【YOAKEMAE芸人】〜番外編 元学生芸人&『大学芸会』スタッフ〜 大学お笑いは「私を育ててくれた場所」

『さらば青春の光 東ブクロの学生芸人YOAKEMAE』(ラジオ関西)、7月25日放送のゲストは青山学院大学『ナショグルお笑い愛好会』に所属し、現在は北海道のテレビ局にて勤務をしている二木さんと、『大学芸会』の運営スタッフの大門さん、石山さんの3人。収録直後の3人にお話を聞きました。

現役学生芸人の“今”を知ることができるラジオ

――収録お疲れ様でした!収録はいかがでしたか?

石山: 始まる前はすごく不安だったんですけど、東ブクロさんがとても話しやすい場を作ってくださって楽しかったです。

大門: 本当に緊張していたんですけど、無事に終えることができてよかったです。

二木: 私は普段何も喋らなければボロが出ないんですが、やっぱり喋りすぎてしまうとどうしてもボロが出てしまいまして……(笑)。東ブクロさんに「やっぱりお前イタイだろ」って言われたので、「あ、もうバレてしまった」って思いましたね(笑)。普段もバレないように、できるだけ静かにしていようと思っているんですけど、『大学芸会』のことになるとつい熱くなってしまって静かにしていられなくて。

※お笑いサークル連盟が企画・運営している大学お笑いの大会。2011年の夏に第1回を開催し、現在、学生を対象としたお笑いイベントとしては日本一の規模となっている。
参照:https://daigakugeikai2020.jimdosite.com/

―― たくさんお話されていたと思いますが、言い残したことはありますか?

二木: 後輩だと誰が面白いとか、学生芸人の中でも色々な会があるという話をしたかったです。最近は横の繋がりも広くなってきていて、例えば各サークルで集まってフットサルしたり、野球したりっていうのがあるんです。その中で私が唯一所属してたのが「ツムツム会」です。その話ができなかったのがちょっと悔しいです(笑)。

―― そんな会があるんですね!今でも活動されているんですか?

二木: それが今はあまりできていないので、電波に乗せることでもう1回「ツムツム会」を復活できないかなと思ってるんですよ(笑)。もともと「ずぃーしょっく」の青木ちゃんがツムツム会の会長をしていて、「無尽蔵」の野尻くんとか、「ジェンダー論」の子も入ってて。けっこう楽しい会だったので、ツムツム会の存在があるということだけでも電波に乗せておきたかったです。是非記事の方で載せてください(笑)。

―― 承知しました(笑)。この番組のことは元々ご存知でしたか?

3人: はい。

―― 学生芸人の番組ができると知ったときはどのように思われましたか?

石山: とても嬉しかったです。1回きりではなくてレギュラー番組として、しかもYouTubeで全国の人が聞ける状況で、こんなに学生芸人にフィーチャーした番組が始まるってすごく嬉しいなって思いました。

大門: 全国の人に聞いていただけるのはすごく嬉しいですし、それと同時に(大学芸会は)日本一の大会なので、学生芸人が増えたら大会の規模も徐々に広げていくべきなのかなと考えたりもしました。

二木: 私も学生芸人がすごく好きなので、現役の学生芸人のネタや、その子達が何を思っているのかを聞けるというのがめちゃくちゃ嬉しいです。例えば、さっきも名前を出した「無尽蔵」は、(彼らが)1年生の頃から面白くて、見ていた当時はけっこう尖ってた印象があったんです。でも『YOAKEMAE』で「優しいネタをしたい」と言っていて、すごく驚きました。1年から4年になって変わっていくんだなあとか。あとは「びんかんマチムスメ」、「フランジェリコ」など、元々知っている学生芸人が今は4年生になって、後輩から憧れられる立場になっているのを見られるのが嬉しいです。

――出演依頼が来たときはどう思われましたか? 

石山: シンプルに嬉しい気持ちもあったんですが、演者と違って、スタッフはお笑いの能力が長けているわけでもないので、何にも喋れないなあ…と不安の方が大きかったです(笑)。

大門: 私も(石山さんと)二人で「こんな素人が出ていいのか」って話していました(笑)。裏で働くスタッフが表に出ていいのかはすごく不安だったんですけど、実際に出演してみて、良い経験になりました。ありがとうございます。

石山: でもやっぱりうまく返せなかったなという気持ちはあるんですけど……(笑)。

―― ありがとうございます。二木さんはいかがですか?

二木: 『YOAKEMAE』って、ママタルトさんとかトンツカタン森本さんとか今活躍なさっている芸人さん、もしくは学生芸人が出演する番組だと思っていました。なので、そもそも出られると思っていない状態でオファーをいただいたので、「え!?」ってなりました。もちろん嬉しさもあったんですけど、驚きすぎてよくわかんなくて。でもオファーをいただいたからには、日本大学生物資源科学部落語研究会の「湘南ヤマダイ」やまださんのことだけは伝えようっていう気持ちで来ました(笑)。

職業に囚われないで、楽しい、好きだって思ったことをしていきたい

――二木さんが就職されたきっかけは何ですか?

二木: 昔からテレビ局のプロデューサー、放送作家、ディレクターになるのが夢だったので、大学2年生くらいからインターンをしていて、就職活動もテレビ局を受けていました。でもなかなか受からなくて、ほとんど諦めかけて文房具会社を受けたんですね。そこで面接をしてくれた方に「第一志望はこの業界じゃないでしょ」って、私は何も言ってないのに言われたんです。正直に実はテレビ業界が第一志望だと言ったら「テレビ業界向いてるよ」と言われて、もう一回受けようと決めました。その後、北海道のテレビ局に受かって、今に至るという感じです。

―― 芸人を今も続けていらっしゃいますが、社会人になったときは一回辞められたんですよね。 
 
二木: 社会人になる際に芸人を続ける気は元々なかったです。でも自分で決めていることより、他人に言われたことを真に受けてやっちゃうタイプなので、大会で面白いと言ってもらえて再開しました。

――社会人と芸人の両立で、楽しさや大変さはありますか?

二木: 昔から裏方業は好きだったんですけど、それ以上にお笑いが好きでした。今回の放送内でも私のオタク気質なところが出ていたと思うんですけど、あまりにも好きすぎて自分が表側に立つなんて想像もしてなかったんですよ。大学のお笑いサークルも最初はスタッフとして入ったんですけど、先輩から「そこまでお笑いが好きだったらやった方がいいよ」って言われて、お笑いを始めました。

そしたら、今まで受信していたものを今度は自分から発信できる楽しさを知ってしまって。でも、お笑いにズブズブになってしまうから社会人になったら辞めようと思っていました。親とか相方に「お笑いが好きすぎて身体を滅ぼすよ」とも言われていましたし。そしたら去年、たまたま『M-1』に出たら結果が良くて、やっぱり楽しいには勝てないなと思って再度始めました。以前ピースの又吉さんがインタビューで「職業に関係なくなったらいいのにね」と仰っていて、私も職業に囚われないで、楽しい、好きだって思ったことをしていきたいと思っています。

―― では大変さより楽しさが大きいということでしょうか。

二木: そうですね……北海道から東京に行くのって、けっこう大変って思われる方も多いと思うんですけど、そんなに大変じゃないんですよ。実家が八王子の方で、八王子から渋谷に行くのって大体1時間半くらいなんですね。北海道の新千歳から羽田空港までも、1時間半くらいなので変わんないんですよ、あんまり(笑)。

―― なるほど(笑)。月にどれくらい東京に来られているんですか?

二木: 月に1回は行っています。多い月は2~3回ですね。大体金曜の深夜フライトか土曜の早朝フライトで行って、日曜の深夜で帰ることが多いです。

―― 先ほど『M-1』の話も出ましたが、出場するにあたって学生芸人のときと今では違うところはありますか?

二木: 学生芸人の頃は、出る前は記念受験という感じで出ることに意味があると思っていました。でも、出て負けたらやっぱり悔しい思いが生まれてきましたね。去年の『M-1』も最初は記念的な感じで、テレビ局に入ったからこその肩書きを活かしたネタをやったんですね。そしたら、わりといいねって言ってもらえることが多くて。そうなるとやっぱり次は負けたくないというか、もっとちゃんとしたものを作りたいっていう気持ちになっています。あとは、少しおこがましいという気持ちもありながら、お客さんからしたら私たちは漫才師なので、それに恥じないようなネタをしたいなって思っています。

―― 今年の目標などは決めていらっしゃるんですか?

二木: 今まで2回戦までしか行ったことがないので、GYAOに載りたいです。なので3回戦、準々決勝……できれば準々決勝まで行きたいなって思ってます。でも宣言することって難しいですよね。たとえば準々決勝まで行きたいって言っておいて、1回戦で落ちるなんてめちゃくちゃ恥ずかしいじゃないですか。だから去年は誰にも言わないで出たんですよ。言ってないから落ちてもなんともないじゃないですか。だけど今年は言っちゃった手前、1回戦で落ちるのはめちゃくちゃ恥ずかしいので、ちょっとやばいなって気はしてます。でも出来ることだけでもやりたいです。

救いの場でもある大学お笑い

―― 今現在、卒業後も学生芸人の魅力を発信し続けている理由は何ですか?

二木: 私は元から「こんなに面白いのに、世の中に伝わってないのがおかしすぎる!」と思ってたタイプなんですよ。別に自分はどうでもよくて、「面白い学生芸人がこんなにいるので、見てきてください」って伝えられたらいいなと思っています。根本は受け手として学生芸人のことが大好きっていうだけなので、ただのオタクが表に出てきちゃっただけなんですよ(笑)。

多分なんですけど、「行動力のあるオタク」なんですよ、私(笑)。知識はすごくあるけど行動に起こさない人もいると思うんです。その界隈だけで楽しいから身内で終わりにしちゃったり。でも私はその界隈を全然知らない人に対して「この世界ってこんなに魅力的なんですよ」って伝える行動が好きなので、自分が知識のあるジャンルについて伝えたいなって思ってます。

―― ありがとうございます。スタッフのお二人にお伺いしたいのですが、『大学芸会』の運営で大変なことや、よかったことなどはありますか?

石山: 自分のサークルの人や、同期の仲良い人が勝ち上がったのを間近で、肌で感じることができるのはスタッフならではだと思います。

大門: 予選が8日間あるので、少し大変ではありますが、スタッフをするからこそ得られる経験や楽しさはあるので後悔は全くないです。

石山: (大会側のスタッフということもあって)『大学芸会』で結果発表をした後や、自分のサークルが勝った後にあまり喜べないのがちょっとだけ悔しいというか悲しいというか。

大門: もどかしいですね。

石山: 本番前もすれ違ったサークルの人に対して盛大に励ましの声をかけたいんですが、あまり大声では言えないので小声で「がんばって」って言ったりしてます。

二木: 演者目線で言うと、同じサークルの仲良いスタッフさんが『大学芸会』にいるってめちゃくちゃ大きいんです。私も仲の良い同期のスタッフがいたんですけど、香盤がよかったときは「よかったね」とか、勝ち上がったときに誰もいないところで「おめでとう」とか言ってくれました。『大学芸会』という色んな学生が出るような、会場で肩身の狭い思いをするときにそういう存在がいるのはかなり大きいですね。

―― ありがとうございます。お二人は何年生のときにスタッフとして入られたんですか?

石山: 私はお笑いサークルに入ってすぐの1年の6月頃です。サークルに正式に入る前の新歓で、当時『大学芸会』のスタッフをやられていた先輩と話して『大学芸会』の存在を知りました。お笑いサークルに入ったときからスタッフ業に興味があったので、『大学芸会』に入ることで本格的にスタッフの仕事ができるんじゃないかなと思って入りました。

大門: (『大学芸会』にスタッフとして入った)きっかけは、私が1年のときに4年生だった先輩で「はまもえさん」という『大学芸会』の代表の方がいらっしゃったことです。その人に憧れて入ろうとは思っていたんですけど、周りからすごく大変だからと、止められていました。なので夏の大会はお客さんとして見ていたんですが、はまもえさんを筆頭にスタッフの方が輝いていたので、入ることを決めました。

二木: これはお願いしたいんですけど、「はまもえっていうレジェンドスタッフがいた」ということも是非記事に載せていただきたいです!

救いの場でもある大学お笑い

―― 最近、学生芸人が注目されてきているのは何故だと思いますか?

二木: もちろん結果を出しているということが大きいと思います。ただ、その方々が明確に「学生お笑い出身です」って声を出していることが大きくなった理由かなと思ってます。メディアに出ている方々が言うことによって、世間の人が「学生芸人ってなんだ?」となって探すじゃないですか。そうなると芋づる式にどんどん出てきて、今のブームみたいになっているのかなと感じています。

―― 学生芸人や『大学芸会』は今後どうなっていくと思いますか?

石山: 最近、色々なバラエティ番組で取り上げていただいて、目に見えて大きくなっているなと感じます。私は『早稲田大学お笑い工房LUDO』に所属しているんですが、今年の4月で1年生が200人くらい入りました。今後もっと増えていくと思いますし、『大学芸会』という大会としても、もっと全国的になっていくのではないかと思っています。

大門: 演者だけでなくスタッフの幅も増えると思います。演者ではもっと色々な種類のネタが、スタッフでは映像担当や音響照明に特化した人が増えていくと思うと楽しみですね。後輩の将来に期待しています。

二木: 大学お笑いって、けっこうサブカルチャー的な要素があって、そういう部分に惹かれて入ってる人も多いと思うんですね。でもやっぱりメインカルチャーになっていくときに(サブカルとして惹かれている人の気持ちと)少し乖離していってしまっているような気がしています。カルチャーってそういうものではあるかもしれないけど、私が好きな大学お笑いは、できるだけ存在の内と外の差がない状態のまま大きくなっていったらいいなあ……とは思ってます。

なので、私が(クイック・ジャパンウェブで)記事を書くときもできるだけ小さいところから意見を拾って大きいところに出したり、いい面だけ、中心部だけを切り取るんじゃなくて色々な面から伝えるように心がけています。色々なものが生まれているからこそ、色々な人が様々な形でアウトプットしていってくれたらいいなって思ってます。私はなんでもないただのサラリーマンなんですけど(笑)。

―― 最後に記事を読んでいる方や現役の学生芸人さんに一言お願いします。

石山: 『大学芸会』の運営も頑張っているので、是非たくさん応募して欲しいですし、今まで見たことがない方も是非観にきていただきたいです。

大門: 観にきていただきたいのもありますし、運営スタッフも募集中です!規模がさらに大きくなっていくと思いますので、スタッフの方にも興味を持っていただけたら嬉しいです。
★スタッフ募集はコチラから

二木: 私は大学お笑いに育ててもらったというか、大学お笑いに対する恩みたいなのが自分の中で勝手にあります。先輩方が築いてくれた土壌があるからこそ私たちも楽しくやってこれて、今度はそれを後輩にも繋いでいかないといけないと思っています。元学生芸人の先輩方はすごく優しいので、もし学生芸人で仮に悩んでいる人がいたら先輩に是非話してみてください。

学生お笑いって救いの場でもあると思っているので、大事にした方がいいと思うし、先輩方も相談されて絶対に悪いようにはしないと思ってるので。一つ救いの場、許される場所があるだけで逃げられる場所があると思えるし、それが他のところでの相乗効果になればいいんじゃないかなと思います。

取材:くきまりこ
編集:宮下若葉なきごろう

『YOAKEMAE』二木さん、大門さん、石山さん 出演回

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