：　そう！

山口：　「カナメストーンを一発目に呼ぼう」ってなってくれたわけだ！

零士：　なんで呼んでくれたんだろう！？聞けばよかった！

———このツーマンライブのオファーが来たとき、どう思いましたか？

山口：　「…………トット………？」と思いました。

零士：　わかる（笑）。これまで一回しかご一緒したことがないのに呼んでくださったってことは、なにかで気にかけてくださってたんだなと感じたよね。

山口：　前に、一回だけ幕張で一緒になってな。そんときに気に入ってくれた？

零士：　気に入ってはくれただろう！

山口：　（笑）！

零士：　うんうん。俺がグッといってな、気に入ってくれたんだ。

山口：　急に懐に入ってな。それが功を奏したんだ！零士、ありがとな！

零士：　あ、良いよ良いよ！これからも懐に入っていくから！

山口：　頼むぞ！

零士：　あ゛ぁ゛！

トットの振り返り

———本番を終えて、いかがでしたか？

多田智佑（以下、多田）：　単純に楽しかったっすね。

桑原雅人（以下、桑原）：　楽しかった。すごいセッションがうまくいってた気がする。

多田：　一緒にライブに出るのは二回目やったんですけど、二回目の感じじゃなかったな。良い絡みができてるなという感じがしました。

———カナメストーンさんの勢い、すごかったですね。

桑原：　たしかに、エネルギーがすごいですね。グーン！って来る。

多田：　うんうん、パワフル。桑原＆カナメストーンの三人の絡みが多かったんで、非常にツッコミやすかったです。

桑原：　俺があのふたりから引き出してあげてたってこと？

多田：　いやいやいやいや、お前が振り回されてた（笑）。

桑原：　先輩よ、俺（笑）。

多田：　そうなのよ。だから、みんなの良さがめっちゃ出てるなと思いました。

———本番中、「会うのは二回目なのにもう桑原さんがナメられてる」とおっしゃってましたね。

多田：　そうなんですよ。だいぶ期も離れてますし、東京・大阪で絡みもなかったし、もっと恐縮しちゃってもおかしくないじゃないですか。

桑原：　たしかに。

多田：　そうじゃない絡みをしてくれたので、良い組み合わせだなと思いましたね。

———今回、ゲストにカナメストーンさんをお呼びしたのはなぜですか？

桑原：　「次にM-1で来るコンビ」っていうイメージからですね。すごいイメージあるよな。

多田：　あるある。

桑原：　やっぱりすごい面白いし、パワフル。組んでやらせてもらいたいなっていうのは、めっちゃ前から思ってたんですよ。カナメストーン、芸人のあいだで一昨年くらいから「絶対M-1行く」ってすごい噂になってたんで。

多田：　そうですね。それこそ、この間ジュニアさんのYouTubeに出していただいたとき「今度こういうライブをはじめます」って話したんですよ。「一回目のゲストがカナメストーン」って言ったら、ジュニアさんも「カナメストーンなんてM-1決勝いつ行くねんって言われてるやつやん、俺も知ってんで」みたいなこと言うてはりましたね。

———今回、お互いのネタを客席の後ろから見ていましたよね。カナメストーンさんのネタを見て、いかがでしたか？

桑原：　振り切ってんな、頭おかしいなっていう感じがありますね。特に山口くん。

多田：　そうですね。出てきたとき“なにしでかすかわからん感”みたいなのがありますよね。登場の瞬間、お客さんがワッとカナメストーンの空気になる。やっぱりすごいなと。

桑原：　うん。出てきた瞬間の期待値というか、ワクワク感がすごい。それが強さなんやろなって思いましたね。

多田：　「山口くんを例えてツッコむんやったら、自分ならなんて言うかな」と思いながら後ろで見てたんですよ。「Mr.ビーンみたいやな」とか言おうと思ったけど、「いやそこじゃないか」と。あの動きとか指先の感じとか目とか、Mr.ビーンっぽいにおいはあるんですけど、ポップさにプラスして狂気があるから。例として「Mr.ビーンみたい」は合ってないなと。

桑原：　わかるわかる。「なんのお笑い見て育ったんやろ」みたいな感じがあるよ。ウケようとかより、なにか言いたい・やりたいみたいなタイプやと思うんすよ。そういう気持ちがめっちゃ強いんやろうな。

多田：　そうやな。

桑原：　だから笑っちゃうよな。

———カナメストーンさんのネタ中、客席からちょっと悲鳴が上がる場面もありましたね。

桑原：　あの狂気感がそうさしてるんやろな（笑）。あと、仲良しの感じも良いよな。

多田：　ほっこりしますね、見てて。ふたりが仲ええんやなっていうのは、会話の間とか空気感でわかるので。……零士くんもほめんと、拗ねよるよ（笑）。

桑原：　そう言ってからほめても怒ると思う（笑）。でも、零士がいるから良いんやと思うで。いないと「怖い」で終わっちゃう。

多田：　そうやなあ。

桑原：　バーン！って明るくするやん。エネルギーがすごい。あれも天性ですよね。ツッコミで伝えたり明るくしてるとかいうレベルじゃないんですよ。存在で明るくしてる。

多田：　うん、持って生まれたマンパワーって感じな。

桑原：　技術では無理やと思うよ、あれ。

多田：　そうやろうな。

桑原：　ふたりとも、そこがすごいなと思いましたね。技術もすごいけど、持って生まれたものがめっちゃでかい。その上にいろんなもんを乗せてる感じが、すごいなと思います。

多田：　リアクションとか声のトーンとかに目が行きがちやと思うんですけど、上手いな。

桑原：　上手い上手い。友達やからやと思うで。兄弟漫才師の上手いに近い。

多田：　呼吸をわかってんやな。

桑原：　たぶん、見てる人「上手い」ってなれへんやろ。「ずっと一緒におる人の感じ」やから。

多田：　「これ以上引っ張ったらキツくなるから、ここで一発ツッコんどこう」とか、わかってるんでしょうね。そこまで考えてるかはわからないですけど、ふたりのなかではあるんでしょうね。

後頭部を踏ませたところがハイライト

———今日のライブを振り返って、特に印象に残っているハイライトを教えてください。

桑原：　どこやろな～、いっぱいありましたね。即興漫才で山口くんがすごい変なボケを連発してたんやけど、多田さんがしばらくツッコまなかったんですよ。ほんで、パパパパンって連続でツッコんでた。あっこのやり合いは、すげぇなと思いましたね。

多田：　あー、ほんま？うれしいなそれは。

桑原：　多田さんも嬉しそうやったな。

多田：　「どこでツッコもうかな」と思ってました。早めに言ったほうが良いんかな、でももうちょっと待ったらさらに変なことが起きそうだな……と思って、ドキドキしながら。

桑原：　あと裏ハイライトとしては、お客さんも僕らも「どんなライブなんやろ」って状態で始まったからか、オープニングがふたりともめっちゃ緊張してた。あっこは裏ハイライトでしたね、だせぇなって（笑）。

多田：　かたかったな。お客さんとカナメストーンに見られて（笑）。

桑原：　ふたりとも緊張してもうてるやん（笑）。あっこはダサかった。

多田：　そのダサさが、逆に良いんかもしぃひんなぁ。

桑原：　今回でちょっとどんな感じかわかったから、次からは大丈夫です（笑）。

———劇場に来ていたお客さん、肌感でトットさん・カナメストーンさんのファンどちらが多かった印象ですか？

多田：　僕の体感では、6：4か7：3で、僕らのお客さんが多い感じがしましたね。ウケる場所とか、感覚的に。

桑原：　「初めて来た」みたいなニュアンスの人もいる感じしましたね、ウケ方を見ていると。

———普段とウケる場所が違うことは、学びになるんでしょうか？

桑原：　めっちゃなりました。どっちが良い・悪いというより、別物ですからね。『M-1』は初めて見る人のほうが絶対多いし、そっちに基準を合わしていかないといけない。知ってくれてる人が多いライブだと、基準の合わせ方が難しくなっていくじゃないですか。それがすごい勉強になりましたね。あとカナメが、俺が「いーってしてる」みたいなこと言ってて「そう見えてんねや」って思いました。もう、吉本では誰もいじれへんやん。

多田：　もう知ってることだもんね。

桑原：　めっちゃ「なるほど」と、客観的に自分を知れましたね。

多田：　僕のハイライトは、桑原が零士くんに後頭部を踏ませたところですね（笑）。

桑原：　なにしてたん？俺、あれ。

多田：　あっこがめっちゃ良いなと思う。

桑原：　良かった？

多田：　めっちゃ良いな。やっぱり、先輩があっこまでやることあんまないじゃないですか。零士くんもたぶん「えっ！？」って思ってるはずなんですよ。「これやって良いんかな」って、後輩は思うやん。でももう踏むしかないってなったとき、とっさに「強い女性の気持ちを味わわせてくれなくて良いんだよ！」ってフレーズをバーンと出した。たぶんハラハラしてるし緊張感もあるし、なんか言わなあかん状況であれを出すのがすごいなと思いましたね。

桑原：　すごかった。めっちゃウケてたな、あのツッコミ。ようこんなおもろいツッコミ出てくんなって思いながらやってたわ。俺はもう、フリーでしょうもないボケばっかしてたやん（笑）。ツッコミがバーンと来るから、やりやすかった。ぶつかりにいってたわ、零士に。

多田：　途中で大宮スイッチが入るにおいしたもんな（笑）。

桑原：　危ない（笑）。大宮は封印しようと思ってたんですけど、カナメストーンが「そっちでも行ける」スイッチ持ってたやん。だからやっちゃった。「なんでも行けますよ～！」みたいな感じやったから、気付いたら頭踏まれてたわ（笑）。

多田：　無意識で踏まれてたんや（笑）。

桑原：　なんも考えてなかった。

多田：　どんな状態や（笑）。まぁ、柔軟なんやろな。

取捨選択ができたツーマンライブ

———間もなく『M-1』がはじまりますね。『M-1』に向けて、調子はいかがですか？

桑原：　かなり良い感じで来てるんですよ、今。

多田：　体は仕上がってきてる感じはしてます。

桑原：　でも、ここからもうひと伸びいかなあかんってのは感じてます。

多田：　うんうんうん。

桑原：　グーンいかなあかん。今日で、もう緊張してもうてたやん。

多田：　うんうんうん、そうね。

桑原：　うんうん言うてますけど、どうですか？

多田：　その通りやと思いますよ。例年に比べて良い仕上がりだなって思ってます。

桑原：　この仕上がりを、本番でも出さないかんからね。

多田：　うんうんうん。

桑原：　「うん」しか言うてないで（笑）。

多田：　いや、めっちゃその通りやから、「うん」しか言うことがないだけ。

桑原：　良いこと言ってるってこと？

多田：　うん、そう。

桑原：　今回はカナメストーンと一緒にやらしてもらって、より「ここはいけるな」とか「ここは足りてないな」とか明確に感じたんですよ。

多田：　うんうん。

桑原：　なんか「うん」しか言わんようになった（笑）。どうですか？今年。

多田：　ほんま良い感じで上がってこれてると自分達でも思えてますし、さっき桑原が言ったように自分の中で取捨選択できる材料をもらえたので、ほんまにありがたい。それをステップアップにつなげられるなと思います。

———ありがとうございました。来月のママタルト回も楽しみにしてます！

桑原：　回によって、全然違う雰囲気になるやろなぁ。

多田：　ほんまやなぁ。