2025.10.12
《コント王者はロングコートダディ!!!》トップバッターからまっすぐ優勝!これからは「みんなが集まれる畑を二人でやりたい」【「キングオブコント2025」18代目キング会見レポート】
10月11日(土)、『キングオブコント』(TBS系)決勝が行われ、第18代目王者がロングコートダディに決定した。

ロングコートダディは、過去にも2020年・2022年・2024年に『キングオブコント』決勝に進出。他賞レースでもファイナリストを経験しており、何度も目の前で“優勝”を逃してきた。そんな二人にとって、今回の優勝はまさに悲願と言えるだろう。結果が出た瞬間、感極まった表情を隠すように堂前の背中に隠れた兎が、印象的だった。

コント王者となったロングコートダディは、今なにを思うのか。決勝直後に行われた会見の様子をレポートする。
記者会見・優勝インタビュー
———優勝した今の気持ちをお聞かせください。
堂前 透(以下、堂前): まずは本当に、ポリスピースって感じですね。
兎: 誰にもハマってない、それ。
堂前: 絶対ね、警察署で今めっちゃ流行ってるから。
兎: やらんて。

堂前: 感想は?
兎: え~……
堂前: 泣いてました?
兎: 泣いてないです。
堂前: え、でも結構みんな泣いてたと思ってる。
兎: 感は極まってました。泣いてはないです。
堂前: 泣いてるかなと思って顔見たらね、一切涙が出てなくて。嘘泣きや、こいつ。
兎: 嬉しいです、本当に。ずっと求めてたというか、目指していたことだったんで。

———トップバッターでしたが、全体を振り返ってみていかがでしたか?
堂前: 正直、うん……すごいなと思いますね、トップバッターで1位で残るってのは。
兎: そうですね、たしかに。自画自賛っていうか。
堂前: 去年もね、トップバッターで。そこで審査員さんの信頼を得て点数がついている部分もあると思うんで、ありがたいです。うれしいです。
兎: 去年は、トップバッターで高い点数(475点)をつけていただきました。だからこそ2年連続トップで去年の自分らと比べられちゃうのかなと思ったんですけど、「比べられたからってなんやねん」と。1年間コントやってきて、成長してないはずないやん。
堂前: 誰としゃべってる?今。
兎: ……去年の自分と比べて、負けるわけないやんと思いました(笑)。

堂前: たしかに「去年と比べられるかな」はありましたね。
兎: けど、比べられても、負けるはずないよ。1年やってきたんだから。去年は1年前、今年は1年後だから。こっちのほうが強いと決まっているということで、比べられようがないよねとなりました。
堂前: マジでノーカットでつかってください。
———浜田さんとなにか会話されましたか?
兎: 浜田さんとは2~3言くらい会話して、4~5回くらい蹴られました。
堂前: 今年は足が多かったです。
兎: 足多かったっすね。たぶん、ちょうど台で足が見えないから。普通にカメラまわってないときもガンガンいかれてますからね。でも今日は、蹴ってくるたびに堂前が銃突きつけて、浜田さんちゃんとビビってたんで。やり返せたかなと。
堂前: 結果発表ミスってたんで。

———賞金はなににつかう予定ですか?
堂前: 私は、新しいプロ野球チームをつくりたいです。野球が好きなんでね。
兎: 500万か1000万でいけるわけないやろ。
堂前: つくりたいです。
兎: 先にボケられたらさぁ……
堂前: 真面目で良いよ。
兎: 僕は釣り仲間の芸人がいて、ずーっと「なにかで優勝したら海外に釣り旅行に行く」って言ってたんです。それを実現したいなと思います。
堂前: 500万、エグイところ行けんちゃう?
兎: いや……
堂前: またお前、否定だけして(笑)。

———どの国に行きたいですか?
兎: いや、でも決まってないですけど、海があれば。水があればそこには魚がいるので、全世界が目的地だなと思いますね。
堂前: ジャングル行ってほしいな。ピラルクみたいなん釣ってほしい。
兎: ジャングル?
堂前: うん。
兎: 行きたいなぁ。

———今年で4度目の決勝出場で、ついに優勝しました。昨年までと変えたところはありますか?
堂前・兎: なんだろう……。
堂前: 一番落ち着いてたかもしれないですね。1~2回目はふわふわしてる感じもあったし、去年は1年ぶりでちょっとあいての決勝だったんで。今年は全部見覚えありました。セットやら、えっと、なんやっけ、あのー……あ、浜田さんや。見覚えあったんで。
兎: 浜田さん忘れんな。
堂前: 落ち着きあったよね、例年より。
兎: 落ち着いてました。経験として「どうせ楽しい」ということがわかってたんで。
堂前: トップバッターも2回目ですし。
兎: 緊張するんですけど、はじまっちゃえばどうせ楽しいってのを何回もやってきたんで。それを知れてるのはでかかったかもしれないです。

———昨年のネタはセットを大胆につかっていましたよね。今年は生身の二人でやっていたので、そこに違いが見えました。
堂前: めっちゃ毛むくじゃらでしたよ。
兎: あれを生身としてくれるんや(笑)。モグドンを生身としてくれるんや。
堂前: たしかにセットは違いましたね。なんか直感的に、そっちのほうがハマりやすいんやろなというのはありました。今の審査員の方々には、人間的な部分を見せたほうが良いのかなと。

———昨年は準優勝で悔しい思いをされたと思います。そこから今回優勝を果たして、あらためて気持ちを伺っても良いでしょうか?
堂前: 僕は正直、優勝せずとも今年で「終わろう」と思ってたんで。一番良いかたちで終われて良かったです。
兎: 僕は優勝しなくてもまた来年も出たいから、たぶん喧嘩することになるなと思ってました。なので優勝できて、喧嘩が1回なくなったかなと思います。
堂前: 話し合った結果「優勝できなくても来年出るわ」って感じになってたんですけど、僕は平気で嘘ついたろと思ってました。
兎: 僕も「勝手にエントリーしたろ」と思ってたんで。ギスギスしなくて良かったです(笑)。
堂前: そうですね。

———今までキングオブコント以外にも様々な賞レースで戦い、決勝に辿りついても優勝することのできない年月を過ごしてきました。これまで賞レースで戦ってきたことを振り返って、いかがですか?
堂前: 本当に、人間的に大きく成長できた気がしますね。こういう形(優勝)で終われたのもでかいですし。芸人とかおいといて、人間としてすごく成長させてくれたなと思います。僕らはもう普通に大人で、35歳と37歳。この歳になるとほんまに「悔しい」とか思うことってなかなかないと思うんですよ。でもこういう職業でこういう場所をつくってもらって、だいぶ悔しさとかも感じることができたんで。成長できました。
———兎さんはいかがですか?
兎: そうですね……賞レースに出ることが当たり前だとちょっと思ってた部分があったんで、今はわかんないですね。今まで賞レースに出てた17年があって、出ない年月を積み重ねて、これからわかってくるのかも。まだ渦中にいすぎて、あんまり客観的に見えてないかもしれません。でも人間的に成長できたと思います。
———どういうふうに?
堂前: いやらしい人やで(笑)。でもここからが新たなスタートやなと思ってるんで。こっから自分たちが芸人としてどう魅せていくのかの問題だと思うので、そのスタートに立てたのは嬉しいですね。
兎: たしかに。

———仮に優勝できなかった場合、揉めたとしても兎さんは賞レースに出るほうを選びたかったとのこと。なにかこだわりがあったんでしょうか?
兎: 芸人を目指したきっかけは違うんですけど、堂前と組んでからの僕の目標はずっとキングオブコントだったんで。それは果たしたかった。それと、堂前だったらもっと早く賞レースを獲れてたんじゃないかとたまに思っちゃってて。優勝できないのは僕に原因があるのかなとかもあったんで、そんな自分を否定したくて、必ず「獲りたい」と思ってました。
堂前: 自分も否定するんやね。
兎: モグドン。
———今までいろんな方と切磋琢磨してここまでやってきたと思います。今優勝の喜びを一番分かち合いたいのは誰ですか?
堂前: しずるの池田一真ですね。
兎: 出てた。戦ってたぞ。
堂前: 本当にコントに対して分かち合える部分があったんで。本当に、今年一緒に出れてめっちゃ嬉しかったです。しずるさんが最初にキングオブコント決勝に出てたころは、僕らはテレビで観てた方やったんで。本当に、しずる一真に感謝って感じですね。
兎: そうですね……一真さんは……一真さんについてどう思いますかって質問でしたっけ?自分でも言ってましたけど、しずるさんは二人とも、ずっとコントのなかにいる人間だなと思います。それは僕らもちょっと似たようなところがあるのかなというのがあって。コントのなかで会話できてるような気はしてたんで、一緒に戦えて良かったです。

———賞レースを卒業して、今後コンビとしてどうなっていきたいと思っていますか?
兎: どうなんすかね、賞レース。キングオブコントは卒業するんですけど……
堂前: 兎だけは継続するかも。
兎: 僕はまだわからないです。もし卒業したら……
堂前: 卒業するんだとしたら、これまでにいなかったような芸人のかたちをもっと出せればなと思います。

———具体的には?
堂前: またいやらしい人が……(笑)。
兎: 卒業したばっかだから、まだないでしょ?
堂前: 今までは賞レースに向けて頑張っていれば「頑張っている」っていうふうになったんですけど、こっからはもうちょっと新しいことをしたいなと思いますね、二人で。ひとつは、畑仕事。
兎: これは本当にずっと言ってる。
堂前: やっぱり農業なんじゃないかという結論があるんで。
兎: コントもけっこう農業みたいなところがあって。……農業か。農業がコントみたいなところがあって。
堂前: うん。水かけて「なにができるんかな~」と思ったら「あ~トマトかい」って。これ、「トマト」ってオチのコントですからね。
兎: ずっと「やりたいな」と言ってたんで、二人で。みんなが集まれるような畑を、とりあえずまずは二人でやりたいなと思います。ほんまです。
———応援してくれた方々へのメッセージをお願いします。最初に、堂前さんから。
堂前: 全国のトップバッターたち!自信になったかい?
兎: トップはマイナスじゃない!

———兎さんもお願いします。
兎: えっ(笑)!?えーっと、コントはやっぱり良いと思います!君が今いるところもコントだから、大事に育ててください!

———ちなみに、今後出演したい番組はありますか?
兎: 『逃走中』(フジテレビ)でハンター役やりたいですね。
堂前: ハンターのほうなんや(笑)。
兎: だって、ハンターめっちゃカッコいい。
———他局です……
兎: あ、他局か。
堂前: 『どうぶつ奇想天外!』。
兎: 終わってるんじゃないかな?
堂前: 『フレンドパーク』(関口宏の東京フレンドパークII)は?
兎: ……は、今もやってる。僕は釣り系とかに出れたらうれしいです!

文, 編集, 撮影:堀越 愛