一瞬たりとも見逃せない凝縮90分！キーワードは「回る」【にぼしいわし第3回単独ライブ「超！ネックル危機一髪」～大阪公演～ 終演直後インタビュー】

2022年4月23日（土）、大阪・道頓堀にあるZAZA HOUSEにて『にぼしいわし第3回単独ライブ「超！ネックル危機一髪」～大阪公演～』が開催された。2020年に行われた第1回『ぱらぴりこ』、2021年に行われた第2回『利きロマンス』を経て、今回が3回目の単独ライブとなる。

漫才、コント、音楽や幕間映像など、あらゆるクリエイティブが詰め込まれた空間には、“にぼしいわし”が凝縮されており、お笑いとして面白いのはもちろんのこと、アートとしても大変興味深いものであった。次元も時空も超えた味わい深いネタと、そこに奥行きを与える幕間映像の数々は必見である。

大阪公演の終演直後、にぼしいわしにインタビューを決行。にぼしいわしとともに、ライブを振り返りたい。

★配信チケットはコチラから（アーカイブ視聴期限：～2022年5月16日（月）23時59分）

開演5分押しを叶姉妹がお知らせ！？

———まず、開演前に叶姉妹さんが……。

にぼし：　私達もびっくりしたよね。

———急遽いらっしゃったんですか？

いわし：　「（席）あいてる？」って連絡が来て（笑）。「行くわ」って。まさかガクヅケのライブを見てたとは。

———かなりのお笑い好きなんですね（笑）。

いわし：　あつやり（ガクヅケのあつあつ新ネタやりやり配信ライブ）を見てたらしくて。

にぼし：　LOFTでやってる。

いわし：　阿佐ヶ谷ロフトの。

にぼし：　新ネタライブね。

———詳しいですね。

いわし：　詳しかったですね。

———では、叶姉妹さんのお話はこれくらいにして。今回の単独のおすすめポイントを教えていただけますか？

いわし：　1ミリも目が離せないというか、一瞬ちょっと「このネタだけトイレ行こう」とかするとついていけなくなるので、おしっこ済ませてから見てくれたらなと思います。

にぼし：　間違いない。

———にぼしさんはいかがですか？単独のおすすめポイント。

にぼし：　えっと、これ、大阪公演は配信されると思う……？

いわし：　うん、される。

にぼし：　……されると思うんで、ちょっと……、いわしが……、間違えたとこ……

いわし：　そうなんかな？ちょっとそれはあの、映像で確認やな（笑）。

にぼし：　……は、あるけど。まぁでも楽しいので。

にぼし：　そうですね、まぁでも全部見てないと分かんないボケとかあるんで、最初から最後まで……にぼしが間違えてないところです。

幕間映像で100枚以上のコマを描いたにぼしと、オープニングVで今年最高値を叩き出したいわし

———今回の単独ライブで気に入っているところを教えていただけますか？

いわし：　今回は、オープニングVの作曲・作詞・編集は私がやったんですよ、全部。撮影も一日がかりでやったんですけど、渾身の出来です。オープニングVは今年最高値叩き出した。

にぼし：　はははは（笑）。

いわし：　笑ってます。1回目は妹が編集してくれたんです。プロなんで1回目のほうが全然すごいんですけど。2回目と3回目に関してだと3回目の方が良かったかなと思ってます。あとはそうやな、「にぼしいわしを知ってる人でも知らない人でも楽しめるように」みたいなところはちょっと意識してはいます。我々を知らない人には「にぼしいわしって漫才以外もやるんだ」と思ってもらいつつ、皆さんの頭の中の単独ライブの概念を変えたいので衝撃を与えるようにやってますし、我々を知ってくれてる人には、前回の単独でやったネタの続きをやったりとか。連続して単独行くことの楽しみみたいなんを持ってほしくて、続きのネタをちょっと作ったところも良かったかなと思ってます。

にぼし：　幕間映像をにぼしが作ったんですけども、全部コマ送りで、1コマ1コマ描いてまして。それをコマ送りにしてあんな感じになってるんですけど、あれを100何枚って描いてるんです。だから「100何枚描いたんだな」っていうのを薄めに、薄〜めに思い浮かべながら、青空をバックに浮かべながら見ていただけたら。

いわし：　ふふふふっ（笑）。

にぼし：　鳥が飛んでくるかな……って。

いわし：　鳥が飛んでくるオチなんや（笑）。

肩の力も抜けて経験値も上がったから、結構出し切れた

———第1回、第2回、第3回と単独ライブを続けてきて、パワーアップした点はありますか？

いわし：　ちょっと言い方難しいですけど、普段やってるライブの規模がでっかくなっていってて。第1回は『THE W』の直後だったんで、まだ地元のインディーズライブばっかり出てたんです。でも第2回から第3回の間に吉本さんのライブに呼んでいだいたりとか、結構経験値積めるようなところでやらしてもらえることが増えて。去年は『WEST ANTS』が出来て間もないときにやったんですけど、この1年でABCホールの舞台に立ったりとか。あとAマッソさんとツーマンやったりとか。結構、経験値が上がるようなライブが増えたので、その分場に強くなったかもとは思います。

にぼし：　うん、確かに。

いわし：　うん。なんか、もっと緊張してた気がする。去年とかは、もっと「どうしようどうしよう」ってなってたんですけど。今年はなんか、絶対“余裕”ではないんですけど、なんやろな、肩の力も抜けて経験値も上がったから、結構出し切れた感じはします。

にぼし：　確かに。なんかちょっと焦っちゃったときに、「落ち着け落ち着け！落ち着け私」って言える。

いわし：　チオビタみたい（笑）。

にぼし：　なんていうか、緊張したときに上手く対処ができるようになった。すごい、薄っぺらいこと言ってるのは分かってるんですけど。

いわし：　（笑）。いやいや、そんなことない。

にぼし：　なんでしょう。3回目っていうのもあって、どう立ち回ったら良いのか分かるようになってきたから良かったです。

「ネックル」に込めた意味

———今回のライブタイトルにある「ネックル」とはなんでしょうか？

いわし：　今回はライブのテーマを「中華」にしてて。ネックルっていうのが首を回す「ネックくるくる」の略なんですけど、「首を回す」っていうのが中国語で「回首」になるんですよ。で、首を回すっていうのが後ろ振り向くみたいな、後ろの方を見る。

にぼし：　過去を振り返るっていう意味で回首。

回首huíshǒu
1 [動詞] （多く4字句に用い）振り返る，振り向く．≒回头
2 ((文語文[昔の書き言葉])) 振り返る，回顧する．
参照）「weblio」より

いわし：　（前回の単独ライブ）『利きロマンス』はフリーになるかならへんかみたいなときにやったので、「自分の選択は間違ってなかったんだよって思いたい」みたいな……「自分の選択は間違ってないから、進んでいこう」みたいな感じやったんですけど。結構がむしゃらに進んできて、「これで良かったんかな？」とか、周りの（事務所に）所属してる芸人やったりとかがすごい活躍してるから、「うちらこの選択で良かったんかな？」ってちょっと後悔することもあって。でももう遅いので、「まぁ前向かなしゃあないな」っていう気持ちが今年は結構あって。W負けたり、『M-1』も前回と同じ結果だったりとかして。それでも前向かなしゃあないことがすっごいあって。なので「ネックルしそう、過去に囚われそう。でも前向けた、危なかった、危機一髪」っていう意味なんです。そういうライブです。

———小道具のターンテーブルも様々な使い方をされていましたね。

いわし：　一応、キーワードが「回る」だったんですよ。中国っぽくして、回りたくって……みたいなところがあったんです。本当は電動ターンテーブルじゃなくて手動で回るターンテーブルを作ろうと思ってたんですよ。で、調べてみたら、イベント用にそういうのを貸してる会社さんがいて。東京行って、実物見て回って乗ってみて、「じゃあこれ借りさしてもらってもいいですか？」ってことで借りた感じになります。それがあの道具です。

———それで、それを使うようなネタが出来ていったということでしょうか？

いわし：　そうですね。それ縛りで作る感じにしました、今回は。

いわし「私達が常々思うこと」／にぼし「生命（いのち）」

———1番見てほしいネタにキャッチコピーを付けるとしたら何でしょうか？

いわし：　「私達が常々思うこと」。私達がいつもぶつかることみたいなのがあって。最後のコントなんですけど。ずっとやってることは同じなのに、民衆やったりメディアの反応というのは、有名になったりとか凄い人に褒められたりとかしないと上がらないって思うことがありまして。それは当たり前のことなんですが、変わらずやってる人は変わらずやってるから、そういうのに頼らないで自分達の力で売れたいです。皆さんがライブに来て、自分の中の「面白い」の尺度を用いて、我々を見つけ出していただいて「面白い」って思ってもらえたら死ねますっていうくらい嬉しいです。

にぼし：　うちは、「生命（いのち）」。

いわし：　あった？それ（笑）。

にぼし：　ありましたありました。

———なるほど。

にぼし：　あ、TIMさんじゃないです。

———「命」じゃない方の（笑）。

いわし：　ぎりぎりね、その「命」もやろうと思ってた。

にぼし：　うん。

いわし：　うそうそ（笑）。

———では、配信を買おうか迷っている方にメッセージをお願いします。

いわし：　買おうか迷っている方は、買ってもらった方がいいと思います（笑）。単独ライブやし、すごい推してる芸人じゃないと見ないと思うんですけど、我々ももっと色んな人に見てもらいたいので。怖いもの見たさで見ていただいたら、もしかしたら何かに刺さるかもしれないですし、刺さらなかったときは、DMで文句言ってください（笑）。是非買ってほしいです。

にぼし：　うちも、買ってほしいです！買ってほしいけど、身体には気をつけて手洗いうがいも、してほしいです（笑）。元気で健やかで過ごしながら、配信買ってほしいです。

取材（文・撮影）：藤田 うな
編集：堀越 愛