2023.08.10
『深夜のハチミツ』で大暴れ 足腰げんき教室から目が離せない!!〈GEININ DATABASE file.8 足腰げんき教室〉
編集部が「次のスター」として注目するお笑い芸人に話を聞く新連載『GEININ DATABASE』。
芸歴や事務所に制限を設けず、今注目したい芸人さんを取り上げる新企画です。お笑い専門メディアを掲げるWLUCK PARKだからこそ、いち早く次のスターに注目したいと考えました。
第8回に登場していただくのは、足腰げんき教室さん。
今勢いのある若手芸人が勢揃いする『深夜のハチミツ』(フジテレビ)で、異彩を放ち続けるコンビに、結成から現在地までをお伺いしました。
『深夜のハチミツ』が決まってから
ーーー『深夜のハチミツ』から足腰げんき教室さんの存在を知ったのですが、それまではどこで活動することが多かったのでしょうか。
くろさわ: 事務所ライブとか、事務所の先輩がやってるライブに出てました。
うちだすぺしゃるはーたみん(以下:はーたみん): 外のライブとかテレビにはほとんど出たことなくて。
ーーーそこから『深夜のハチミツ』にはどのようにつながったのでしょう?
はーたみん: 普通に番組のオーディションを受けたんです。でも一回落ちちゃって……追加合格で入れてもらいました。
ーーー番組ではご自分たちの魅力は出せていますか?
はーたみん: ……逆にどう思います?
はーたみん: 9番街レトロのなかむら⭐︎しゅんさんとの絡みとかでは出せてると思うんですけど……でも自分たちがメインじゃない、ひな壇に座ってる回では「邪魔しちゃダメ」って思って前に出れなくて。後悔が残る収録も結構あります。
くろさわ: 芸歴が上の先輩がたくさんいるときは空気に飲まれちゃいますね。
はーたみん: 萎縮しちゃいます。変に前に出て、面白くないって思われたら恥ずかしいなって。
ーーー『深夜のハチミツ』は、若手芸人の中でも勢いのある方たちが集まる番組だと思いますが、この芸人さんは強いなと思う芸人さんはいますか?
くろさわ: 女コンビで言うと、はるかぜに告ぐ(吉本興業)は初回からずっと出ててすごいですよね。最初の収録のときはまだNSCを卒業してなかったですし。
はーたみん: でも、キャラクターが全然違うコンビなので、同じ女コンビではありますけど「クソー!!」とかは思ってないです。
くろさわ: (相方は)誰のこともライバル視をしたくないんですよ。ストレスを感じちゃうらしくて。
はーたみん: だからみんな尊敬してます! 9番街レトロさんとかマジで面白くて、めっちゃ空気読めるし収録でもぶん回してくれますし。
くろさわ: コンビ芸ができる生ファラオさんも強いなと思いますね。
はーたみん: 私たちの場合は、私が前に出て相方は後ろでスッてしてる。そういうところを見習わないと。
ーーーこの取材も番組がきっかけなのですが、周囲の芸人さんからの反響はありますか?
くろさわ: 芸人さんからは番組観たよっていっぱい言っていただけます。
はーたみん: 私、地元が広島で。地上波では放送してないんですけどTVerとかで観てくれた友達が「千鳥と共演したのやばいね!!」って言ってくれたり。
ーーー番組きっかけで、新しいお仕事は来てますか?
はーたみん: 『有田ジェネレーション』の「一緒に飲みに行きたくなる女芸人」っていうYouTubeの回に出させていただきました。
くろさわ: (はーたみんは)『深夜のハチミツ』が決まったときに、絶対売れると思ってバイト飛んでるんですよ。
はーたみん: そうなんですよ〜。番組が決まって「はい売れた〜!辞めま〜す!!」ってバイト飛んじゃったらそっからなんも決まらなくて。今お金なさすぎ。この間湾岸スタジオから家までチャリで帰りました。
ーーー湾岸スタジオからですか!どこからでも遠いのに……。
はーたみん: 足パンパンになりました。後悔してます。飛ぶんじゃなかった。全然お金ない。
こんなにサイドも刈り上げてなかったし
ーーー足腰げんき教室さん自身のことについてお聞きしたいんですが、お互いの第一印象ってどうでしたか? 幼なじみコンビではないですよね?
はーたみん: 養成所で組みました。私たちが養成所に入ったときって超コロナ禍だったんですよ。だから、対面授業とかもほとんどなくて。
くろさわ: 私たちの時期だけ相方探しもオンラインだったんです。
はーたみん: 私は女コンビを組もうと思ってて。いろんな人がいたんですけど、この子だけ見た目が普通じゃなかったんです。ひとりだけめっちゃベリーショートだったんですよ。ベリーショートいいじゃん!って。
ーーーくろさわさんから見たはーたみんさんはどうでしたか?
くろさわ: 最初は全然こんな感じじゃなくて。リモートのときはもっと大人しいイメージで……髪型もこんなにサイドも刈り上げてなかったし(笑)。第一印象は普通に礼儀正しくて、いい子でした。今は全然違いますけど。
はーたみん: 初対面でいきなりこんな感じでブワーって行ったら誰も組んでくれないじゃないですか。
くろさわ: 組んでいくうちに化けの皮が剥がれたというか。面白いほうに剥がれたので良かったんですけど。
はーたみん: でも1年目のときに、私がネタ合わせでダメ出しをしすぎてたら解散しかけて。「違う!その間じゃないよ」とか細かいこと言っちゃうんですよ。
くろさわ: 「なんでできないの」「語尾違う!」って。
ーーー意外と細かくネタを詰めるタイプなんですね。
はーたみん: 最初はそうしないといけないと思ってたんですけど、最近はだんだんコンビのキャラが定着してきて。もうなにをしてもいいんだって思えるようになりました。私がウワーってやるからそれにツッコんでもらう。ネタの台本も書かずに、口頭でやるようになって。
くろさわ: 今のほうがやりやすいですね。
はーたみん: のびのびできるようになりました。
ーーーコンビ間で好きなお笑いの方向は似ているんですか?
はーたみん: どうなんですかね……。私はあぁ〜しらきさんとか永野さんとか、ハリウッドザコシショウさんみたいな感じのネタが好きです。でも面白いと思ったらすぐパクっちゃうので、芸人さんのネタはあんま見ないようにしてます。
くろさわ: ふたりでネタ合わせしてて、ちょっとでもほかの芸人さんに似てるってなったらもうこれなし!ってなります。「今のツッコミちょっと加納さんっぽい、やめとこう」みたいな。自分たちのスタイルを貫きたいんだよね。
はーたみん: オリジナリティ出したい。
くろさわ: ずっとめちゃくちゃオリジナルなんですけど。
“足腰世代”で強い芸人って?
ーーーはーたみんさん、かなりお若いですよね。
はーたみん: 23歳です!2000年生まれ23歳!!
ーーー同世代の芸人さんっています?
はーたみん: エアコンぶんぶんおねえさん(吉本興業)が同期で同い年です。あとは松竹にいるヤクザみたいな見た目の共犯者っていうコンビとか。ほかには群青団地(太田プロ)とか、人間横丁(人力舎)の山田くんも同い年ですね。
ーーーライブシーンでこの人はすごいなって思う芸人はいますか?
はーたみん: 先輩の豆鉄砲さんとは毎月一緒にライブをやってるんですけど、ずっとブレずに自分のスタイルでやっててかっこいいと思います。人間横丁も近いですけど、なかなかライブが一緒にならないんですよね。ライブシーンの上のほうに行きすぎて全然ついていけない。「この人たちと同じライブ出てんのヤバ!!」みたいなライブに人間横丁はめっちゃ出てるイメージです。
くろさわ: 私も同じ事務所になっちゃうんですけど、ナチョス。っていうコンビが面白いです。
はーたみん: もっとわかる人言って! ナチョス。なんか誰も知りません!
ーーーすみません。
はーたみん: でも私もナチョス。は絶対売れると思います。
くろさわ: ずっとすごいなって思ってるのは、ちゃんぴおんずの(日本一おもしろい)大崎さん。MCをやっているときのほかの芸人への気遣いとか、表も裏も全部すごい。
はーたみん: 舞台の感じからは想像できないくらい人間としてちゃんとされてます。
くろさわ: ライブ前、ひとりで不安でどうしようもないときに「大丈夫だよ」って背中を叩いてくれたり。
はーたみん: 優しい……気持ち悪いですけどね。気持ち悪いですよね。見た目が気持ち悪いじゃないですか?
はーたみんはどうやって生まれた?
ーーーはーたみんさんの話になってしまうのですが、なにを摂取してきたらこんな面白い人間になるのだろうと。
はーたみん: 『浦安鉄筋家族』とか……あとはちっちゃいときから、TSUTAYAで借りた『(ダウンタウンの)ごっつええ感じ』をお母さんと観てました。
ーーー養成所時代からはーたみんさんはこんな感じでしたか?
くろさわ: そうですね。同期とか先輩芸人の方から「マジであいつ見つけたのすごいな」って言われます。
ーーー養成所のころから近い人たちはすでに注目していた。
くろさわ: みんな言ってました。
はーたみん: 最高!
くろさわ: 今も「絶対手放すなよ」って言われてますね。でも私が原石を輝かせるというよりは、勝手にどっか行っちゃう原石なので(笑)。
ーーー周りからの注目度はご自身でも感じますか?
はーたみん: 私……結構自分に自信なくて。
くろさわ: 嘘つけ! いっつも自分は天才って言ってるじゃん!
はーたみん: 言い聞かせてるんです〜。でも心の中では「この人私のことウザいとか思ってないかな」って思っちゃいます。繊細です。繊細であり天才。
くろさわ: うまくないよ。
はーたみん: タイトルにしてください!
足腰げんき教室のこれからの話
ーーー今年は『深夜のハチミツ』出演というのがビッグニュースだと思いますが、来年以降の新しい目標は出てきましたか?
はーたみん: 日本中の人が観ているテレビに出たいです!『イッテQ!』とか
ーーーテレビ出たいという気持ちが強いんですね。
はーたみん: テレビが一番正義というか、結局テレビに出たもん勝ちっていう感覚はあります。
ーーー1年後にこうしていたいという目標はありますか?
はーたみん: 私小さい頃から将来の夢もめっちゃブレブレだったんですよ。最初は探偵になりたくて、便利屋になりたくなって、女子プロ野球選手になりたくなって、無印の店員になろうと思って、今は芸人になっています。
くろさわ: だんだんなれるやつに近づいてってる(笑)。コンビとしては、まずは『THE W』の準決勝に行きたいです。2回戦より先に行けたことがないので、準決に行ったら名前が売れるのかな。
ーーーその延長線上というか、これからやりたいことで一番大きな目標はなんでしょうか?
くろさわ: いずれは300人キャパくらいのホールを満席にする単独ライブをやりたいです。
はーたみん: Aマッソさんの単独ライブにお手伝いで入らせてもらってるんですけど、すごい数の人が来るんですよ。私たちはもぎりをやりながらそれを見てて。
くろさわ: いろんな人からお花も送られてて。すごいかっこいいなと思います。憧れです。
はーたみん: Aマッソさんってカリスマ的人気があるじゃないですか。私たちはセンス系じゃなくてパワー系なのでそういう風にはなれないかもですけど、Aマッソさんみたいにネタで売れてる人はかっこいいと思います。
ーーーAマッソさんといえば、『AマッソのMBSヤングタウン』でウチダと言われているのははーたみんさんですか?
はーたみん: たぶんそうだと思います(笑)。
ーーーハチャメチャな若手が現れたと加納さんがおっしゃっていました。
はーたみん: 加納軍団のまいあんつさんと仲がよくて、それで呼んでいただいたんですけど。スイカを耳に入れたらハマっていただきました。全部聞こえなくなっちゃいましたけど。
ーーー脱線してしまいました(笑)。大きい劇場をパンパンにさせるっていうのが目標なんですね。
はーたみん: あとはいろんなカルチャーをやりたいです。絵描くのが好きなので個展とか開きたいし、同期とバンドもしてますし、映画も作りたいです。自分の人生を映画化できたら芸人辞めていい。『だが、情熱はある』たいな感じで、私の人生がドラマになったらまじやばい!
ーーークリエイティブですね。
はーたみん: クリエイティブって言われたい!!
ーーー最後の質問です。現在の活動を踏まえて、芸人になる前のご自分に声かけるとしたらなんて言いますか?
はーたみん: 高校を卒業した自分には「すぐ養成所入って!!」って言いたいですね。若ければ若いほど珍しがられるじゃないですか。もっと驚かれたい。若くして面白いって思われたい!
くろさわ: 私は……面白くなくても、なんとか生きていけるって。
ーーーそんな後ろ向きな……。
くろさわ: 面白くなくても、芸人を続けることが大事だぞって伝えたいです。
ーーー今、活動ができてるからってことですよね。ちなみに芸人になるまではなにをされていたんですか?
くろさわ: フィットネスクラブでプロテインを売ってました。その営業が嫌で芸人になろうと思ったんです。今は芸人になってよかったです。
はーたみん: すみません私変えます! 「まじでそのままでいいよ!」って言ってあげたい。わたし〜!そのまま生きてって〜!!
取材(文・編集):フクダ、写真:堀越
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